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56.徒手検査と検査対象との組合せで正しいのはどれか。
1.ヤーガソンテスト:上腕三頭筋腱
2.K・ボンネットテスト:大腿神経
3.パトリックテスト:股関節
4.ラックマンテスト:膝後十字靭帯
解答3
解説
上腕二頭筋腱炎(上腕二頭筋長頭炎)は、上腕二頭筋長頭腱が、上腕骨の大結節と小結節の間の結節間溝を通過するところで炎症が起こっている状態のことである。腱炎・腱鞘炎・不全損傷などの状態で肩の運動時に痛みが生じる。Speedテスト(スピードテスト)・Yergasonテスト(ヤーガソンテスト)で、上腕骨結節間溝部に疼痛が誘発される。治療は保存的治療やステロイド局所注射となる。
1.× ヤーガソンテストは、「上腕三頭筋腱」ではなく上腕二頭筋腱炎である。方法は、患者の肘90°屈曲させ、検者は一側の手で肘を固定して、他方の手で患側手首を持つ。次に患者にその前腕を外旋・回外するように指示し、検者はそれに抵抗を加える。
2.× K・ボンネットテストは、「大腿神経」ではなく坐骨神経痛である。Kボンネットテストとは、坐骨神経痛(梨状筋症候群)の診断に使用される誘発テストである。やり方は、背臥位の被検者は、検査側の膝関節屈曲位にて、対側の脚の上に乗せる(梨状筋に伸展ストレスを加える)。殿部から太ももにかけて、放散痛が出た場合は陽性である。
3.〇 正しい。パトリックテスト:股関節
Patrickテスト(パトリックテスト)は、股関節の炎症や痛みのテストである。背臥位で評価側の足背を反対側の膝蓋骨に載せ、評価側の膝を床へ押さえる。鼠径部に痛みが出れば陽性である。
4.× ラックマンテストは、「膝後十字靭帯」ではなく膝前十字靱帯である。Lachmanテスト(ラックマンテスト)は、背臥位で膝関節を20~30度屈曲させて、下腿部近位端を斜め前方へ引き出す。陽性の場合、脛骨は止まることなく前方に出てくる。
57.リンパ節の圧痛がよくみられるのはどれか。
1.悪性リンパ腫
2.白血病
3.伝染性単核球症
4.化膿性リンパ節炎
解答4
解説
1.× 悪性リンパ腫とは、血液細胞(血液中に存在する細胞)の中のリンパ球ががん化する病気である。一般的に、首や腋(わき)の下、脚の付け根などにあるリンパ節にしこりが生じる。進行した場合の症状として、発熱、体重減少、寝汗をかきやすくなるなどである。悪性リンパ腫はがん細胞の形や性質などによって70以上もの種類に分類されており、それぞれ症状や進行の仕方などの特徴が異なる。そのため、治療方針もさまざまである。治療では、放射線治療や薬物療法、造血幹細胞移植などが行われる。
2.× (急性)白血病とは、骨髄の中にある幼若な血液細胞が癌化して白血病細胞となり骨髄の中で急速に分裂して数を増やす疾患である。白血病細胞が骨髄の中で増えてくる結果、骨髄の本来の機能である造血能が著しく障害される。初期症状として、発熱・貧血・出血傾向・骨痛・倦怠感がみられる。
3.× 伝染性単核球とは、ヘルペスウイルスの一種であるEBウイルス(エプスタイン・バール・ウイルス)などに初感染することが原因で起こる、発熱やリンパ節の腫れなどの症状を起こす急性感染症である。ウイルス感染してから4週間以上の潜伏期間を経てから症状が現れる。1~2歳の乳幼児が発症しても微熱や扁桃腺の腫れなど症状は軽いが、学童期以降に発症すると重症化しやすい。主な症状は高熱や全身の倦怠感・疲労感、喉の腫れ・痛み、全身のリンパ節の腫れと肥大、発疹などである。
4.〇 正しい。化膿性リンパ節炎は、リンパ節の圧痛がよくみられる。リンパ節炎とは、1つまたは複数のリンパ節に感染が起きて生じる病気である。主な症状として、リンパ節に腫れと圧痛がみられる。ときに、感染が起きたリンパ節部分の皮膚が炎症を起こし、赤くなって熱を帯びることもある。蜂窩織炎や膿瘍(内部に膿がたまった空洞)が生じる場合もある。
炎症4徴候として、疼痛や腫脹、発赤、熱感があげられる。基本的に、RICE処置を実施する。RICE処置とは、疼痛を防ぐことを目的に患肢や患部を安静(Rest)にし、氷で冷却(Icing)し、弾性包帯やテーピングで圧迫(Compression)し、患肢を挙上すること(Elevation)である。頭文字をそれぞれ取り、RICE処置といわれる。
