第110回(R3) 看護師国家試験 解説【午後111~115】

 

次の文を読み109~111の問いに答えよ。
 Aさん(32歳、男性)は、仕事上のストレスを抱えていた際に知人から誘われ、覚せい剤を常用するようになり逮捕された。保釈後、薬物依存症の治療を受けることができる精神科病院に入院し、治療プログラムに参加することになった。

111 入院後1か月、Aさんは「正直に言うと、今も覚せい剤を使いたいという気持ちがある。もし誘いがあったら、使いたい気持ちを抑えきれないだろう」と悩みを打ち明けた。
 Aさんの状態のアセスメントとして適切なのはどれか。

1.否認
2.共依存
3.身体依存
4.精神依存
5.離脱症状

解答4

解説

薬物依存症は、断薬をして長い年月が経っても、再発の危険性をもつ。外来カウンセリングや自助グループなどによる長期的な支援が必要である。

1.× 否認とは、自分が依存症であると認めないことであり、依存症の人は誰もが持っている心理である。
2.× 共依存とは、過剰に依存し合う人間関係のことであり、親子や友人、恋人などとの間にみられる。依存症者に必要とされることに存在価値を見い出し、ともに依存を維持している周囲の人問との関係性のことである。
3.× 身体依存とは、薬物の摂取をやめると、離脱症状と呼ばれる身体の症状が起こる状態のことである。薬物依存よりアルコール依存の身体依存のほうが強い。
4.〇 正しい。精神依存は、Aさんの状態のアセスメントとして適切である。精神依存とは、依存性薬物を連用することにより、薬物が欲しくなる状態のことである。快楽な感覚を忘れられないうえに、薬が切れることによる不安やイライラから解放されたいために使用をやめられなくなることである。薬物依存症は、精神依存が強く残るために再発に至りやすい。
5.× 離脱症状(禁断症状)とは、薬物およびアルコールなどの嗜好品を中止や減量した際に生じる様々な身体的・精神的症状のことである。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み112~114の問いに答えよ。
 Aさん(35歳、男性)は1人暮らし。両親は他県に住んでいる。30歳のときに双極性障害と診断され、これまでに4回の入退院を繰り返している。給料をインターネットゲームの利用料金で度々使い果たし、それが原因で両親と何度も口論になったことがある。仕事では同僚とトラブルを起こすたびに転職を繰り返しており、今回も同僚と口論になり自ら退職した。Aさんは「前の職場の同僚に嫌がらせをしてやる」と母親に電話をかけ、心配した両親が一緒に精神科病院を受診した。診察室では多弁で大きな声を出し、椅子を蹴るなどの行為がみられた。医師の診察の結果、入院して治療することになった。

112 入院時、AさんのBMIは29.5。この数日は食事をとっていなかった。入院後も興奮状態がおさまらず、壁に頭を打ちつけはじめたため、医師から抗精神病薬の点滴静脈内注射と身体的拘束の指示がでた。
 身体的拘束中のAさんの看護で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.水分摂取は最小限にする。
2.肺血栓塞栓症を予防する。
3.頻回に様子を見に来ることを伝える。
4.身体的拘束の原因となった行為を一緒に振り返る。
5.興奮状態が落ち着いたら看護師の判断で身体的拘束を解除する。

