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156.温灸刺激について正しい記述はどれか。
1.受容器はマイスナー小体である。
2.順応しにくい。
3.Aβ線維により伝達される。
4.フレアーを生じる。
解答4
解説
1.× 受容器は、「マイスナー小体」ではなく自由神経終末である。
・マイスナー小体は、皮膚の感覚受容器で、触覚を感知する。
・自由神経終末は、痛覚・温覚・冷覚などの感覚受容器である。
2.× 順応しにくいと断言できない。なぜなら、痛覚に対し順応は起こらないため。また、順応は、温覚よりも冷覚のほうが遅く、感覚点の数も多いことから、生体にとって温刺激よりも冷刺激のほうが危険であることが分かる。ちなみに、順応とは、ある刺激に慣れることで、順応速度が速いということはその刺激にすぐ慣れて感じにくくなること、順応速度が遅いということはその刺激になかなか慣れずに敏感な状態が続くということである。生体にとって危険な刺激に対する感覚ほど順応は遅い(敏感な状態が続く)と考えてよい。
3.× 「Aβ線維」ではなくC線維(Aδ線維)により伝達される。Aβ線維は、主に触覚や圧覚に関与する有髄線維である。
4.〇 正しい。フレアーを生じる。フレア現象とは、お灸の熱刺激によって細胞レベルで微細な火傷が起こり、神経から脳に「ここにケガがあるから治すために血液を送ってください」と連絡が入ることで起こる軸索反射のこと。軸索反射とは、末梢神経の軸索上で起こる反射様現象である。神経末端に生じた興奮が神経の分枝に沿って逆行性に伝播する現象のことをさす。したがって、鋮刺激によりポリモーダル受容器が興奮すると、軸索反射によって受容器末端から神経伝達物質が放出され、コリン作動性神経の末梢血管に働いて(血管拡張(フレア)、膨疹(浮腫))が生じる。※神経伝達物質には(CGRP、サブスタンスP)が考えられている。
157.知熱灸の熱刺激の伝達に関係するのはどれか。
1.錐体路
2.外側脊髄視床路
3.腹側脊髄視床路
4.後索路
解答2
解説
1.× 錐体路は、運動機能(特に、随意運動)を制御する経路である。大脳皮質運動野―放線冠―内包後脚―大脳脚―延髄―錐体交叉―脊髄前角細胞という経路をたどる。障害されることで片麻痺などの症状をきたす。
2.〇 正しい。外側脊髄視床路は、知熱灸の熱刺激の伝達に関係する。
外側脊髄視床路(温痛覚・粗大触圧覚)は、感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野である。
3.× 腹側脊髄視床路(前脊髄視床路:粗大な触覚・圧覚)は、感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄前索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野である。
4.× 後索路(深部感覚)は、脊髄後角から同側の後索を通り、延髄でニューロンを換え、左右交差し、内側毛帯を通り、視床という経路となる。
158.血管の透過性亢進作用をもつ物質はどれか。
1.セロトニン
2.血管作動性腸ペプチド
3.カルシトニン遺伝子関連ペプチド
4.サブスタンスP
解答1・3・4
解説
1.〇 正しい。セロトニンは、血管の透過性亢進作用をもつ物質である。セロトニンとは、うつ病と関連が深い神経伝達物質である。脳内だけに分泌される神経伝達物質で、交感神経を刺激し、血圧を上昇させる作用がある。ノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑え、心のバランスを整える作用のある伝達物質でもある。
2.× 血管作動性腸ペプチドは、鍼刺激による筋血流の増加に直接関与する。血管作動性腸ペプチド(VIP)は、28のアミノ酸残基で構成されるペプチドホルモンである。消化管、膵臓、脳の視床下部の視交叉上核を含む人体内の多数の場所で作られる。血管を広げ、血液の流れる量を増やす作用を持つ。消化管組織に広く存在し、胃酸の分泌を抑制し、腸液の分泌を促進する。他にも、小腸から水と電解質の分泌を促進するなどの作用がある。
