第22回(H26年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前36~40】

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36.ペプチド結合を有する物質はどれか。

1.脂質
2.炭水化物
3.蛋白質
4.ビタミン

解答

解説

ペプチド結合とは?

ペプチド結合とは、アミノ酸同士が結合する際に形成される結合である。具体的には、1つのアミノ酸のカルボキシル基(-COOH)と別のアミノ酸のアミノ基(-NH₂)が脱水縮合して結合し、-CO-NH- の形が形成されます。ペプチド結合は、蛋白質に存在する。

1.× 脂質とは、グリセロールと脂肪酸がエステル結合することで形成される物質である。

2.× 炭水化物とは、単糖がグリコシド結合によって連結し、多糖類となっている物質である。

3.〇 正しい。蛋白質は、ペプチド結合を有する物質である。蛋白質とは、アミノ酸がペプチド結合によって連結された高分子化合物である。

4.× ビタミンとは、様々な化学構造を持つ有機化合物である。

 

 

 

 

 

37.体温調節中枢について正しいのはどれか。

1.核心温度の変化を感受する。
2.セットポイントの下降により発熱が起こる。
3.中枢は延髄にある。
4.プロゲステロンは体温を低下させる。

解答

解説
1.〇 正しい。核心温度の変化を感受する。直腸温が深部体温(核心温度)に最も近く、深部体温とは、環境の変動によっても温度が変化しない生態の核心部(中心部)の温度である。外殻温度と異なり体温調節により一定に調節されている。実際に、核心温度を常時測定するのは不可能であるが、最も核心温度に近いのは、直腸の温度であり37℃を超える。直腸温と腋窩温は1℃近くの差がある。

2.× セットポイントの下降により、「発熱」ではなく発汗(体温を下降させる反応)が起こる。セットポイントとは、設定値と直訳でき、体温調節中枢には、体温を一定に保つ働きがあり、こうして設定された体温のことを指す。体温のセットポイント(設定値)が突然高く設定された場合(つまり、通常の体温が低く寒い)と認識するため、寒冷にさらされた場合と同様に体温を上昇させる反応が起こる。

3.× 中枢は、「延髄」ではなく視床下部にある。視床下部とは、間脳に位置し、内分泌や自律機能の調節を行う総合中枢である。 ヒトの場合は脳重量のわずか0.3%、4g程度の小さな組織であるが、多くの神経核から構成されており、体温調節やストレス応答、摂食行動や睡眠覚醒など多様な生理機能を協調して管理している。つまり、視床下部は自律神経の最高中枢である。

4.× プロゲステロンは体温を「低下」ではなく上昇させる。プロゲステロン(黄体ホルモン)は、基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすい状態にする作用を持つ。プロゲステロン(黄体ホルモン)は、性周期が規則的で健常な成人女性において、着床が起こる時期に血中濃度が最も高くなるホルモンである。着床が起こる時期とは、月経の黄体期である。黄体期は、排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期である。

 

 

 

 

 

38.糸球体におけるろ過の原動力はどれか。

1.糸球体血圧
2.ボーマン嚢内圧
3.血漿膠質浸透圧
4.ボーマン嚢内液の膠質浸透圧

解答

解説

有効濾過圧とは?

有効濾過圧は、糸球体での血液濾過を生じさせる圧力差を表す。糸球体の濾過は、糸球体血圧、ボーマン嚢内圧および血漿膠質浸透圧の間のバランスによって決まる。

有効濾過圧は、以下の式で計算できます。

有効濾過圧=糸球体血圧-(ボーマン嚢内圧+血漿膠質浸透圧)

1.〇 正しい。糸球体血圧は、糸球体におけるろ過の原動力である。糸球体血圧とは、糸球体毛細血管の内側から外側(ボーマン嚢側)へ液体を押し出す力。ろ過を促進する方向の力である。

