第110回(R3) 看護師国家試験 解説【午後116~120】

 

次の文を読み115~117の問いに答えよ。
 Aさん(37歳、男性)は妻(40歳、会社員)と2人暮らし。筋強直性ジストロフィーで週5回の訪問介護を利用していた。1か月前に傾眠傾向が著明となり入院して精査した結果、睡眠時無呼吸に対して夜間のみフェイスマスクを用いた非侵襲的陽圧換気療法が導入された。Aさんは四肢遠位筋に筋萎縮と筋力低下があるが、室内の移動は電動車椅子を操作して自力で行え、食事も準備すれば妻と同じものを摂取できる。
 退院後、週1回午後に訪問看護が導入されることになった。

116 退院前カンファレンスで、訪問介護の担当者から、これまでと同様に退院後も昼食の準備と後始末、口腔ケア、入浴介助を行う予定と発言があった。訪問看護師は訪問介護の担当者に、Aさんの状態の変化に気付いたら連絡がほしいと協力を求めた。
 訪問介護の担当者に説明するAさんの状態の変化で、特に注意が必要なのはどれか。

1.傾眠傾向
2.眼の充血
3.口腔内の乾燥
4.食事摂取量の低下

解答1

解説

筋強直性ジストロフィーとは?

筋強直性ジストロフィーは、進行性の神経難病である。骨格筋障害に伴う運動機能障害を主症状とするが、そのほか心筋障害、中枢神経障害、眼症状、内分泌・代謝異常などを合併することも多い。そのため、本症例の場合、週1回の訪間看護だけではなく、週5回の日常生活の支援を行う訪問介護においても、状態の変化について情報を共有し連携する必要がある。

1.〇 正しい。傾眠傾向は、特に注意が必要である。なぜなら、本症例は、Aさんは傾眠傾向が強くなって入院した経緯があるため。中枢神経症状のひとつに傾眠がある。治療効果や症状の悪化の確認のため特に注意する必要がある。
2.× 眼の充血より優先度が高いものが他の選択肢の中にある。なぜなら、眼の充血による入院時のきっかけではないため。また、眼症状としては白内障網膜変性症があるが、充血については特に注意が必要な状態ではない。
3.× 口腔内の乾燥より優先度が高いものが他の選択肢の中にある。なぜなら、入院前と同様に食事はできているため。ただし、口腔内の乾燥は、マスクの装着によって見られるかもしれないため観察しておく。
4.× 食事摂取量の低下より優先度が高いものが他の選択肢の中にある。なぜなら、準備すれば妻と同様のものが食べられているため。食事は入院前から問題なく今回の入院時のきっかけはない。ただし、日々の食事摂取量についての確認は必要である

 

 

 

 

 

 

次の文を読み115~117の問いに答えよ。
 Aさん(37歳、男性)は妻(40歳、会社員)と2人暮らし。筋強直性ジストロフィーで週5回の訪問介護を利用していた。1か月前に傾眠傾向が著明となり入院して精査した結果、睡眠時無呼吸に対して夜間のみフェイスマスクを用いた非侵襲的陽圧換気療法が導入された。Aさんは四肢遠位筋に筋萎縮と筋力低下があるが、室内の移動は電動車椅子を操作して自力で行え、食事も準備すれば妻と同じものを摂取できる。
 退院後、週1回午後に訪問看護が導入されることになった。

117 退院後1週、訪問看護師はAさんの鼻根部の皮膚に発赤があることに気付いた。
 訪問看護師の妻への対応で適切なのはどれか。

1.「鼻マスクに変更しましょう」
2.「発赤部位は洗わないようにしましょう」
3.「人工呼吸器の装着時間は短くしましょう」
4.「フェイスマスクのベルトは指が2本入る程度に固定しましょう」

解答4

解説

1.× 鼻マスクに変更する必要はない。なぜなら、鼻マスクであっても、適切に使用しないと同様に皮膚の発赤などがみられることもあるため。また、フェイスマスクから鼻マスクへの変更となると換気量に違いもある。その他の特徴としても鼻マスクは、フェイスマスクよりも口呼吸をしている場合や、睡眠中は空気の漏れが多くなる。
2.× 発赤部位は洗わないようにする必要はない。むしろ、発赤ができた部位も清潔を保つために洗う。状況によっては洗浄や消毒をすることも必要である。
3.× 人工呼吸器の装着時間は短くする必要はない。なぜなら、人工呼吸器の装着時間は、訪問看護師ではなく医師の指示に基づいて実施されているため。
4.〇 正しい。「フェイスマスクのベルトは指が2本入る程度に固定しましょう」と伝えることは、訪問看護師の妻への対応で適切である。フェイスマスクのベルトは指が2本入る程度に固定して医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)を予防する。非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)における、フェイスマスクの装着方法について再度確認し、発赤や潰蕩が発生しないよう皮膚を圧迫しないで装着できるように指導することが適切である。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み118~120の問いに答えよ。
 Aさん(88歳、男性)は、10年前に脳梗塞を発症し左半身麻痺の後遺症がある。杖歩行はでき、要介護2で介護保険サービスを利用中である。Aさんが最近食欲がなく、水分もあまり摂らず、いつもと様子が違うことを心配した妻がAさんに付き添って受診した。
 身体所見:呼びかけに対して返答はあるが反応はやや遅い。麻痺の症状に変化はない。
バイタルサインは、体温37.5℃、呼吸数20/分、脈拍100/分、血圧140/60mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(room air)。
 検査所見:赤血球410万/μL、白血球6.800/μL、Ht50%、総蛋白6.5g/dL、尿素窒素25mg/dL、Na150mEq/L、K3.8mEq/L、血糖値110mg/dL、CRP0.01mg/dL。胸部エックス線写真に異常なし。

