第110回(R3) 看護師国家試験 解説【午後76~80】

 

76 閉塞性動脈硬化症〈ASO〉について正しいのはどれか。

1.橈骨動脈に好発する。
2.粥状硬化が原因である。
3.末梢血流量が増加する。
4.歩行によって痛みが改善する。
5.中小動脈の非化膿性炎症で生じる。

解答2

解説

閉塞性動脈硬化症(ASO)とは?

閉塞性動脈硬化症(ASO)は、その名のとおり動脈硬化によって動脈が慢性的に閉塞する疾患である。50歳以上の男性や透析患者に多くみられる。

1.× 橈骨動脈ではなく、下肢の静脈に好発する。
2.〇 正しい。粥状硬化が原因である。粥状硬化とは、血管内皮細胞障害に伴い、動脈内壁に脂肪やコレステロールなどが沈着する状態である。
3.× 末梢血流量は、増加するのではなく低下する。なぜなら、末梢動脈は動脈硬化によって狭小化および閉塞が生じるため。
4.× 歩行によって痛みが、改善するのではなく増悪する。歩行を続けると虚血のため下肢の痛みが強くなり足をひきずるようになるが、安静にすると痛みが改善し再び歩けるようになる。この現象を間欠性跛行といい典型的な症状である。
5.× 中小動脈の非化膿性炎症で生じるのは、閉塞性動脈硬化症〈ASO〉ではなく、閉塞性血栓血管炎(バージャー病)である。①化膿性炎症とは、溶出物に多量の好中球を含む炎症を指す。②非化膿性炎症は、このような所見を示さない炎症である。

 

 

 

 

 

 

77 関節リウマチで起こる主な炎症はどれか。

1.滑膜炎
2.血管炎
3.骨髄炎
4.骨軟骨炎
5.関節周囲炎

解答1

解説

関節リウマチとは?

関節リウマチとは、慢性の多関節炎を主症状とする自己免疫疾患であり、進行すると関節が破壊され変形に至る

1.〇 正しい。滑膜炎は、関節リウマチで起こる主な炎症である。滑膜炎の結果、関節が破壊される。ちなみに、滑膜とは、関節包を覆っている薄い膜状の組織のことである。滑膜は滑液を作り出すが、作り出された滑液は関節包の中で潤滑油の役目を果たし、さらに軟骨の栄養にもなる。
2.× 血管炎を生じる疾患は、高安動脈炎ANCA関連血管炎などである。
3.× 骨髄炎を生じる疾患は、慢性再発性多発性骨髄炎がある。
4.× 骨軟骨炎も関節リウマチで生じるが主体ではない。なぜなら、骨炎・軟骨炎は、滑膜の炎症が軟骨、骨に波及した結果生じるためである。
5.× 関節周囲炎は、いわゆる五十肩(肩関節周囲炎)などで起こる。関節周囲炎とは、関節の外、すなわち健、関節周囲の袋(滑液包)などの炎症である。関節リウマチの炎症の主体となる滑膜は関節内に存在する。

 

 

 

 

 

 

78 母子保健法に基づく届出はどれか。

1.婚姻届
2.死産届
3.死亡届
4.出生届
5.妊娠届

解答5

解説

『母子保健法』とは?

『母子保健法』とは、母性、乳幼児の健康の保持および増進を目的とした法律である。各種届出は市町村長または特別区、指定都市の区長に届け出る。

1.× 婚姻届は、『戸籍法』に規定されている。夫婦の氏や法令で定められている事柄を記載し、その旨を届け出なければならない。
2.× 死産届は、『死産の届出に関する規程』に規定されている。医師または助産師の死産証書または死胎検案書を添えて死産後7日以内に届け出なければならない。
3.× 死亡届は、『戸籍法』に規定されている。死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡があったときはその事実を知った日から3か月以内)に届け出なければならない。
4.× 出生届は、『戸籍法』に規定されている。出生後14日以内(国外で出生があったときは3か月以内)に届け出なければならない。
5.〇 正しい。妊娠届は、『母子保健法』に規定されている。妊娠したものは速やかに届け出なければならない。

