第109回(R1) 看護師国家試験 解説【午後76~80】

 

76 朝9時に大規模地震が発生した。病棟の患者と職員の安全は確認できた。病棟内の壁や天井に破損はなかったが、病院は、停電によって自家発電装置が作動した。
 病棟の看護師長が行う対応で適切なのはどれか。

1.災害対策本部を設置する。
2.災害時マニュアルを整備する。
3.隣接する病棟に支援を要請する。
4.スタッフに避難経路の安全確認を指示する。

解答4

解説

 本問では、災害発生時に効率的に安全な医療を提供するための基本的かつ体系的な対応方法の原則であるCSCAについて問われている。CSCAとは、Command and Control(指揮・統制)、Safety(安全)、Communication(情報伝達)、Assessment(評価)の頭文字である。

 

1.× 病棟の看護師長は、災害対策本部を設置する前に、まずは現場の安全を確保する必要がある。病院全体で災害対策を行うため、病院長などの管理者が災害対策本部を設置することが望ましい。
2.× 災害時マニュアルを整備するのは、発災前の静穏期に整備しておく。
3.× 隣接する病棟ではなく、災害対策本部に支援を要請する。なぜなら、系統指揮を一本化するため。
4.〇 正しい。スタッフに避難経路の安全確認を指示する。なぜなら、現場での安全を確保する段階であり、いつでも避難を開始できる経路を確認しておく必要があるため。

 

 

 

 

 

77 Aさん(28歳、男性)。海外出張で訪れたアフリカ地域から帰国後1週に39℃の発熱と解熱を繰り返すため外来を受診した。腹部症状は特にない。
 予測される感染症はどれか。

1.マラリア
2.コレラ
3.赤痢
4.破傷風

解答1

解説

1.〇 正しい。マラリアは、マラリア原虫をもったハマダラカに刺されることで感染する疾患である。潜伏期は、1~4週間であり、症状は、発熱・悪寒・頭痛・関節痛などである。三日熱マラリアは、48時間おき、4日熱マラリアでは72時間おきの発熱が特徴である。
2.× コレラは、コレラ菌に汚染された水や食物を摂取することにより感染する疾患である。潜伏期間は1~3日であり、症状は、下痢・嘔吐,それらに伴う脱水症状を生じる。
3.× 赤痢は、赤痢菌に汚染された水や食物を摂取することにより感染する疾患である。潜伏期間は、通常1~3日であり、症状は、発熱とともに腹痛や下痢が初発し、その後しぶり腹(テネスムス)、頻回の膿粘血便、膿性下痢便などがみられる。
4.× 破傷風は、土壌中に広く分布する破傷風菌が傷口から体内に入ることにより感染する疾患である。潜伏期問は、3日~3週間で、症状は、口を開けにくくなり歯が噛み合わさった状態になるため、食物の摂取が困難になる。

 

 

 

 

 

78 看護師の特定行為で正しいのはどれか。

1.診療の補助である。
2.医師法に基づいている。
3.手順書は看護師が作成する。
4.特定行為を指示する者に歯科医師は含まれない。

解答1

解説

 特定行為という用語は、平成26(2014)年の改正で導入されたものである。特定行為とは、診療の補助であり、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる行為のことである。したがって、選択肢1.診療の補助である。が正しい。

2.× 医師法ではなく、『保健師助産師看護師法』に基づいている。
3.× 手順書は、看護師ではなく、医師または歯科医師が作成する。
4.× 特定行為を指示する者に、歯科医師も含まれる

 

 

 

 

 

79 ( )の組織を還流した血液は心臓に戻る前に肝臓を通過する。
 ( )に入るのはどれか。

1.舌
2.食道
3.小腸
4.腎臓
5.下肢

解答3

解説

1.× 舌(舌静脈)は、内頚静脈に流入することから、肝臓を経由せず上大静脈を経て心臓に至る。
2.× 食道を循環した血液は、肝臓を経由せず奇静脈を経て上大静脈から心臓に至る。
3.〇 正しい。小腸を循環した血液は、門脈から肝臓に流入し、肝静脈から下大静脈を経て心臓に至る。
4.× 腎臓を循環した血液は、肝臓を経由せず腎静脈から下大静脈を経て心臓に至る。
5.× 下肢を循環した血液は、肝臓を経由せず外腸骨静脈から総腸骨静脈下大静脈を経て心臓に至る。

 

 

 

 

 

80 「安静時呼吸」、「深呼吸」、「徐々に深くなっていく呼吸」に伴う肺容量の変化を図に示す。
 肺活量を示すのはどれか。

1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤

解答5

解説

1.× ①は、残気量である。肺から空気をはき出したときに肺に残っている気体の量。 ヒトの成人で、1.5リットル程度。
2.× ②は、最大吸気量である。安静に呼気した状態から深呼吸する際に吸った空気の量である。
3.× ③は、機能的残気量である。安静時に呼気した状態からさらに吐き出すことのできる空気の量(予備呼気量)と残気量を合わせたものである。
4.× ④は、全肺気量である。肺活量と残気量の合計が全肺気量である。 
5.〇 正しい。⑤は、肺活量である。最大吸気位(深呼吸で吸いきった際の肺気量)と最大呼気位(深呼吸で吐ききった際の肺気量)の差である。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。