第109回(R2) 看護師国家試験 解説【午後91~95】

 

次の文を読み91〜93の問いに答えよ。
 Aさん(35歳、女性)は、昨年結婚し、夫(50歳)と2人暮らし。最近2か月5kgの体重減少、首の違和感と息苦しさ、心悸亢進、不眠のため内科を受診した。触診で甲状腺の腫脹、超音波検査で甲状腺内に数か所の石灰化が認められたため、甲状腺腫瘍の疑いで大学病院に紹介された。
 嗜好品:飲酒はビール700ml/日を週5日
 趣味:ジョギングとヨガ

91 Aさんの甲状腺腫瘍の確定診断に必要な検査はどれか。

1.血中サイログロブリン値検査
2.頸部エックス線撮影
3.穿刺吸引細胞診
4.頸部CT

解答3

解説

1.× 血中サイログロブリン値検査は、甲状腺癌の術後評価などにも使用されるが、腫瘍の確定診断には使用できない。サイログロブリンは、甲状腺内に存在するタンパクで、甲状腺濾胞細胞のみで産生される。臓器特異性が高く甲状腺腫大やバセドウ病の際に増加する。
2.× 頸部エックス線撮影は、腫瘍の石灰化の確認は可能であるが、腫瘍の確定診断はできない。
3.〇 正しい。穿刺吸引細胞診は、甲状腺腫瘍の確定診断に有用である。穿刺吸引細胞診とは、病気が疑われる臓器に皮膚表面から針を刺し、病変の細胞を吸引採取 し、顕微鏡で観察し、良性悪性の判定や病変の推定(腫瘍なのか炎症なのかなど)を行う検査である。
4.× 頸部CTでは、腫瘍と思われる物体の大きさや形などしか判断できない。つまり、それが腫瘍であるかは判断できない。また、甲状腺疾患の画像診断に関しては、超音波検査のほうが優れている。

 

 

 

 

 

次の文を読み91〜93の問いに答えよ。
 Aさん(35歳、女性)は、昨年結婚し、夫(50歳)と2人暮らし。最近2か月5kgの体重減少、首の違和感と息苦しさ、心悸亢進、不眠のため内科を受診した。触診で甲状腺の腫脹、超音波検査で甲状腺内に数か所の石灰化が認められたため、甲状腺腫瘍の疑いで大学病院に紹介された。
 嗜好品:飲酒はビール700ml/日を週5日
 趣味:ジョギングとヨガ

92 検査の結果、Aさんは甲状腺乳頭癌であり、甲状腺全摘出術を受けることになった。Aさんは、手術前オリエンテーションの際「手術後にどんな症状が起こりやすいのか教えてください」と話した。
 この時のAさんへの看護師の説明で適切なのはどれか。

1.「手がつる感じがあります」
2.「目が閉じにくくなります」
3.「声が出なくなります」
4.「唾液が多くなります」

解答1

解説

1.〇 正しい。手がつる感じがある。なぜなら、甲状腺の背側には副甲状腺が存在し、甲状腺全摘の際には副甲状腺も一緒に摘出される場合があるため。つまり、副甲状腺も摘出された場合は、副甲状腺機能低下症により低カルシウム血症をきたし、テタニーや四肢の痙攣の原因になる。
2.× 目が閉じにくくなる(兎眼)は、脳腫瘍や脳血管障害によるベル麻痺で起こる。
3.× 声が出なくなる(嗄声)は、0.5~3.5%程度の頻度であるため、起こりやすいとはいえない。甲状腺癌の場合、甲状腺全摘術によって反回神経麻痺が生じ、嗄声が生じる。
4.× 唾液が多くなるのは、副交感神経の亢進で起こる。

 

 

 

 

 

次の文を読み91〜93の問いに答えよ。
 Aさん(35歳、女性)は、昨年結婚し、夫(50歳)と2人暮らし。最近2か月5kgの体重減少、首の違和感と息苦しさ、心悸亢進、不眠のため内科を受診した。触診で甲状腺の腫脹、超音波検査で甲状腺内に数か所の石灰化が認められたため、甲状腺腫瘍の疑いで大学病院に紹介された。
 嗜好品:飲酒はビール700ml/日を週5日
 趣味:ジョギングとヨガ

93 Aさんは、手術後に甲状腺ホルモン製剤、カルシウム製剤、ビタミンD製剤の内服が開始され、手術後1週で退院することになった。Aさんは「退院後の生活で気を付けることを教えてください。私は35歳ですし、夫と年が離れているため、できるだけ早く子どもが欲しいと思っています」と話している。
 看護師が行うAさんへの1か月後の受診までの生活指導で適切なのはどれか。

1.「運動は控えましょう」
2.「1年間は妊娠を控えましょう」
3.「海藻類の摂取に制限はありません」
4.「飲酒量は入院前と同じでよいです」

解答3

解説

1.× 運動は控える必要はない。なぜなら、術後経過が順調であれば、甲状腺の術後の運動制限は特に必要ないため。
2.× 妊娠を控える必要はない。なぜなら、甲状腺機能に関する補充療法および血中カルシウム値のコントロールに問題がなければ、妊娠は可能であるため。
3.〇 正しい。海藻類の摂取に制限はない。なぜなら、本症例は甲状腺全摘後であるため。ちなみに、海藻類の摂取によるヨード摂取過剰は、慢性甲状腺炎の存在下で甲状腺機能低下症の原因になるなど、甲状腺機能に影響する可能性がある。
4.× 飲酒量は入院前と同じではなく、控える必要がある。なぜなら、本症例は入院前ビールを700ml/日(基準値:500ml/日)を週5日で飲んでるため。甲状腺機能に関する補充療法および血中カルシウム値のコントロールに問題がなければ、術後は術前と変わらない生活(適量のアルコール摂取も可能)でよい。

