第20回(H24年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前6~10】

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6.後天性免疫不全症候群は感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)で何類に分類されているか。

1.2類
2.3類
3.4類
4.5類

解答

解説
1~3.× 2類/3類/4類は、後天性免疫不全症候群に分類されない。

4.〇 正しい。5類に後天性免疫不全症候群は分類されている。後天性免疫不全症候群とは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされる感染症である。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は主に血液や性行為を通じて感染する。ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症に対する治療法は飛躍的に進歩しており早期に発見することでエイズの発症を予防できるようになってきている。しかし、治療を受けずに自然経過した場合、免疫力の低下により様々な障害が発現する。

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律とは?

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症予防法、感染症法、感染症新法)は、感染症の予防および感染症患者に対する医療に関する措置について定めた日本の法律である。平成10年(1998年)に制定された。主な内容は、①1~5類感染症の分類と定義、②情報の収集・公表、③感染症(結核を含む)への対応や処置。

【「感染症法」の対象となる感染症】
①1類感染症(7疾患:エボラ出血熱 ・クリミア・コンゴ出血熱・痘そう(天然痘) ・南米出血熱・ペスト・マールブルグ病・ラッサ熱)
対応:原則入院・消毒等の対物措置(例外的に建物への措置,通行制限の措置も適用対象とする)

②2類感染症(6疾患:・急性灰白髄炎(ポリオ)・結核 ・ジフテリア ・重症急性呼吸器症候群(SARS)・特定鳥インフルエンザ(H5N1, H7N9) ・中東呼吸器症候群(MERS))
対応:状況に応じて入院・消毒等の対物措置

③3類感染症(5疾患:・コレラ・細菌性赤痢・品管出血性大腸菌感染症(0157等)・腸チフス ・パラチフス)
対応:・特定職種への就業制限・消毒等の対物措置

④4類感染症(44疾患:※一部抜粋。・E型肝炎・A型肝炎 ・黄熱・Q熱・狂犬病・チクングニア熱・鳥インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く)・炭疽 ・ボツリヌス症 ・マラリア ・野兎病・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)・デング熱・ジカウイルス感染症・日本脳炎・その他感染症(政令で指定))
対応:・感染症発生状況の情報収集、分析とその結果の公開,提供・媒介動物の輸入規制・消毒等の対物措置

5類感染症(46疾患:※一部抜粋。・インフルエンザ(鳥インフルエンザ・新型インフルエンザ等感染症を除く)・ウイルス性肝炎(E型・A型を除く)・クリプトスポリジウム症・後天性免疫不全症候群(AIDS)・性器クラミジア感染症 ・梅毒・麻疹・百日咳・メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症・その他感染症(省令で指定))
対応:・感染症発生状況の情報収集、分析とその結果の公開情報提供

 

 

 

 

 

7.疫学研究における因果関係の判定基準で「時間的な関係」の内容はどれか。

1.高い相対危険である。
2.生物学的常識と矛盾しない。
3.複数の研究で同様な関連がみられる。
4.曝露が結果に先行している。

解答

解説

時間的な関係とは?

因果関係の判定基準の中で「時間的な関係」とは、原因(曝露)が結果(疾患や健康問題)に先行していなければならないという原則を指す。これは因果関係を論じる際の必須条件であり、原因が結果の後に生じている場合、因果関係を成立させることはできない。

1.× 高い相対危険であることは、因果関係の強さを示す要素である。寄与危険度は、ある要因への曝露群と非曝露群の罹患率の差を評価する疫学指標である。寄与危険度とは、リスク差ともいい、曝露群と非曝露群の疾病発症リスクの差のこと。「曝露因子があるとどれだけ危険度が増すか」を示す。何らかの介入を行った場合にどれだけの人が疾病を予防できるかが予測できるため、健康政策を進めるうえで重要な指標となる。

2.× 生物学的常識と矛盾しないことは、「関連の論理性」に該当する。

3.× 複数の研究で同様な関連がみられることは、「関連の密接性」に該当する。

4.〇 正しい。曝露が結果に先行していることは、「時間的な関係」に該当する。

因果関係の判定基準

関連の密接性:関連が強いほど因果関係がある。曝露が多いほど疾病の発生率が高い。
関連の普遍性:特定の集団で認められた現象が、他の集団でも認められること。
関連の特異性:疾病があれば曝露があり、曝露があれば予測される率でその疾病が発生すること。
関連の時間性:曝露が発病よりも前にあったことが証明されること。
関連の論理性:曝露と疾病との関連が、生物学的論理性からも説明できること。

 

 

 

 

 

8.我が国の最近の女性のがんの年齢調整死亡率で増加傾向にないのはどれか。

1.大腸がん
2.乳がん
3.肺がん
4.食道がん

解答1・3・4
※近年のデータをしっかりおさえておこう。がんの罹患数と死亡数は、人口の高齢化を主な要因として、ともに増加し続けている。人口の高齢化の影響を除いた年齢調整率で見ると、がんの罹患は2010年前後まで増加しその後横ばい、死亡は1990年代半ばをピークに減少している。

