第110回(R3) 看護師国家試験 解説【午前91~95】

 

次の文を読み91~93の問いに答えよ。
 Aさん(43歳、女性)は夫と2人暮らし。身長150cm、体重98kg。既往歴はない。先日、庭で転倒し右腓骨を骨折し、膝関節から足関節までのギプス固定をしている。来週、プレート固定術を受けることになっており、本日は夫と一緒に術前オリエンテーションに来院した。来院時のAさんのバイタルサインは、体温36.8℃、呼吸数16/分、脈拍80/分、血圧138/80mmHgであった。夫によると「妻は、寝ているときはいつも大きないびきと、時々無呼吸があるので、慌てて起こしている」と言う。

91 手術までの自宅でのAさんの過ごし方で、優先して指導すべき内容はどれか。

1.食事制限
2.足趾の運動
3.ベッド上安静
4.体位変換の方法

解答2

解説

骨折後の合併症

骨折の初期治療として、①局所の安静、②骨折部位の安定化、③疼痛の軽減などを目的にギプス固定を行うことも多い。下腿の骨折の場合には、コンパートメント症候群による足置の感覚鈍麻、血流障害、運動障害を確認する。また、骨折後には脂肪塞栓や深部静脈血栓症、肺梗塞などの合併症を併発することも多い。基礎疾患を有する患者や肥満患者では合併症の発生リスクが上昇する。

1.× 食事制限より他の選択肢の中に優先度が高いものがある。ただし、本症例は、BMIが約43.6と肥満であり、将来的に食事指導を行う可能性はある。また、アルコールの摂取をされる患者の場合は、患部の腫脹を助長しギプス固定後のコンパートメント症候群を誘発するおそれがあるため飲酒は控えるよう指導する。
2.〇 正しい。足趾の運動は、優先して指導すべき内容である。なぜなら、深部静脈血栓症による肺塞栓症は命に関わることであり予防する必要があるため。足趾の運動により、筋萎縮の予防、血流うっ滞の予防(深部静脈血栓症の予防)などの効果が得られるため推奨する。橈骨の骨折がギプス固定下の足趾の運動で悪化することはないため、足趾の運動を術前から指導する必要がある。3.× ベッド上安静は優先度は低い。なぜなら、患部はギプスで保護されているため。患者の年齢や受傷前の状態から、翌日には離床を行い、足を地面に付かずに松葉杖で歩行することは可能である。体力や筋力の低下、血栓症や褥瘡の予防の観点からもベッド上安静をする必要はない。
4.× 体位変換の方法は優先度は低い。なぜなら、寝返りなどの体位変換は、脱臼などの危険性もなく自由に行えるため。橈骨骨折をギプス固定している状況では、荷重以外の動作の制限は特に必要としない。また、病院によってギプス固定当日には体位変換指導を行うことがあるが、状況設定文からギプス固定を受けたのは少なくとも前日より前と読み取れる。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み91~93の問いに答えよ。
 Aさん(43歳、女性)は夫と2人暮らし。身長150cm、体重98kg。既往歴はない。先日、庭で転倒し右腓骨を骨折し、膝関節から足関節までのギプス固定をしている。来週、プレート固定術を受けることになっており、本日は夫と一緒に術前オリエンテーションに来院した。来院時のAさんのバイタルサインは、体温36.8℃、呼吸数16/分、脈拍80/分、血圧138/80mmHgであった。夫によると「妻は、寝ているときはいつも大きないびきと、時々無呼吸があるので、慌てて起こしている」と言う。

92 Aさんは入院し、手術を受けた。手術室から病室への帰室後1時間、Aさんのバイタルサインは、体温35.9℃、呼吸数16/分、いびき様呼吸、脈拍60/分、血圧145/87mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉96%(鼻腔カニューレ3L/分酸素投与下)。大きな声で呼ぶと開眼し、簡単な指示に従うことができる。尿量は70mL/時、血糖値128mg/dLであった。
 看護師が優先して対処すべきAさんの症状・徴候はどれか。

