第23回(H27年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前41~45】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

41.類上皮細胞はどれか。

1.マクロファージ
2.リンパ球
3.肥満細胞
4.好中球

解答

解説

肉芽腫性炎症とは?

類上皮細胞とは、マクロファージ由来の細胞で、慢性炎症、特に肉芽腫性炎症において見られる特徴的な細胞である。

肉芽腫性炎症とは、増殖性炎症の一つであり、肉芽腫(マクロファージ、類上皮細胞、多核巨細胞の増生からなる結節性の肉芽)の形成が特徴である。肉芽腫は慢性炎症などで見られる。

1.〇 正しい。マクロファージは、類上皮細胞である。マクロファージとは、単球から分化し、貧食能を有する。異物を貪食して抗原提示細胞になり、抗原情報がリンパ球に伝えられる。直径15~20μmの比較的大きな細胞で、全身の組織に広く分布しており、自然免疫(生まれつき持っている防御機構)において重要な役割を担っている。

2.× リンパ球とは、脊椎動物の免疫系における白血球のサブタイプの一つである。リンパ球には①ナチュラルキラー細胞、②T細胞、③B細胞がある。B細胞は体液性免疫を担当し、B細胞から活性化して形質細胞となり抗体を産生する。

3.× 肥満細胞とは、マスト細胞ともいい、骨髄系細胞由来の細胞であり、末梢血の顆粒球の一種である好塩基球に類似した性質を持つ、免疫細胞の一種である。 肥満細胞の顆粒内には、ヒスタミン、ロイコトリエン、血症板活性化因子、セロトニン、ヘパリンなどのケミカルメディエーターと呼ばれる物質が含まれている。IgE抗体を結合し、Ⅰ型(即時型)アレルギー反応を引き起こす。

4.× 好中球とは、白血球の中で一番多く、細菌免疫の主役である。マクロファージが好中球に指令し、好中球は活性化・増殖する。末梢血白血球の40~70%を占め、生体内に細菌・真菌が侵入すると、まず好中球が感染部位に遊走し、菌を貧食する。

 

 

 

 

 

42.ヘルパーT細胞のうちTh2細胞の役割はどれか。

1.抗原の提示
2.細胞性免疫
3.抗原刺激の記憶
4.抗体応答の活性化

解答

解説

MEMO

Th1細胞とは、細菌やウイルスなどの異物に対して細胞傷害性T細胞とマクロファージの活性化を介する細胞性免疫に関与する。Th1の働きは、細胞やウイルスなどの「異物」に対して反応する。

Th2細胞とは、B細胞からの抗体産生促進を介して体液性免疫に関与する。

1.× 抗原の提示は、抗原提示細胞(マクロファージ、樹状細胞、B細胞など)が行う。

2.× 細胞性免疫は、主にTh1細胞が担う免疫応答である。細胞性免疫とは、体内に侵入したウイルスや細菌、異常な細胞(例えばがん細胞)を直接攻撃して排除する免疫の仕組みの一つである。

3.× 抗原刺激の記憶は、メモリーT細胞やメモリーB細胞の役割である。リンパ球とは、脊椎動物の免疫系における白血球のサブタイプの一つである。リンパ球には①ナチュラルキラー細胞、②T細胞、③B細胞がある。B細胞は体液性免疫を担当し、B細胞から活性化して形質細胞となり抗体を産生する。ちなみに、メモリーB細胞とは、一度侵入した減病態の情報を記憶し、病気にかかりにくい状態を作る働きを持つ。

4.〇 正しい。抗体応答の活性化は、ヘルパーT細胞のうちTh2細胞の役割である。T細胞とは、血液中を流れている白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞の一種である。胸腺(thymus)でつくられるため、頭文字を取ってT細胞と名付けられた。T細胞は膠原特異的な免疫応答である獲得免疫に関与する。免疫応答を促進するヘルパーT細胞、逆に免疫反応を抑制するサプレッサーT細胞、病原体に感染した細胞や癌細胞を直接殺すキラーT細胞などに分類される。

抗体とは?

抗体とは、液性免疫の中心となる存在で、病気の原因となる細菌やウィルスなどが体内に侵入したとき、異物として攻撃したり体外に排除する役割を担うタンパク質のことである。 免疫メカニズムに関与するリンパ球であるB細胞から産生・放出され、免疫グロブリンとも呼ばれる。

 

 

 

 

 

43.癌の病期分類の決定に必要な項目はどれか。

1.悪液質
2.腫瘍マーカー
3.組織型
4.リンパ節転移

解答

解説

TNM分類とは?

