第110回(R3) 看護師国家試験 解説【午後66~70】

 

66 Aさん(69歳、女性)は、主治医、訪問看護師とともに、母(91歳)を自宅で看取った。死亡確認の直後、Aさんは涙ぐみながら「母のためにもっとできることがあったのではないかと申し訳なく思います」と話した。
 このときに訪問看護師が行うAさんへの対応で最も適切なのはどれか。

1.遺族の会を紹介する。
2.母への思いを傾聴する。
3.遺品を整理することを勧める。
4.新たなことに取りかかるよう促す。

解答2

解説

グリーフケアとは?

グリーフケアとは、スピリチュアルの領域において、さまざまな「喪失」を体験し、グリーフを抱えた方々に、心を寄せて、寄り添い、ありのままに受け入れて、その方々が立ち直り、自立し、成長し、そして希望を持つことができるように支援することである。在宅で療養する終末期患者を看取る家族に対し、患者の療養中から死亡した後まで、経過に合わせた援助(グリーフケア)が重要である。

1.× 遺族の会を紹介する優先度は低い。なぜなら、Aさんは喪失体験直後であり、まだ母の死を十分に受け止められていないため。
2.〇 正しい。母への思いを傾聴することはAさんへの対応で最も適切である。十分に嘆き悲しむことができるように感情の表出を促し思いを傾聴することで、死を受け入れ、立ち直ることができるよう援助する。
3.× 遺品を整理することを勧める優先度は低い。なぜなら、Aさんは喪失体験直後であり、まだ母の死を十分に受け止められていないため。四十九日を過ぎた後など遺族の状況に合わせて勧めるのが望ましい。
4.× 新たなことに取りかかるよう促す優先度は低い。なぜなら、新たなことに取りかかれるようになるのは、悲嘆を受容した後であり、受容には死後数か月から数年かかるとされるため。

 

 

 

 

 

 

67 Aさん(82歳、女性)は、脳梗塞の既往があり、要介護2で、夫(85歳)と2人暮らし。訪問看護師の訪問時、Aさんは体温37.0℃、脈拍62/分、血圧100/50mmHg、少し汗をかいており、唇の乾燥がみられた。訪問看護師は、翌日予定されている訪問介護の担当者とAさんの援助の方向性について共有することにした。
 共有する内容で適切なのはどれか。

1.ポータブルトイレでの排泄に変更する。
2.水分を多めに摂取するよう促す。
3.頻繁に寝衣を交換する。
4.入浴介助を中止する。

解答2

解説

1.× ポータブルトイレでの排泄に変更する優先度は低い。なぜなら、設問から本症例の排泄状況の記載はないため。また、ポータブルトイレに安易に変更することは、Aさんの歩行の機会を奪い下肢筋力の低下や自尊心を傷つけることにもつながる。
2.〇 正しい。水分を多めに摂取するよう促す。なぜなら、本症例は発汗と唇の乾燥がみられるため。脱水を起こしていると推測される。また、脳梗塞の既往があることから、嚥下機能の低下や援助を受けなければ自由に飲水できない可能性がありよく観察する必要がある。
3.× 頻繁に寝衣を交換する優先度は低い。なぜなら、発汗の直接的な解決になっていないため。発汗の原因が居室の温度による場合もあるため、冷暖房の状況に合わせて寝衣を調整する必要がある。
4.× 入浴介助を中止する優先度は低い。なぜなら、発汗による不快感、皮膚の汚染があり、皮膚の清潔への援助を要する状態であるため。

 

 

 

 

 

 

