第21回(H25年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前6~10】

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6.我が国の2010年の老年人口割合で正しいのはどれか。

1.約14%
2.約19%
3.約23%
4.約28%

解答

解説

老年人口とは?

老年人口とは、65歳以上の人口を指す。日本の老年人口は、平成20(2008)年:2,821万6千人、平成30(2018)年:2,821万6千人である。

1.× 約14%は、1990年ごろである。

2.× 約19%は、2005年ごろである。

3.〇 正しい。約23%は、我が国の2010年の老年人口割合である。

4.× 約28%は、2019年ごろである。

(※引用:「第1章 高齢化の状況」内閣府様HPより)

 

 

 

 

 

7.コホート研究で正しいのはどれか。

1.罹患率を求めることができる。
2.症例対照研究より研究期間が短い。
3.後ろ向き研究である。
4.まれな疾患を効率的に研究できる。

解答

解説

コホート研究と症例対照研究の比較

コホート研究とは、時間軸:前向き研究で、観察期間は長期間行う。信頼性は高いが費用・労力が大きい。

症例対照研究とは、時間軸:後ろ向き研究で、観察期間はない。信頼性は低いが費用・労力が小さい。

研究の種類には、研究者が調査対象集団に対して何らかの働きかけ(介入)を行うか否かで、介入を行う「介入研究」と、介入を行わない「観察研究」とに大きく分類される。介入研究には、「臨床試験・地域研究」などがある。一方、観察研究には、大きく「①記述疫学・②分析疫学」に大別され、①記述疫学には、横断研究・時系列研究などがある。②分析疫学には、生態学的研究・横断研究・症例対照研究・コホート研究などがある。

1.〇 正しい。罹患率を求めることができる。コホート研究では、研究対象者を曝露群(リスク要因あり)と非曝露群(リスク要因なし)に分け、時間の経過に伴う疾患の発生を観察するため。ちなみに、罹患率とは、ある一定の観察期間に新規発生した患者数を、危険曝露人口一人ひとりの観察期間の総和(観察人年)で除したものである。疾病や死亡が生じることを事象の発生という。事象の発生は、ある一定期間を設定し、その期間内で新規に発生した頻度により把握できる。また、発生頻度の表現は、率(rate)の形で示される。

2.× 症例対照研究より研究期間が「短い」ではなく長い。症例対照研究とは、時間軸:後ろ向き研究で、観察期間はない。信頼性は低いが費用・労力が小さい。

3.× 後ろ向き研究であるのは、「コホート研究」ではなく症例対照研究である。コホート研究とは、時間軸:前向き研究で、観察期間は長期間行う。信頼性は高いが費用・労力が大きい。

4.× まれな疾患を効率的に研究できるのは、「コホート研究」ではなく症例対照研究である。むしろ、コホート研究は大規模な集団を長期間追跡する必要があるため、まれな疾患の研究には非効率である。一方、症例対照研究では疾患をすでに持つ症例を集めるため、まれな疾患に適している。

 

 

 

 

 

8.耳に痛みを感じ始める騒音レベル(デシベル)はどれか。

1.約40
2.約70
3.約100
4.約130

解答

解説

(※図引用:「耳せん・イヤーマフの種類と特長」MiSUMi様HPより)

1.× 約40(dB)は、図書館の中や静かな住宅地程度の音量である。睡眠が妨げられる程度である。

2.× 約70(dB)は、掃除機の音や都会の道路交通程度の音量である。大声の会話程度である。

3.× 約100(dB)は、電車の通過音や電車のガード下程度の音量である。長時間暴露すると聴覚へのダメージを引き起こす可能性があるが、痛みを感じるレベルではない。

4.〇 正しい。約130(dB)は、耳に痛みを感じ始める騒音レベル(デシベル)である。具体的には、ジェットエンジンの近くやロックコンサートのスピーカー付近での音量である。このレベルでは、音波が鼓膜や内耳に物理的な負担をかけるため、痛みを感じることがある。

 

 

 

 

 

9.光化学オキシダントの原因とならないのはどれか。

1.オゾン
2.窒素酸化物
3.浮遊粒子状物質
4.硝酸ペルオキシアセチル

解答1・3・4

解説

光化学オキシダントとは?

