第110回(R3) 看護師国家試験 解説【午後41~45】

 

41 心原性ショックで現れる症状・徴候はどれか。

1.顔面の紅潮
2.胸部不快感
3.血圧の上昇
4.尿量の増加

解答2

解説

心原性ショックとは?

心原性ショックとは、全身の臓器に血液を送る心臓に何らかの異常が生じることによって血液を十分に送ることができなくなる状態である。心原性ショックの原因として最も多いのは急性心筋梗塞である。 心ポンプ機能の低下により灌流圧が低下し低酸素血症になると、全身および心筋組織の循環不全、低酸素化が生じ、アシドーシス、フリーラジカルの発生、サイトカインの増加、白血球凝集、血管内皮障害、微小循環障害などが生じる。

1.× 顔面の紅潮は認められない。むしろ反対に顔面蒼白になる。ちなみに、顔面の紅潮は、アレルギー反応(Ⅰ型アレルギー)など炎症・血管透過性が亢進するアナフィラキシーショックで起こる。
2.〇 正しい。胸部不快感は、心原性ショック(急性冠症候群の症状のひとつ)で現れる。急性冠症候群(不安定狭心症や急性心筋梗塞など)が起こると心臓の動きが悪くなり心原性ショックが起こる。
3.× 血圧の上昇は認められない。むしろショック状態では血圧は低下する。
4.× 尿量の増加は認められない。むしろショック状態では尿量は減少する。なぜなら、腎臓に十分な血液が流れないため。

 

 

 

 

 

 

42 脳梗塞による右片麻痺がある成人患者に用いる日常生活動作〈ADL〉の評価として適切なのはどれか。

1.NYHA分類
2.Borg〈ボルグ〉スケール
3.Barthel〈バーセル〉インデックス
4.主観的包括的アセスメント〈subjective global assessment〉

解答3

解説
1.× NYHA分類(New York Heart Association functional classification)は、心不全の重症度分類である。労作時の自覚症状に基づき、Ⅰ度からⅣ度の4段階で判定する。
2.× Borg〈ボルグ〉スケールは、主観的運動強度のスケールである。運動を行う本人がどの程度「つらさ」を感じているかを数値化して測定する指標である。
3.〇 正しい。Barthel〈バーセル〉インデックスは、日常生活活動(ADL)を評価する指標である。食事、移動、整容などの10項目で構成され、自立度に従って合計100点満点で評価する。
4.× 主観的包括的アセスメント〈subjective global assessment〉は、栄養状態を評価する指標である。特別な器具などを使用せず、病歴、身体に関する情報から広く浅くスクリーニングできる。

 

 

 

 

 

 

43 現在の日本の終末期医療において、患者の将来の自己決定能力の低下に備えて、患者・家族と医療者が今後の治療・療養についての気がかりや価値観を定期的に話し合って共有し、患者の意向に沿った医療を提供することが望ましいとされている。
 この内容を示すのはどれか。

1.グリーフケア
2.代理意思決定の支援
3.アドバンス・ケア・プランニング
4.アドバンスディレクティブ〈事前指示〉の支援

解答3

解説
1.× グリーフケア(悲嘆の援助)とは、残された家族が十分に嘆き悲しむことができるよう、悲哀の作業(グリーフワーク)を支援することである。
2.× 代理意思決定の支援とは、患者が自身の判断能力を失ったときに備え、代理意思決定者を選定しておくことである。
3.〇 正しい。アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とは、患者の希望する今後の治療やケア内容を患者・家族・医療者で話し合い、検討する包括したプロセスのことである。
4.× アドバンスディレクティブ〈事前指示〉の支援とは、患者が判断能力を失ったときに備え、希望する延命治療やケア内容など自分の意向を、患者自身があらかじめ書面や口頭で示す行為のことである。

 

 

 

 

 

 

