第22回(H26年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後136~140】

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136.「35歳の女性。4年前からレイノー現象が出現し、最近では朝のこわばり、皮膚の硬化もみられるようになった。抗Scl-70抗体陽性。」
 レイノー現象に対して局所への低周波鍼通電療法を行う部位で最も適切なのはどれか。

1.譩譆と魂門
2.浮郄と合陽
3.液門と三間
4.承光と絡却

解答

解説

本症例のポイント

・35歳の女性(4年前:レイノー現象が出現)。
・最近では朝のこわばり、皮膚の硬化もみられる。
抗Scl-70抗体陽性。
→本症例は、強皮症が疑われる。強皮症とは、全身性の結合組織病変で、手指より始まる皮膚の硬化病変に加え、肺線維症などの諸臓器の病変を伴う。病因は不明であり、中年女性に多い。症状は、仮面様顔貌、色素沈着、ソーセージ様手指、Raynaud現象(レイノー現象)、嚥下障害、間質性肺炎、関節炎、腎クリーゼなどがある。

1.× 譩譆と魂門
・譩譆は、上背部、第6胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸に位置する。聴診三角の部位にあたる
・魂門は、上背部、第9胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸に位置する。

2.× 浮郄と合陽
・浮郄は、膝後面、大腿二頭筋腱の内縁、膝窩横紋の上方1寸に位置する。深部に総腓骨神経が通る。
・合陽は、下腿後面、腓腹筋外側頭と内側頭の間、膝窩横紋の下方2寸に位置する。

3.〇 正しい。液門と三間は、レイノー現象に対して局所への低周波鍼通電療法を行う部位である。
・Raynaud現象とは、四肢(特に手指)が蒼白化、チアノーゼを起こす現象である。手指の皮膚が寒冷刺激や精神的ストレスにより蒼白になり、それから紫色を経て赤色になり、元の色調に戻る一連の現象をいう。
・液門は、手背、薬指と小指の間、みずかきの近位陥凹部、赤白肉際に位置する。
・三間は、手背、第2中手指節関節橈側の近位陥凹部に位置する。

4.× 承光と絡却
・承光は、頭部、前髪際の後方2寸5分、前正中線の外方1寸5分に位置する。五処と絡却とを結ぶ線を3等分し、五処から3分の1のところにあたる
・絡却は、頭部、前髪際の後方5寸5分、後正中線の外方1寸5分に位置する。

 

 

 

 

 

137.「35歳の女性。1年前からめまい発作に苦しんでいる。めまいは、回転性で悪心・嘔吐を伴うこともある。他に難聴、耳鳴り、耳閉感がみられる。グリセロール検査陽性。舌診では胖大舌、白膩苔、脈は滑を呈した。」
 本症例の所見として最も適切なのはどれか。

1.感音性難聴
2.特定の頭位によるめまい発作
3.失調性歩行
4.温度眼振検査反応陽性

解答

解説

本症例のポイント

・35歳の女性。
・1年前:めまい発作に苦しんでいる。
・めまいは、回転性で悪心、嘔吐を伴う。
・他に難聴耳鳴り耳閉感がみられる。
・グリセロール検査陽性
・舌診では胖大舌、白膩苔、脈は滑。
→本症例は、メニエール病が疑われる。メニエール病とは、膜迷路を満たしている内リンパ液の内圧が上昇し、内リンパ水腫が生じる内耳疾患である。4大症状として、①激しい回転性のめまい、②難聴(感音難聴)、③耳鳴り、④耳閉感を繰り返す内耳の疾患である。主な原因は「内リンパ水腫」で、 その根底にはストレス・睡眠不足・疲労・気圧の変化・几帳面な性格などがあると考えられている。耳発作時では安静を第一に考えた指導を行い、間欠期では発作が起こらないようにするための指導をする。

1.〇 正しい。感音性難聴は、本症例の所見である。なぜなら、メニエール病は内耳(蝸牛、前庭、三半規管)の障害によって起こる疾患であるため。伝音性難聴とは、外耳や中耳などの「伝音器」と呼ばれる部分の障害によって起こる難聴である。一方、感音性難聴とは、内耳や聴神経など「感音器」と呼ばれる部分の障害によって起こる難聴である。

2.× 特定の頭位によるめまい発作
これは、良性発作性頭位めまい症による症状である。良性発作性頭位眩暈症は、特定の頭位をとったときにごく短時間の激しい眩暈(めまい)が生じる疾患である。理学療法にて改善が見込める疾患である。具体的に、姿勢を変化させながら耳石を移動させる方法(エプリー法)や、眩暈を誘発させて眩暈に慣れさせることで症状を軽減することができる。

3.× 失調性歩行
これは、小脳障害による症状である。失調性歩行(酩酊歩行、よろめき歩行、ワイドベースとも)は、運動失調(小脳障害・前庭障害)で起こる歩行障害である。

4.× 温度眼振検査反応陽性
これは、前庭神経炎による症状である。温度眼振検査とは、カロリックテストや温度刺激検査ともいい、耳に刺激をあたえてめまいを起こし、どちら側の耳に異常があるかを調べる。耳の中に冷たい水またはお湯を注入すると、体温との温度差によって内耳が刺激され、耳の機能が正常な場合はめまいが誘発される。主に、前庭神経炎の診断に用いる。

 

 

 

 

 

138.「35歳の女性。1年前からめまい発作に苦しんでいる。めまいは、回転性で悪心・嘔吐を伴うこともある。他に難聴、耳鳴り、耳閉感がみられる。グリセロール検査陽性。舌診では胖大舌、白膩苔、脈は滑を呈した。」
 病証に基づく治療方針として適切なのはどれか。

