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131.次の文で示す患者の患側に対する低周波鍼通電療法の刺鍼部位で最も適切なのはどれか。
「48歳の女性。右側の立脚相で明らかな左骨盤の沈下を認める。」
1.肓門と腰眼
2.次髎と膀胱兪
3.維道と足五里
4.居髎と環跳
解答4
解説
・48歳の女性。
・右側の立脚相:明らかな左骨盤の沈下を認める。
→本症例は、トレンデレンブルグ徴候が認められる。トレンデレンブルグ徴候とは、患肢で片脚立ちをしたとき、健肢側の骨盤が下がる現象である。中殿筋が麻痺や筋力低下などの機能不全が生じているときに、患側での立脚期において健側の骨盤が下がる現象である。
・中殿筋の【起始】腸骨翼の外面で前および後殿筋線の間、腸骨稜外唇および殿筋筋膜、【停止】大転子の外側面、【作用】股関節外転、前部:内旋、後部:外旋、【支配神経】上殿神経:L4~S1である。
1.× 肓門と腰眼
・肓門は、腰部、第1腰椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸に位置する。
・腰眼は、腰部、第4腰椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸5分に位置する。
【主治】腰痛、生殖器疾患(特に精巣炎・卵巣炎)
2.× 次髎と膀胱兪
・次髎は、仙骨部、第2後仙骨孔に位置する。
・膀胱兪は、仙骨部、第2後仙骨孔と同じ高さ、正中仙骨棱の外方1寸5分に位置する。
3.× 維道と足五里
・維道は、下腹部、上前腸骨棘の内下方5分に位置する。
・足五里は、大腿部内側、気衝の下方3寸、動脈拍動部に位置する。
4.〇 正しい。居髎と環跳は、この患者の患側(中殿筋)に対する低周波鍼通電療法の刺鍼部位である。
・居髎は、殿部、上前腸骨棘と大転子頂点の中点に位置する。
・環跳は、殿部、大転子の頂点と仙骨裂孔を結ぶ線上、大転子の頂点から1/3に位置する。別説は、大腿部、大転子の頂点と上前腸骨練の間、大転子の頂点から1/3である。
132.湿熱式ホットパックの用法について正しいのはどれか。
1.80℃のお湯で加温したものを用いる。
2.患部との間に2,3枚のバスタオルを挟む。
3.全体をビニールで包みタオルにのせる。
4.治療時間は5分を目安とする。
解答1
解説
1.〇 正しい。80℃のお湯で加温したものを用いる。湿熱式は、保温性の高いシリカゲルやベントナイト等を厚い木綿の袋に入れ、パック状にしたものを加温器(ハイドロパッカー)で80~85℃の温度で15分以上加温してバスタオル等で包み、患部にベルト等で取り付ける方法である。
2.× 患部との間に、「2,3枚」ではなく1枚のバスタオルを挟む(1枚の専用カバーで包む)。2~3枚のバスタオルでは、熱が十分に伝わらず、効果が低下する可能性がある。
3.× 全体を「ビニール」ではなく専用カバーで包む。ちなみに、タオルにのせる必要はない。
4.× 治療時間は、「5分」ではなく15〜20分を目安とする。なぜなら、短い時間では、温熱効果が不十分であるため。
①組織の粘弾性の改善
②局所新陳代謝の向上
③循環の改善
慢性的な疼痛に対する温熱療法の生理学的影響として、血行の改善によるケミカルメディエーター(痛み物質)の除去、二次的な筋スパズムの軽減、疼痛閾値の上昇などがある。
133.「38歳の女性。転職をきっかけに月経痛が増悪した。仕事が忙しくなるとイライラして症状もひどくなる。鍼灸院で肝気鬱結と言われた。」
最も現れやすい所見はどれか。
1.心下痞鞭
2.視力減退
3.梅核気
4.緩脈
解答3
解説
・38歳の女性。
・転職をきっかけに月経痛が増悪した。
・仕事が忙しくなるとイライラして症状もひどくなる。
・鍼灸院:肝気鬱結。
→肝気鬱結とは、精神的ストレスによる症状をさす。気の巡りが悪く、イライラ、憂うつ、胸脇部の張り、ため息などの症状を呈する。女性では、生理時に乳房が張って痛む、生理痛、生理不順などの症状もみられる。
1.× 心下痞鞭とは、心下部の自覚的なつかえを心下痞、他覚的に硬いものを心下鞭、ともにあるものをいう。心・心包の病変に多い。
2.× 視力減退は、血虚や腎精不足にみられる症状である。
・血虚は、眩暈、顔面蒼白、動悸、不眠、健忘、目のかすみ、しびれ、痙攣、月経痛、経少、経色淡白、視力減退、爪の変形などである。
・腎精不足は、倦怠感、発育不全、不妊、陽萎、耳鳴、視力減退、脱毛、腰膝酸軟などである。
3.〇 正しい。梅核気は、最も現れやすい所見である。肝鬱気滞は、精神抑鬱、急躁、易怒、胸肋部痛、脈弦、梅核気などである。