光化学オキシダントとは、大気汚染物質である窒素酸化物と炭化水素類が太陽光(紫外線)エネルギーに反応して発生するもので、光化学スモッグを引き起こす。発生源は、窒素酸化物、炭化水素類が太陽光の紫外線の作用による二次的汚染物質として発生する。その主成分はオゾンである。

1.〇 正しい。オゾンは、光化学オキシダントの原因とならない。光化学オキシダントの主成分がオゾンである。ちなみに、オゾンとは、酸素原子(O)が3つ結合した気体である。

2.× 窒素酸化物は、光化学オキシダントの原因物質である。窒素酸化物とは、物が高い温度で燃えたときに、空気中の窒素(N)と酸素(O2)が結びついて発生する、一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO2)などのことをいう。

3.〇 正しい。浮遊粒子状物質は、光化学オキシダントの原因とならない。浮遊粒子状物質とは、大気中にして存在する粒径10μm以下の粒子のことをさす。人為起源と自然起源の物が混在しており、発生源から直接的に排出された粒子と、ガス状物質が大気中で粒子化した二次生成粒子がある。浮遊粒子状物質は視程の低下を招くばかりではなく特に徴粒子は、ガス状の大気汚染物質と共存することにより人の健康に悪影を及ぼす(※参考:「大気汚染の定義と汚染物質」環境省HPより)。

4.〇 正しい。硝酸ペルオキシアセチルは、光化学オキシダントの原因とならない。硝酸ペルオキシアセチルとは、光化学スモッグに含まれる二次汚染物質で、光化学スモッグ特有の目の刺激の原因物質である。

大気汚染とは?

【大気汚染の定義】大気中に排出された物質が自然の物理的な拡散・沈着機能や化学的な除去機能、及び生物的な浄化機能を上回って大気中に存在し、その量が自然の状態より増加し、これらが人を含む生態系や物などに直接的、間接的に影響を及ぼすこと。自然一般にある空気組成を変化させる物質は総て広い意味での大気汚染物質である。
【発生源と種類】発生源は①自然起源と②人為起源に分けられる。①自然起源:火山排出物、森林火災、花粉の飛散、砂座・黄砂などの風による地面からの巻き上げ、海塩粒子などの風による海面からの巻き上げ、成層圏から対流闘に沈降するオゾンなどが上げられる。②人為起源:工場や火力発電所、自動車などの化石燃料の燃焼による排出物、生産活動により生成するガスや粒子状物質、廃楽物の処理に伴う粒子状物質や化学物質などが上げられる。
【一次汚染物質】発生源から直接発生する(一酸化炭素、二酸化硫黄、炭化水素、粉塵など)。
【二次汚染物質】環境大気中において化学変化により生成する(二酸化窒素、光化学オゾン、エアロゾルなど)
【ガス状大気汚染物質】①二酸化硫黄、②二酸化窒素、③浮遊粒子状物質、④一酸化炭素、(その他:一酸化窒素、ガス状硝酸、PAN、ガス状フッ素、塩化水素、アンモニア、メチルメルカブタン、硫化水素、硫化メチル、トリメチルアミン、二硫化メチル、アルデヒド、スチレンなど)

(※参考:「大気汚染の定義と汚染物質」環境省HPより)

 

 

 

 

 

10.乳児死亡率を表す式はどれか。

1.(生後1年未満の死亡数の合計)÷(人口)×1000
2.(生後1年未満の死亡数の合計)÷(その年の出生数の合計)×1000
3.(生後1年未満の死亡数の合計)÷(その年の出産数の合計)×1000
4.(死産後の合計)÷(生後1年未満の死亡数の合計)×1000

解答

解説

乳児死亡率とは?

乳児死亡率とは、生後1年未満に死亡した乳児の死亡率のことである。生存期間とは、ある個体が誕生してから死に至るまでの期間のことである。

1.× (生後1年未満の死亡数の合計)÷(人口)×1000
→分母を「人口」にすると、「全人口に対する乳児死亡率」のような指標となる。

2.〇 正しい。(生後1年未満の死亡数の合計)÷(その年の出生数の合計)×1000は、乳児死亡率を表す式である。

3.× (生後1年未満の死亡数の合計)÷(その年の出産数の合計)×1000
→出産数とは、出生数と妊娠満22週以後の死産数合計を指す。双子や三つ子などを1件と数えるため、出生数(生まれた乳児数)と一致しない。

4.× (死産後の合計)÷(生後1年未満の死亡数の合計)×1000
→これは、「1年間に亡くなった乳児(1歳未満)の数に対して、どのくらいの死産が発生しているか」を示す。

「※図引用:「比率の解説」厚生労働省HPより」

 

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