第30回(H29) 介護福祉士国家試験 解説【問題66~70】

 

問題66 Eさんは認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に入居している。廊下を頻繁に歩き,他の利用者の部屋に入ってはトラブルになりかけている。介護福祉職が声をかけると,「私には行くところがある」と怒鳴る。
 Eさんのアセスメント(assessment)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 怒鳴られた介護福祉職の気持ちを情報として活用する。
2 「廊下を頻繁に歩かないこと」を生活課題に設定する。
3 他の利用者とトラブルになりかけている情報は不要と判断する。
4 「私には行くところがある」という言葉を解釈する。
5 言動から短気な性格だと考えて分析する。

解答4

解説

 介護過程では、アセスメントにより利用者の生活課題を明らかにし、生活課題に対して介護目標を設定することになる。この生活課題は利用者の望む生活を実現するために解決しなければならないことであり、利用者の思いを尊重するためには利用者から得られる情報が大切である。
よって、4が最も適切である。4は、「私には行くところがある」 という言葉は、Eさん自身が直接表出している主観的情報である。その情報のもつ意味を解解釈することはアセスメントにおいて重要である。

 

 

 

 

問題67 Fさん(75歳,女性)は, アルツハイマー型認知症(dementia of theAlzheimer’s type)である。家族の介護負担が増加して,3日前から介護老人保健施設に入所している。入所前から,トイレに間に合わずに尿失禁をしてしまうことがあるため,昼夜,リハビリパンツを使用している。歩行は自立している。夜間,トイレに起きているが,その後,眠っていることが確認されている。
 Fさんの尿失禁の改善を目標に収集する情報として,最も優先度の高いものを1つ選びなさい。

1 介護負担となっている家族背景
2 施設生活に対する不安
3 夜間の中途覚醒状況
4 トイレに行く時間帯
5 歩行に必要な下肢筋力

解答4

解説
1.× 介護負担となっている家族背景に関する情報収集は、Fさんが在宅復帰をするためには必要である。しかし、尿失禁の改善に関する情報としては優先度が低い。
2.× 緊張や生活環境の変化により、排尿を調整している自律神経に影響を及ぼし、排泄に支障をきたすことがある。だが、Fさんは入所前から尿失禁があることから、最も優先度が高いとはいえない。
3.× 中途覚醒とは、夜中にたびたび目が覚めて熱腫できない状態をいう。75歳という年齢から、腎機能の低下による夜間頻尿が考えられる。しかし、問題文に「夜間、トイレに起きているが、その後、眠っている」とあることから、尿失禁の改善に関する情報としては優先度は低い。
4.〇 正しい。介護老人保健施設に入所したばかりのFさんの尿失禁の改善のために収集する情報として、Fさんの排泄リズムを知ることは重要である。よって、 トイレに行く時間帯を把握することは最も優先度が高いといえる。
5.× トイレに行って排池するためには、トイレまで歩く、衣服を脱ぎ着するなどの運動機能が必要である。しかし、問題文に「歩行は自立している」とあることから、歩行に必要な下肢筋力はあると考えられる。

 

 

 

 

問題68 Gさん(66歳,女性)は,1年前に脳梗塞(cerebral infarction)を発症して片麻痺になった。在宅復帰を目指し,介護老人保健施設に入所して,「家に帰れるように頑張らなくちゃ」と熱心に立位訓練に取り組んでいた。しかし,同居していた孫が3日前に訪れてから,「体調が悪い」と言って,閉じこもり,食事は半分も食べなくなった。傾聴ボランティアがGさんの居室を訪れると,「訓練しても帰るところがない」と泣いて話したという。
 Gさんに対する介護福祉職の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 食事量を評価して,栄養指導を行う。
2 立位訓練を評価して,回復状況を把握する。
3 家族と調整して,退所後の住まいを整える。
4 サービス担当者会議に孫を招集する。
5 傾聴ボランティアの情報を基に,本人の生活ニーズを確認する。