1.肝陽の高ぶりを抑える。
2.胃の気を降ろす。
3.固摂作用を高める。
4.湿痰を除く。

解答

解説

本症例のポイント

・35歳の女性。
・1年前:めまい発作に苦しんでいる。
・めまいは、回転性で悪心、嘔吐を伴う。
・他に難聴耳鳴り耳閉感がみられる。
・グリセロール検査陽性
・舌診では胖大舌、白膩苔、脈は滑。
→本症例は、メニエール病が疑われる。主な原因は「内リンパ水腫」である。したがって、メニエール病は、内耳のリンパ流の失調によって生じるものであり、病症としては湿痰と考えられる。

1.× 肝陽の高ぶりを抑える。
これは、肝陽上亢に対して行われる。ちなみに、肝陽上亢とは、眩暈、耳鳴、頭痛、目赤、陰虚によるほてり・のぼせ、腰膝酸軟などである。

2.× 胃の気を降ろす。
これは、胃気上逆に対して行われる。気逆証は、頭痛、眩暈、易怒、咳嗽、喘息、悪心・嘔吐、噯気、吃逆などをいう。肺気上逆・胃気上逆・肝気上逆などである。

3.× 固摂作用を高める。
これは、固摂作用の失調に対して行われる。

4.〇 正しい。湿痰を除く。本症例は、メニエール病が疑われる。主な原因は「内リンパ水腫」である。したがって、メニエール病は、内耳のリンパ流の失調によって生じるものであり、病症としては湿痰と考えられる。

 

 

 

 

 

139.「33歳の女性。疲労しやすく、抑うつ状態が続いている。肩こり、食欲不振を伴い、最近では早朝覚醒がみられる。他に時々喉が詰ったような違和感がある。舌は薄白苔、脈は弦脈を呈した。」
 本症例でみられやすい腹診所見はどれか。

1.臍下不仁
2.腹皮攣急
3.胸脇苦満
4.小腹急結

解答

解説

本症例のポイント

・33歳の女性。
・疲労しやすく、抑うつ状態が続いている。
・肩こり、食欲不振を伴い、最近では早朝覚醒がみられる。
・他に時々喉が詰ったような違和感がある。
・舌は薄白苔、脈は弦脈を呈した。
→本症例は、肝気鬱結(肝鬱気滞)が疑われる。肝気鬱結とは、精神的ストレスによる症状をさす。気の巡りが悪く、イライラ、憂うつ、胸脇部の張り、ため息などの症状を呈する。女性では、生理時に乳房が張って痛む、生理痛、生理不順などの症状もみられる。また、梅核気もみられる。喉に詰まった感じがする症状を指す。

1.× 臍下不仁は、下腹部(臍下)に力がなく、知覚純麻があるものである。腎の病変に多い。

2.× 腹皮攣急は、腹部の筋肉が緊張して引きつれる感覚を指す。これは寒冷や血瘀によることが多い。

3.〇 正しい。胸脇苦満は、本症例でみられやすい腹診所見である。胸脇苦満は、季肋下部に苦満感、圧痛などがあるものである。・胆の病変に多い。

4.× 小腹急結は、下腹部(特に左)に抵抗感や硬結のあるものである。瘀血の腹証である。

 

 

 

 

 

140.「33歳の女性。疲労しやすく、抑うつ状態が続いている。肩こり、食欲不振を伴い、最近では早朝覚醒がみられる。他に時々喉が詰ったような違和感がある。舌は薄白苔、脈は弦脈を呈した。」
 病証に基づいた治療方針として適切なのはどれか。

1.瘀血を除く
2.気滞を除く
3.血を補う
4.津液を補う

解答

解説

本症例のポイント

・33歳の女性。
・疲労しやすく、抑うつ状態が続いている。
・肩こり、食欲不振を伴い、最近では早朝覚醒がみられる。
・他に時々喉が詰ったような違和感がある。
・舌は薄白苔、脈は弦脈を呈した。
→本症例は、肝気鬱結(肝鬱気滞)が疑われる。肝気鬱結とは、精神的ストレスによる症状をさす。気の巡りが悪く、イライラ、憂うつ、胸脇部の張り、ため息などの症状を呈する。女性では、生理時に乳房が張って痛む、生理痛、生理不順などの症状もみられる。また、梅核気もみられる。喉に詰まった感じがする症状を指す。

1.× 瘀血を除く
これは、小腹急結などに用いられる。瘀血(おけつ)とは、血液が汚れたり、滞ったり、固まりやすくなった状態のことである。瘀血になると、血の流れが悪くなり、全身に栄養が行き渡らなくなるため、さまざまな症状が現れやすくなる。

2.〇 正しい。気滞を除くことは、病証に基づいた治療方針である。
なぜなら、本症例は、肝気鬱結(肝鬱気滞)が疑われるため。肝気鬱結とは、精神的ストレスによる症状をさす。気の巡りが悪く、イライラ、憂うつ、胸脇部の張り、ため息などの症状を呈する。女性では、生理時に乳房が張って痛む、生理痛、生理不順などの症状もみられる。

3.× 血を補う
血とは、営気・津液で構成される栄養豊富な液体で、気の推動作用によって全身を循環し、自要している。血の運行は、心・肺・肝・脾などの機能と関連して行われる。また、神の機能を維持している。

4.× 津液を補う
これは、津液不足などに用いられる。津液不足は、口唇・咽喉などの乾き、皮膚・髪などの乾燥、尿量減少、乾燥便などがみられる。

 

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