 

 

 

 

 

 

79 Aさん(44歳、男性、会社員)は、20年以上の喫煙歴があり、BMI26である。会社の健康診断で脂質異常症と高血圧症を指摘された。
 Aさんが発症する危険性が高い疾患はどれか。

1.1型糖尿病
2.潰瘍性大腸炎
3.肺血栓塞栓症
4.労作性狭心症
5.閉塞性血栓血管炎〈TAO〉

解答4

解説

1.× 1型糖尿病は、小児~思春期の発症が多い。膵臓のβ細胞障害による高度のインスリン分泌障害が原因となり発症する。
2.× 潰瘍性大腸炎は、原因不明であるが、遺伝的因子と環境因子が複雑に絡み合って発症に関与していると考えられている。潰瘍性大腸炎は、クローン病と合わせ炎症性腸疾患と呼ばれる、主に大腸粘膜を侵し、びらんや潰痛を形成する。
3.× 肺血栓塞栓症の原因として、①長期臥床、②長時間フライト、③悪性腫瘍、④肥満、⑤経口避妊薬内服などが誘因となる。肺血栓塞栓症は、深部静脈血栓症によってできた血栓が血流に乗って肺動脈に詰まる疾患である。
4.〇 正しい。労作性狭心症は、Aさんが発症する危険性が高い疾患である。労作性狭心症は、虚血性心疾患の1つである。労作性狭心症とは動脈硬化によって心臓に栄養を送る血管である冠動脈の一部に錆のようなものが溜まり、血流の流れが悪くなってしまう状態である。その4大危険因子は、「①喫煙、②脂質異常症、③糖尿病、④高血圧」である。そのほかにも、加齢・肥満・家族歴・メタボリックシンドロームなどがある。
5.× 閉塞性血栓血管炎(バージャー病)は、喫煙は病変の増悪因子であるが、原因不明である。閉塞性血栓血管炎(バージャー病)は、末梢動脈に閉塞性の内膜炎を起こし皮膚に潰瘍や壊疽を引き起こす疾患である。

 

 

 

 

 

 

 

80 Aさん(48歳、男性、会社員)は、大量の飲酒の後、急激な上腹部痛と背部痛を訴え、救急外来を受診し、急性膵炎と診断された。
 Aさんの救急外来受診時の血液検査結果で予測されるのはどれか。

1.血小板数の増加
2.血清LDH値の低下
3.血清γ-GTP値の低下
4.血清アミラーゼ値の上昇
5.血清カルシウム値の上昇

解答4

解説

急性膵炎とは?

病態:膵酵素が活性化され、膵組織を自己消化する。男性では50歳代に多く、女性では70歳代に多い。
症状:飲酒・過食後に左上腹部痛・心窩部痛で発症。悪心・嘔吐、悪寒、発熱、背部への放散痛。腹痛はアルコールや脂質の摂取で増悪。
検査:膵臓の炎症・壊死により膵臓由来の消化酵素が上昇。
【治療】
軽症例:保存療法(禁食、呼吸・循環管理、除痛 等)
重症例:集中治療[臓器不全対策、輸液管理、栄養管理(早期経腸栄養)、感染予防、腹部コンパートメント症候群対策]

1.× 血小板数は、増加ではなく低下する。血小板数は、急性膵炎において重症度判定に用いられる。
2.× 血清LDH値は、低下ではなく上昇する。血清LDH値は、急性膵炎において重症度判定に用いられる。
3.× 血清γ-GTP値は、低下ではなく上昇する。なぜなら、急性膵炎により膵内胆管が狭小化し、胆汁流出が障害されるため。
4.〇 正しい。血清アミラーゼ値の上昇する。アミラーゼは膵酵素のひとつであるため。
5.× 血清カルシウム値は、上昇ではなく低下する。血清カルシウム値は、急性膵炎において重症度判定に用いられる。

 

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