58.鉛管現象と関係が深いのはどれか。
1.錐体路
2.脊髄後索
3.大脳基底核
4.小脳
解答3
解説
鉛管様現象陽性は、パーキンソン病でみられる固縮によるものである。四肢の関節を他動的に動かそうとすると強い抵抗がみられるが、その後抵抗が持続するものをいう。ちなみに、抵抗が急激に弱くなるものを折りたたみナイフ現象という。
1.× 錐体路とは、大脳皮質運動野―放線冠―内包後脚―大脳脚―延髄―脊髄交叉―脊髄前角細胞という経路をたどる。障害されることで片麻痺(折りたたみナイフ現象)などの症状をきたす。
2.× 脊髄後索は、深部感覚(位置覚や振動覚)を伝える経路である。【深部感覚(振動覚、位置覚)の伝導路】後根 ⇒ 後索(下肢からの線維は薄束を通って薄束核に終わり、上肢からの線維は楔状束を通って楔状束核に終わる) ⇒ 延髄(後索核) ⇒ 毛帯交叉 ⇒ 内側毛帯 ⇒ 視床後外側腹側核 ⇒ 感覚野である。
3.〇 正しい。大脳基底核は、鉛管現象と関係が深い。大脳基底核は、運動の調節や筋緊張の制御を行う重要な部位である。パーキンソン病では、大脳基底核の黒質の変性により、ドパミン神経が障害される。その結果、筋緊張が一様に高まり、鉛管現象が生じる。ちなみに、大脳基底核とは、①線条体(被殻 + 尾状核)、②淡蒼球、③黒質、④視床下核である。小脳とともにからだの運動をスムーズにする役割がある。
4.× 小脳とは、後頭部の下方に位置し、筋緊張や身体の平衡の情報を処理し運動や姿勢の制御(運動系の統合的な調節)を行っている。小脳は、筋トーヌスと運動の調節に関与している。
・小脳半球(新小脳)は、四肢(特に上肢)の協調運動を司っている(失調性歩行、企図振戦、構音障害など)。失調性歩行は、ワイドベースや酩酊歩行、よろめき歩行ともいう。
・小脳虫部は、体幹と下肢の協調運動、片葉小節葉を含む古小脳は身体のバランス維持と頭頸部の協調運動を司る(主に体幹失調)。
パーキンソン病とは、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。また、自律神経障害による便秘や起立性低血圧、排尿障害、レム睡眠行動障害などが起こる。レム睡眠行動障害とは、レム睡眠の時期に体が動き出してしまう睡眠障害の1つである。 睡眠時随伴症に分類される。
矛盾性運動(逆説的運動)とは、本来難易度が高いはずであるが、スムーズに足が出るといった現象である。すくみ足の症状があっても、床の上の横棒をまたぐことができること、リズムをとったり、視覚的な目標物を踏み越えさせたりすると、本来難易度が高いはずであるが、スムーズに足が出るといった現象である。ちなみに、階段昇降もこれに含まれ、平地歩行に比べて障害されにくい。階段昇降は、歩行の改善、下肢筋力強化の効果も期待される。
59.最も重い意識障害はどれか。
1.昏睡
2.嗜眠
3.昏迷
4.傾眠
解答1
解説
①明識困難状態とは、ごく軽い意識混濁。外界の認知は保たれているが、正常よりやや不活発でぼんやりしている。
②昏蒙とは、軽度の意識混濁。覚醒はしているが、精神活動は浅い眠りに近い状態。外界の認知に混乱が生じ、見当識が障害される。
③傾眠とは、放置すれば眠りに落ちてしまうような状態。刺激されれば容易に覚醒し、短時間なら合目的的な行動もできる。
④嗜眠とは、傾眠よりやや強い意識混濁。強く刺激すれば覚醒し、食事のような合目的的行動も可能。
⑤昏迷とは、中等度の意識混濁。閉眼、横臥し、強い刺激をしなければ覚醒しない。眼球運動も少なくなり失禁がみられる。強い刺激に反応しても発語ははっきりしない。見当識は失われ、健忘が残る。
⑥昏睡とは、重篤な意識混濁。強い刺激に対してもほとんど反応がない。自発運動はなく、深部腱反射・対光反射なども減弱ないし消失する。筋緊張が緩み、失禁状態となる。除脳硬直が起こることもある。呼吸、循環、体温調節などの植物機能にも変化が起こる。
