第110回(R3) 看護師国家試験 解説【午前61~65】

 

61 Aさん(57歳、女性)は1人暮らし。統合失調症で精神科病院への入退院を繰り返しており、今回は入院してから1年が経過している。日常生活動作〈ADL〉はほぼ自立し、服薬の自己管理ができるようになってきた。
 Aさんが退院に向けて利用するサービスとして適切なのはどれか。

1.療養介護
2.施設入所支援
3.地域移行支援
4.自立訓練としての機能訓練

解答3

解説
1.× 療養介護は、病院などに入院している障害者に対して、機能訓練や療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護や日常生活上の世話を行う。AさんのADLは自立しているため退院に向けてのサービスとして適さない。療養介護の対象者は、入院中であり長期の医療的ケアに加え常時の介護を必要とする障害者(主に筋萎縮性側索硬化症筋ジストロフィー患者)である。
2.× 施設入所支援は、施設に入所した障害者に対し主に夜間や休日、日常生活上の相談・助言・支援を行うサービスである。他にも、施設に入所した障害者に対して、主に夜間の入浴、排泄、食事の介護や日常生活上の支援を行う。AさんのADLは自立しているため退院に向けてのサービスとして適さない。
3.〇 正しい。地域移行支援は、Aさんが退院に向けて利用するサービスとして適切である。地域移行支援とは、障害者支援施設や精神科病院にいる障害者に対して、住居の確保や障害福祉サービスを実際に体験ができるサポートなど地域生活へ移行するための支援である。具体的には、①住居の確保や②障害福祉サービスの体験利用・体験宿泊の支援などを行う。
4.× 自立訓練としての機能訓練は、AさんのADLは自立しているため、退院に向けて利用するサービスとして適さない。自立訓練としての機能訓練とは、施設・事業所・居宅においてリハビリテーション・相談・助言などの支援を行うものである。

 

 

 

 

 

 

62 選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉で正しいのはどれか。

1.パニック障害に対して有効である。
2.抗コリン作用は三環系抗うつ薬よりも強い。
3.うつ症状が改善したら使用はすぐに中止する。
4.抗うつ効果の評価は使用開始後3日以内に行う。

解答1

解説

1.〇 正しい。パニック障害に対して有効である。選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉は、抗うつ薬であるが不安や強迫にも効果があり、日本においてはうつ病・うつ状態以外にもパニック障害、社交不安障害、PTSD、強迫性障害にも有効とされている。脳内でセロトニンの再取り込みを阻害しセロトニンの働きを増強することで抗うつ作用などをあらわす。セロトニンの働きが深く関わるとされるパニック障害強迫性障害に対して有効である。
2.× 抗コリン作用は、三環系抗うつ薬よりも強いのではなく弱い。選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉には、三環系抗うつ薬の副作用である抗コリン作用や抗ヒスタミン作用、抗アドレナリンα1作用が少ない。
3.× うつ症状が改善したら使用はすぐに中止する必要はない。なぜなら、症状が改善しても持続療法を続けることで再燃・再発を防ぐことができるため。選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉うつ症状が改善したら使用はすぐに中止するのではなく、徐々に量を減らして離脱反応を起こさないようにする。離脱反応はイライラなどの精神症状や頭痛や消化器症状などの身体的症状など内服時にはみられなかった症状が現れる。
4.× 抗うつ効果の評価は、使用開始後3日以内に行う必要はない。なぜなら、抗うつ薬は使用開始後2~4週間経たないと効果は現れないため。※文献によって、効果発現開始まで1〜2週間(十分な効果発現まで約4〜6週間)と様々であるが時間がかかる。したがって、抗うつ効果の評価を使用開始後3日以内にしてしまうと十分な効果が出ずにタイミングが早すぎてしまう。

 

 

 

 

 

 

63 精神保健指定医について正しいのはどれか。

1.医療法で規定されている。
2.都道府県知事が指定する。
3.障害年金の支給判定を行う。
4.精神科病院入院患者の行動制限にかかわる医学的判定を行う。

解答4

解説

1.× 医療法ではなく、昭和62年の精神衛生法改正(精神保健法の成立)により創設された。同法は、精神障害者の福祉の増進および国民の精神保健の向上を図ることを目的とし、精神保健指定医のほか、精神科患者の入院形態や精神障害者保健福祉手帳についても規定している。
2.× 都道府県知事ではなく、厚生労働大臣が指定する。
3.× 障害年金の支給判定は、日本年金機構が行う。障害年金は、疾病やけがによって日常生活が制限され、障害等級1~3級までの認定を受けた場合に申請によって受給可能な年金である。厚生労働省により定められており、障害年金の受給には医師の診断書等が必要となる。なお、精神障害の等級判定は、主治医の診断書に基づき、精神保健福祉センターが行う。
4.〇 正しい。精神科病院入院患者の行動制限にかかわる医学的判定を行う。精神科病院の入院患者は、本人の意思によらない入院や一定の行動制限を行うことがあるため、精神保健指定医は入院中の行動制限にかかわる医学的判定を行う。12時間以上の患者の隔離、身体拘束には精神保健指定医の判断が必要となる。

 

 

 

 

 

 

64 筋力低下のある在宅療養者の家屋環境において転倒するリスクが最も高いのはどれか。

1.深い浴槽
2.段差がない床
3.整理整頓された部屋
4.足元灯を設置した廊下

解答1

解説
1.〇 正しい。深い浴槽の出入りの際に、片足になる時間ができるため転倒リスクがある。また、浴槽に入る際にバランスを崩すなど、転倒するリスクが高いと考えられる。
2.× 段差がない床はつまずきにくいため転倒リスクは少ない。
3.× 整理整頓された部屋は、散々とした部屋に比べて転倒リスクは少ない。なぜなら、つまづくものがないため。
4.× 足元灯を設置した廊下は、夜間の視界がよくなるため転倒リスクを少ない。

 

 

 

 

 

 

65 Aさん(75歳、男性)は妻(66歳)と2人暮らし。3か月前に認知症の診断を受けた。妻から訪問看護師に「夫は通所介護のときは穏やかに過ごしていると聞いているが、家では興奮することが多く、どう対応すればよいかわからない」と相談があった。
 このときの妻に対する訪問看護師の最初の対応で適切なのはどれか。

1.主治医に相談するよう勧める。
2.Aさんと散歩に出かけることを勧める。
3.通所介護の頻度を増やすことを提案する。
4.Aさんが興奮する状況を妻と一緒に振り返る。

解答4

解説

1.× 主治医に相談するよう勧める優先度は低い。なぜなら、Aさんの興奮の原因が現時点では不明なため。Aさんの家での過ごし方や興奮する状況などについて話を聞いて興奮の原因を探す。ちなみに、主治医に相談する場面として、症状の悪化や薬剤調整などの場面が多い。
2~3.× Aさんと散歩に出かけることを勧める/通所介護の頻度を増やすことを提案する優先度は低い。なぜなら、妻はAさんが家で興奮することに困っているおり、根本的な解決にならないため。Aさんと散歩に出かけることは気分転換にはなるが、同じ状況になった際に家での興奮がなくなるわけではない。通所介護の頻度を増やすことは金銭面や導入できるサービスの回数など難しいこともあり、また根本的な解決にはならない。
4.〇 正しい。Aさんが興奮する状況を妻と一緒に振り返ることが最も適切である。Aさんが興奮する状況を妻と一緒に振り返ることで原因を探し、同じような状況を作らないようにする。認知症により現状を正しく理解できないことで興奮や不安を生じることがあるため、Aさんが興奮する状況を妻と振り返りその理由を探ることで、対応策を考えることができる。

 

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