第110回(R3) 看護師国家試験 解説【午前66~70】

 

66 Aさん(83歳、女性)は、1人暮らし。誤嚥性肺炎で入退院を繰り返していた。今回の退院後に、訪問看護が導入されることになり、退院前カンファレンスが行われた。
 誤嚥性肺炎の再発を予防するために病棟看護師が訪問看護師に情報提供する内容で優先されるのはどれか。

1.嚥下機能検査の判定結果
2.栄養状態を示す検査データ
3.入院中の日常生活動作〈ADL〉
4.誤嚥性肺炎の治療に用いられた薬剤

解答1

解説

誤嚥とは?

誤嚥とは、食物や唾液などが声門を越えて気道に侵入することをいう。食事を口に運び、飲み込むー連の運動のどこかの段階が障害されることを嚥下障害といい、誤嚥の要因となる。

1.〇 正しい。嚥下機能検査の判定結果は、誤嚥性肺炎の再発を予防するために病棟看護師が訪問看護師に情報提供する内容で優先される。嚥下機能は、問診、反復唾液嚥下テスト、改訂水飲みテスト、嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査などの結果によって総合的に評価される。訪問看護においても、機能障害の状態を正しく評価し、適切に支援を行うことが重要であり、優先して情報提供される内容である。今のAさんの嚥下状態を把握してどのくらい再発のリスクがあるか理解してもらうため、嚥下機能検査の判定結果が優先される。
2.× 栄養状態を示す検査データの優先度は低い。栄養状態を示す検査データは食事状況と関連はするが、誤嚥性肺炎の再発予防とは関連が少ないため。摂食嚥下障害によって低栄養となるリスクは高いが、誤嚥性肺炎の再発を予防するためとして、栄養状態を示す情報提供は優先されない。
3.× 入院中の日常生活動作〈ADL〉の優先度は低い。なぜなら、入院中の日常生活動作〈ADL〉は退院に向けて情報共有として必要な項目であるが誤嚥性肺炎の再発予防との関連は少ないため。独居高齢者の退院支援の際には、ADLは非常に重要な情報である。日常生活を送るために必要な基本的な動作を評価するものであり、食事も含まれるが、動作の自立度評価が目的であり、誤嚥性肺炎の再発予防のために優先して提供される情報ではない。
4.× 誤嚥性肺炎の治療に用いられた薬剤の優先度は低い。なぜなら、誤嚥性肺炎の治療には、主に抗菌薬が使用される。入院中に使用していた抗菌薬などの薬剤が誤嚥性肺炎再発に影響する可能性はほとんどないため。誤嚥性肺炎の治療に用いられた薬剤は、退院後の誤嚥性肺炎の再発予防に優先される項目ではない。

 

 

 

 

 

 

67 介護保険制度におけるケアマネジメントで適切なのはどれか。

1.家族の介護能力はアセスメントに含めない。
2.介護支援専門員が要介護状態区分を判定する。
3.利用者が介護サービス計画を作成することはできない。
4.モニタリングの結果に基づき介護サービス計画の修正を行う。

解答4

解説

ケアマネジメントとは?

ケアマネジメントとは、支援を必要な人やそのニーズと、それを満たすことができる社会資源とを結び付ける支援方法をいう。介護保険は、利用者の意思・希望を尊重することが必要である。

1.× 家族の介護能力は、アセスメントに含める。ケアマネジメントとは利用者に適切な社会資源と結びつける手続きの総体である。利用者に適切な社会資源と結びつけるにあたって家族の介護能力はアセスメントに含める。家族の介護能力は重要な社会資源であり、アセスメントに含めるべき事項である。
2.× 要介護状態区分を判定するのは、介護支援専門員ではなく、コンピュータによる一次判定の後、介護認定審査会による二次判定により決まる。介護支援専門員は介護サービスの給付計画を作成や介護サービス事業者などとの連絡調整を行う。つまり、要介護状態区分を審査・判定するのは、介護認定審査会である。この結果に基づき、市町村が要介護認定を行う。
3.× 利用者でも介護サービス計画を作成することはできる。介護サービス計画は介護支援専門員が作成することが多いが、利用者やその家族が作成することもできる。介護サービス計画(ケアプラン)は、利用者自ら作成することができる。実際にはケアプランの作成を、介護支援専門員(ケアマネジャー)に依頼することが多く、この場合は介護保険の居宅介護支援として作成費用の全額が保険給付される。
4.〇 正しい。モニタリングの結果に基づき介護サービス計画の修正を行う。介護支援専門員はサービス提供が開始されたら、少なくとも月に1度は利用者の自宅を訪れモニタリングを行い、モニタリングの結果に基づき介護サービス計画の修正を行う。ケアプランと利用者のニーズとの問にミスマッチがある場合をモニタリングで発見し、利用者の状況に応じた修正をする必要がある。

 

 

 

 

 

 

68 夜勤帯に、A看護師がスタッフステーションで抗菌薬の点滴静脈内注射を準備しているときに、発汗した患者から寝衣交換の依頼があり、別の患者から口渇で飲水したいという希望があった。直後に患者に装着されている人工呼吸器のアラームが鳴った。他の看護師は別の病室で重症者のケアをしている。
 A看護師が最も優先すべきなのはどれか。