118 Aさんの状態をアセスメントするために、外来看護師が収集すべき情報で優先度が高いのはどれか。

1.口渇感
2.呼吸音
3.尿比重
4.腹部膨満感

解答3

解説

本症例は、脱水を起こしていると考えられる。

1.× 口渇感より優先度が高いものが他の選択肢の中にある。なぜなら、高齢者は、加齢とともに口渇感を感じにくくなるため。Aさんが口渇感はないと答えたとしても、脱水を否定できない。
2.× 呼吸音より優先度が高いものが他の選択肢の中にある。なぜなら、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉は98%(room air)であるため。また、白血球やCRPの上昇はなく、胸部エックス線写真にも異常はないことから、肺炎を起こしている可能性は低い。
3.〇 正しい。尿比重は、外来看護師が収集すべき情報で優先度が高い。なぜなら、脱水状態では尿は濃縮され高張尿となり尿比重が高くなるため。尿比重は水分摂取や食事制限、運動負荷、発汗、など多くの因子の影響を受けて変化し、腎不全や糖尿病の判断に使われる。客観的な情報として有用である。
4.× 腹部膨満感より優先度が高いものが他の選択肢の中にある。腹部膨満感は、腹水貯留腸閉塞尿閉などで生じる。胸部エックス線写真に異常は見られず、腹部膨満感の聴取は優先度が低い。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み118~120の問いに答えよ。
 Aさん(88歳、男性)は、10年前に脳梗塞を発症し左半身麻痺の後遺症がある。杖歩行はでき、要介護2で介護保険サービスを利用中である。Aさんが最近食欲がなく、水分もあまり摂らず、いつもと様子が違うことを心配した妻がAさんに付き添って受診した。
 身体所見:呼びかけに対して返答はあるが反応はやや遅い。麻痺の症状に変化はない。
バイタルサインは、体温37.5℃、呼吸数20/分、脈拍100/分、血圧140/60mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(room air)。
 検査所見:赤血球410万/μL、白血球6.800/μL、Ht50%、総蛋白6.5g/dL、尿素窒素25mg/dL、Na150mEq/L、K3.8mEq/L、血糖値110mg/dL、CRP0.01mg/dL。胸部エックス線写真に異常なし。

119 Aさんは入院となり、点滴静脈内注射が開始された。入院当日の夜間、Aさんは「ここはどこか、家に帰る」などと言い、点滴ラインを触ったり杖を使わずにトイレに1人で行こうとしたりして落ち着かず、ほとんど眠っていなかったと夜勤の看護師から日勤の看護師に申し送りがあった。
 日勤でAさんを受け持つ看護師の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。

1.時計をAさんから見える場所に置く。
2.主治医にAさんの退院について相談する。
3.日中はAさんにスタッフステーションで過ごしてもらう。
4.点滴ラインがAさんの視界に入らないようにする。
5.日中はAさんの病室の窓のカーテンを閉めておく。

解答1/4

解説

Aさんにみられているのは、環境変化を契機としたせん妄である。せん妄とは、身体疾患や薬の影響で、一時的に意識障害や認知機能の低下が起こることを指す。 周囲の状況がわからなくなる、幻覚、妄想などの症状をきたす。