1.〇 正しい。昏睡は、最も重い意識障害である。昏睡とは、重篤な意識混濁。強い刺激に対してもほとんど反応がない。自発運動はなく、深部腱反射・対光反射なども減弱ないし消失する。筋緊張が緩み、失禁状態となる。除脳硬直が起こることもある。呼吸、循環、体温調節などの植物機能にも変化が起こる。
2.× 嗜眠とは、傾眠よりやや強い意識混濁の状態を指す。強く刺激すれば覚醒し、食事のような合目的的行動も可能である。
3.× 昏迷とは、中等度の意識混濁。閉眼、横臥し、強い刺激をしなければ覚醒しない。眼球運動も少なくなり失禁がみられる。強い刺激に反応しても発語ははっきりしない。見当識は失われ、健忘が残る。
4.× 傾眠とは、放置すれば眠りに落ちてしまうような状態。刺激されれば容易に覚醒し、短時間なら合目的的な行動もできる。
60.徴候と疾患との組合せで正しいのはどれか。
1.ティネル徴候陽性:総腓骨神経麻痺
2.ペインフルアーク徴候陽性:胸郭出口症候群
3.トレンデレンブルグ徴候陽性:腰椎椎間板ヘルニア
4.アリス徴候陽性:変形性膝関節症
解答1
解説
1.〇 正しい。ティネル徴候陽性:総腓骨神経麻痺
Tinel徴候は、損傷神経を叩打すると支配領域にチクチク感や走感を生じる現象で、神経の回復状況を知る目安となる。機序は、末梢神経の切断後、近位端から軸索の再生が始まるが、再生軸索の先場はまだ髄鞘に覆われていないため起こる。絞扼性神経障害など神経の連続性が保たれている場合、Tinel様徴候とよばれる。
2.× ペインフルアーク徴候陽性は、「胸郭出口症候群」ではなく棘上筋腱損傷である。
・Painful arc sign(ペインフルアークサイン)は、患者さんの力により外転方向に挙上してもらう。棘上筋が損傷していれば60°〜120°の間で疼痛を感じ、それ以外の角度では疼痛を感じない。
・胸郭出口症候群は、胸郭出口付近における神経と動静脈の圧迫症状を総称したものである。症状として、上肢のしびれ、脱力感、冷感などが出現する。胸郭出口は、鎖骨、第1肋骨、前・中斜角筋で構成される。原因として、①前斜角筋と中斜角筋の間で圧迫される斜角筋症候群、②鎖骨と第一肋骨の間で圧迫される肋鎖症候群、③小胸筋を通過するときに圧迫される小胸筋症候群、④頭肋で圧迫される頸肋症候群などがある。
3.× トレンデレンブルグ徴候陽性は、「腰椎椎間板ヘルニア」ではなく中殿筋が麻痺や筋力低下などである。
・トレンデレンブルグ徴候とは、患肢で片脚立ちをしたとき、健肢側の骨盤が下がる現象である。中殿筋が麻痺や筋力低下などの機能不全が生じているときに、患側での立脚期において健側の骨盤が下がる現象である。
4.× アリス徴候陽性は、「変形性膝関節症」ではなく股関節脱臼である。
・アリス徴候とは、背臥位で両膝を屈曲しながら、股関節を屈曲して両下腿をそろえ、左右の膝の高さを比べる診察法である。膝の高さに差があるときに陽性と診断し、股関節脱臼を疑う。これは、股関節の脱臼が生じると大腿骨頭が寛骨臼の後方に位置するため、左右差が生じる。一方、両側脱臼例や下肢に骨性の短縮が存在する症例の場合、有効ではないため注意が必要である。
・変形性膝関節症は、①疼痛、②可動域制限、③腫脹、④関節変形などがみられる。進行度にかかわらず、保存療法が第一選択となる。減量や膝に負荷のかかる動作を回避するような日常生活動作指導、筋力トレーニングやストレッチなどの運動療法、装具や足底板などの装具療法、鎮痛薬や関節内注射などの薬物療法が行われる。
椎間板は、外縁部分を構成する線維輪という靱帯様の構造物と、中心部に含まれる軟らかい髄核という構造物から成り立っているが、外縁部分の椎間板の線維輪が弱くなって膨隆したり、線維輪が断裂して中心部の髄核が脱出したりすると、近傍にある神経を圧迫している状態のことを腰椎椎間板ヘルニアという。L4/5とL5/S1が好発部位である。
L3‒L4間(支配神経根L4):膝蓋腱反射低下、大腿~下腿内側の感覚麻痺、大腿四頭筋力低下。
L4‒L5間(支配神経根L5):下腿外側~母趾の感覚麻痺、前脛骨筋、長母指伸筋、長趾伸筋の筋力低下。
L5‒S1間(支配神経根S1):アキレス腱反射低下、足部尺側側の感覚麻痺、下腿三頭筋、長母指屈筋、長趾屈筋の筋力低下。