1.体温 35.9 ℃
2.いびき様呼吸
3.血圧 145/87 mmHg
4.尿量 70 mL/時
5.血糖値 128 mg/dL

解答2

解説

1.× 体温 35.9 ℃は、優先度は低い。なぜなら、術後は麻酔により体温調節中枢が抑制され、低体温になりやすいが、体温35.9℃は許容範囲内であるため。また、シバリングや悪寒の訴えもないため、優先すべき症状ではない。
2.〇 正しい。いびき様呼吸は、看護師が優先して対処すべきである。本症例は、いびき様呼吸で鼻腔カニューレ3L/分酸素投与下での経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉96%である。口呼吸により十分酸素が吸えてない可能性があるため優先してマスクの検討などが必要になる。また、もともと睡眠時無呼吸症候群があると考えられる症例で、術後の意識レベル低下を疑う「いびき様呼吸」は、気道閉塞低酸素血症のリスクとなるため、対処が必要である
3.× 血圧 145/87 mmHgは、優先度は低い。なぜなら、術後の血圧は低体温や人工心肺の影響、全身麻酔の影響などから高血圧になりやすいが、Aさんの来院時の血圧は138/80mmHgとやや高めであり、術後の血圧は145/87mmHgで大きな変化はない。収縮期血圧が90~140mmHg内であれば、許容範囲と考え経過観察でよい。
4.× 尿量 70 mL/時は、優先度は低い。なぜなら、術後の尿量は体重1kgあたり0.5mL/時以上が目安とされるため。Aさんの体重からは70mL/時は適正である。また、尿量は循環血液量を反映しており、術後は減少するが、「0.5ml × Kg(体重) / h(時間)」出ていれば経過観察で良い。帰室後1時間で尿量70mL/時は、許容範囲内であるため経過観察でよい。
5.× 血糖値 128 mg/dLは、優先度は低い。なぜなら、術後は手術侵襲により高血糖になりやすいが、血糖値128mg/dLは許容範囲内であるため。

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看護師国家試験解説 血液の基準値についての問題10選「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

 

 

次の文を読み91~93の問いに答えよ。
 Aさん(43歳、女性)は夫と2人暮らし。身長150cm、体重98kg。既往歴はない。先日、庭で転倒し右腓骨を骨折し、膝関節から足関節までのギプス固定をしている。来週、プレート固定術を受けることになっており、本日は夫と一緒に術前オリエンテーションに来院した。来院時のAさんのバイタルサインは、体温36.8℃、呼吸数16/分、脈拍80/分、血圧138/80mmHgであった。夫によると「妻は、寝ているときはいつも大きないびきと、時々無呼吸があるので、慌てて起こしている」と言う。

93 手術後2日。Aさんはバイタルサインも安定しているため離床の準備を始めることになった。
 初回離床時に最も注意すべき訴えはどれか。

1.「息苦しい」
2.「腰が重い」
3.「痰が出る」
4.「傷口が引きつる」

解答1

解説

1.「息苦しい」は、初回離床時に最も注意すべき訴えである。なぜなら、術後ベッド上安静後の初回離床であり、肺血栓塞栓症の疑いがあるため。下腿の痛みがなくとも血栓が下肢にできていることは多く、それが離床時に飛び肺梗塞を生じると呼吸苦が出現することがある。特に離床時の呼吸苦の有無には注意すべきである。下肢深部静脈血栓症では疼痛などの症状がみられる場合(有症候性)もあるが、無症候性であることも多い。
2.「腰が重い」は、優先度が低い。なぜなら、術後ベッド上安静であったための訴えの可能性が高いため。
3.「痰が出る」は、優先度が低い。なぜなら、術後に痰が出るのは気管挿管によるものである可能性が高いため。
4.「傷口が引きつる」は、優先度が低い。なぜなら、初回離床時の傷口が引きつりや疼痛は誰もが感じるものであるため。骨折の術後に創部の疼痛を訴える患者は多い。また、引きつる感覚は通常の術後経過でも生じる訴えである。特に離床時に注意すべき訴えではない。

 

 

 

 

 

 

 

次の文を読み94~96の問いに答えよ。
 Aさん(26歳、男性)は1か月前から動悸と20m程度の歩行でも息切れが出現するようになった。ぶつけた記憶もないのに下肢に出血斑ができるようになり、医療機関を受診した。Aさんは急性白血病を疑われ、緊急入院し、後腸骨稜から骨髄穿刺を受けた。
 身体所見:意識清明、体温37.2℃、呼吸数17/分、脈拍124/分、血圧96/52mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97%(room air)、両下肢に散在する出血斑あり。
 検査所見:Hb5.1g/dL、白血球44.960mL、血小板1.5万mL、総ビリルビン1.1mg/dL、尿素窒素19.4mg/dL、クレアチニン0.76mg/dL、CRP2.2mg/dL。
 胸部エックス線:縦郭・心陰影・肺野に異常なし。

