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121.命門火衰による陽萎に対し、経脈を考慮した施術を行う場合、最も適切なのはどれか。
1.督脈と肺経
2.心経と脾経
3.大腸経と胃経
4.腎経と任脈
解答4
解説
命門火衰とは、腎陽虚の重症のケースといわれている。命門の火(元陽)が不足し、全身の機能が衰えた状態のことである。ちなみに、陽萎とは、勃起障害のことを指し、陽虚でみられる。
1.× 督脈と肺経
・肺の生理は、①宣粛(宣発(宣布・発散)、粛降(清肅・下降。通調水道、水の上源))、②主気(呼吸を主る(治節)、一身の気を主る)肺は百脈を朝ず。
2.× 心経と脾経
・心の生理として、①主血(血(脈)を主る(血を送り出す))、②神志(生命活動を維持し、精神活動を主宰する)があげられる。
・脾の生理として、①運化(飲食物を水穀の精微に変化させ、心・肺に運ぶ)、②統血(血が脈中から漏れ出るのを防ぐ(気の固摂作用))などがあげられ、脾は気血生成の源、生痰の源といわれる。
3.× 大腸経と胃経
・大腸の生理として、伝導糟粕(小腸で分別した不要なものの中の固形のものを大便として排泄する)などである。
・胃の生理として、①受納(口から入った飲食物を受け入れる)、②腐熟(飲食物の初歩的な消化を行う)、③和降(消化した飲食物を小腸に下降させる)、④降濁(胃は濁なるものを腸へ送ること)などである。
4.〇 正しい。腎経と任脈は、命門火衰による陽萎に対し、経脈を考慮した施術を行う。
・腎の生理として、①蔵精(精を貯蔵し、生命活動を調節する)、②主水(水を主り、水液代謝を調節する)、③納気(吸気を補助し、呼吸のバランスを保つ)があげられる。
122.次の文で示す患者の病証について難経六十九難の治療原則に基づく治療穴はどれか。
「42歳の女性。1年前に4人目の子供を出産してから月経周期が乱れ、経血量も減少した。最近は疲れやすく、抜け毛も増えた。舌質は淡、舌苔は薄、脈は沈弱。」
1.湧泉
2.太渓
3.然谷
4.復溜
解答4
解説
・42歳の女性。
・1年前に4人目の子供を出産してから月経周期が乱れ、経血量も減少した。
・最近:疲れやすく、抜け毛も増えた。
・舌質は淡、舌苔は薄、脈は沈弱。
→本症例は、腎虚証が疑われる。「虚すればその母を補い、実すればその子を瀉せ」に基づく。したがって、腎の虚証(補法)を行うことが望ましく、対象は復溜・経渠となる。
1.× 湧泉は、腎の実証(瀉法)に対して行う。然谷は、足内側、舟状骨粗面の下方、赤白肉際に位置する。
2.× 太渓は、腎の兪穴である。太渓は、足関節後内側、内果尖とアキレス腱の間の陥凹部に位置する。
3.× 然谷は、腎の栄穴である。然谷は、足内側、舟状骨粗面の下方、赤白肉際に位置する。
4.〇 正しい。復溜は、この患者の病証について難経六十九難の治療原則に基づく治療穴である。腎の虚証(補法)は、復溜・経渠である。
・復溜は、下腿後内側、アキレス腱の前縁、内果尖の上方2寸に位置する。
・経渠は、前腕前外側、橈骨下端の橈側で外側に最も突出した部位と橈骨動脈の間、手関節掌側横紋の上方1寸に位置する。
【部位】虚証(補法):実証(瀉法)
【肝】曲泉・陰谷:行間・少府・労宮
【肺】太淵・太白:尺沢・陰谷
【心】少衝・大敦:神門・太白
【腎】復溜・経渠:湧泉・大敦
【脾】大都・少府・労宮:商丘・経渠
【心包】中衝・大敦:大陵・太白
【胆】侠渓・足通谷:陽輔・陽谷・支溝
【大腸】曲池・足三里:二間・足通谷
【小腸】後渓・足臨泣:小海・足三里
【膀胱】至陰・商陽:束骨・足臨泣
【胃】解渓・陽谷・支溝:厲兌・商陽
【三焦】中渚・足臨泣:天井・足三里
123.次の文で示す患者の病態に対し、最も適切な施術はどれか。
