第109回(R2) 看護師国家試験 解説【午後86~90】

 

86 全身性エリテマトーデス(SLE)で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.遺伝素因の関与が大きい。
2.発症には男性ホルモンが関与する。
3.中枢神経症状は生命予後に影響する。
4.Ⅰ型アレルギーによる免疫異常である。
5.適切に治療しても5年生存率は50%である。

解答1/3

解説

全身性エリテマトーデス(SLE)とは?

10~30歳代の女性に好発する多臓器に障害がみられる慢性炎症性疾患であり、寛解と再燃を繰り返す病態を持つ。遺伝的素因を背景にウイルス感染などが誘因となり、抗核抗体などの自己抗体産生をはじめとする免疫異常で起こると考えられている。

1.〇 正しい。遺伝素因の関与が大きい。
2.× 発症には、男性ホルモンではなく女性ホルモンが関与する。なぜなら、若い女性に好発することや妊娠中に発症あるいは増悪することがあるため。
3.〇 正しい。中枢神経症状(抑うつ、せん妄などの精神症状のほか、けいれん、脳血管障害など)は、生命予後に影響する。SLEに伴う中枢神経症状は、難治性で死に結びつく予後不良因子のひとつである。
4.× Ⅰ型アレルギーではなく、Ⅲ型アレルギーによる免疫異常である。なぜなら、SLEの合併症であるループス腎炎において免疫複合体の関与が示唆されているため。ちなみに、Ⅰ型アレルギーはアレルギー性鼻炎やアナフィラキシーなど、IgEが関与するアレルギーである。
5.× 適切に治療すれば5年生存率は、50%ではなく、95%以上である。SLE自体による死亡は減少し、治療が主に免疫抑制であるため、死因の1位は感染症である。

 

 

 

 

 

87 大量の輸液が必要と考えられる救急患者はどれか。2つ選べ。

1.前額部の切創で出血している。
2.オートバイ事故で両大腿が変形している。
3.プールの飛び込み事故で四肢が動かない。
4.デスクワーク中に胸が苦しいと言って倒れている。
5.火事で顔面、胸腹部、背部および両上肢にⅡ度の熱傷を負っている。

解答2/5

解説

 一般的に、大量の輸液が必要と考えられる救急患者は主に、循環血液量が減少した場合である。

 

1.× 前額部の切創で出血している場合は、大量輸液が必要となることはない。なぜなら、出血量は少量であると考えられる。
2.〇 正しい。オートバイ事故で両大腿が変形している場合、大量の輸液が必要と考えられる。なぜなら、両方の大腿骨(両大腿)の変形という状況から骨折が考えられ、大腿骨の骨折1本につき骨折部から推定出血量は500~1,000mLといわれているため。つまり、両大腿が骨折している場合には、約1,000~2,000mLの出血が起こっている可能性があり、大量輸液が必要となる。
3.× プールの飛び込み事故で四肢が動かない場合でも、大量輸液が必要となることはない。なぜなら、飛び込み事故で四肢が動かない状況は、頚髄損傷が考えられ、この病態は循環血液量には影響しないため。
4.× デスクワーク中に胸が苦しいと言って倒れている場合でも、大量輸液が必要となることはない。なぜなら、状況から心筋梗塞をはじめとした急性冠症候群など心原性の病態が最も考えられ、この病態は循環血液量には影響しないため。
5.〇 正しい。火事で顔面、胸腹部、背部および両上肢にⅡ度の熱傷を負っている場合、大量の輸液が必要と考えられる。なぜなら、熱傷創を含めた組織の血管透過性が亢進し、循環血液量が減少するため。

 

 

 

 

 

88 胃食道逆流症で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.青年期に多い。
2.高脂肪食の摂取を勧める。
3.食後は左側臥位で休息する。
4.下部食道括約筋の弛緩が関与する。
5.H2受容体拮抗薬によって自覚症状が緩和する。

解答4/5

解説

胃食道逆流症とは?

 胃食道逆流症は、主に胃の中の酸が食道へ逆流することにより、胸やけや呑酸などの不快な自覚症状を感じたり、食道の粘膜がただれたり(食道炎)する病気である。胸が詰まるような痛みを感じたり、のどの違和感や慢性的に咳が持続する。胃酸の逆流は食後2~3時間までに起こることが多いため、食後にこれらの症状を感じたときは胃酸の逆流が起きている可能性を考える。

 

 

1.× 青年期ではなく、高齢者に多い。
2.× 高脂肪食の摂取は、消化に悪いためむしろ悪化する。避けることが望ましい。
3.× 食後は、左側臥位ではなく、食後2時間程度は上半身をやや起き上がらせて寝る姿勢(頭側挙上)で休息する。なぜなら、逆流を防ぐため。
4.〇 正しい。下部食道括約筋の弛緩が関与する。下部食道括約筋が弛緩することで、胃液が食道内へ容易に逆流し、胃食道逆流症となる。
5.〇 正しい。H2受容体拮抗薬によって自覚症状が緩和する。治療は、H2受容体措抗薬またはプロトンポンプ阻害薬による胃酸分泌抑制である。

 

 

 

 

 

89 健やか親子21(第2次)の基盤課題Bのうち、学童期・思春期の課題の指標となっているのはどれか。2つ選べ。

1.十代の喫煙率
2.十代の自殺死亡率
3.十代の定期予防接種の接種率
4.児童・生徒における不登校の割合
5.児童・生徒におけるむし歯(う歯)の割合

解答1/2

解説

健やか親子21とは?

21世紀の母子保健の主要な取り組みを提示するビジョンである。基盤課題Aは主に切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策、基盤課題Bは学童期・思春期から成人期に向けた保健対策、基盤課題Cは子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくりが課題の指標となっている。

1.〇 正しい。十代の喫煙率や飲酒率低下を目標のひとつにしている。
2.〇 正しい。十代の自殺死亡率を目標のひとつにしている。
3.× 十代の定期予防接種の接種率は、基盤課題A(切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策)である。
4.× 児童・生徒における不登校の割合は、文部科学省の施策目標の一部に挙げられているが、健やか親子21には明記されていない。
5.× 児童・生徒におけるむし歯(う歯)の割合は、健康日本21の目標のひとつである。

 

※詳しく知りたい方はこちら↓
(厚生労働省HP様「健やか親子21ホームページ」)

 

 

 

 

 

90 1,500mLの輸液を朝時からその日の17時にかけて点滴静脈内注射で実施する。
 20滴で1mLの輸液セットを用いた場合の1分間の滴下数を求めよ。
 ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。

解答: ① ② 滴/分
選択肢①:0~9 ②:0~9

解答①6、②3

解説

①1,500mLの輸液を8時間:9時~17時(480分)かけて投与する。

②1,500mL÷ 480 = 3.125mL (1分間あたりの投与量)

③3.125mL × 20滴(/1mL)= 62.5(1分間あたりの滴下数)

④62.5の少数点以下第1位を四捨五入すると、63となる。

よって、①6、②3となる。

 

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