解答2/3

解説

1.× 水分摂取は最小限にする必要はない。なぜなら、身体的拘束中によく起こる深部静脈血栓症の予防のため。たとえ拘束中とはいえ自由かつ十分な水分摂取は保障されなければならない。また、身体拘束中も日常生活リズムを維持できるよう食事・水分摂取・排泄・清潔保持・洗面・環境整備などを援助する。
2.〇 正しい。肺血栓塞栓症を予防することは、身体的拘束中のAさんの看護で正しい。なぜなら、身体拘束中は血栓ができやすいため。具体的には、下肢の観察や拘束を一部解除する時間を作り、肺血栓塞栓症の予防に努める。関連性を理解し十分な観察を継続することが大切である。
3.〇 正しい。頻回に様子を見に来ることを伝えることは、身体的拘束中のAさんの看護で正しい。なぜなら、身体拘束中は1時間に4回以上の観察を行わなければならないため。身体面、安全面の観察を頻回に実施するのはもちろんのこと、Aさんにとっては理不尽な環境におかれているという状況からくる心理面に配慮しかかわりをもつこと、孤独にしないことが信頼関係の構築につながる。
4.× 身体的拘束の原因となった行為を一緒に振り返る必要はない。なぜなら、身体的拘束の原因となった行為を一緒に振り返るといった責任追求は、さらに興奮状態を悪化させ治療や拘束の解除の遅れにつながるため。本症例は、いまだ興奮状態にあること、十分な休息が必要な時期であることなどから、内省をする(行為を振り返る)には不適切なタイミングである。しかし、本人が納得できるように、どうして拘束が必要となったのかについての説明は必要である。
5.× 興奮状態が落ち着いたら看護師の判断で身体的拘束を解除する必要はない。なぜなら、拘束は医師からの指示であるため。身体的拘束の解除の判断は必ず医師が行う。興奮状態が落ち着いたとしても看護師1人での判断で身体的拘束を解除の判断はできない。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み112~114の問いに答えよ。
 Aさん(35歳、男性)は1人暮らし。両親は他県に住んでいる。30歳のときに双極性障害と診断され、これまでに4回の入退院を繰り返している。給料をインターネットゲームの利用料金で度々使い果たし、それが原因で両親と何度も口論になったことがある。仕事では同僚とトラブルを起こすたびに転職を繰り返しており、今回も同僚と口論になり自ら退職した。Aさんは「前の職場の同僚に嫌がらせをしてやる」と母親に電話をかけ、心配した両親が一緒に精神科病院を受診した。診察室では多弁で大きな声を出し、椅子を蹴るなどの行為がみられた。医師の診察の結果、入院して治療することになった。

113 入院後1週、身体的拘束は解除された。Aさんは常に動き回り、他の患者への過干渉が続いている。食事中に立ち上がりホールから出ていこうとするため、看護師が止めると強い口調で言い返してくる。Aさんは「ゲーム関連の仕事を探したい。早く退院させろ」と1日に何度も看護師に訴えるが、主治医は退院を許可していない。
 Aさんへの対応で適切なのはどれか。

1.休息できる場所へ誘導する。
2.過干渉となる理由を確認する。
3.退院後は家族と暮らすように提案する。
4.仕事に必要なスキルについて話し合う。

解答1

解説

1.〇 正しい。休息できる場所へ誘導することは、Aさんへの対応で適切である。なぜなら、本症例は、時期の激しさは減じたもののいまだ繰状態の症状が活発であり、刺激を避け十分な休息ができるように支援していくことが必要になるため。休息できていないことが考えられるため休息できる場所へ誘導する。
2.× 過干渉となる理由を確認する必要はない。なぜなら、躁状態(多動や強い口調など)がさらに悪化する可能性があるため。症状として過干渉になっているのである。理由に触れることはAさんにとって責められているような気分にもなり興奮・攻撃を引き起こしかねない。
3.× 退院後は家族と暮らすように提案する必要はない。なぜなら、まだ退院許可が出ておらず、症状により現実検討能力が不十分であるため。本症例は、①早く退院したいと思っていること、②症状により現実検討能力が不十分なこと、③1人暮らしに至った経緯などから、「退院」「家族」というワードは刺激になる。
4.× 仕事に必要なスキルについて話し合う必要はない。なぜなら、まだ退院許可が出ておらず、仕事に必要なスキルについて話し合う段階ではないため。症状により現実や自身の資質について適切に吟味できる状態ではない。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み112~114の問いに答えよ。
 Aさん(35歳、男性)は1人暮らし。両親は他県に住んでいる。30歳のときに双極性障害と診断され、これまでに4回の入退院を繰り返している。給料をインターネットゲームの利用料金で度々使い果たし、それが原因で両親と何度も口論になったことがある。仕事では同僚とトラブルを起こすたびに転職を繰り返しており、今回も同僚と口論になり自ら退職した。Aさんは「前の職場の同僚に嫌がらせをしてやる」と母親に電話をかけ、心配した両親が一緒に精神科病院を受診した。診察室では多弁で大きな声を出し、椅子を蹴るなどの行為がみられた。医師の診察の結果、入院して治療することになった。

