第21回(H25年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前41~45】

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41.副交感神経の活動亢進によるのはどれか。

1.心拍数の増加
2.唾液分泌の抑制
3.毛様体筋の収縮
4.幽門括約筋の収縮

解答

解説
1.× 心拍数の増加は、交感神経の活動亢進によるものである。

2.× 唾液分泌は、「抑制」ではなく促進される。副交感神経が活性化すると、血管が拡張するために水分が多いサラサラとした唾液が分泌される。

3.〇 正しい。毛様体筋の収縮は、副交感神経の活動亢進による。副交感神経が活性化すると、毛様体筋が収縮し、水晶体が厚くなる。毛様体筋とは、眼の遠近調節を行う筋である。ちなみに、近くで見るとき、毛様体小帯が弛緩し、水晶体が厚くなる。

4.× 幽門括約筋は、「収縮」ではなく弛緩である。ちなみに、幽門括約筋は、十二指腸から胃への逆流を防ぐ。副交感神経は、消化管平滑筋の収縮を促進する。一方で、括約筋(幽門括約筋など)は弛緩させる。

 

 

 

 

 

42.視床下部が反射中枢として関与するのはどれか。

1.排尿反射
2.姿勢反射
3.腹壁反射
4.射乳反射

解答

解説

視床下部とは?

視床下部とは、間脳に位置し、内分泌や自律機能の調節を行う総合中枢である。 ヒトの場合は脳重量のわずか0.3%、4g程度の小さな組織であるが、多くの神経核から構成されており、体温調節やストレス応答、摂食行動や睡眠覚醒など多様な生理機能を協調して管理している。つまり、視床下部は自律神経の最高中枢である。

1.× 排尿反射の反射中枢は、である。排尿反射とは、橋排尿中枢を介した反射により、蓄尿された尿が体外に排出されることである。正常の排尿には、膀胱排尿筋の収縮、内尿道括約筋と外尿道括約筋の弛緩が行われている。

2.× 姿勢反射の反射中枢は、脳幹(中脳、延髄)や小脳である。姿勢反射とは、体が傾いたときに、健常人は重心を移動してバランスを取る反射のことで、立ち直り反射やパラシュート反応などをいう。ちなみに、脳幹とは、中枢神経系を構成する部位が集まっている器官で、中脳、橋、延髄から構成されている。この脳幹は視床下部と通信をすることで覚醒と睡眠間の移行を制御する。

3.× 腹壁反射の反射中枢は、胸髄(T7~T12)である。腹壁反射とは、検者を背臥位にして両膝を軽く屈曲し膝を立て、腹筋を弛緩させる。先の鈍い針で肋骨縁①にそって上から下に向けてこする。また、腹壁を上②、中③、下④の3つに分けて、腹壁皮膚を外側より内側に向けてこすり、刺激側の腹筋が収縮し、臍が刺激側へ動けば陽性である。陽性の場合、錐体外路系の障害により消失する。【判定】刺激側の腹筋が収縮し、臍が刺激側へ動けば陽性である。

4.〇 正しい。射乳反射は、視床下部が反射中枢として関与する。射乳反射とは、赤ちゃんが乳頭を口に含むこと(吸啜反射)で、オキシトシンが分泌され、乳管から乳汁が押し出される現象である。
刺激:乳頭が吸啜刺激を受けると、視床下部が刺激される。
反応:視床下部が下垂体後葉からオキシトシンを分泌させ、乳腺の筋上皮細胞を収縮させて乳汁を射出する。

オキシトシンとは?

オキシトシンとは、脳下垂体後葉から分泌される。出産後に乳汁射出、子宮収縮作用がある。また、分娩開始前後には分泌が亢進し、分娩時に子宮の収縮を促し、胎児が下界に出られるように働きかける。児の吸啜刺激によって分泌が亢進し、分娩後の母体の子宮筋の収縮を促す。

 

 

 

 

 

43.近くの物を見るときに形が変わらないのはどれか。

1.毛様体筋
2.虹彩
3.水晶体
4.角膜

解答

解説

(※図:「看護師イラスト集」看護roo!様HPより)

近くの物を見るときの調節機構

①毛様体筋の収縮
②水晶体の厚みが増加(屈折力が高まる)
③虹彩の縮瞳(瞳孔が小さくなる)
光が網膜上に正確に焦点を結ぶよう調節される。

1.× 毛様体筋は、近くの物を見る際に収縮する。毛様体筋とは、眼の遠近調節を行う筋である。毛様体筋の収縮により、チン小帯の緊張が緩み、水晶体が厚くなる。

2.× 虹彩は、近くの物を見る際に収縮する。虹彩とは、瞳孔の大きさを調整し、網膜に入る光の量を調節する役割を持つ組織である。

3.× 水晶体は、近くの物を見る際に厚くなる。水晶体とは、ほぼ透明で眼の中でレンズの役割を担う器官である。

4.〇 正しい。角膜は、近くの物を見るときに形が変わらない。角膜とは、光の屈折・焦点距離の調節などの役割を持つ水晶体の外側に覆う薄い膜である。

 

 

 

 

 

44.白血球の中で形質細胞に分化するのはどれか。

1.T細胞
2.B細胞
3.マクロファージ
4.NK細胞

解答

解説

形質細胞とは?

