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131.次の文で示す患者の病態に対し、罹患局所への施術対象となる神経根で最も適切なのはどれか。
「35歳の男性。腰椎椎間板ヘルニアを発症し、腰下肢痛がある。患側では長母指屈筋の筋力低下、足底部に知覚鈍麻がみられる。アキレス腱反射は減弱。」
1.L3神経根
2.L4神経根
3.L5神経根
4.S1神経根
解答4
解説
・35歳の男性(腰椎椎間板ヘルニア)。
・腰下肢痛がある。
・患側では長母指屈筋の筋力低下、足底部に知覚鈍麻。
・アキレス腱反射は減弱。
→椎間板は、外縁部分を構成する線維輪という靱帯様の構造物と、中心部に含まれる軟らかい髄核という構造物から成り立っているが、外縁部分の椎間板の線維輪が弱くなって膨隆したり、線維輪が断裂して中心部の髄核が脱出したりすると、近傍にある神経を圧迫している状態のことを腰椎椎間板ヘルニアという。L4/5とL5/S1が好発部位である。
L3‒L4間(支配神経根L4):膝蓋腱反射低下、大腿~下腿内側の感覚麻痺、大腿四頭筋力低下。
L4‒L5間(支配神経根L5):下腿外側~母趾の感覚麻痺、前脛骨筋、長母指伸筋、長趾伸筋の筋力低下。
L5‒S1間(支配神経根S1):アキレス腱反射低下、足部尺側側の感覚麻痺、下腿三頭筋、長母指屈筋、長趾屈筋の筋力低下。
1.× L3神経根の症状
・L2‒L3間(支配神経根L3):大腿前面の感覚麻痺、大腿四頭筋力低下。
2.× L4神経根の症状
・L3‒L4間(支配神経根L4):膝蓋腱反射低下、大腿~下腿内側の感覚麻痺、大腿四頭筋力低下。
3.× L5神経根の症状
・L4‒L5間(支配神経根L5):下腿外側~母趾の感覚麻痺、前脛骨筋、長母指伸筋、長趾伸筋の筋力低下。
4.〇 正しい。S1神経根は、この患者の病態に対し、罹患局所への施術対象となる神経根である。
・L5‒S1間(支配神経根S1):アキレス腱反射低下、足部尺側側の感覚麻痺、下腿三頭筋、長母指屈筋、長趾屈筋の筋力低下。
132.鵞足を構成する筋の緊張を取るのに最も適切な治療穴はどれか。
1.陰包
2.梁丘
3.委中
4.血海
解答1
解説
鵞足とは、薄筋・縫工筋・半腱様筋がついている部位のことを指す。
1.〇 正しい。陰包は、鵞足を構成する筋の緊張を取る治療穴である。陰包は、大腿部内側、薄筋と縫工筋の間、膝蓋骨底の上方4寸に位置する。
2.× 梁丘は、大腿前外側、外側広筋と大腿直筋腱外縁の間、膝蓋骨底の上方2寸に位置する。
3.× 委中は、膝後面、膝窩横紋の中点に位置する。深部に脛骨神経が通る。
4.× 血海は、大腿前内側、内側広筋隆起部、膝蓋骨底内端の上方2寸に位置する。
133.「28歳の女性。日頃から便秘気味だが月経後に症状はひどくなる。便意はあるが排便困難で、便が少し出るだけである。顔や唇、爪の血色は悪く、倦怠感やめまいがする。脈は細。」
この患者の舌所見として最も考えられるのはどれか。
1.淡白舌
2.淡紅舌
3.紅舌
4.紫舌
解答1
解説
・28歳の女性。
・日頃から便秘気味(月経後に悪化)。
・便意はあるが排便困難、便が少し出る。
・顔や唇、爪の血色は悪く、倦怠感やめまい。
・脈は細。
→本症例は、気血虚が疑われる。気血虚とは、気虚(気の不足)と血虚(血の不足)が同時に起こる病証である。血虚は、眩暈、顔面蒼白、動悸、不眠、健忘、目のかすみ、しびれ、痙攣、月経痛、経少、経色淡白、視力減退、爪の変形などである。
1.〇 正しい。淡白舌は、この患者の舌所見である。淡白舌は、気血不足、寒証の舌象である。
2.× 淡紅舌は、正常・表証(外感病の初期)の舌象である。