解説
1.〇 大腸がんは、我が国の最近の女性のがんの年齢調整死亡率は減少している。

2.× 乳がんは、我が国の最近の女性のがんの年齢調整死亡率で増加である。これは、人口の高齢化やライフスタイルの変化、遺伝的要因などが考えられている。

3.〇 肺がんは、我が国の最近の女性のがんの年齢調整死亡率は減少している。

4.〇 食道がんは、我が国の最近の女性のがんの年齢調整死亡率は横ばいである。

(※図引用:「主要部位別の年齢調整率の近年の傾向」がん情報サービス様HPより)

 

 

 

 

 

9.がんと危険因子との組み合わせで正しいのはどれか。

1.胃がん:高蛋白食
2.乳がん:授乳
3.子宮頚がん:ヒトパピローマウイルス
4.肺がん:肥満

解答

解説
1.× 胃がん:高蛋白食
胃がんの危険因子は、塩蔵食品やヘリコバクター・ピロリ感染、アルコール、喫煙、遺伝などがある。ちなみに、高蛋白食は、がんにかかりやすいという報告もあるが、適度な食事を心がけることは

2.× 乳がん:授乳
乳がんの危険因子は、①初経年齢が早い、②閉経年齢が遅い、③出産歴がない、④初産年齢が遅い、⑤授乳歴がないことなどがあげられる。閉経後の肥満は乳がん発症の高リスクであると考え、 また閉経後の女性では運動による乳がんリスク減少の可能性が示されている。

3.〇 正しい。子宮頚がん:ヒトパピローマウイルス
子宮頸がんとは、子宮頸部(子宮下部の管状の部分)に生じるがんのことである。子宮頸がんは、子宮がんのうち約7割程度を占める。近年、20~30歳代の若い女性に増えてきており、30歳代後半がピークとなっている。子宮頸がんの原因のほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染である。このウイルスは性的接触により子宮頸部に感染する。初期では無症状だが、進行するにつれて帯下の増加や悪臭のある帯下、周囲臓器の浸潤による疼痛などの症状が現れる。子宮頸がんの予防方法は、HPVワクチンを接種することで、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防することが挙げられる。また、子宮頸がん検診を定期的に受けることで、がんになる過程の異常(異形成)やごく早期のがんを発見し、医師と相談しながら、経過観察したり、負担の少ない治療につなげたりすることができる。

4.× 肺がん:肥満
肺がんの危険因子には、喫煙、大気汚染、職業的曝露、他の肺疾患、年齢、家族歴、既往歴などある。

 

 

 

 

 

10.我が国における精神障害の入院形態で最初に検討すべき形態はどれか。

1.応急入院
2.措置入院
3.医療保護入院
4.任意入院

解答

解説
1.× 応急入院とは、①患者本人の同意:必ずしも必要としない。②精神保健指定医の診察:1人の診察。③そのほか:医療および保護の依頼があるが、家族等の同意が得られない。④備考:入院期間は72時間以内。入院後直ちに知事に届け出る。知事指定の病院に限る。⑤入院権限:精神科病院管理者である。

2.× 措置入院とは、①患者本人の同意:必ずしも必要としない。②精神保健指定医の診察:2人以上の診察、③そのほか:自傷・他害のおそれがある。④備考:国立・都道府県立精神科病院または指定病院に限る。⑤入院権限:都道府県知事である。

3.× 医療保護入院とは、①患者本人の同意:必ずしも必要としない、②精神保健指定医の診察:1人の診察、③そのほか:家族等のうち、いずれかの者の同意、④備考:入院後、退院後ともに10日以内に知事に届け出る、⑤入院権限:精神科病院管理者である。

4.〇 正しい。任意入院は、我が国における精神障害の入院形態で最初に検討すべき形態である。なぜなら、患者本人の同意に基づいて入院する形態であるため。ちなみに、任意入院とは、①患者本人の同意:必要。②精神保健指定医の診察:必要なし。③そのほか:書面による本人意思の確認。④備考:本人の申し出があれば退院可能。⑤精神保健指定医が必要と認めれば、72時間以内の退院制限が可能。⑥入院権限:精神科病院管理者。

入院の形態

①任意入院:患者本人の同意:必要。精神保健指定医の診察:必要なし。そのほか:書面による本人意思の確認。備考:本人の申し出があれば退院可能。精神保健指定医が必要と認めれば、72時間以内の退院制限が可能。入院権限:精神科病院管理者。

②医療保護入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察。そのほか:家族等のうち、いずれかの者の同意。備考:入院後、退院後ともに10日以内に知事に届け出る。入院権限:精神科病院管理者

③応急入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察。そのほか:医療および保護の依頼があるが、家族等の同意が得られない。備考:入院期間は72時間以内。入院後直ちに知事に届け出る。知事指定の病院に限る。入院権限:精神科病院管理者

④措置入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:2人以上の診察、そのほか:自傷・他害のおそれがある。備考:国立・都道府県立精神科病院または指定病院に限る。入院権限:都道府県知事

⑤緊急措置入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察、そのほか:自傷・他害のおそれが著しく、急を要する。備考:入院期間は72時間以内。指定医が1人しか確保できず時間的余裕がない場合、暫定的に適用される。入院権限:都道府県知事

 

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