第22回(H26年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前71~75】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

71.腎疾患と所見との組合せで正しいのはどれか。

1.急性糸球体腎炎:低血圧
2.ネフローゼ症候群:低コレステロール血症
3.急性腎不全:代謝性アシドーシス
4.慢性腎不全:低リン血症

解答

解説
1.× 急性糸球体腎炎は、「低血圧」ではなく高血圧である。なぜなら、糸球体の炎症により腎血流が低下し、腎臓がレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系を活性化されるため。ちなみに、糸球体腎炎とは、糸球体腎炎のうちで数週から数カ月の短い期間に急速に腎機能が低下する病気である。糸球体が侵される病気である。原因として、急性上気道炎などの感染後、10日ほど経ってから血尿、むくみ、高血圧などで発症する。症状として、血尿、蛋白尿、貧血を認め、倦怠感や発熱、体重減少などがあげられる。ちなみに、Ⅲ型アレルギーとは、免疫複合体型やArthus型と呼ばれ、抗体はIgG・IgMが関与するが、免疫複合体も関与するアレルギーである。免疫複合体が血管内皮などの組織に沈着すると補体を活性化し、結果として組織障害を生じる。血清病、全身性エリテマトーデスなどに関連する。遅発型で3~8時間で最大の紅斑と浮腫が生じる。

2.× ネフローゼ症候群は、「低」ではなく高コレステロール血症である。なぜなら、大量の蛋白尿に伴い肝臓が蛋白質(アルブミン)を補う目的で、代償反応として脂質の合成が亢進し、血中コレステロール値が上昇するため。ネフローゼ症候群とは、尿から大量の蛋白が漏れ出すことで血液中の蛋白が減少、血液の浸透圧が低下し水分が血管内から血管外へ移動することで、全身の浮腫や腹水・胸水などを引き起こすものである。小児の治療として、ステロイド治療により改善することが多い。ネフローゼ症候群に対する食事に関しては、蛋白尿が陽性の間は減塩食にする。一般的に水分の制限は必要ないとされており、その理由は水分制限による脱水や血栓症の危険性が増加するためである。

3.〇 正しい。急性腎不全:代謝性アシドーシス
・急性腎不全とは、何らかの原因によって腎臓の機能が急激に(1日以内から数週間のうちに)低下し、その結果、体液の量を一定に維持できなくなった状態である。症状としては、尿量の減少あるいは無尿、血尿、褐色調の尿、吐き気、食欲不振、全身倦怠感、意欲減退、痙攣などが起こる。
・代謝性アルカローシスは、嘔吐などで起こる。嘔吐により胃液(酸性)が失われ、HCO3−が高値となるのが特徴である。一方、代謝性アシドーシスとは、HCO₃⁻(重炭酸イオン)が低下している状態である。重炭酸イオンを含んだ膵液や胆汁の喪失、腎臓での再吸収障害、体内の酸性物質が過剰になり、その中和のための消費増大によって起こる。代償として、CO₂を排出する呼吸代償(呼吸性アルカローシス)が起こる。

4.× 慢性腎不全は、「低」ではなく高リン血症である。なぜなら、腎臓のリン排泄障害により血中リン濃度が上昇するため。慢性腎不全とは、腎臓の濾過機能が数ヶ月〜数年をかけて徐々に低下していく病気である。その結果血液の酸性度が高くなり、貧血が起き、神経が傷つき、骨の組織が劣化し、動脈硬化のリスクが高くなる。その原因として最も多いのは糖尿病で、次に多いのは高血圧である。尿や血液、腹部超音波検査やCTなどの検査で腎臓機能に異常が見られ、その状態が3カ月以上続いている場合に診断される。ちなみに、リンは、人体に必要なミネラルの一種で骨や歯を形成し、体内のさまざまな細胞に存在する。

 

 

 

 

 

72.メルゼブルクの三主徴でないのはどれか。

1.発汗過多
2.頻脈
3.眼球突出
4.甲状腺腫大

解答

解説
1.× 発汗過多は、メルゼブルクの三主徴でない。発汗過多は、甲状腺機能亢進症(バセドウ病を含む)の全身症状の一つとして見られる。発汗過多は、代謝亢進に伴う交感神経優位の症状の一部である。

2.〇 頻脈/眼球突出/甲状腺腫大は、メルゼブルクの三主徴である。症状の「メルゼブルクの三徴」は、バセドウの出身地、メルゼブルクの地名に因む。 本症の発見前後、日本の医学は主にドイツからの情報に依存していた。

 

 

 

 

 

73.原発性アルドステロン症でみられるのはどれか。

1.高マグネシウム血症
2.低ナトリウム血症
3.アシドーシス
4.血漿レニン活性低値

解答

解説

原発性アルドステロン症とは?

原発性アルドステロン症とは、副腎皮質の自律的なアルドステロン産生(過形成、腺腫、または癌腫による)により引き起こされるアルドステロン症である。主な症状として、発作性の筋力低下、血圧上昇、および低カリウム血症がある。 健常状態において副腎からのアルドステロン分泌は、体液量の低下を感知して腎臓から分泌されるレニンの制御を受け、塩分を体内に保持し、血圧を維持するはたらきを持つ。 レニンが低値にもかかわらず副腎からアルドステロンが過剰分泌される状態を確認することで、この病気と診断される。

1.× 「高」ではなくマグネシウム血症が起こる。なぜなら、原発性アルドステロン症による低カリウム血症が重度の場合、腎尿細管からのマグネシウム排泄も増加するため。

2.× 「低」ではなくナトリウム血症が起こる。なぜなら、原発性アルドステロン症により、ナトリウムの再吸収が亢進するため。

3.× 「アシドーシス」ではなく代謝性アルカローシスが起こる。なぜなら、アルドステロン過剰により、水素イオンの排泄が促進されるため。アルカローシスとは、血液のpHが7.45以上となり、アルカリ性に傾いた状態を指す。血液中の重炭酸塩の過剰や酸の減少が原因で発生する。

