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126.「38歳の女性。1か月前から家事動作で右手首の橈側が痛むようになり、近医にてドケルバン病と診断された。湿布を続けたが徐々に痛みが増強したため来院。」
病態を確認する目的で行うアイヒホッフテストの方法で正しいのはどれか。
1.母指を中に入れて握った手の尺屈を指示する。
2.母指を外にして握った手の尺屈を指示する。
3.母指を中に入れて握った手の橈屈を指示する。
4.母指を外にして握った手の橈屈を指示する。
解答1
解説
・38歳の女性(診断:ドケルバン病)。
・1か月前から家事動作で右手首の橈側が痛む。
・湿布を続けたが徐々に痛みが増強した。
→ド・ケルバン病(de Quervain病、狭窄性腱鞘炎)は、短母指伸筋腱と長母指外転筋腱が原因で起こる腱鞘炎である。母指の使いすぎや妊娠出産期、更年期の女性に多く見られる。手首に腫れと痛みを伴い、母指を小指側に牽引したときに痛みが増強する。また、親指を握って尺屈すると疼痛が出現するフィンケルシュタインテスト(アイヒホッフテスト)で陽性となる。
1.〇 正しい。母指を中に入れて握った手の尺屈を指示する。なぜなら、ド・ケルバン病(de Quervain病、狭窄性腱鞘炎)の場合、フィンケルシュタインテスト(アイヒホッフテスト)で陽性となるため。
2.× フィンケルシュタインテスト(アイヒホッフテスト)は、母指を「外」ではなく中にして握った手の尺屈を指示する。
3.× フィンケルシュタインテスト(アイヒホッフテスト)は、母指を中に入れて握った手の「橈屈」ではなく尺屈を指示する。
4.× フィンケルシュタインテスト(アイヒホッフテスト)は、母指を「外」ではなく中にして握った手の「橈屈」ではなく尺屈を指示する。
127.「38歳の女性。1か月前から家事動作で右手首の橈側が痛むようになり、近医にてドケルバン病と診断された。湿布を続けたが徐々に痛みが増強したため来院。」
罹患筋に対する鍼施術で適切な経穴はどれか。
1.孔最
2.支溝
3.偏歴
4.手三里
解答3
解説
・38歳の女性(診断:ドケルバン病)。
・1か月前から家事動作で右手首の橈側が痛む。
・湿布を続けたが徐々に痛みが増強した。
→ド・ケルバン病(de Quervain病、狭窄性腱鞘炎)は、短母指伸筋腱と長母指外転筋腱が原因で起こる腱鞘炎である。母指の使いすぎや妊娠出産期、更年期の女性に多く見られる。手首に腫れと痛みを伴い、母指を小指側に牽引したときに痛みが増強する。また、親指を握って尺屈すると疼痛が出現するフィンケルシュタインテスト(アイヒホッフテスト)で陽性となる。
1.× 孔最(※読み:こうさい)は、前腕前外側、尺沢と太淵を結ぶ線上、手関節掌側横紋の上方7寸に位置する。円回内筋と腕橈骨筋の治療穴である。
2.× 支溝(※読み:しこう)は、前腕後面、橈骨と尺骨の骨間の中点、手関節背側横紋の上方3寸に位置する。総指伸筋と小指伸筋の治療穴である。
3.〇 正しい。偏歴は、この症例の罹患筋に対する鍼施術で適切な経穴である。偏歴(※読み:へんれき)は、前腕後外側、陽渓と曲池を結ぶ線上、手関節背側横紋の上方3寸に位置する。
4.× 手三里(※読み:てさんり)は、前腕後外側、陽渓と曲池を結ぶ線上、肘窓横紋の下方2寸に位置する。長・短橈側手根伸筋の治療穴である。
128.月経痛を訴える患者で鍼灸治療が最も適するのはどれか。
1.16歳、月経周期は不定、月経1日目に強い疼痛がある。
2.27歳、月経のたびに胸痛を伴う。
3.42歳、過多月経で貧血もある。
4.50歳、月経周期は不定、帯下があり不正性器出血がある。
解答1
解説
・瞑眩(倦怠感の一つ)
・眠気など全身性
・刺鍼時痛
・皮下出血
禁忌事項:①腫瘍,潰瘍や浮腫などがある局所には治療を行わない。②胸部や背部など,気胸を来す可能性がある部位には行わない。③凝固異常のある患者は避ける。
(※引用:「針灸治療」)
1.〇 正しい。16歳、月経周期は不定、月経1日目に強い疼痛がある。なぜなら、思春期の月経痛(原発性月経困難症)が疑われるため。鍼灸治療で改善が期待される。鍼灸により、痛みを緩和し、自律神経のバランスを整える効果がある。ちなみに、原発性無月経とは、正常な成長と第二次性徴が認められる患者において15歳までに月経が起こらないことである。しかし、13歳までに月経が開始せず、思春期の徴候(例、何らかのタイプの乳房の発達)がみられない場合は、原発性無月経の評価を行うべきである。
2.× 27歳、月経のたびに胸痛を伴う。この場合、「鍼療法」ではなく病院への紹介案件である。なぜなら、月経随伴性気胸が疑われるため。月経随伴性気胸とは、月経のある女性に特有の病気で、月経の周期と発症時期に関連して気胸が起こる疾患である。月経開始から24時間以内の発症が定義されており、月経のある女性の5~15%程度に認められる。
