看護師国家試験解説 医療事故についての問題6選「まとめ・解説」

 

106回午前

10 ヒューマンエラーによる医療事故を防止するための対策で最も適切なのはどれか。(※採点対象外)

1.性格検査の実施
2.事故発生時の罰則の規定
3.注意力強化のための訓練の実施
4.操作を誤りにくい医療機器の導入

解答4(※採点対象外)
理由:必修問題としては妥当でないため

解説

 ヒューマンエラーによる医療事故防止の対策を考えるうえで最も重要なのは、「人は誰でも間違える」という前提に立つこと。

1.× 性格検査の実施は優先度は低い。なぜなら、ヒューマンエラーによる医療事故防止の対策を考えるうえで最も重要なのは、「人は誰でも間違える」という前提に立つことであるため。人間はエラーを起こす存在であり、エラーの原因は、個々の性格のみに起因するものではない。
2.× 事故発生時の罰則の規定より、事故の状況報告原因究明再発防止に向けた取り組みが必要である。人は必ずミスをするという前提に立ち、インシデントやアクシデントが発生した場合は、その情報を共有したうえで、適切な対策を講じられる体制づくりが重要である。
3.× 注意力強化のための訓練の実施は優先度は低い。なぜなら、ヒューマンエラーによる医療事故防止の対策を考えるうえで最も重要なのは、「人は誰でも間違える」という前提に立つことであるため。組織的な対策や人が間違えても誤作動しないような機器の工夫が重要である。
4.〇 正しい。操作を誤りにくい医療機器の導入が大切である。人は誰でも間違えるので、ヒューマンエラーによる医療事故を防止するためには、人間側の問題となる部分に対する対策だけでは限界がある。したがって、エラー誘発の原因になっている因子(操作を誤りやすい医療機器など)に対する対策が重要となる。

 

 

 

106回午前

45 看護師が医療事故を起こした場合の法的責任について正しいのはどれか。

1.罰金以上の刑に処せられた者は行政処分の対象となる。
2.事故の程度にかかわらず業務停止の処分を受ける。
3.民事責任として業務上過失致死傷罪に問われる。
4.刑法に基づき所属施設が使用者責任を問われる。

解答1

解説

医療従事者の過失により患者側が被害を受けたものを「医療過誤」という。医療過誤が発生した場合の法的責任(刑事責任民事責任行政上の責任)を理解する。

 

1.〇 正しい。罰金以上の刑に処せられた者は、行政処分の対象となる。『保健師・助産師・看護師法』によって行政処分の対象が明記されている。他にも、行政処分は、免許取消、業務に関して犯罪又は不正行為があったりした場合に適用される。
2.× 事故の程度を考慮し、業務停止の処分を受ける。行政処分の一つである業務停止は、医療事故の原因や状況などにより処分の対象となるか検討する。具体的には、患者への身体的・精神的に対する影響、看護師としての知識・技術の適切性、専門職としての道徳・品格など検討されたうえで、事故の相当に対して処分される。
3.× 民事責任ではなく、『刑法』として刑事責任として業務上過失致死傷罪に問われる。
4.× 刑法ではなく、民法に基づき所属施設が使用者責任を問われる。

 

 

 

105回午前

5 臨床研究を行うときに、研究対象者の立場を擁護するために審査を行う組織はどれか。

1.教育委員会
2.倫理委員会
3.医療事故調査委員会
4.院内感染対策委員会

解答2

解説

1.× 教育委員会は、教育に関する事務を管理執行するために、地方自治体に置かれる行政委員会である。また、病院内での教育委員会は、新人看護師教育や中堅看護師教育など、看護師の経験年数や実践レベルにおいての教育を行っていく組織である。
2.〇 正しい。倫理委員会は、臨床研究を行うときに、研究対象者の立場を擁護するために審査を行う組織である。人を対象とする研究を行う場合、それが医の倫理に基づき、また、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針などに沿って適正に行われるよう、倫理に関する審議を行う委員会のことである。
3.× 医療事故調査委員会は、医療事故が発生した場合に、その原因を明らかにするために必要な調査(医療事故調査)を、速やかに行う目的で設置される委員会のことである。
4.× 院内感染対策委員会は、院内感染の予防を目的として、感染予防を啓蒙していく病院感染対策部門の委員会であり、病院感染関連部署の管理者や責任者から構成される。

 

 

 

 

105回午前

64 医療安全と関連する方法の組合せで誤っているのはどれか。

1.院内感染対策:プライマリナーシング
2.事故防止対策:インシデントレポート
3.医療の質の保証:クリニカルパス
4.手術時の安全対策:タイムアウト

解答1

解説

1.× 誤っている。院内感染対策は、スタンダードプリコーションである。プライマリーナーシングとは、1人の患者の入院から退院までを、特定の看護師が継続して受け持つ看護方式である。患者との関係が深まりやすく、個別性に応じたケアができるメリットはある。
2.〇 正しい。事故防止対策に、インシデントレポートを用いる。インシデントレポートは、医療事故の原因分析および再発防止のための資料として用いられている。
3.〇 正しい。医療の質の保証に、クリニカルパスを用いる。クリニカルパス(標準治療計画)とは、標準的で質の高い医療を効率的に患者に提供するために、入院から退院に至るまでの治療・ケア項目などを表にまとめたものである。在院日数の短縮化や効率的な治療・看護の提供は、医療の質の向上につながる。
4.〇 正しい。手術時の安全対策に、タイムアウトを用いる。タイムアウトとは、手術にかかわる医師や看護師などのメンバー全員が、いっせいに手を止めて患者および手術部位を確認しあうことである。手術患者や手術部位の誤認防止を目的としており、手術時の安全対策のひとつである。

 

 

 

 

まとめ

  • インシデントとアクシデント

インシデント:医療行為の過失があったが、結果として事故には至らなかったものであり、ヒヤリハットともいう。

アクシデント:医療事故のこと。医療の現場で発生した予期せぬ傷害。

 

  • インシデントレポートの目的

①事実の確認、②原因の究明、③組織全体で事例を共有・分析し、問題点を抽出する、④将来の医療事故(アクシデント)の予防・再発の防止。

 

  • インシデントやアクシデントが発生した場合

組織全体でその事例を共有・分析し、問題点を抽出することによって、今後同じような事例が起きないよう対策を講じる必要がある。「人は誰でも間違える」という医療安全の根本的な考えを念頭に置き、組織全体で安全対策に取り組むことが重要である。

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