68 介護保険制度における地域密着型サービスはどれか。

1.重度訪問介護
2.地域活動支援事業
3.小規模多機能型居宅介護
4.特定施設入居者生活介護

解答3

解説
1.× 重度訪問介護

は、『障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律』の障害福祉サービスである。重度の肢体不自由者で常時介護を必要とする人を対象とした居宅介護である。
2.× 地域活動支援事業は、地域支援事業の介護予防日常生活支援総合事業のなかの一般介護予防事業のひとつである。地域の住民主体の介護予防活動を育成、支援するものである。
3.〇 正しい。小規模多機能型居宅介護は、介護保険制度における地域密着型サービスである。小規模多機能型居宅介護とは、居宅・通所・短期入所を状況に応じて組み合わせて行うものである。地域密着型サービスとは、地域でその特性に応じた柔軟かつ多様なサービスを提供するものである。
4.× 特定施設入居者生活介護は、居宅サービスである。有料老人ホームなどの特定施設に入居している要介護者等に対し、入浴・排泄・食事等日常生活上の世話などを行うものである。

 

 

 

 

 

 

69 成年後見制度で正しいのはどれか。

1.任意後見人は裁判所が決定する。
2.認知症の診断と同時に成年後見制度が適用される。
3.日常生活自立支援事業の一部として位置付けられる。
4.成年後見人は財産管理などの手続きを本人の代理で行う。

解答4

解説

成年後見制度とは?

成年後見制度とは、判断能力がないまたは不十分な者に対して、保護者を付すことにより契約などの法律行為を補助するものである。①法定後見制度と②任意後見制度とがある。

①法定後見制度:認知症・知的障害・精神障害などによって判断能力が不十分な方に対して、本人の権利を法律的に支援、保護するための制度である。本人の判断能力の程度に応じて、後見・保佐・補助の3類型がある。

②任意後見制度:まだしっかりと自分で判断ができるうちに、自分の判断能力が衰えてきた時に備えて、あらかじめ支援者(任意後見人)を誰にするか、将来の財産管理や身の回りのことについてその人に何を支援してもらうか、自分で決めておくことができる仕組みである。

1.× 任意後見人は、裁判所ではなく、利用者自らが決定する。ちなみに、任意後見人とは、利用者との契約により後見を受任した者をいう。
2.× 成年後見制度が適用されるのは、認知症の診断と同時ではない。成年後見制度は、法定後見では一定の要件を満たし家庭裁判所の後見開始の審判で始まる。
3.× 成年後見制度は、日常生活自立支援事業の一部ではなく、別の制度(民法)として位置付けられる。日常生活自立支援事業は、『社会福祉法』の福祉サービス利用援助事業の一環として都道府県社会福祉協議会などが行うものである。
4.〇 正しい。成年後見人は、財産管理などの手続きを本人の代理で行う。後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人(本人のこと)となり成年後見人(保護者)が付される。成年後見人は、成年被後見人の財産管理などの手続きや契約などの法律行為を代理する。

 

 

 

 

 

 

70 仙骨部に皮下組織に達する褥瘡がある患者が入院となった。患者は車椅子の利用を主治医に許可されている。
 この患者に対する多職種で行う褥瘡ケアにおいて、受け持ち看護師が担う役割で適切なのはどれか。

1.薬剤師に外用薬の処方を依頼する。
2.事務職員に汚染ガーゼの廃棄を依頼する。
3.介護職員にドレッシング材の選択を依頼する。
4.理学療法士と車椅子乗車時の除圧方法を検討する。

解答4

解説

1.× 薬剤師に外用薬の処方を依頼するのは、受け持ち看護師が担う役割ではなく医師の役割である。医師が患者の響善の状態を診断したうえで、状態に合った薬剤を選択し処方する。
2.× 事務職員に汚染ガーゼの廃棄を依頼する必要はない。そもそも感染性廃棄物の分類に従って行う必要があるため、処置にかかわった医療従事者が行うのが望ましい。
3.× 介護職員にドレッシング材(創傷被覆材)の選択を依頼するのは、受け持ち看護師が担う役割ではなく医師の役割である。医師が診断したうえで、創に適応したドレッシング材を選択する必要がある。
4.〇 正しい。理学療法士と車椅子乗車時の除圧方法を検討するのは、受け持ち看護師が担う役割である。理学療法士は基本動作の回復や維持、障害の悪化予防などの専門家であるため、座位姿勢の除圧方法を検討するにあたって助言を求めることは適切である。チームアプローチの目的である多職種間の協働を図ることにもつながる。

 

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