94 Aさんの骨髄穿刺の30分後に観察すべき項目で優先度が高いのはどれか。

1.経皮的動脈血酸素飽和度
2.穿刺部の止血状態
3.下肢の運動障害
4.眼瞼結膜

解答2

解説

1.× 経皮的動脈血酸素飽和度は、骨髄穿刺の30分後に優先して観察すべき項目ではない。なぜなら、骨髄穿刺後に低酸素血症を起こす可能性は極めて低いため。一般的に、侵襲的検査では検査前後にバイタルサインや経皮的動脈血酸素飽和度を確認することは大事であるが、最も優先すべき項目は他の選択肢にある。
2.〇 正しい。穿刺部の止血状態の観察は優先度が高い。なぜなら、骨髄穿刺の合併症には、検査部位からの出血血腫を形成する可能性があるため。検査後1時間は仰向けで安静を保持し、止血のために穿刺部位を圧迫する。また、本症例は血小板数(1.5万mL)が少なく、また急性白血病では播種性血管内凝固(DIC)などの凝固異常症を合併していることが多いため、出血合併症に注意する必要がある。
3.下肢の運動障害は、骨髄穿刺の30分後に優先して観察すべき項目ではない。最も優先すべき項目は他の選択肢にある。ただし、骨髄穿刺では、神経損傷の合併症として全身あるいは下肢の麻痺をきたし、しびれや感覚の麻痺、歩行障害など下肢の運動障害が一時的に発生することがあるため観察する必要がある。
4.眼瞼結膜は、骨髄穿刺の30分後に優先して観察すべき項目ではない。最も優先すべき項目は他の選択肢にある。眼険結膜の白さは貧血やショック症状としてあらわれる。本症例は、貧血がみられ眼瞼・眼球結膜が蒼白になっていると考えられる。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み94~96の問いに答えよ。
 Aさん(26歳、男性)は1か月前から動悸と20m程度の歩行でも息切れが出現するようになった。ぶつけた記憶もないのに下肢に出血斑ができるようになり、医療機関を受診した。Aさんは急性白血病を疑われ、緊急入院し、後腸骨稜から骨髄穿刺を受けた。
 身体所見:意識清明、体温37.2℃、呼吸数17/分、脈拍124/分、血圧96/52mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97%(room air)、両下肢に散在する出血斑あり。
 検査所見:Hb5.1g/dL、白血球44.960mL、血小板1.5万mL、総ビリルビン1.1mg/dL、尿素窒素19.4mg/dL、クレアチニン0.76mg/dL、CRP2.2mg/dL。
 胸部エックス線:縦郭・心陰影・肺野に異常なし。

95 Aさんは急性骨髄性白血病と診断された。化学療法によって寛解し、造血幹細胞移植を行う方針となった。
 Aさんの造血幹細胞移植で正しいのはどれか。

1.Aさんと骨髄提供者の性別が一致している必要がある。
2.移植後2週間で退院できる。
3.移植前処置が必要である。
4.手術室で行う。

解答3

解説
1.× 同種移植の場合、骨髄提供者の性別ではなく、Aさんと骨髄提供者の白血球の抗原型(HLA型)が一致する必要がある。造血幹細胞移植において、患者とドナーの白血球の抗原型(HLA型)を一致させることは重要であるが、性別を一致させる重要性は低い。
2.× 移植後2週間での退院はできない。なぜなら、移植された造血幹細胞が骨髄にたどり着き血球成分を作り始める(生着)まで2週間から1か月程度かかるため。造血回復後も数週かけて薬剤の調節やリハビリテーションを行うことがー般的で、移植入院期間は、1~2か月を要する。
3.〇 正しい。移植前処置が必要である。移植前処置とは、移植の準備のために行う大量化学療法や全身放射線治療などで、移植の1週間前から実施される。造血幹細胞移植とは、健康な骨髄に置き換えることにより造血機能を回復させる治療であり、移植前処置として大量の化学療法や放射線照射など、自分自身の骨髄の造血幹細胞をすべて破壊する治療を受ける必要である。患者に残存している白血病などの腫蕩細胞を減少させるほか、患者の免疫を十分に抑制して移植細胞を拒絶しないようにする目的で行われる。
4.× 手術室ではない。なぜなら、移植は骨髄提供者あるいは患者自身から事前に採取した造血幹細胞を含む骨髄液または末梢採取血液を静脈に点滴投与するため。なお、移植された造血幹細胞が骨髄にたどり着き血球成分を作り始める(生着)までの期間はクリーンルームで過ごす。採取された骨髄液は、適切な処理を行った後、無菌室で患者に輸注される。骨髄液輸注の際は、輸血と同様、経静脈的に輸注する。一方、ドナーからの骨髄液採取は、手術室において全身麻酔下で行われる。

 

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