4.× 緩脈は、湿邪で起こり、一呼吸の脈拍が4ぐらいで、ゆったりと落ち着いていて、浮でも沈でもないものは無病の脈を指す。ちなみに、湿邪は、陰性の邪気で重濁性、粘滞性、下注性がある。脾を損傷しやすい。気機を滞らせやすい。
134.「38歳の女性。転職をきっかけに月経痛が増悪した。仕事が忙しくなるとイライラして症状もひどくなる。鍼灸院で肝気鬱結と言われた。」
本患者が次の文で示す経過をたどった。現在の病証はどれか。
「怒りの程度が徐々に激しくなり、自分で制御できなくなっていたが、その後、一旦治まり、それとともに目のかすみや手足のほてり、腰痛を自覚するようになった。現在はそれらの症状とともに軽い怒りと頭部の脹痛を覚えるようになった。」
1.肝血虚
2.肝腎陰虚
3.肝火上炎
4.肝陽上亢
解答4
解説
・38歳の女性。
・転職をきっかけに月経痛が増悪した。
・仕事が忙しくなるとイライラして症状もひどくなる。
・鍼灸院:肝気鬱結。
・怒りの程度が徐々に激しくなり、自分で制御できなくなっていた。
・その後:一旦治まり、それとともに目のかすみや手足のほてり、腰痛を自覚。
・現在:それらの症状とともに軽い怒りと頭部の脹痛を覚える。
→本症例は、肝陽上亢が疑われる。肝陽上亢とは、眩暈、耳鳴、頭痛、目赤、陰虚によるほてり・のぼせ、腰膝酸軟などである。
1.× 肝血虚は、目乾、目花、転筋、しびれ、不眠、多夢、脈細、舌質淡白などがあげられる。
2.× 肝腎陰虚とは、肝・腎が陰虚状態であることをさす。陰虚(陰熱)は、ほてり、のぼせ、五心煩熱、手足身熱、盗汗、頬部紅潮、消痩、潮熱、舌質(紅)、舌苔(少)、脈(細脈)などである。
3.× 肝火上炎は、頭痛、眩暈、耳鳴、目赤、急躁、易怒、舌辺紅、脈弦数などである。犯肺とは、肺に異常が起こった状態を指す。
4.〇 正しい。肝陽上亢は、この患者に対する現在の病証である。肝陽上亢とは、眩暈、耳鳴、頭痛、目赤、陰虚によるほてり・のぼせ、腰膝酸軟などである。
135.「35歳の女性。左側の首の付け根付近のこり感が強い。大杼から上方に引いた線が僧帽筋上部線維の前縁を超えたところの陥凹部に顕著な圧痛・硬結を認めた。頚部の右側屈で左頸部外側から肩甲骨上角にかけて伸張痛がある。上肢症状はない。」
罹患筋として最も適切なのはどれか。
1.肩甲挙筋
2.頭半棘筋
3.中斜角筋
4.小菱形筋
解答1
解説
・35歳の女性(左側の首の付け根付近:こり感が強い)。
・大杼から上方に引いた線が僧帽筋上部線維の前縁を超えたところ:陥凹部に顕著な圧痛・硬結を認めた。
・頚部の右側屈で左頸部外側から肩甲骨上角にかけて伸張痛がある。
・上肢症状はない。
→ほかの選択肢の消去できる理由もしっかりおさえておこう。大杼から上方に引いた線が僧帽筋上部線維の前縁を超えたところ陥凹部において、肩甲挙筋あるいは後斜角筋に絞られてくる。
・大杼(※読み:だいじょ)は、上背部、第1胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。
1.〇 正しい。肩甲挙筋は、この患者の罹患筋である。
・肩甲挙筋の【起始】第1~(3)4頸椎の横突起後結節、【停止】肩甲骨の上角と内側縁の上部、【作用】肩甲骨を内上方に引く、【支配神経】頸神経叢の枝と肩甲背神経:C2~C5である。
2.× 頭半棘筋
・半棘筋(頭半棘筋、頸半棘筋、胸半棘筋)の【起始】頭半棘筋:第8胸椎~第3頸椎の横突起。頸・胸半棘筋:第12~1(2)胸椎の横突起。、【停止】頭半棘筋:後頭骨の上、下項線の間。頸・胸半棘筋:第4胸椎~第2頸椎の棘突起、【作用】両側が働くと頭や脊柱を後ろに反らせる。片側が働けば脊柱を同側に曲げ、対側に回す。(長い筋束ほど曲げる作用が強く、短いものほど回す作用が著明)、【神経】脊髄神経後枝の内側枝(外側枝)である。
3.× 中斜角筋
・中斜角筋の【起始】第2~7頸椎の横突起後結節、【停止】第1肋骨の鎖骨下動脈溝の後ろ。時に第2,3肋骨、【作用】肋骨を引き上げて胸郭を広げる(吸息)。肋骨を固定すれば頸椎を前方に傾け、片側だけでは同側へ曲げる。、【神経】頸神経前枝:C2~C8である。
4.× 小菱形筋
・菱形筋には、大菱形筋と小菱形筋がある。【作用】肩甲骨を上内方に引く、【神経】肩甲背神経である。ちなみに、大菱形筋の【起始】第2~4胸椎の棘突起および棘上靭帯、【停止】肩甲骨内側縁(肩甲棘より下部)である。また、小菱形筋の【起始】下部項靭帯、第7頸椎と第1胸椎の棘突起、【停止】肩甲骨内側縁(肩甲棘より上部)である。
(※図引用:「肩関節挙上位 側面 表記あり」イラストAC様HPより)