解答5

解説

 利用者を支援する際には、介護福祉職だけではなく、多職種のチームで総合的な支援(チームアプローチ)を行っていく。それぞれの専門職の視点で情報収集やアセスメントを行い、目標や方針を共有し、専門性を発揮する。チームアプローチの際に必要となる社会福祉関係職種や医療関係職種の専門性を知り、その役割を把握しておくことが重要である。
1.× 食事量の評価と栄養指導は、管理栄養士の役割である。
2.× 立位訓練の評価と回復状況の把握は、理学療法士の役割である。
3.× Gさんは傾聴ボランティアに対し、「訓練しても帰るところがない」と泣いて話したとあることから、介護福祉職が退所後の住まいを整える対応は適切ではない。
4.× 「食事は半分も食べなくなった」または「泣いて話した」というGさんに対して、介護福祉職は、まず傾聴や共感をもって意図的にかかわる必要がある。サービス担当者会議を開き、孫を招集する対応は適切ではない。
5.〇 正しい。傾聴ポランティアの情報を基に、Gさんの生活ニーズを確認することは、介護福祉職の役割として適切である。Gさんの話を聴く際は、まずは傾聴と共感の姿勢で、Gさんが自身の思いを表現できるよう意図的にかかわることが重要である。

 

 

 

 

 

<領域:こころとからだのしくみ>

発達と老化の理解

問題69 生理的老化の学説に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

1 エラー破局説では,加齢によって臓器や器官が機能低下することで老化が生じると考える。
2 消耗説では,活性酸素による細胞の損傷で老化が生じると考える。
3 フリーラジカル説では,加齢による臓器や器官の萎縮や縮小に対して,それを補う再生機能が低下することで老化が生じると考える。
4 機能衰退説では,細胞内のDNAが損傷することで老化が生じると考える。
5 老化プログラム説では,人の細胞分裂の回数があらかじめ決まっていることで老化が生じると考える。

解答5

解説

 生理的老化とは、加齢に伴いいったん成熟した組織や機能が衰退していく過程である。老化の原因やメカニズムについては、多くの学説がある。 代表的な老化学説を把掘しておこう。

学説詳細
エラー破局説紫外線や放射線などの外的原因や体内での代謝産物などの内的原因により細胞内の DNAが損傷し、正しいタンパク質の合成などができず、細胞の機能障害がもたらされ、それが老化につながるとする説。
機能衰退説加齢によって臓器や器官が機能低下することで老化が生じるとする説。
消耗説組織や臓器レベルの老化を指しており、生体も筋肉や骨、内臓などの組織
や器官などを繰り返し使用することで消耗していくとする説。
フリーラジカル説遊離基説とも呼ばれ、フリーラジカルの過剰な生成によって細胞に損傷を与え、老化を引き起こすとする説。
老化プログラム説細胞がある一定数まで細胞分裂を繰り返すと、細胞の分裂を停止することから、細胞分裂の数は遺遺伝子によってあらかじめプログラムされており、このことが生体の老化、 寿命に関係すると考える説

1.× 説明文は、機能衰退説である。
2.× 説明文は、フリーラジカル説である。
3.× 説明文は、消耗説である。
4.× 説明文は、エラー破局説である。
5.〇 正しい。

 

 

 

 

問題70 キューブラー・ロス(Kübler-Ross, E.)が提唱した死の受容過程における「取り引き」に該当するものとして,適切なものを1つ選びなさい。

1 死ぬのがなぜ自分なのかと怒る。
2 自分が死ぬことはないと思う。
3 つらい治療を我慢して受けるので助けてほしいと願う。
4 安らかな気持ちで死を受け入れる。
5 もう助からないと思って絶望する。

解答3

解説

精神科医であるキューブラー・ロスは、死の受容過程を「否認(否認と孤立)」「怒り」「取り引き」「抑うつ」「受容」の順に5段階にまとめた。

過程説明
「否認(否認と孤立)」自分が死ぬことはないと思う。
「怒り」死ぬのがなぜ自分なのかと怒る。
「取り引き」つらい治療を我慢して受けるので助けてほしいと願う。
「抑うつ」もう助からないと思って絶望する。
「受容」安らかな気持ちで死を受け入れる。

1.× 説明文は、第2の「怒り」の段階である。
2.× 説明文は、第1の「否認(否認と孤立)」の段階である。
3.〇 正しい。
4.× 説明文は、第5の「受容」の段階である。
5.× 説明文は、第4の「抑うつ」の段階である。

 

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