1.〇 正しい。時計をAさんから見える場所に置くことは、日勤でAさんを受け持つ看護師の対応として適切である。時計をAさんから見える場所に置くことで、昼夜がわかるようになるため。カレンダーや時計を目のつきやすいところに置くと日付や時間を把握しやすく、見当識が保たれせん妄予防となる。
2.× 主治医にAさんの退院について相談する必要はない。なぜなら、本症例は、入院翌日であり、病状を考慮するとすぐの退院は現実的ではないため。また、本症例は高齢であり、入院当日に起きた夜間せん妄と考えられ、治療効果が十分でない翌日に退院について相談するのは適さない。
3.× 日中はAさんにスタッフステーションで過ごしてもらう必要はない。なぜなら、昨夜ほとんど寝ておらず、少し休む時間も必要なため。また、Aさんに日中スタッフステーションで過ごしてもらうことは、スタッフの目が届き安全は確保されるかもしれないが、Aさんが過ごしたい場所意思が反映されていないため推奨されない。
4.〇 正しい。点滴ラインがAさんの視界に入らないようにすることは、日勤でAさんを受け持つ看護師の対応として適切である。なぜなら、点滴ラインがAさんの視界に入らないようにすることで自己抜去予防につながるため。点滴ラインを病衣の袖の中を通して首元から出し視界に入らないようにすると、気にならず落ち着くことが期待できる。Aさんの場合は脱水の治療としてまだ点滴が必要と考えられるが、夜間せん妄の予防として、点滴を中止できる場合は中止が望ましい。
5.× 日中はAさんの病室の窓のカーテンを閉めておく必要はない。むしろ、日中は昼夜のリズムをつけるために、Aさんの病室の窓のカーテンを開ける。せん妄の患者のケアのひとつに、昼夜の区別をつけ、生活リズムを整えることが挙げられる。光刺激は覚醒を促すため、日中はカーテンを開けておく。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み118~120の問いに答えよ。
 Aさん(88歳、男性)は、10年前に脳梗塞を発症し左半身麻痺の後遺症がある。杖歩行はでき、要介護2で介護保険サービスを利用中である。Aさんが最近食欲がなく、水分もあまり摂らず、いつもと様子が違うことを心配した妻がAさんに付き添って受診した。
 身体所見:呼びかけに対して返答はあるが反応はやや遅い。麻痺の症状に変化はない。
バイタルサインは、体温37.5℃、呼吸数20/分、脈拍100/分、血圧140/60mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(room air)。
 検査所見:赤血球410万/μL、白血球6.800/μL、Ht50%、総蛋白6.5g/dL、尿素窒素25mg/dL、Na150mEq/L、K3.8mEq/L、血糖値110mg/dL、CRP0.01mg/dL。胸部エックス線写真に異常なし。

120 入院から1週が経過し、Aさんのバイタルサインなどは正常となり、食事も摂取できるようになった。Aさんの妻は「先生からそろそろ退院できるといわれましたが、夫はほとんどベッド上で過ごしており、トイレまで歩けそうにありません。これで退院できるか不安です」と看護師に話した。現在のAさんの日常生活動作〈ADL〉は、起立時にふらつきがみられ、歩行は不安定である。ポータブルトイレを使用して排泄している。
 現在のAさんの状況から、退院に向けて看護師が連携する者で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.薬剤師
2.民生委員
3.管理栄養士
4.理学療法士
5.介護支援専門員

解答4/5

解説

1.× 薬剤師との連携は、退院にあたって薬の調整などは問題となっていないため適さない。薬剤師は、厚生労働大臣の免許を受けた国家資格で、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどる職種である。
2.× 民生委員とは、地域住民の立場から生活や福祉全般に関する相談・援助活動を行っている。民生委員は、都道府県知事の推薦により厚生労働大臣から委嘱され、社会福祉の増進のため相談・援助活動を行う。本症例の課題は、歩行が不安定であることやADL低下である。
3.× 管理栄養士との連携は、退院にあたって栄養面などは問題となっていないため適さない。管理栄養士は、栄養指導や給食管理、栄養管理を行う。食事摂取もできるようになっており適さない。管理栄養士は、厚生労働大臣の免許を受けた国家資格で、病気を患っている人から健康な人まで一人ひとりに合わせて専門的な知識と技術をもって栄養指導や栄養管理を行う職種である。
4.〇 正しい。理学療法士は、退院に向けて看護師が連携する者で適切である。なぜなら、本症例の課題は、歩行が不安定であることやADL低下であるため。理学療法士は、自立した日常生活が送れるようADLの回復や維持、障害の悪化の予防を目的に運動療法などを行う。厚生労働大臣の免許を受けた国家資格で、リハビリテーションを行う職種である。
5.〇 正しい。介護支援専門員(ケアマネージャー)は、退院に向けて看護師が連携する者で適切である。介護支援専門員(ケアマネージャー)は要支援・要介護者からの相談に応じ、状況等に応じ各種サービス事業を行う。都道府県が認定する公的資格で、要介護者または要支援者からの相談に応じ、各種サービス事業を行う者などとの連携・調整を行う職種である。自宅退院に不安が残るAさんについての相談先として適切である。

 

 

 

問題の引用:第107回保健師国家試験、第104回助産師国家試験及び第110回看護師国家試験の合格発表

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。コメント欄にて誤字・脱字等、ご指摘お待ちしています。よろしくお願いいたします。

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