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136.「50歳の男性。長年、バドミントンを続けているが、最近バックハンド時に肘に痛みを自覚する。局所の熱感・腫脹はないが、筋の過緊張と圧痛がみられる。」
罹患部への治療穴として適切なのはどれか。
1.尺沢
2.曲沢
3.支正
4.手三里
解答4
解説
・50歳の男性。
・長年、バドミントンを続けているが、最近バックハンド時に肘に痛みを自覚する。
・局所の熱感・腫脹はないが、筋の過緊張と圧痛がみられる。
→本症例は、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)が疑われる。一般的に多くのテニス肘は、上腕骨外側上顆炎ともいい、手首を伸ばす筋肉に炎症が起こる病気である。はっきりした原因は不明であるが、主に手首を伸ばす筋肉に負担がかかることが関係していると考えられている。主な症状は、肘の外側から前腕の辺りに痛みである。
1.× 尺沢は、肘前部、肘高横紋上、上腕二頭筋腱外方の陥凹部に位置する。
2.× 曲沢は、肘前面、肘窩横紋上、上腕二頭筋腱内方の陥凹部に位置する。上腕動脈拍動部で、尺沢(肺経)と少海(心経)とのほぼ中点にあたる。
3.× 支正は、前腕後内側、尺骨内縁と尺側手根屈筋の間、手関節背側横紋の上方5寸に位置する。
4.〇 正しい。手三里は、罹患部への治療穴である。手三里は、前腕後外側、陽渓と曲池を結ぶ線上、肘窓横紋の下方2寸に位置する。
137.「23歳の女性。主訴は月経痛。下腹部の脹ったような痛みで月経血に血塊がみられる。下腹部を押すと痛みが増強。舌診では淡白舌、舌苔剥離、脈診では弦脈を呈した。」
病証に基づく治療方針として最も適切なのはどれか。
1.肝気の不足を補う。
2.肝血の不足を補う。
3.肝気の滞りを除く。
4.肝陽の上亢を抑える。
解答3
解説
・23歳の女性(主訴:月経痛)。
・下腹部の脹ったような痛みで月経血に血塊がみられる。
・下腹部を押すと痛みが増強。
・舌診では淡白舌、舌苔剥離、脈診では弦脈。
→本症例は、瘀血(肝気鬱結)が疑われる。ちなみに、瘀血とは、血液が汚れたり、滞ったり、固まりやすくなった状態のことである。瘀血になると、血の流れが悪くなり、全身に栄養が行き渡らなくなるため、さまざまな症状が現れやすくなる。
→少腹急結とは、下腹部(特に左)に抵抗感や硬結のあるものである。瘀血の腹証。
1.× 肝気の不足を補う。
これは、肝気虚に行う。気虚は、倦怠感、無力感、眩暈、息切れ、懶言、自汗、易感冒などの症状がみられる状態である。
2.× 肝血の不足を補う。
これは、肝血虚に行う。肝血虚は、目乾、目花、転筋、しびれ、不眠、多夢、脈細、舌質淡白などがあげられる。
3.〇 正しい。肝気の滞りを除く。肝気鬱結とは、精神的ストレスによる症状をさす。気の巡りが悪く、イライラ、憂うつ、胸脇部の張り、ため息などの症状を呈する。女性では、生理時に乳房が張って痛む、生理痛、生理不順などの症状もみられる。
4.× 肝陽の上亢を抑える。
これは、肝陽上亢に用いられる。肝陽上亢とは、眩暈、耳鳴、頭痛、目赤、陰虚によるほてり・のぼせ、腰膝酸軟などである。
138.「23歳の女性。主訴は月経痛。下腹部の脹ったような痛みで月経血に血塊がみられる。下腹部を押すと痛みが増強。舌診では淡白舌、舌苔剥離、脈診では弦脈を呈した。」
月経痛の痛み治療としてゲートコントロール理論に基づく鍼通電療法で適切な組合せはどれか。
1.次髎:下髎
2.腎兪:大腸兪
3.脾兪:三焦兪
4.膈兪:肝兪
解答3
解説