44 Aさん(34歳、女性)は、気管支喘息で定期的に通院をしている。朝から喘息発作があり呼吸困難が生じたため、救急外来を受診した。
 経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%、動脈血液ガス分析(room air)で動脈血酸素分圧〈PaO2〉90Torr、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉55Torr、pH7.30、HCO3-、25mEq/Lであった。
 Aさんの状態で考えられるのはどれか。

1.呼吸性アシドーシス
2.呼吸性アルカローシス
3.代謝性アシドーシス
4.代謝性アルカローシス

解答1

解説

酸塩基平衡

血液(体液)のpH:7.40 ± 0.05
アシドーシス(酸性):pHが低下している状態。
アルカローシス(アルカリ性):pHが上昇している状態。

1.〇 正しい。呼吸性アシドーシスはAさんの状態で考えられる。本症例は、喘息による呼吸困難のため二酸化炭素(CO2)の排出が低下して、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2、基準値40mmHg = Torr)が上昇した結果、pH7.30と体液はアシドーシス(酸性)に傾いている。HCO3-(基準値24mEq/L)は25mEq/Lとそれほど変化しておらず、PaCO2の急激な上昇に対して腎臓による代謝性の代償が十分に働いていない病態である。したがって、喘息発作による呼吸性アシドーシスの状態である。ちなみに、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、呼吸筋麻痺などでも起こる。
2.× 呼吸性アルカローシスは、過換気症候群などの呼吸数の増加で起こる。
3.× 代謝性アシドーシスは、腎機能低下や下痢、糖尿病、飢餓などによる脂質分解の亢進で起こる。
4.× 代謝性アルカローシスは、嘔吐などで起こる。

 

 

 

 

 

 

45 脂質異常症の成人患者に対する食事指導の内容で正しいのはどれか。

1.不飽和脂肪酸の摂りすぎに注意する。
2.コレステロール摂取量は1日600mg未満とする。
3.高トリグリセリド血症では、アルコールを制限する。
4.高LDLコレステロール血症では、トランス脂肪酸の摂取を促す。

解答3

解説

脂質異常症とは、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、高トリグリセリド(TG)血症を指し、動脈硬化の原因となる。その治療で重要なのは、薬物療法のほか、食事指導による適正体重の維持や内臓脂肪の減量である。まず食事指導の基本は、総摂取エネルギーと栄養素配分を適正化することである。

1.× 摂りすぎに注意するのは、不飽和脂肪酸ではなく飽和脂肪酸である。なぜなら、不飽和脂肪酸は植物や魚の脂に多く含まれ、血中のLDLコレステロールを下げるなどの効果があるため。
2.× コレステロール摂取量は、1日600mg未満ではなく、1日200mg以下が望ましい。脂肪の摂取はエネルギー全体の20~25%としている。
3.〇 正しい。高トリグリセリド血症では、アルコールを制限する。なぜなら、大量のアルコール摂取は肝臓での中性脂肪の合成を促進し、高トリグリセリド血症を増悪させるため。またアルコール摂取に伴う飲食は、カロリーの過剰摂取につながる場合が多い。
4.× そもそもトランス脂肪酸は食品から摂取する必要はないと考えられており、過剰摂取は動脈硬化のリスクとされている。したがって、高LDLコレステロール血症でもトランス脂肪酸の摂取を促す必要はない。ちなみに、トランス脂肪酸の説明をすると、不飽和脂肪酸は炭素間の二重結合の違いにより、①シス型と②トランス型に分けられる。天然型の不飽和脂肪酸のほとんどはシス型であるが、マーガリン、ショートニングなどにはトランス脂肪酸が含まれる。

脂肪酸とは?

脂肪酸とは、脂肪を構成している要素である。分子の構造的な違いから①飽和脂肪酸と②不飽和脂肪酸に分類される。

  • 不飽和脂肪酸は、植物や魚の脂に多く含まれる。不飽和脂肪酸はさらに、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられる。一価不飽和脂肪酸でよく知られているオレイン酸はオリーブ油に多く含まれ、血液中のLDLコレステロールを下げる効果がある。
  • 飽和脂肪酸は主に動物性の脂肪に含まれる。

 

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