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66.眼疾患と所見との組合せで正しいのはどれか。
1.アレルギー性結膜炎:眼瞼腫脹
2.緑内障:水晶体混濁
3.白内障:ブドウ膜炎
4.角膜炎:眼圧亢進
解答1
解説
1.〇 正しい。アレルギー性結膜炎:眼瞼腫脹
アレルギー性結膜炎とは、アレルギー反応によって結膜に炎症が起こる病気で、目の充血、かゆみ、腫れ、涙目、目やになどの症状が現れる。
2.× 水晶体混濁は、「緑内障」ではなくにみられる。
・緑内障とは、眼圧の上昇や視神経の脆弱性などにより視神経が障害され、視野障害をきたす疾患である。一般的な症状として、①見える範囲が狭くなる、②一部が見えにくくなる、③見えない部分が出現するなどである。病気の種類や進行度合いなどによって薬物療法、レーザー治療、手術などが検討される。一度悪くなった視界・視野の症状は改善されることはないため、早い段階で治療を受けることが大切である。
・白内障とは、水晶体が年齢とともに白く濁って視力が低下する病気である。主な原因は加齢である。他にも、糖尿病や妊娠初期の風疹ウイルス感染などにより生じる。
3.× ブドウ膜炎は、「白内障」ではなくベーチェット病にみられる。
・ブドウ膜炎とは、ぶどう膜に炎症をきたしている状態を指す。ブドウ膜炎は、ベーチェット(Behcet)病で見られる炎症である。Behçet病(ベーチェット病)は、自己免疫疾患である。四徴として、①口腔粘膜のアフタ性潰瘍、②ぶどう膜炎、③皮膚症状(結節性紅斑や皮下硬結)、④外陰部潰瘍である。皮膚症状として、下腿に後発する。発赤や皮下結節を伴う結節性紅斑、圧痛を伴う皮下の遊走性血栓性静脈炎、顔面・頚部・背部などにみられる毛嚢炎様皮疹または痤瘡様皮疹などが出現する。
4.× 眼圧亢進は、「角膜炎」ではなく緑内障にみられる。
・角膜炎とは、角膜に細菌やカビなどが感染して、炎症を起こす病気のことである。角膜の炎症であり、主に痛み、流涙、光過敏、視力低下がみられる。
67.関節リウマチの関節内初期病変部位はどれか。
1.靱帯
2.骨
3.関節軟骨
4.滑膜
解答4
解説
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は7:3前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。
(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)
1~3.× 靱帯/骨/関節軟骨の変形は、初期症状とはいえない。関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。ちなみに、滑膜とは、関節包を覆っている薄い膜状の組織である。骨や関節軟骨への影響(骨びらんや骨破壊)は、滑膜の炎症が進行し、炎症性サイトカインや破骨細胞によって引き起こされる。
4.〇 正しい。滑膜は、関節リウマチの関節内初期病変部位である。免疫の異常により滑膜に炎症が起こり、関節の腫れや痛みなどの症状を引き起こす。これは、滑膜が関節を包む関節包を裏打ちしている薄い膜で、軟骨と共に関節のクッションの役割を担っているため。
68.疾患と牽引方法との組合せで正しいのはどれか。
1.大腿骨骨幹部骨折:直達牽引
2.腰椎椎間板ヘルニア:スピードトラック牽引
3.大腿骨頸部骨折:骨盤牽引
4.筋性斜頸:頸椎牽引
解答1
解説
牽引とは、持続的に引っ張って負荷をかけることで、骨折を整復する治療法である。骨折により転位している骨を持続的に牽引することで、転位を治し整復する。①直達牽引と②介達牽引の2種類がある。①直達牽引とは、骨に直接牽引力を働かせる方法をという。皮膚トラブルは少ないが、鋼線の刺入部周囲の皮下や骨髄内の感染を合併することがあるため、患部の熱感の確認を行う。②介達牽引とは、骨に直接牽引力を加えず、皮膚や筋肉を介して骨に力を加える牽引法である。皮膚に絆創膏や包帯を巻いて牽引を行うため、コンパートメント症候群のほか、褥瘡や皮膚損傷など皮膚科分野の合併症に気を付ける必要がある。ちなみに、介達牽引中の合併症として、①腓骨神経麻痺、②安静による認知能力の低下、③褥瘡、皮膚の傷などの皮膚科分野のトラブル、④関節の拘縮と筋力の低下、⑤循環障害などが挙げられる。
1.〇 正しい。大腿骨骨幹部骨折:直達牽引
なぜなら、大腿骨骨幹部骨折の場合、骨折部位が大きくズレやすく、強い力での整復・保持が必要となることが多いため。
2.× 腰椎椎間板ヘルニアは、「スピードトラック牽引」ではなく骨盤牽引(腰椎牽引)を行う。
・スピードトラック牽引とは、弾性包帯で圧迫固定したスポンジパッドを介した介達牽引である。
・腰椎椎間板ヘルニアに対し、腰椎牽引療法を行うことで各脊椎間の分離ないし間隙の大きさの変化が生じ、症状の軽減を狙える。
3.× 大腿骨頸部骨折は、「骨盤牽引」ではなく直達牽引を行う。
なぜなら、大腿骨頸部骨折の場合、骨折部位が大きくズレやすく、強い力での整復・保持が必要となることが多いため。