2.× ボーマン嚢内圧とは、ボーマン嚢内に存在する液体による圧力である。血管内への逆流を促し、ろ過を防ぐ方向の力である。

3.× 血漿膠質浸透圧とは、血漿中のタンパク質(主にアルブミン)による浸透圧である。血漿内へ水分を引き戻す方向に働き、ろ過を防ぐ方向の力である。

4.× ボーマン嚢内液の膠質浸透圧
通常、ボーマン嚢内にはほとんどタンパク質が存在しないため、膠質浸透圧はほぼゼロである。
一般的に、膠質浸透圧とは、血漿中のタンパク質によって生じる浸透圧のことである。膠質浸透圧が高いと、ろ過された水分が血液に戻りやすくなるため、糸球体濾過量は低下する。

 

 

 

 

 

39.ノルアドレナリンの方がアドレナリンより作用が強いのはどれか。

1.気管支拡張
2.血圧上昇
3.血糖値上昇
4.心収縮力増大

解答

解説

α作用とβ作用について

・ノルアドレナリンは、α1受容体に強く作用し、血管を収縮させるため、血圧上昇作用が非常に強い。
・アドレナリンは、α1受容体とβ2受容体の両方に作用するが、β2受容体の作用(血管拡張)もあるため、血圧上昇作用はノルアドレナリンよりも弱い。

・α1作用:主に血管収縮
・α2作用:ノルアドレナリン放出抑制によるネガティブフィードバック
・β1作用:心臓の陽性変性作用
β2作用:血管、気管支の弛緩

1.× 気管支拡張は、β2受容体を介した作用である。したがって、α1受容体とβ2受容体の両方に作用するアドレナリンの方がノルアドレナリンより作用が強い。

2.〇 正しい。血圧上昇は、ノルアドレナリンの方がアドレナリンより作用が強い。なぜなら、ノルアドレナリンは、α1受容体に強く作用し、血管を収縮させるため。ちなみに、一般的に、ノルアドレナリンとは、激しい感情や強い肉体作業などで人体がストレスを感じたときに、交感神経の情報伝達物質として放出されたり、副腎髄質からホルモンとして放出される物質である。ノルアドレナリンが交感神経の情報伝達物質として放出されると、交感神経の活動が高まり、その結果、血圧が上昇したり心拍数が上がったりして、体を活動に適した状態となる。副腎髄質ホルモンとして放出されると、主に血圧上昇と基礎代謝率の増加をもたらす。

3.× 血糖値上昇は、β2受容体を介した作用である。肝臓におけるグリコーゲン分解や糖新生が亢進することで起こる。

4.× 心収縮力増大は、β1受容体を介した作用である。ノルアドレナリンは、中枢神経系において主にβ1受容体を介して作用する。β1受容体は心臓、消化器、脂肪組織、冠血管、大脳皮質などに分布しており、ノルアドレナリンが作用すると、次のような効果が現れる。心拍数増加、心筋収縮力増加、脂肪分解、冠血管拡張、 消化管弛緩がみられる。

 

 

 

 

 

40.退縮するのはどれか。

1.肝臓
2.腎臓
3.膵臓
4.胸腺

解答

解説
1.× 肝臓とは、有害物質を無毒化し排泄する臓器である。ほかにも①代謝、②貯蔵、③胆汁の生成・排泄、④生体防御の働きを持つ。

2.× 腎臓腎臓とは、老廃物や余分な水分、塩分などを尿として排泄することで、体の中の水分量やナトリウムやカリウムといったイオンバランスを適正に保ったり、血液の酸性・アルカリ性を調節したり、体内を常に最適な環境にする機能がある。

3.× 膵臓とは、消化酵素を含む体液(膵液)を膵管から十二指腸に出す外分泌と、血糖などをコントロールするホルモンを血中に出す内分泌の両方の働きをもつ臓器である。

4.〇 正しい。胸腺は退縮する。胸腺とは、胸骨裏面の前縦隔に位置する免疫担当臓器で、Tリンパ球が成熟する場所である。10~12歳頃に最も大きくなり、その後は加齢とともに小さくなる。高齢者では著しく萎縮し、CT画像で存在が判然としない場合もある。大人では摘出しても特に問題ない。胸腺は徐々に脂肪組織に置き換わり、機能的に退縮する。

 

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