4.〇 正しい。血漿レニン活性低値は、原発性アルドステロン症でみられる。なぜなら、アルドステロンの作用で腎臓からナトリウムが再吸収され、血圧が上昇した結果、高血圧により腎臓からのレニン分泌が抑制されるため。ちなみに、原発性アルドステロン症とは、副腎皮質の自律的なアルドステロン産生(過形成、腺腫、または癌腫による)により引き起こされるアルドステロン症である。主な症状として、発作性の筋力低下、血圧上昇、および低カリウム血症がある。 健常状態において副腎からのアルドステロン分泌は、体液量の低下を感知して腎臓から分泌されるレニンの制御を受け、塩分を体内に保持し、血圧を維持するはたらきを持つ。 レニンが低値にもかかわらず副腎からアルドステロンが過剰分泌される状態を確認することで、この病気と診断される。

 

 

 

 

 

74.骨疾患と好発時期との組合せで正しいのはどれか。

1.くる病:小児期
2.骨肉腫:老年期
3.転移性骨腫瘍:青年期
4.骨粗鬆症:思春期

解答

解説
1.〇 正しい。くる病:小児期
くる病とは、小児期に見られる骨の石灰化不全であり、主に成長障害と骨の弯曲が起こる疾患である。ビタミンDの代謝あるいは感受性の障害により、骨に石灰化が起こらず、強度が不足する病気である。 成人期ではビタミンD依存性骨軟化症と呼ばれる。小児期には成長も障害され、骨X線検査で特徴的な所見を呈し、ビタミンD依存性くる病とも呼ばれる。

2.× 骨肉腫は、「老年期」ではなく10~20歳代の青年期(思春期)に好発する。
骨肉腫とは、原発性悪性骨腫瘍の中で最も多い。10歳代に好発し、大腿骨遠位部と脛骨近位部の骨幹端部に多く発生する。骨Paget(骨ページェット病)などに続発する場合がある(二次性骨肉腫)。肺転移が多いが、5年生存率は近年70%以上にまで改善してきている。

3.× 転移性骨腫瘍は、「青年期」ではなく中高年から老年期に好発する。なぜなら、転移性骨腫瘍は、原発性のがん(例:乳がん、肺がん、前立腺がんなど)が骨に転移することで発生するため。ちなみに、骨転移とは、転移性骨腫瘍ともいい、がん細胞が血液の流れで運ばれて骨に移動し、そこで増殖している状態のことをいう。骨転移は、どんながんでもおきる可能性がある。乳がん、前立腺がん、肺がんなどが、骨に転移しやすい。骨転移には、3種類(①溶骨型、②造骨型、③混合型)あげられ、①溶骨型骨転移がおきると、骨が弱くなり、痛みがでたり、ちょっとしたことで骨折してしまうことがある。

4.× 骨粗鬆症は、「思春期」ではなく閉経後の女性や老年期に好発する。骨粗鬆症とは、骨量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気である。原因として、閉経による女性ホルモンの低下や運動不足・喫煙・飲酒・栄養不足・加齢などである。骨粗鬆症の患者は、わずかな外力でも容易に圧迫骨折(特に胸腰椎)、大腿骨頚部骨折、橈骨遠位端骨折を起こしやすい。

閉経とは?

閉経とは、卵巣の活動性が次第に消失し、ついに月経が永久に停止した状態である。月経が来ない状態が12か月以上続いた時に、1年前を振り返って閉経としている。日本人の平均閉経年齢は約50歳であるが、個人差が大きく、早い人では40歳台前半、遅い人では50歳台後半に閉経を迎える。

 

 

 

 

 

75.症候群と神経との組合せで正しいのはどれか。

1.肘部管症候群:橈骨神経
2.手根管症候群:正中神経
3.梨状筋症候群:大腿神経
4.足根管症候群:総腓骨神経

解答

解説
1.× 肘部管症候群は、「橈骨神経」ではなく尺骨神経に生じる。肘部管症候群は、尺骨神経が肘関節背面内側にある尺側骨手根屈筋下の肘部管を通過する際に生じる絞拒性障害である。尺骨神経麻痺を来し、指の開閉運動障害や鷲手変形を生じる。

2.〇 正しい。手根管症候群:正中神経
手根管症候群は、正中神経の圧迫によって手指のしびれや感覚低下などの神経障害が生じる。手根管(手関節付近の正中神経)を4~6回殴打すると、支配領域である母指から環指橈側および手背の一部にチクチク感や蟻走感が生じる(Tinel徴候陽性)。Tinel徴候のほか、ダルカン徴候(手根管部を指で圧迫するとしびれ感が増悪する)やファーレン徴候(Phalen徴候:手首を曲げて症状の再現性をみる)も陽性となる場合が多い。

3.× 梨状筋症候群は、「大腿神経」ではなく坐骨神経に生じる。梨状筋症候群とは、坐骨神経が大坐骨切痕と梨状筋との間で圧迫を受ける絞扼性神経障害で、大腿後面のしびれを生じる。代表的な症状は坐骨神経痛、梨状筋部の痛みや圧痛、足首・足指が動きにくくなるなどである。

4.× 足根管症候群は、「総腓骨神経」ではなく後脛骨神経に生じる。足根管症候群とは、後脛骨神経が脛骨内果後下方の靭帯性の狭いトンネル部で圧迫を受ける絞扼性神経障害である。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)