第110回(R3) 看護師国家試験 解説【午後61~65】

 

61 妊婦健康診査を受診する時間を確保するために妊婦が事業主に請求できることを規定している法律はどれか。

1.母子保健法
2.労働基準法
3.育児介護休業法
4.雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律〈男女雇用機会均等法〉

解答4

解説
1.× 母子保健法は、母性・乳幼児の健康の保持・増進を目的とし、①乳幼児健康診査、②養育医療、③子育て世代包括支援センターなどが規定されている。
2.× 労働基準法とは、労働者の生存権の保障を目的として、①労働契約や賃金、②労働時間、③休日および年次有給休暇、④災害補償、⑤就業規則といった労働者の労働条件についての最低基準を定めた法律である。
3.× 育児介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)は、育児・介護に携わる労働者について定めた日本の法律である。①労働者の育児休業、②介護休業、③子の看護休暇、④介護休暇などが規定されている。
4.〇 正しい。雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律〈男女雇用機会均等法〉は、妊婦健康診査を受診する時間を確保するために妊婦が事業主に請求できることを規定している法律である。また、雇用の分野における性別による差別の禁止が規定されている。妊婦健康診査や妊娠中・出産後の保健指導を受けるための時間の確保のほか、時差出勤などの措置や、女性労働者の婚姻、妊娠、出産を理由とした解雇の禁止を定めている。

 

 

 

 

 

 

62 アルコールを多飲する人によくみられ、意識障害、眼球運動障害および歩行障害を特徴とするのはどれか。

1.肝性脳症
2.ペラグラ
3.Wernicke〈ウェルニッケ〉脳症
4.Creutzfeldt-Jakob〈クロイツフェルト・ヤコブ〉病

解答3

解説
1.× 肝性脳症は、肝機能障害で生じる高アンモニア血症などによって意識障害を呈する疾患である。アルコール大量摂取は原因となるが、眼球運動障害や歩行障害は起こさない。
2.× ペラグラは、ナイアシン不足による皮膚炎を主とする疾患である。アルコール依存の患者に多くみられる。進行すると脳障害(意識障害など)が起こるが、眼球運動障害および歩行障害は起こさない。
3.〇 正しい。Wernicke〈ウェルニッケ〉脳症は、アルコールを多飲する人によくみられ、意識障害、眼球運動障害および歩行障害を特徴とする。ビタミンB1欠乏によって生ずる意識障害、眼球運動障害、運動失調を呈する疾患であり、アルコール大量摂取が原因となることが多い。
4.× Creutzfeldt-Jakob〈クロイツフェルト・ヤコブ〉病は、プリオン病の一種で脳神経が侵され無動性無言状態となり、多くの場合、診断後1~2年で死亡する疾患である。

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63 精神障害者保健福祉手帳で正しいのはどれか。

1.知的障害も交付対象である。
2.取得すると住民税の控除対象となる。
3.交付によって生活保護費の支給が開始される。
4.疾病によって障害が永続する人が対象である。

解答2

解説

精神障害者保健福祉手帳とは、精神障害者の自立と社会参加の促進を図ることを目的としてつくられたものである。障害者手帳は、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種の手帳を総称した一般的な呼称であり、 制度の根拠となる法律等はそれぞれ異なる。

1.× 知的障害は交付対象でない。知的障害の場合は、療育手帳の対象となる。ちなみに、知的障害と精神疾患を両方有する場合は、療養手帳と精神障害者保健福祉手帳の両方の交付を受けられる。
2.〇 正しい。取得すると住民税の控除対象となる。精神障害者保健福祉手帳をもつことで、①所得税・住民税控除など各種税制の優遇措置、②居住地や事業者によっては公共交通機関運賃、③各種施設の利用料割引などを受けることができる。
3.× 精神障害者保健福祉手帳の交付によって、生活保護費の受給が開始されるということはない。生活保護を受給している場合には、障害者加算が行われることがある。また、精神障害者保健福祉手帳に伴うサービスに、生活福祉資金の貸し付けが含まれている。
4.× 障害の永続は条件ではない。統合失調症、うつ病、てんかん、高次脳機能障害、発達障害などの疾患により、長期にわたり日常生活または社会生活への制約がある者が対象である。手帳の有効期限は交付日から2年であり、2年ごとに都道府県知事の認定を受けなければならない。

 

 

 

 

 

 

64 攻撃性の高まった成人患者への対応で正しいのはどれか。

1.患者の正面に立つ。
2.アイコンタクトは避ける。
3.身振り手振りは少なくする。
4.ボディタッチを積極的に用いる。

解答3

解説
1.× 患者の正面ではなく、斜めに立つ。なぜなら、正面に立って対応すると患者に緊張感を強め、ますます興奮させてしまうおそれがあるため。
2.× アイコンタクトは避ける必要はない。なぜなら、会話中に患者と適切にアイコンタクトをとることによって、患者を理解しようとする看護者側の姿勢を示すことができるため。
3.〇 正しい。身振り手振りは少なくする。なぜなら、看護師の急な動作や大きな身ぶり手ぶりは、患者を驚かせたり、挑発することにつながるため。
4.× ボディタッチを積極的に用いる必要ない。なぜなら、患者のパーソナルスペースを尊重し、看護者の安全を保つため。

 

 

 

 

 

 

65 Aさん(79歳、男性)は、1人暮らし。要介護2の認定を受け、訪問看護を利用することになった。初回の訪問時、Aさんは敷いたままの布団の上に座っており「便利だから生活に必要なものを手の届くところに置いているんだよ」と話した。
 Aさんの生活様式を尊重した訪問看護師のこのときの声かけで適切なのはどれか。

1.「外に出て気分転換しませんか」
2.「昼間は布団をたたみましょう」
3.「介護保険でベッドの貸与を受けましょう」
4.「必要なものを身近に置いているのですね」

解答4

解説

在宅看議の目的

在宅看議の目的は、患者が住み慣れた地域で自分らしく安心して生活を送れるように、生活の質(QOL)向上を目指した看護を提供することである。療養者とその家族の価値観や生活歴を重視し、その人らしさやQOLを考える。

1.× 本症例は、特に外出についての希望も聞かれていない。初回訪問であることから、情報収集し、アセスメントしたうえで、支援する。療養者の気持ちや希望を確認しないままに外出の促しの優先度は低い。
2.× 昼間に布団をたたむよう促す優先度は低い。なぜなら、本症例の生活様式を尊重する必要があるため。療養者のもつ価値観や生活歴を重視することでもある。なぜそのような生活様式なのかを理解しないままの声かけは、看護師の価値観の押し付けになる、
3.× 介護保険でベッドの貸与を受る優先度は低い。なぜなら、本症例は、今の生活様式に不便を感じていない状況で、ベッドの必要性の検討や本人の意思確認がないため。ちなみに、要介護2以上であれぱ、特殊寝台(ベッド)のレンタルは可能である。
4.〇 正しい。「必要なものを身近に置いているのですね」と声掛けするのが正しい。初回訪問では、情報を収集するための声かけが重要である。コミュニケーションの基本は傾聴であり、その方法のひとつが「繰り返し」である。相手の話をーつひとつ繰り返して確認することによって、次の話を促す効果がある。

 

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