形質細胞とは、B細胞が成熟したもので、抗体を作って自然免疫の働きを助ける。つまり、体に侵入したウイルスや細菌などの異物を排除する作用を持つ蛋白質(抗体)を産生する。

1.× T細胞とは、血液中を流れている白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞の一種である。胸腺(thymus)でつくられるため、頭文字を取ってT細胞と名付けられた。T細胞は膠原特異的な免疫応答である獲得免疫に関与する。免疫応答を促進するヘルパーT細胞、逆に免疫反応を抑制するサプレッサーT細胞、病原体に感染した細胞や癌細胞を直接殺すキラーT細胞などに分類される。

2.〇 正しい。B細胞は、白血球の中で形質細胞に分化する。B細胞とは、T細胞と同じリンパ球の一種で、免疫機構を担う重要な細胞である。 B細胞は、リンパ球の約20~40%を占め、骨髄で産生され骨髄内で分化、成熟する。

3.× マクロファージとは、単球から分化し、貧食能を有する。異物を貪食して抗原提示細胞になり、抗原情報がリンパ球に伝えられる。直径15~20μmの比較的大きな細胞で、全身の組織に広く分布しており、自然免疫(生まれつき持っている防御機構)において重要な役割を担っている。

4.× NK細胞とは、ウイルス感染細胞や腫瘍細胞の傷害に働く。抗原を認識するための受容体をもたず、標的細胞を直接攻撃する。

 

 

 

 

 

45.疾病と一般素因との組合せで最も適切なのはどれか。

1.網膜芽腫:高齢者に多い
2.全身性エリテマトーデス:男性に多い
3.胃癌:欧米人に多い
4.結核症:肺に多い

解答

解説
1.× 網膜芽腫は、「高齢者」ではなく小児期(5歳以下)に多い。網膜芽腫とは、網膜の悪性腫瘍で、小児期(5歳以下)に発症することが多い。遺伝的要因(RB1遺伝子の変異)が関与する。

2.× 全身性エリテマトーデスは、「男性」ではなく女性に多い。全身性エリテマトーデスとは、皮膚・関節・神経・腎臓など多くの臓器症状を伴う自己免疫性疾患である。皮膚症状は顔面の環形紅斑、口腔潰瘍、手指の凍瘡様皮疹である。10~30歳代の女性に好発する多臓器に障害がみられる慢性炎症性疾患であり、寛解と再燃を繰り返す病態を持つ。遺伝的素因を背景にウイルス感染などが誘因となり、抗核抗体などの自己抗体産生をはじめとする免疫異常で起こると考えられている。本症の早期診断、早期治療が可能となった現在、本症の予後は著しく改善し、5年生存率は95%以上となった。主な治療法として、①非ステロイド系消炎鎮痛剤、②ステロイド剤などである。診断基準として、顔面紅斑、円板状皮疹、光線過敏症、口腔内潰瘍、抗核抗体陽性など4項目以上満たすと全身性エリテマトーデス(SLE)を疑う。

3.× 胃癌は、「欧米人」ではなくアジア人に多い。なぜなら、欧米人の胃にいるピロリ菌の約3〜4割には、cagA遺伝子がないため。つまり、日本や韓国など東アジアに胃がんが多い理由は、病原性の強いcagA遺伝子をもつピロリ菌が多いためである。

4.〇 正しい。結核症:肺に多い
肺結核が全体の約80%を占める。ちなみに、結核とは、結核菌による感染症で、体の色々な臓器に起こることがあるが多くは肺のことである。結核菌は、喀痰の中に菌が出ている肺結核の患者と密閉空間で長時間(一般的には数週間以上)接触することにより空気感染でうつる。リンパ節結核や脊椎カリエス(骨の結核)など、肺に病気のない結核患者からはうつらない。また肺結核でも、治療がうまくいって喀痰の中に菌が出ていない患者さんからはうつることはない。また、たとえ感染しても、発病するのはそのうち1割ぐらいといわれており、残りの9割の人は生涯何ごともなく終わる。感染してからすぐに発病することもあるが、時には感染した後に体の免疫が働いていったん治癒し、その後数ヶ月から数十年を経て、免疫が弱ったときに再び結核菌が増えて発病することもある。結核の症状には、咳、痰、血痰、熱、息苦しさ、体のだるさなどがある。

 

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