3.× 紅舌は、実熱・陰虚による熱証の舌象である。
4.× 紫舌は、血瘀の舌象である。
淡紅:正常、表証(外感病の初期)
淡白:気血不足、寒証
紅・絳:実熱、陰虚による熱証
青:実寒、陽虚(寒凝血瘀の重症)
紫(暗):血瘀 ※淡暗は気虚血瘀、暗紅は熱証、青紫は寒証、瘀斑・瘀点は血
134.「28歳の女性。日頃から便秘気味だが月経後に症状はひどくなる。便意はあるが排便困難で、便が少し出るだけである。顔や唇、爪の血色は悪く、倦怠感やめまいがする。脈は細。」
この患者の病証に対する治療方針として最も考えられるのはどれか。
1.虚熱を除く。
2.痰濁を除く。
3.気血を補う。
4.津液を補う。
解答3
解説
・28歳の女性。
・日頃から便秘気味(月経後に悪化)。
・便意はあるが排便困難、便が少し出る。
・顔や唇、爪の血色は悪く、倦怠感やめまい。
・脈は細。
→本症例は、気血虚が疑われる。気血虚とは、気虚(気の不足)と血虚(血の不足)が同時に起こる病証である。血虚は、眩暈、顔面蒼白、動悸、不眠、健忘、目のかすみ、しびれ、痙攣、月経痛、経少、経色淡白、視力減退、爪の変形などである。
1.× 虚熱を除く。
これは、陰虚・熱証に対して行う。
2.× 痰濁を除く。
これは、痰濁に対して行う。
3.〇 正しい。気血を補う。
これは、気血虚に対して行う。
4.× 津液を補う。
これは、津液不足に対して行う。
淡紅:正常、表証(外感病の初期)
淡白:気血不足、寒証
紅・絳:実熱、陰虚による熱証
青:実寒、陽虚(寒凝血瘀の重症)
紫(暗):血瘀 ※淡暗は気虚血瘀、暗紅は熱証、青紫は寒証、瘀斑・瘀点は血
135.「50歳の男性。長年、バドミントンを続けているが、最近バックハンド時に肘に痛みを自覚する。局所の熱感・腫脹はないが、筋の過緊張と圧痛がみられる。」
病態の確認を目的として行う理学検査で最も適切なのはどれか。
1.イートンテスト
2.ライトテスト
3.スピードテスト
4.トムゼンテスト
解答4
解説
・50歳の男性。
・長年、バドミントンを続けているが、最近バックハンド時に肘に痛みを自覚する。
・局所の熱感・腫脹はないが、筋の過緊張と圧痛がみられる。
→本症例は、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)が疑われる。一般的に多くのテニス肘は、上腕骨外側上顆炎ともいい、手首を伸ばす筋肉に炎症が起こる病気である。はっきりした原因は不明であるが、主に手首を伸ばす筋肉に負担がかかることが関係していると考えられている。主な症状は、肘の外側から前腕の辺りに痛みである。
1.× イートンテストは、頸椎の椎間関節症や頸椎症性神経根症を調べる検査である。患者は座位で、検査者が頸部を健側に側屈させる。側屈した側の逆の手関節を握り、後下外方へ引く。 患側上肢,特に手指に放散痛がある場合、頸椎症性神経根症を疑う。
2.× ライトテストは、胸郭出口症候群の検査である。方法は、座位で両側上肢を挙上(肩関節を外転90°、外旋90°、肘関節90°屈曲)させると、橈骨動脈の脈拍が減弱する。
3.× スピードテストは、上腕二頭筋長頭腱の炎症の有無をみる。結節間溝部に痛みがあれば陽性である。【方法】被検者:座位で、上肢を下垂・肩関節外旋位から、上肢を前方挙上(肩関節屈曲)してもらう。検者:肩部と前腕遠位部を把持し、上肢に抵抗をかける。
4.〇 正しい。トムゼンテストは、病態の確認を目的として行う理学検査である。Thomsen(トムセン)テストの陽性は、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)を疑う。方法は、握りこぶしにして手関節を背屈させ、検者が掌屈させようとする。