・23歳の女性(主訴:月経痛)。
・下腹部の脹ったような痛みで月経血に血塊がみられる。
・下腹部を押すと痛みが増強。
・舌診では淡白舌、舌苔剥離、脈診では弦脈。
→月経痛の痛み(子宮支配:Th10~L2)に対応した部位を選択しよう。
1.× 次髎:下髎
・次髎は、仙骨部、第2後仙骨孔に位置する。
・下髎は、仙骨部、第4後仙骨孔に位置する。腰兪(督脈)の外方にあたる。
2.× 腎兪:大腸兪
・腎兪は、腰部、第2腰椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。
・大腸兪は、腰部、第4腰椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。
3.〇 正しい。脾兪:三焦兪は、月経痛の痛み(子宮支配:Th10~L2)に対応している。
・脾兪は、上背部、第11胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。
・三焦兪は、腰部、第1腰椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。
4.× 膈兪:肝兪
・膈兪は、上背部、第7胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。
・肝兪は、上背部、第9胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。
ゲートコントロール理論とは、高頻度刺激によって、脊髄の触・圧・振動覚などの低閾値感覚を伝える太い神経線維を刺激することで、脊髄後角の感覚神経を活性化させ、痛みの信号通路のゲートを閉ざし疼痛を抑制させる理論である。脳と脊髄は痛みやその他の接触刺激などを同時に感じ取らないように働いているため、このような理論が提唱されている。
139.「53歳の女性。クッキーを食べたとき唾液の分泌が悪いのに気付いた。最近は涙の分泌も悪く眼球乾燥もある。シルマー試験は陽性で、免疫血清検査の抗Ro/SS-A抗体、抗La/SS-B抗体も陽性であった。」
最も考えられる疾患はどれか。
1.ベーチェット病
2.全身性硬化症
3.全身性エリテマトーデス
4.原発性シェーグレン症候群
解答4
解説
・53歳の女性。
・クッキーを食べたとき唾液の分泌が悪い。
・最近:涙の分泌も悪く眼球乾燥もある。
・シルマー試験:陽性。
・免疫血清検査の抗Ro/SS-A抗体、抗La/SS-B抗体も陽性。
→シルマー試験とは、涙の分泌量を測定し、涙液分泌機能の適正を調べる検査である。ドライアイ、結膜弛緩症、シェーグレン症候群などの診断に用いる。
→抗SS-A(/Ro)抗体と抗SS-B(/La)抗体のSSは、シェーグレン症候群の名称に由来し、両抗体はともにシェーグレン症候群の診断に有用な検査である。抗SS-A抗体はシェーグレン症候群の70~90%と最も高頻度に検出されるが、疾患特異性は高くなく、全身性エリテマトーデスや強皮症、混合性結合組織病、関節リウマチなど他の膠原病でも広く陽性となる。一方、抗SS-B抗体はシェーグレン症候群の30~40%に検出され、特異性が高く、抗SS-B抗体陽性の場合、抗SS-A抗体も同時に陽性となる。
1.× ベーチェット病とは、自己免疫疾患で、四徴として、①口腔粘膜のアフタ性潰瘍、②ぶどう膜炎、③皮膚症状(結節性紅斑や皮下硬結)、④外陰部潰瘍である。皮膚症状として、下腿に後発する。発赤や皮下結節を伴う結節性紅斑、圧痛を伴う皮下の遊走性血栓性静脈炎、顔面・頚部・背部などにみられる毛嚢炎様皮疹または痤瘡様皮疹などが出現する。