3.× 42歳、過多月経で貧血もある。この場合、「鍼療法」ではなく病院への紹介案件である。なぜなら、子宮筋腫や子宮筋腺症などが疑われるため。ちなみに、子宮筋腫とは、子宮を構成している平滑筋という筋肉組織由来の良性腫瘍で、比較的若い方から閉経後の方まで高頻度に見られる疾患である。子宮筋腫は切迫流産・早産、前期破水、胎盤の位置異常、妊娠高血圧症候群などのリスクとなる。分娩時または産後に、次回の妊娠を希望する場合や妊娠中の合併症を増加させないために、子宮筋腫核出術を行う場合もある。
4.× 50歳、月経周期は不定、帯下があり不正性器出血がある。この場合、「鍼療法」ではなく病院への紹介案件である。なぜなら、子宮頸がん、子宮内膜がんなどの器質的疾患が疑われるため。精密検査により、治療方針を医師により決定するべきである。
無月経(月経がない状態)には①原発性、②続発性、③その他のものがある。
①原発性無月経:正常な成長と第二次性徴が認められる患者において15歳までに月経が起こらないことである。しかし、13歳までに月経が開始せず、思春期の徴候(例、何らかのタイプの乳房の発達)がみられない場合は、原発性無月経の評価を行うべきである。
②続発性無月経:規則的な月経周期の確立後に6カ月以上または月経周期で3周期以上の期間、月経がない状態である。しかし、以前の周期が規則的であった患者では月経が3カ月以上なければ続発性無月経の評価が行われ、以前の周期が不規則であった患者では月経が6カ月以上なければ続発性無月経の評価が行われる。
③その他:解剖学的原因(妊娠を含む)、慢性無排卵、卵巣不全など
(※参考:「無月経」MSDマニュアルプロフェッショナル版様より)
129.次の文で示す患者の仙骨部に施灸する場合、最も適切なのはどれか。「5歳の男児。夜間の遺尿が続いている。鍼灸治療は初めて。」
1.焦灼灸
2.打膿灸
3.知熱灸
4.透熱灸
解答3
解説
1.× 焦灼灸は、イボ、ウオノメ、タコなどに用いる灸法である。施灸部の皮膚、組織を破壊する。タール成分(カテコール)の作用がある。
2.× 打膿灸(弘法の灸)は、小指~母指頭大程度の艾炷を直接施灸して火傷を作り、膏薬を貼付して化膿を促す灸法である。小児や虚弱者には不適である。
3.〇 正しい。知熱灸をこの患者の仙骨部に施灸する。なぜなら、本症例(5歳児)は、鍼灸治療は初めてであるため。無痕灸のひとつである知熱灸で、刺激の少ないような工夫が必要である。ちなみに、知熱灸とは、半米粒~米粒大の艾炷に点火し、患者の気持ちの良い所で消火もしくは取り除く方法である。8割燃焼による八分灸である。
4.× 透熱灸は、良質艾を米粒大前後で円錐形に捻り、経穴や圧痛点など皮膚上の治療点に直接施灸する。糸状灸も含まれる。
130.高齢者の運動器の機能評価に用いるのはどれか。
1.PGCモラールスケール
2.MMSE
3.バーセルインデツクス
4.ロコモ度テスト
解答4
解説
1.× PGCモラールスケールは、主観的幸福感を評価できる。高齢者のQOL評価尺度である。高齢者が自分の人生に対してどの程度幸福に感じているかを測定するものとなっている。自分自身の幸福感に対する17項目の質問により構成されており、はい/いいえで解答し、点数化され、最高点は17点である。
2.× MMSE(Mini-Mental State Examination)は、認知症の知的・認知機能評価である。内容は、見当識・記銘力・注意と計算・想起・言語・組み立ての各項目があり、30点満点で評価する。26点以下で軽度認知障害の疑いを示し、23点以下では認知障害の可能性が高いことを示す。
3.× バーセルインデツクスは、日常生活活動(ADL)を評価する指標である。評価項目は10項目(①食事、②椅子とベッド間の移乗、③整容、④トイレ動作、⑤入浴、⑥移動、⑦階段昇降、⑧更衣、⑨排便コントロール、⑩排尿コントロール)あり、100点満点で評価される。
4.〇 正しい。ロコモ度テストは、高齢者の運動器の機能評価に用いる。ロコモテスト(ロコモ度テスト)とは、①下肢筋力、②歩幅、③身体状態・生活状況を評価する 3 つのテストを行い、これらのテスト結果を年齢平均値と比較することによって、年齢相応の移動能力を維持しているかを判定するものである。もし年齢相応の移動能力に達していない場合、将来ロコモとなり得る危険度が高いと考えられる。
ロコモティブシンドロームとは、運動器の障害により移動能力が低下し、「要介護」のリスクが高い状態のことである。(提唱:日本整形外科学会)予防策として、片脚立位・スクワットからなる「ロコトレ」を行うよう推奨している。対象者がすでに運動器の障害や身体機能低下を有している場合も多いため、トレーニングの際には、疼痛や転倒などに十分配慮して行う必要がある。