看護師国家試験解説 急性期患者についての問題6選「まとめ・解説」

 

106回午後

76 急性炎症と比較して慢性炎症に特徴的な所見はどれか。2つ選べ。

1.好中球浸潤
2.CRPの上昇
3.リンパ球浸潤
4.形質細胞の浸潤
5.血管透過性の亢進

解答3/4

解説

急性は数日程度、亜急性は数週間程度、慢性は数か月から数年以上にわたって起こる現象を指して用いられることが多い。

 

1.× 好中球浸潤は、急性炎症に特徴的な所見である。好中球は、微生物や壊死組織を貧食して排除する働きを持つ。
2.× CRPの上昇は、急性炎症に特徴的な所見である。CRPの上昇は、急性炎症の程度を反映する指標となる。炎症や組織細胞の破壊が起こると血清中に増加する。
3.〇 正しい。リンパ球浸潤は、慢性炎症に特徴的な所見である。リンパ球は、主に免疫反応にかかわっている。
4.〇 正しい。形質細胞の浸潤は、慢性炎症に特徴的な所見である。形質細胞は、Bリンパ球から分化した細胞で、免疫グロブリンを産生する。つまり、免疫反応に関与する。
5.× 血管透過性の亢進は、急性炎症に特徴的な所見である。血管透過性の亢進は、血中から水分や血漿タンパク質、白血球を炎症の場に導く。

炎症に対する身体の反応

身体では、炎症を鎮めるため血管の透過性を亢進させて、血中から水分や血漿タンパク質、白血球を炎症の場に導く。急性期に現場に駆けつける細胞は、好中球で、微生物や壊死組織を貧食し排除する。その後、マクロファージもこれに加わる。さらに、肉芽組織・修復・瘢痕化あるいは再生、予防に、リンパ球による免疫反応で備えることになる。しかし、ウイルス感染などでは、リンパ球が急性期から出現することが多い。

 

 

 

 

109回午前

28 脳梗塞を最も早期に検出できる画像検査はどれか。

1.シンチグラフィ
2.磁気共鳴画像(MRI)
3.磁気共鳴血管画像(MRA)
4.コンピュータ断層撮影(CT)

解答2

解説

1.× シンチグラフィは、 腫瘍各種臓器の機能の診断に使われる。シンチグラフィとは、体内に投与した放射性同位体から放出される放射線を検出し、その分布を画像化したものである。
2.〇 正しい。磁気共鳴画像(MRI)は、脳梗塞を最も早期に検出できる画像検査である。正確には、MRIの拡散強調画像により早期に検出可能である。
3.× 磁気共鳴血管画像(MRA)は、頭蓋内の主要脳動脈を描出する撮影法である。脳動脈の狭窄や閉塞の有無は検出できるが、実際に脳梗塞を起こしているか否かはMRAのみからは判断できない。
4.× コンピュータ断層撮影(CT)も脳卒中を疑うときに撮影することが多いが、MRIの拡散強調画像のほうがより鋭敏で超急性期の脳梗塞を診断できる。

 

 

 

 

109回午前

41 急性期患者の生体反応で正しいのはどれか。

1.異化が亢進する。
2.症状の変化は緩やかである。
3.サイトカイン分泌が低下する。
4.副腎皮質ホルモンの分泌が低下する。

解答1

解説

1.〇 正しい。異化が亢進する。異化とは、外界から取り込んだ物質(糖質や脂質など)もしくは、生体内にある複雑な物質を分解し、簡単な物質(水や二酸化炭素)に変えるとともにエネルギー(ATP)を取り出す過程を指す。身体への侵襲により損傷した組織を修復するために異化が亢進する。
2.× 症状の変化は、緩やかではなく急速である。なぜなら、急性期は病態が不安定かつ短期間で激しい症状が現れる時期を指すため。そのため、絶え間ない観察と急変時の迅速な判断・対応が求められる。
3.× サイトカイン分泌は低下ではなく、亢進する。特に、炎症性サイトカインが亢進し、これは炎症反応を促進する働きを持つサイトカインのことである。サイトカインとは、細胞から分泌される低分子のタンパク質で生理活性物質の総称のことで、 生理活性蛋白質とも呼ばれ、細胞間相互作用に関与し周囲の細胞に影響を与える。
4.× 副腎皮質ホルモンの分泌は低下ではなく、亢進する。なぜなら、生体へのストレス負荷によるため。副腎皮質ホルモンは、副腎皮質より産生されるホルモンの総称である。炎症の制御、炭水化物の代謝、タンパク質の異化、血液の電解質のレベル、免疫反応など広範囲の生理学系に関わっている。

 

 

 

 

 