3.〇 正しい。カルシトニン遺伝子関連ペプチドは、血管の透過性亢進作用をもつ物質である。CGRPとは、カルシトニン遺伝子関連ペプチドのことで、片頭痛の痛みの直接の原因とされているタンパク質である。脊髄後根神経節で産生され、中枢および末梢の両側性に作用する。末梢血管を著しく拡張させ、血管透過性を亢進させる働きを持つ。軸索反射(フレア現象)の神経伝達物質には(CGRP、サブスタンスP)が考えられている。
4.〇 正しい。サブスタンスPは、血管の透過性亢進作用をもつ物質である。サブスタンスPとは、ポリモーダル受容器の興奮で生じる軸索反射により、受容器末端から放出される。軸索反射(フレア現象)の神経伝達物質には(CGRP、サブスタンスP)が考えられている。CGRPとは、カルシトニン遺伝子関連ペプチドのことで、片頭痛の痛みの直接の原因とされているタンパク質である。脊髄後根神経節で産生され、中枢および末梢の両側性に作用する。末梢血管を著しく拡張させ、血管透過性を亢進させる働きを持つ。
ケミカルメディエーターとは、化学伝達物質ともいい、細胞間の情報伝達に作用する化学物質のことである。肥満細胞が放出するケミカルメディエーターは、さまざまなアレルギー反応(血管透過性の亢進、血流の増加、炎症細胞の遊走など)を起こす。
【例】
・ヒスタミン
・ロイコトリエン
・トロンボキサン
・血症板活性化因子
・セロトニン
・ヘパリンなど。
159.施灸時に血圧上昇をきたす反射の遠心路はどれか。
1.感覚神経
2.運動神経
3.交感神経
4.副交感神経
解答3
解説
1.× 感覚神経は、刺激を受容して中枢神経系に伝達する求心路であるため、遠心路の働きはない。
2.× 運動神経は、骨格筋の収縮を制御するための遠心路である。
3.〇 正しい。交感神経は、施灸時に血圧上昇をきたす反射の遠心路である。交感神経は、自律神経系の一部であり、血管の収縮や心拍数の増加を引き起こすことで血圧を上昇させる。交感神経が活性化し、心臓や血管に作用する。
4.× 副交感神経は、施灸時に血圧下降をきたす反射の遠心路である。副交感神経は、心拍数の減少や血管拡張などを促すことで血圧を低下させる作用を持つ。
160.出力の一部を入力部に戻すことで自動制御を行うという学説はどれか。
1.サイバネティクス
2.ストレス学説
3.ホメオスタシス
4.レイリー現象
解答1
解説
1.〇 正しい。サイバネティクスは、出力の一部を入力部に戻すことで自動制御を行うという学説である。サイバネティクスとは、ノーバート・ウィーナーによって提唱された学問分野で、フィードバックを用いた制御や通信の仕組みの研究に関する分野である。出力の一部を入力部に戻し、自動制御を行うシステムの基本概念を示す。
2.× ストレス学説とは、ストレスに対する適応症候群(防御反応)である。発生機序として、ストレスが人体に加わると適応ホルモンとして脳の下垂体から副腎に副腎皮質刺激ホルモンが分泌され、さらに副腎は副腎皮質ホルモンを分泌して人体を保護する。人体にストレス刺激が加わりストレス状態が続くと、副腎皮質が肥大する。第1期(警告反応期)→第2期(抵抗期)→第3期(疲憊期)という過程をたどる。
3.× ホメオスタシスとは、外界がたえず変化していたとしても、体内の状態(体温・血液量・血液成分など)を一定に維持できる能力のことある。 例えば、体温が下がると鳥肌になり体温の低下を防いだり、体を震えさせて強制的に運動を起こして体温を上げるなどをさす。
4.× レイリー現象とは、過剰刺激症候群ともいい、自律神経系に直接くわえられる過剰刺激が反射性に障害を起こすことである。 自律神経に直接的・局所的な過剰刺激が加わると血管運動障害が起こり、次第に内分泌機能も影響を受けて全身的な各種徴候をきたす。二次的にその栄養臓器、あるいは遠隔臓器に種々の程度の障害が生じる。その病変は様々だが、充血・浮腫・白血球の遊走・出血・壊死などの血管運動障害が起こる。