第109回(R2) 看護師国家試験 解説【午後66~70】

 

66 アギュララ,D.C.が提唱した危機(クライシス)を回避する要因で正しいのはどれか。

1.情緒的サポート
2.適切な対処機制
3.問題志向のコーピング
4.ソーシャルインクルージョン

解答2

解説

アギュララ,D.C.が提唱したの提唱した問題解決危機モデルとは?

 アギュララは、ストレスの多い出来事によって精神の均衡状態が崩れると,その均衡を回復させる一定の働きが生じると考えた。人が危機状態から回復するには、①現実的出来事に対する知覚、②適切な対処機制、③適切な社会的支持の3つのバランス要因が必要だとした。

1.× 情緒的サポートは、キャプラン,G.が提唱したソーシャルサポートの分類のひとつである。ソーシャルサポートにはほかに道具的・情報的サポートがある。
2.〇 正しい。適切な対処機制は、アギュララ,D.C.が提唱した危機(クライシス)を回避する要因で正しい。ストレス状況下で不安や緊張を軽減させる対処行動が適切にとれることで、危機を回避することができる。
3.× 問題志向のコーピング(問題焦点型コーピング)は、ラザルス,S.R,が提唱した心理的ストレスへの対処方法のひとつである。ほかには、情動焦点型コーピングなどがある。
4.× ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)とは、障害者などの弱者を社会から隔離排除するのではなく、社会の中でともに助け合って生きていこうという考え方である。

 

 

 

 

 

67 精神障害の三次予防の内容で適切なのはどれか。

1.うつ病患者の復職支援
2.住民同士のつながりの強化
3.精神保健に関する問題の早期発見
4.ストレス関連障害の発症予防に関する知識の提供

解答1

解説

一次予防:健康な人を対象に発病そのものを防ぐこと。
二次予防:健康診断などによる疾病の早期発見と早期介入(治療)である。
三次予防:退院支援や再発防止などによるリハビリテーションである。

 

1.〇 正しい。うつ病患者の復職支援は、三次予防である。なぜなら、社会復帰支援であるため。
2.× 住民同士のつながりの強化は、どの予防にも含まれない。なぜなら、住民同士のつながりの強化は、必ずしも精神障害を呈した患者に強制してもそれがかえって負担になるため。
3.× 精神保健に関する問題の早期発見は、二次予防である。
4.× ストレス関連障害の発症予防に関する知識の提供は、一次予防である。なぜなら、健康の増進・疾病予防のための健康教育であるため。

 

 

 

 

 

68 成人期早期に、見捨てられることに対する激しい不安、物質乱用や過食などの衝動性、反復する自傷行為、慢性的な空虚感、不適切で激しい怒りがみられ、社会的、職業的に不適応を生じるのはどれか。

1.回避性人格(パーソナリティ)障害
2.境界性人格(パーソナリティ)障害
3.妄想性人格(パーソナリティ)障害
4.反社会性人格(パーソナリティ)障害

解答2

解説

1.× 回避性人格(パーソナリティ)障害とは、自分が社会的に不適格であり、「人柄に魅力がない、他人より劣っている」という確信をもつパーソナリティ障害の類型である。批判や拒絶を恐れて社会的活動を回避してしまう特徴を持つ。
2.〇 正しい。境界性人格(パーソナリティ)障害は、成人期早期に、見捨てられることに対する激しい不安、物質乱用や過食などの衝動性、反復する自傷行為、慢性的な空虚感、不適切で激しい怒りがみられ、社会的、職業的に不適応を生じる。「見捨てられ不安」「自傷行為」「空虚感」がキーワードであった。
3.× 妄想性人格(パーソナリティ)障害(猜疑(さいぎ)性パーソナリティ障害)とは、十分な根拠もないのに、「他人が自分を利用する、だます」という疑いをもったり、侮辱されたことに恨みをもち続けたり、嫉妬深く配偶者の貞節を疑い続けたりするパーソナリティ障害の類型である。
4.× 反社会性人格(パーソナリティ)障害とは、「人を攻撃したり、窃盗を行ったり、他人の権利を侵害する」ような行為を罪悪感なく繰り返したりするパーソナリティ障害である。

 

 

 

 

 

69 医療保護入院で正しいのはどれか。

1.入院の期間は72時間に限られる。
2.患者の家族等の同意で入院させることができる。
3.2人以上の精神保健指定医による診察の結果で入院となる。
4.精神障害のために他人に害を及ぼすおそれが明らかな者が対象である。

解答2

解説

 医療保護入院は、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律33条」に定められている精神障害者の入院形態の1つである。

 

1.× 入院の期間は、72時間と限られず、入院期間の制限はない。入院期間に72時間の制限があるのは、緊急措置入院応急入院である。
2.〇 正しい。患者の家族等(配偶者、親権者、扶養義務者、後見人または保佐人、当該者がいない場合は市町村長)の同意で、入院させることができる。
3.× 2人以上の精神保健指定医による診察の結果で入院となるのは、措置入院である。医療保護入院は、精神保健指定医1人の診察で入院となる。
4.× 精神障害のために他人に害を及ぼすおそれが明らかな者が対象であるのは、措置入院である。医療保護入院は、自傷・他害のおそれがない場合で、医療および保護のため入院の必要がある者が対象である。

 

 

 

 

 

70 Aさん(55歳、男性)は、妻と2人暮らし。建築士として主にデスクワークの仕事を行っていた。脊髄損傷のため下半身の不完全麻痺となり、リハビリテーション専門の病院へ転院した。電動車椅子を用いて室内の動作は自立できるようになった。退院調整部門の看護師との面接でAさんから「元の職場に戻りたい」と話があった。
 Aさんの自己決定を支援する看護師の助言で適切なのはどれか。

1.「元の職場の仕事を在宅勤務に変更しましょう」
2.「デスクワークなので職場復帰は可能と思います」
3.「職場復帰にあたりAさんが課題と思うことを整理しましょう」
4.「元の職場にこだわらずAさんの障害にあった職場を探しましょう」

解答3

解説

 「元の職場に戻りたい」という発言の意図が、仕事内容が同じであれば場所は関係ない、ということなのか、その場所・環境に戻りたいということなのかは判断できない。そのため、安易に場所や働き方の変更を提案するのではなく、その背景を把握したうえで、Aさんの希望をかなえるためにはどうしたらよいのかをAさんとともに考えることが、自己決定を支援することにつながる。したがって、選択肢3.「職場復帰にあたりAさんが課題と思うことを整理しましょう」が正しい。

 

1.× 「元の職場の仕事を在宅勤務に変更しましょう」と伝えるのは、Aさんの職場に戻りたい理由を把握していない段階で、在宅勤務への変更を提案することとなる。そのため、Aさんの希望に沿った発言ではなく自己決定の支援とはいえない。
2.× 「デスクワークなので職場復帰は可能と思います」と伝えるのは、安易な答えの可能性が高い。なぜなら、デスクワークという仕事の内容だけではなく、復職のためには通勤経路や手段、職場環境を把握する必要があるため。
4.× 「元の職場にこだわらずAさんの障害にあった職場を探しましょう」と伝えるのは、「元の職場に戻りたい」というAさんの思いとは異なるため不適切である。

 

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