114 入院後2か月、Aさんの状態は落ち着き、退院に向けての準備が進められている。Aさんは、「会社で同僚と言い合いになってこれまでも仕事を変わってきた。そのたびに調子が悪くなって、何度も入院した。家族と言い合いをしたぐらいで近所から苦情があって、嫌になって引っ越した」と看護師に訴えた。
 Aさんの退院に向けて連携をとる機関はどれか。(不適切問題:解2つ)

1.警察
2.保健所
3.保護観察所
4.地域活動支援センター

解答2/4(複数の選択肢を正解として採点する)
理由:複数の正解があるため。

解説

1.× 警察との連携は、主に薬物依存による再犯などの可能性が高い場合(犯罪に関与する場合)には必要となる。家族に「暴力をふるわれた場合は警察に連絡してよい」と伝えるが、警察との連携までではない。
2.〇 正しい。保健所は、Aさんの退院に向けて連携をとる機関である。保健所とは、精神保健福祉・健康・生活衛生など地域保健法に定められた14の事業を中心に行ってる。保健所では保健師や精神保健福祉士、医師などが生活面社会復帰について相談にのってくれる。あらかじめAさんと一緒に担当保健師に会うなどの連携をとっておけば退院後の相談もしやすい。
3.× 保護観察所とは、犯罪をした人または非行のある少年が、社会の中で更生するように保護観察官及び保護司による指導と支援を行う場所である。
4.× 地域活動支援センターは、Aさんの退院に向けて連携をとる機関である。地域活動支援センターとは、地域で生活している身体障害者、精神障害者、知的障害者などが利用できる通所施設である。社会適応訓練も行っている。その日の状態や人とのかかわりについてスタッフからフィードバックを受けることで、症状モニタリング対人関係能力が向上できるためAさんに適切である。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み115~117の問いに答えよ。
 Aさん(37歳、男性)は妻(40歳、会社員)と2人暮らし。筋強直性ジストロフィーで週5回の訪問介護を利用していた。1か月前に傾眠傾向が著明となり入院して精査した結果、睡眠時無呼吸に対して夜間のみフェイスマスクを用いた非侵襲的陽圧換気療法が導入された。Aさんは四肢遠位筋に筋萎縮と筋力低下があるが、室内の移動は電動車椅子を操作して自力で行え、食事も準備すれば妻と同じものを摂取できる。
 退院後、週1回午後に訪問看護が導入されることになった。

115 訪問看護と訪問介護の担当者、Aさんと妻を含めた退院前カンファレンスが開催された。妻から「夜間に停電になったらどうすればよいですか」と発言があった。
 このときの妻への訪問看護師の対応で適切なのはどれか。

1.電動式でない車椅子を購入するよう勧める。
2.訪問看護事業所が発電機を貸し出すと伝える。
3.バッグバルブマスクでの用手換気の指導を行う。
4.停電時にハザードマップを確認するよう提案する。

解答3

解説

妻の主訴:「夜間に停電になったらどうすればよいですか」という発言に対しての解答で正しいのを選らぶ。

1.× 電動式でない車椅子を購入するよう勧める必要はない。なぜなら、停電時に優先すべきは非侵襲的陽圧換気療法の代わりであるため。ちなみに、電動式の車椅子には充電式バッテリーもついており、夜問に停電があっても使用することは可能である。
2.× 訪問看護事業所が発電機を貸し出すと伝える必要はない。なぜなら、訪問看護事業所は、他の利用者がいる中で全ての利用者に発電機を貸し出すことは困難であるため。非常用電源の確保については、訪問看護事業所ではなく、電力会社や医療機器供給会社のほか、市町村や都道府県の障害サービス関係担当者と相談し、災害時個別支援計画などを作成する必要がある。
3.〇 正しい。バッグバルブマスクでの用手換気の指導を行うことは、妻への訪問看護師の対応で適切である。なぜなら、災害時の停電などの非常事態で人工呼吸器が使えない場合は、バックバルブマスク(アンビューバッグ)を利用して用手的に換気補助を実施するため。
4.× 停電時にハザードマップを確認するよう提案する必要はない。なぜなら、ハザードマップなどは、災害が起きてからではなく平常時から確認し、停電が起こり得る災害時や非常時の対応について事前に検討しておく必要があるため。ハザードマップとは、自然災害による被害を予測したものである。

 

2 COMMENTS

真菰

コメントありがとうございます。
文章が途中でした。
修正いたしましたのでご確認お願い致します。

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