4.× 頸椎牽引は、「筋性斜頸」ではなく変形性頸椎症、頚椎症性神経根症、頚椎椎間板ヘルニア、 頚椎脊柱管狭窄症に対し実施する。
・筋性斜頸とは、胸鎖乳突筋が硬くなることで首が傾いたり、首にしこりがあったりする病気である。治療は、理学療法(ストレッチやマッサージ)や装具、手術などである。
椎間板は、外縁部分を構成する線維輪という靱帯様の構造物と、中心部に含まれる軟らかい髄核という構造物から成り立っているが、外縁部分の椎間板の線維輪が弱くなって膨隆したり、線維輪が断裂して中心部の髄核が脱出したりすると、近傍にある神経を圧迫している状態のことを腰椎椎間板ヘルニアという。L4/5とL5/S1が好発部位である。
L3‒L4間(支配神経根L4):膝蓋腱反射低下、大腿~下腿内側の感覚麻痺、大腿四頭筋力低下。
L4‒L5間(支配神経根L5):下腿外側~母趾の感覚麻痺、前脛骨筋、長母指伸筋、長趾伸筋の筋力低下。
L5‒S1間(支配神経根S1):アキレス腱反射低下、足部尺側側の感覚麻痺、下腿三頭筋、長母指屈筋、長趾屈筋の筋力低下。
69.L4-L5椎間板ヘルニアについて正しい記述はどれか。
1.下肢症状は両側性に出現することが多い。
2.好発年齢は60歳代である。
3.下肢伸展挙上テストは陽性である。
4.膝蓋腱反射が減弱する。
解答3
解説
椎間板は、外縁部分を構成する線維輪という靱帯様の構造物と、中心部に含まれる軟らかい髄核という構造物から成り立っているが、外縁部分の椎間板の線維輪が弱くなって膨隆したり、線維輪が断裂して中心部の髄核が脱出したりすると、近傍にある神経を圧迫している状態のことを腰椎椎間板ヘルニアという。L4/5とL5/S1が好発部位である。
L3‒L4間(支配神経根L4):膝蓋腱反射低下、大腿~下腿内側の感覚麻痺、大腿四頭筋力低下。
L4‒L5間(支配神経根L5):下腿外側~母趾の感覚麻痺、前脛骨筋、長母指伸筋、長趾伸筋の筋力低下。
L5‒S1間(支配神経根S1):アキレス腱反射低下、足部尺側側の感覚麻痺、下腿三頭筋、長母指屈筋、長趾屈筋の筋力低下。
1.× 下肢症状は、「両側性」ではなく片側性に出現することが多い。なぜなら、腰椎椎間板ヘルニアは、髄核がどちらか片方へ逸脱し、近傍にある神経を圧迫するため。
2.× 好発年齢は、「60歳代」ではなく20~40歳代である。なぜなら、椎間板に柔軟性があり、繰り返しの負荷による損傷が起こりやすいため。一方、60歳代では椎間板の変性が進み、椎間板ヘルニアよりも脊柱管狭窄症が多くみられる。
3.〇 正しい。下肢伸展挙上テストは陽性である。SLRテスト(下肢伸展挙上テスト)は、脊髄後根で圧迫を受ける疾患(坐骨神経痛、椎間板ヘルニアなど)の有無、ハムストリングス損傷や短縮をみる。背臥位で、下肢を挙上し痛みが生じたら陽性である。
4.× 膝蓋腱反射が減弱するのは、「L3‒L4間(支配神経根L4)」である。
70.肺気腫について正しい記述はどれか。
1.肺胞の胞隔に線維化をきたす。
2.CO2ナルコーシスをきたす。
3.呼気は短縮する。
4.肺機能検査で残気量が減少する。
解答2
解説
肺気腫は、終末気管支より末梢の気腔が異常に拡大し、肺胞壁の破壊を伴うが、明らかな線維化は認められない状態のことである。慢性閉塞性換気障害を呈する。ちなみに、閉塞性換気障害では何らかの原因により気道が閉塞して気流が制限され、呼気が障害される。
1.× 肺胞の胞隔に線維化をきたすのは、「間質性肺炎(肺線維症)」である。肺線維症とは、肺胞の周りの間質の壁が炎症により厚くなり、線維化している状態のこと。原因としては、職業上の粉塵吸入やペット飼育などの住環境、薬剤や健康食品(薬剤性肺障害)、関節リウマチ他の膠原病などさまざまなものが考えられる。
2.〇 正しい。CO2ナルコーシスをきたす。肺気腫では、肺胞壁の破壊によるガス交換効率の低下により、高炭酸ガス血症(高CO2血症)が進行するため。CO2ナルコーシスとは、高CO2血症によって中枢神経系の異常をきたした状態である。CO2ナルコーシスは、主に慢性閉塞性肺疾患に起こりやすい。
3.× 呼気は、「短縮」ではなく延長する。なぜなら、肺気腫では、肺の弾性収縮力の低下によって、呼気が十分に行われないため。
4.× 肺機能検査で残気量が「減少」ではなく増加する。なぜなら、肺気腫では、肺の過膨張によるため。特に、呼気が不完全になるため、残気量の増加する。残気量とは、最大に呼出させた後、なおも肺内に残っている空気量のことをいう。
慢性閉塞性肺疾患の患者は、慢性的に血中CO2濃度が上昇しており、体内のCO2濃度を感知する中枢化学受容体での感受性が鈍くなっている。したがって、普段の呼吸運動は低酸素を感知している酸素の受容体(末梢化学受容体)からの刺激によって起こっている。しかし、高濃度の酸素を投与されると酸素の受容体は体内に酸素が十分にあると判断し、呼吸中枢を抑制して呼吸運動が減弱する。その結果、体内に高度のCO2蓄積が起こり、意識障害などの中枢神経症状が起こる。
(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)
混合性換気障害:肺気腫など
拘束性換気障害:肺結核、肺線維症など
閉塞性換気障害:気管支喘息、気管支拡張症など