2.× 全身性硬化症とは、強皮症ともいい、全身性の結合組織病変で、手指より始まる皮膚の硬化病変に加え、肺線維症などの諸臓器の病変を伴う。病因は不明であり、中年女性に多い。症状は、仮面様顔貌、色素沈着、ソーセージ様手指、Raynaud現象(レイノー現象)、嚥下障害、間質性肺炎、関節炎、腎クリーゼなどがある。
3.× 全身性エリテマトーデスとは、皮膚・関節・神経・腎臓など多くの臓器症状を伴う自己免疫性疾患である。皮膚症状は顔面の環形紅斑、口腔潰瘍、手指の凍瘡様皮疹である。10~30歳代の女性に好発する多臓器に障害がみられる慢性炎症性疾患であり、寛解と再燃を繰り返す病態を持つ。遺伝的素因を背景にウイルス感染などが誘因となり、抗核抗体などの自己抗体産生をはじめとする免疫異常で起こると考えられている。本症の早期診断、早期治療が可能となった現在、本症の予後は著しく改善し、5年生存率は95%以上となった。主な治療法として、①非ステロイド系消炎鎮痛剤、②ステロイド剤などである。診断基準として、顔面紅斑、円板状皮疹、光線過敏症、口腔内潰瘍、抗核抗体陽性など4項目以上満たすと全身性エリテマトーデス(SLE)を疑う。
4.〇 正しい。原発性シェーグレン症候群は、最も考えられる疾患である。シェーグレン症候群(Sjögren症候群)は、涙腺・唾液腺などの外分泌腺炎を特徴とする自己免疫疾患である。男女比(1:9)で女性に多い(特に、40歳代の中年女性)。唾液腺・涙腺の慢性炎症が生じる膠原病で、乾性角結膜炎(ドライアイ)、口腔乾燥(ドライマウス)を主症状とする。皮膚症状は環状紅斑など多彩であるが、全身の紅斑・水庖は生じない。これらの乾燥症状に対し、人工涙液点眼や水分摂取といった対症療法を行う。
140.「53歳の女性。クッキーを食べたとき唾液の分泌が悪いのに気付いた。最近は涙の分泌も悪く眼球乾燥もある。シルマー試験は陽性で、免疫血清検査の抗Ro/SS-A抗体、抗La/SS-B抗体も陽性であった。」
唾液、涙の分泌改善を目的に支配神経の近傍に刺鍼を行う場合、適切な経穴はどれか。
1.天柱
2.翳風
3.風池
4.秉風
解答2
解説
・53歳の女性。
・クッキーを食べたとき唾液の分泌が悪い。
・最近:涙の分泌も悪く眼球乾燥もある。
・シルマー試験:陽性。
・免疫血清検査の抗Ro/SS-A抗体、抗La/SS-B抗体も陽性。
→本症例は、原発性シェーグレン症候群が疑われる。シェーグレン症候群(Sjögren症候群)は、涙腺・唾液腺などの外分泌腺炎を特徴とする自己免疫疾患である。男女比(1:9)で女性に多い(特に、40歳代の中年女性)。唾液腺・涙腺の慢性炎症が生じる膠原病で、乾性角結膜炎(ドライアイ)、口腔乾燥(ドライマウス)を主症状とする。皮膚症状は環状紅斑など多彩であるが、全身の紅斑・水庖は生じない。これらの乾燥症状に対し、人工涙液点眼や水分摂取といった対症療法を行う。
1.× 天柱は、後頸部、第2頸椎棘突起上縁と同じ高さ、僧帽筋外縁の陥凹部に位置する。
2.〇 正しい。翳風は、唾液、涙の分泌改善を目的に支配神経の近傍に刺鍼を行う場合の経穴である。なぜなら、唾液の分泌を促すために、唾液腺を刺激することが望ましいため。唾液腺は耳下腺・舌下腺・顎下腺の3つであり、いずれも副交感神経と交感神経の二重支配を受けている。
・翳風は、前頸部、耳垂後方、乳様突起下端前方の陥凹部に位置する。
3.× 風池は、前頸部、後頭骨の下方、胸鎖乳突筋と僧帽筋の起始部の間、陥凹部に位置する。深部に椎骨動脈が通る。
4.× 秉風は、肩甲部、棘上窩、肩甲棘中点の上方に位置する。