「5歳の男児。夜間の遺尿が続いている。日中は尿意切迫がある。」
1.頭部への灸頭鍼
2.腹部への糸状灸
3.仙骨部への接触鍼
4.会陰部への単刺
解答3
解説
・5歳の男児。
・夜間の遺尿が続いている。
・日中は尿意切迫がある。
→本症例は、過活動性膀胱が疑われる。仙髄排尿中枢は、第2~3に位置する。
1.× 頭部への灸頭鍼
・灸頭鍼は、置鍼した鍼の鍼柄に艾を球状に付けて点火する方法である。鍼柄が金属でカシメ式のものを用いる。
2.× 腹部への糸状灸
・糸状灸は、透熱灸のひとつで、良質艾を米粒大前後で円錐形に捻り、経穴や圧痛点など皮膚上の治療点に直接施灸する。
3.〇 正しい。仙骨部への接触鍼は、患者の病態に対する施術である。なぜなら、膀胱機能を抑制するため。仙髄排尿中枢は、第2~3に位置する。ちなみに、小児鍼法とは、主な対象は生後2週間後~小学生で、①摩擦鍼や②接触鍼のことを指す。
4.× 会陰部への単刺
・単刺術は、刺鍼中の手技のひとつで、鍼を目的の深さまで刺入し、すぐに抜除する補法である。
切迫性尿失禁とは、膀胱が自身の意思に反して収縮することで、急に排尿したくなりトイレに行くまでに我慢できずに漏れてしまう失禁である。原因として膀胱にうまく尿がためられなくなる過活動膀胱が多く、脳血管障害など排尿にかかわる神経の障害で起こることもある。過活動性膀胱に対して、電気刺激療法や磁気刺激療法が有効とされる。
体性内臓反射とは、【求心路】が体性感覚神経、【遠心路】が自律神経系からそれぞれ構成される反射機構である。これは、皮膚に侵害性刺激(いわゆる痛み刺激)を加えると交感神経系の機能が亢進し、心拍数の増大、血圧の増加等が生じる反射である。
仙髄排尿中枢は、第2~3に位置する。
124.五行穴を用いて施術する場合、症状と治療穴との組合せで最も適切なのはどれか。
1.のぼせ・下痢:湧泉
2.咳を伴う悪寒発熱:経渠
3.心下部の膨満感:大陵
4.全身の熱感:少海
解答2
解説
1.× のぼせ・下痢:湧泉
・のぼせ・下痢(逆気而泄)は、腎経の合穴である。
・湧泉は、腎の井穴である。湧泉は、足底、足指屈曲時、足底の最陥凹部に位置する。
2.〇 正しい。咳を伴う悪寒発熱:経渠は、五行穴を用いて施術する場合、症状と治療穴との組合せである。
・咳を伴う悪寒発熱(喘咳寒熱)は、肺経の経穴である。
・経渠は、肺の経穴である。経渠は、前腕前外側、橈骨下端の橈側で外側に最も突出した部位と橈骨動脈の間、手関節掌側横紋の上方1寸に位置する。
3.× 心下部の膨満感:大陵
・心下部の膨満感(心下満)の主治は、肝経の井穴である。
・大陵は、心包の兪穴である。大陵は、手関節前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋上に位置する。
4.× 全身の熱感:少海
・全身の熱感(身熱)は、心経の栄穴である。
・少海は、心の合穴である。少海は、肘前内側、上腕骨内側上顆の前縁、肘窩横紋と同じ高さに位置する。
125.施術中に患者の訴える痛みの部位が移動し一定しない。このような場合に十二刺の刺法で適切なのはどれか。
1.報刺
2.偶刺
3.斉刺
4.揚刺
解答1
解説
1.〇 正しい。報刺は、施術中に患者の訴える痛みの部位が移動し一定しない場合に用いられる。報刺とは、痛みが動いて定まらないとき、痛む所を追って次々と刺す方法である。
2.× 偶刺は、心痹のとき、胸部と背部の圧痛・反応点を前後から刺す方法である。2本使用する。
3.× 斉刺は、寒気・痹気の範囲が狭く深部のとき、中心とその両側に刺す方法である。3本使用する。
4.× 揚刺は、寒気の範囲が広く大きいとき、その中心と、四隅から中心に向かって刺す方法である。5本使用する。