1.点滴静脈内注射の準備
2.発汗した患者の寝衣交換
3.飲水を希望する患者への対応
4.人工呼吸器を装着している患者の観察

解答4

解説

1.× 点滴静脈内注射の準備の優先度は低い。なぜなら、緊急やその時間で使用する点滴静脈内注射の準備でない限りは患者対応を優先するため。しかし、業務を中断する場合、再開時にエラーが起こりやすいことに留意する必要がある。
2.× 発汗した患者の寝衣交換の優先度は低い。なぜなら、人工呼吸器はに関わることで優先度が高いため。発汗した患者の寝衣交換の前に人工呼吸器のアラームが何で鳴ったかを確認しに行く。
3.× 飲水を希望する患者への対応の優先度は低い。なぜなら、人工呼吸器はに関わることで優先度が高いため。飲水を希望する患者の対応前に人工呼吸器のアラームが何で鳴ったかを確認しに行く。
4.〇 正しい。人工呼吸器を装着している患者の観察は、A看護師が最も優先すべきである。なぜなら、人工呼吸器のアラームは、生命の危機に直結し、早急に呼吸管理を要するため。人工呼吸器は命に関わることであり、アラームが鳴ったら一度訪室し患者の状態を観察してから他の患者の対応にあたる。その患者の観察を最優先する。

 

 

 

 

 

 

69 病院における医療安全文化の醸成につながる行動はどれか。

1.食事介助は30分以内で行うルールを決める。
2.他の病棟で起こったインシデントについて学ぶ。
3.薬剤を間違えても影響がない場合は患者に説明しない。
4.水薬の内服時にこぼれた量が少ない場合はそのままとする。

解答2

解説

1.× 食事介助は、30分以内で行うルールを決める必要はない。なぜなら、食事介助は時間を決めてしまうと患者のペースに合わず誤嚥など起こす可能性もあるため。患者のペースで行う。患者によって食事のペースや嚥下状態は異なり、一律に時問を設定すると、安全な食事摂取を妨げるリスクが生じる。
2.〇 正しい。他の病棟で起こったインシデントについて学ぶことは、病院における医療安全文化の醸成につながる行動である。インシデントは当事者だけでなく皆でなぜ起こったのかなどを共有し話し合うことで、同じインシデントの防止のための対策を立てることが大切である。インシデントを組織全体で共有・分析し、問題拍出して、事故防止策を検討することで再発を防止できる。
3.× 薬剤を間違えても影響がない場合は患者に説明しないと決める必要はない。患者への影響がみられなくても、速やかに事実を説明する必要がある。インシデントは、情報を共有することが大切であり、隠蔽があってはならない。影響がない薬剤でも患者への説明は事実をしっかり伝えるようにする。
4.× 水薬の内服時にこぼれた量が少ない場合はそのままとすると決める必要はない。なぜなら、なぜなら、必要な薬剤が内服できていない状態からのため。そのままとせず正しい量となるように調整する。安全な与薬の原則である6Rのひとつに「正しい量」がある。正しい量が与薬できなかった場合は、そのままにしない。

与薬原則6つのRとは?

正しい患者 〔 Right patient 〕 同姓同名、似たような名前の患者さんと間違えないように確認します。
正しい薬物 〔 Right drug 〕 似たような名称、似たような剤形に注意します。同じ名称でも濃度のちがう薬物があります。
正しい目的 〔 Right purpose 〕 何を目的にして、薬の指示が出されているかを理解しましょう。
正しい用量 〔 Right dose 〕 指示された薬物の単位を確認しましょう(g、mg、μg、mL、mEq、U、IUなど)。同じ薬剤でも1錠、1アンプル、1バイアル当たりの薬物量が違うものもあります。
正しい方法 〔 Right route 〕 与薬方法により薬効が異なります。
正しい時間 〔 Right time 〕 指示どおりの日時・曜日かどうかを確認します。

 

 

 

 

 

 

 

70 プリセプターシップの説明で正しいのはどれか。

1.仕事と生活の調和を図ること
2.主体的に自らのキャリアを計画し組み立てること、
3.チームリーダーのもとに看護ケアを提供すること
4.経験のある看護師が新人看護師を1対1で指導・助言すること

解答4

解説
1.× 仕事と生活の調和を図ることは、ワークライフバランスである。
2.× 主体的に自らのキャリアを計画し組み立てることは、キャリアデザインである。キャリアアップは、特定の分野について今よりもさらに専門的な知識を身に付け、能力を向上させて経歴を高めることである。
3.× チームリーダーのもとに看護ケアを提供する看護方式はチームナーシングである。一方、一人の患者さんに一人の看護師が担当し入院から退院までを受け持つ看護方式をプライマリーナーシングという。
4.〇 正しい。プリセプターシップとは、一人の新人看護師(プリセプティ)に一人の先輩看護師(プリセプター)がついて指導・助言することを1年間通じて行う教育指導である。

 

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