 

 

 

 

 

次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
 Aさん(56歳、女性、会社員)は、夕食の1時間後から腹痛・嘔吐が出現し救急外来を受診した。2か月前から自然に消失する右季肋部痛を繰り返していた。
 身体所見:身長155cm、体重82kg。体温38.2℃、呼吸数16/分、脈拍110/分、血圧126/70mmHg。眼球結膜に黄染あり。右季肋部に圧痛あり。意識清明。
 検査所見:白血球14,960/μL、Hb 12.8g/dL。総ビリルビン8.7mg/dL、直接ビリルビン7.2mg/dL、アミラーゼ121 IU/L、リパーゼ45 IU/L、尿素窒素18.9mg/dL、血清クレアチニン0.98mg/dL。CRP 9.2mg/dL。
 腹部超音波検査所見:胆囊壁の肥厚、胆囊の腫大、総胆管の拡張、総胆管結石を認めた。

94 Aさんの病態で正しいのはどれか。

1.急性胃炎
2.急性腎不全
3.閉塞性黄疸
4.溶血性貧血

解答3

解説

右季肋部圧痛(みぎきろくぶあっつう)は、おなかの右上の肋骨辺りに押されるような痛みがあること。

 

1.× 急性胃炎は、食事を誘因とする心窩部痛、季肋部痛がみられる。しかし、血清ビリルビン値の上昇を起こすことはない
2.× 急性腎不全と積極的にいえない。なぜなら、急性腎不全であれば、血清クレアチニン濃度の急激な上昇と、尿量の減少がみられるため。本症例の血清クレアチニン0.98mg/dL(女性の基準値:0.4~0.8mg/dL)であり、尿量が減少している記載もない。
3.〇 正しい。閉塞性黄疸である。本症例は、眼球結膜に黄染を認め、直接ビリルビン優位の血清ビリルビン値上昇がみられることから、黄疸と診断できる。また、超音波検査にて総胆管結石と総胆管拡張所見を認め、結石による総胆管の閉塞が起こっていると考えられることから、閉塞性黄疸の病態により、急性胆管炎を起こしているとみられる。
4.× 溶血性貧血による黄疸は、間接ビリルビン優位の血清ビリルビン値の上昇がみられるため不適切である。本症例では、直接ビリルビン優位の血清ビリルビン値上昇を起こしている。

黄疸とは?

黄疸とは、皮膚や粘膜が胆汁色素(ビリルビン)で黄色に染まることで、胆汁色素の血漿中濃度の上昇により生じる。原因としては、①溶血によるもの、②肝細胞の障害によるもの、③胆汁の流れの障害によるもの、④体質によるもの、などがある。胆汁は肝臓で作られ、胆管を通じて十二指腸に排出されるが、その流れが障害されたときに生じる黄疸のことを閉塞性黄疸と呼ぶ。多くは総胆管結石や腫瘍により、胆管が閉塞することが原因となる。

 

 

 

 

 

次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
 Aさん(56歳、女性、会社員)は、夕食の1時間後から腹痛・嘔吐が出現し救急外来を受診した。2か月前から自然に消失する右季肋部痛を繰り返していた。
 身体所見:身長155cm、体重82kg。体温38.2℃、呼吸数16/分、脈拍110/分、血圧126/70mmHg。眼球結膜に黄染あり。右季肋部に圧痛あり。意識清明。
 検査所見:白血球14,960/μL、Hb 12.8g/dL。総ビリルビン8.7mg/dL、直接ビリルビン7.2mg/dL、アミラーゼ121 IU/L、リパーゼ45 IU/L、尿素窒素18.9mg/dL、血清クレアチニン0.98mg/dL。CRP 9.2mg/dL。
 腹部超音波検査所見:胆囊壁の肥厚、胆囊の腫大、総胆管の拡張、総胆管結石を認めた。

95 Aさんは、緊急で内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)を受ける方針となった。
 検査前に看護師が行う説明で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.「のどに麻酔をします」
2.「磁力を使った検査です」
3.「造影剤を静脈から投与します」
4.「検査は仰向けで行います」
5.「検査後の合併症に膵炎があります」

解答1/5

解説

 内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)は、内視鏡を口から入れて食道・胃を通り、十二指腸まで進め、胆管や膵管に直接細いカテーテル(チューブ)を挿入し造影剤を注入してレントゲン写真を撮影することで、胆道及び膵管の異常を詳しく調べる検査である。

 

1.〇 正しい。検査の前処置としてのど(咽頭)に局所麻酔する。なぜなら、内視鏡の挿入に伴う咽頭反射を抑えるため。
2.× 磁力は使用しない。磁力を用いる検査は、MRIである。ちなみに、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)は、内視鏡検査とエックス線透視を併用した造影検査である。
3.× 造影剤を静脈ではなく、直接胆管や膵管から投与する。内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)は、カテーテルを十二指腸乳頭から胆管や膵管に挿入し、造影剤をに注入して、エックス線透視を行う。ちなみに、静脈から造影剤を投与し、排泄された胆道の造影を行うのは、CT胆道造影である。
4.× 検査は仰向けではなく、腹臥位(造影剤の注入や撮影)で行う。ちなみに、内視鏡の挿入は、通常の上部消化管内視鏡検査と同様に左側臥位にて行う。
5.〇 正しい。検査後の合併症に膵炎がある。他にも、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)合併症として、①急性膵炎、②胆管炎、③出血、④腸管穿孔がある。検査後は、膵炎合併を評価するため、腹痛や血清アミラーゼ値上昇の有無を経過観察する。

 

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