病期の評価には、TNM分類と呼ばれる分類法を使用する。これは、がんの大きさと浸潤(T因子)、リンパ節転移(N因子)、遠隔転移の有無(M因子)の3つの因子について評価し、これらを総合的に組み合わせて病期を決定する。

1.× 悪液質は、病期分類(TNM分類)の項目には含まれない。悪液質とは、がんの病状に伴い体重減少や食欲不振を特徴とする合併症である。進行したがん患者さんに多くみられる症状である。進行を伴う悪性腫瘍に関連する。

2.× 腫瘍マーカーは、病期分類(TNM分類)の項目には含まれない。腫瘍マーカーとは、がんの種類によって特徴的に作られるタンパク質などの物質である。がん細胞やがん細胞に反応した細胞によって作られるが、がんの有無やがんがある場所は、腫瘍マーカーの値だけでは確定できないため、画像検査など、その他の検査の結果も合わせて、医師が総合的に判断する必要がある。また、肝障害、腎障害、飲酒や喫煙などの生活習慣、いつも飲んでいる薬、がん以外にかかっている病気などの影響により、がんの有無とは無関係に高い値になることもあり、反対に、がんがあっても値が高くならないこともある。

3.× 組織型(例:腺癌、扁平上皮癌など)は、癌の性質を分類するものであり、病期分類(TNM分類)そのものの項目には含まれない。

4.〇 正しい。リンパ節転移は、癌の病期分類の決定に必要な項目である。TNM分類の(N因子:Nodes)に該当する。たとえば、リンパ節に転移している場合は、①リンパ節の腫れ、②顔や腕、上半身のむくみ、③食べ物がのどに詰まるように感じる、④意図していないのに体重が減ってきたなどがあげられる。

 

 

 

 

 

44.癌と腫瘍マーカーの組合せで最も適切なのはどれか。

1.肝細胞癌:HCG
2.胃癌:CEA
3.食道癌:CA 19-9
4.肺癌:PSA

解答

解説
1.× HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)は、「肝細胞癌」ではなく絨毛癌である。絨毛癌とは、胎盤を作る絨毛細胞が悪性化して増殖や転移をする悪性腫瘍である。hCG<ヒト絨毛性ゴナドトロピン>は、主に絨毛組織において産生され、妊娠初期の卵巣黄体を刺激してプロゲステロン産生を高め、妊娠の維持に重要な働きをしているほか、胎児精巣に対する性分化作用や母体甲状腺刺激作用も報告されている。

2.〇 正しい。CEA(Carcinoembryonic Antigen)は、大腸がん、胃がんなどの消化器系がんの腫瘍マーカーである。健康な人でも約3%の人は基準値を超える場合があるとされており、高齢や喫煙、肝硬変、糖尿病でもやや上昇する傾向がある。

3.× CA 19-9は、「食道癌」ではなく膵癌である。ちなみに、CA19-9は、マウスモノクローナル抗体NS19-9で認識されるシアリルLea抗原のことである。また、胆道癌や一部の胃癌でも上昇することがある。

4.× PSA(Prostate Specific Antigen)は、「肺癌」ではなく前立腺がんである。ちなみに、PSA(Prostate Specific Antigen)とは、前立腺特異抗原で、前立腺で作られるタンパク質である。採血で測定し、前立腺がんの腫瘍マーカーとして用いられる。PSAの基準値は、0~4ng/mLとされている。4~10ng/mLは、25~40%の割合でがんが発見され、100ng/mLを超える場合には前立腺がんが強く疑われ、転移も疑われる。

 

 

 

 

 

45.脳血管障害の後遺症でよくみられるのはどれか。

1.起坐位
2.エビ姿勢
3.前かがみ姿勢
4.マン・ウェルニッケ肢位

解答

解説
1.× 起坐位は、呼吸苦を軽減できる姿勢である。むしろ、左心不全では臥位(寝た姿勢)になると症状が悪化する。なぜなら、臥位になると血液が肺に戻りやすくなるため。したがって、肺うっ血が悪化し、呼吸困難が増強される。ちなみに、起坐呼吸とは、呼吸困難が臥位で増強し、起坐位(または半坐位)で軽減することをいう。起坐呼吸は、臥位をとると静脈還流が増え血液が肺にたまりやすくなり呼吸困難が増強するためみられる。

2.× エビ姿勢は、腹痛などで苦しむときに自然にとる姿勢である。

3.× 前かがみ姿勢は、パーキンソン病にみられる姿勢である。

4.〇 正しい。マン・ウェルニッケ肢位は、脳血管障害の後遺症でよくみられる。マン・ウェルニッケ姿勢とは、Wernicke-Mann肢位(ウェルニッケマン肢位)ともいい、大脳皮質から大脳脚の間(脳幹より上位)で運動制御系が片側性に障害されたときに、病巣の対側上肢が屈曲位、下肢が伸展位を呈する肢位のことをいう。脳血管障害の後遺症としてしばしば認められる。【上肢】肩関節内旋・内転位、肘関節屈曲位、手関節掌屈位、手指屈曲位、【下肢】股関節伸展・内旋・内転位、膝関節伸展位、足関節内反尖足位となる。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)