107回午後

85 急性期の患者の特徴で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.症状の変化が乏しい。
2.エネルギー消費量が少ない。
3.身体の恒常性が崩れやすい。
4.生命の危機状態になりやすい。
5.セルフマネジメントが必要となる。

解答3/4

解説

1.× 症状の変化が乏しいのではなく、短時間のうちに大きく変化しやすい。なぜなら、急性期は、身体への侵襲により、痛みや発熱、呼吸困難感などのさまざまな症状が起こるため。
2.× エネルギー消費量が少ないのではなく、増加する。急性期は、侵襲に対して生体がさまざまな反応を起こすため、エネルギー消費量が増大する。
3.〇 正しい。身体の恒常性が崩れやすい。なぜなら、生体は限界を超えた侵襲によって、生命を維持するための恒常性が保てなくなるため。
4.〇 正しい。生命の危機状態になりやすい。なぜなら、生体は身体への侵襲により、循環機能や呼吸機能など生命の維持に必要な身体機能に支障をきたし、生命の危機状態に陥りやすいため。
5.× セルフマネジメントが必要となるのは急性期ではなく、慢性期である。急性期は、症状の変化が激しく生命の安全を優先する時期であり、セルフマネジメントよりも医療的介入や看護師による援助が特に必要である。

 

 

 

 

109回午前

24 細菌感染による急性炎症で最初に反応する白血球はどれか。

1.単球
2.好酸球
3.好中球
4.好塩基球
5.リンパ球

解答3

解説

1.× 単球は、マクロファージなどへ分化し、貧食・消化・殺菌などの機能を発揮する。単球は、末梢血白血球の2~9%を占める。
2.× 好酸球は、細胞内に炎症に関与する顆粒を含んでおり、寄生虫に対する免疫反応が主な役割である。末梢血白血球の1~6%を占める。ほかにも、薬剤アレルギーや気管支瑞息などでも増加する。
3.〇 正しい。好中球は、細菌感染による急性炎症で最初に反応する。末梢血白血球の40~70%を占める。生体内に細菌・真菌が侵入すると、まず好中球が感染部位に遊走し、菌を貧食する。貧食された病原体は、好中球の細胞内顆粒中の消化酵素で消化され排除される。
4.× 好塩基球は、抗原の侵入に反応しヒスタミンを放出することで、Ⅰ型アレルギーを引き起こす。末梢血白血球の0~2%を占める。
5.× リンパ球は、主に獲得免疫を担う細胞集団である。ウイルスに対する免疫反応に関与する。

 

 

 

 

107回午後

次の文を読み120の問いに答えよ。
 Aさん(82歳、男性)。長男夫婦との人暮らし。4年前に認知症と診断された。Barthel(バーセル)インデックスは100点、Mini Mental State Examination(MMSE)は18点。環境の変化で落ち着きがなくなることがある。日頃は温泉旅行やカラオケを楽しんでいる。右外果にできた創傷から右下の腫脹と疼痛が出現したため病院を受診したところ、蜂窩織炎と診断されて入院した。入院翌日、右下の腫脹と疼痛は続いている。担当看護師は、認知症の行動・心理症状(BPSD)を最小限にするための看護を計画することとした。

120 担当看護師が計画するAさんへの看護で適切でないのはどれか。

1.右下を足浴する。
2.右下を挙上する。
3.温泉旅行の話をする。
4.Aさんが好きな歌を歌う機会をつくる。

解答1

解説

1.× 右下を足浴するのは不適切である。なぜなら、蜂窩織炎は急性炎症であるため。急性炎症には、患肢に冷罨法を施す必要がある。また、感染のリスクからも不適切といえる。
2.〇 正しい。右下を挙上する。蜂窩織炎で腫脹した右下腿を挙上することで、腫脹のケアとなる。
3.〇 正しい。温泉旅行の話をする。過去の思い出を語ってもらう心理療法は回想法と呼ばれ、不安や混乱を和らげる効果がある。認知症でも保たれていることが多い古い体験記憶を手がかりに、それらを話題として信頼関係を深めていくことは、適切な認知症ケアとなる。
4.〇 正しい。Aさんが好きな歌を歌う機会をつくる。認知症の作業療法には認知刺激療法などがあり、音楽活動は認知刺激療法のひとつである。声に出して好きな歌を歌う音楽活動は、行動・心理症状(BPSD)を改善する効果が期待できる。

RICE処置

 疼痛を防ぐことを目的に患肢や患部を安静(Rest)にし、氷で冷却(Icing)し、弾性包帯やテーピングで圧迫(Compression)し、患肢を挙上すること(Elevation)が基本である。頭文字をそれぞれ取り、RICE処置といわれる。

 

まとめ

  1. 「急性」:数日程度。
  2. 「亜急性」:数週間程度。
  3. 「慢性」:数か月から数年以上。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)