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36.運動反射と反射中枢の組合せで正しいのはどれか。
1.横隔膜反射:脊髄
2.屈曲反射:延髄
3.立ち直り反射:橋
4.緊張性頸反射:中脳
解答1
解説
1.〇 正しい。横隔膜反射:脊髄
横隔膜反射とは、【刺激】胸部の下方の皮膚を刺激、【反射】横隔膜が収縮する。反射中枢は脊髄である。
2.× 屈曲反射の中枢は、「延髄」ではなく脊髄である。屈曲反射とは、逃避反射ともいい、四肢の皮膚に強い刺激(痛み刺激)を加えると、その肢が屈曲する反射である。
3.× 立ち直り反射の中枢は、「橋」ではなく中脳である。立ち直り反射とは、姿勢反射の一つで、姿勢を保持するときに働く機能系である。例えば、①頸の立ち直り反射や②視性立ち直り反射などがあげられる。頸筋性や視覚性のほかにも、迷路性、体性があげられる。
①頸の立ち直り反応とは、背臥位の子どもの頭を一方に向けると、頸筋群の固有感覚受容器が刺激されて、肩・体幹・腰部がその方向に丸太様に全体的に回転する。4~6 ヵ月に出現し、5歳までに消失する。
②視性立ち直り反射とは、視覚刺激の誘発により、頭部の位置を正常に保持する反射のことで、例えば座位の場合、を座らせて左右に傾けると頭を垂直にしようとする。視性の刺激が立ち直りに関与する。腹臥位:3ヵ月、座位・立位:5~6ヵ月に出現し生涯継続する。
4.× (非対称性)緊張性頸反射の中枢は、「中脳」ではなく延髄である。非対称性緊張性頸反射とは、背臥位にした子どもの顔を他動的に一方に回すと、頸部筋の固有感覚受容器の反応により、顔面側の上下肢が伸展し、後頭側の上下肢が屈曲する。生後4~6か月には消失する。
37.臓器移植の拒絶反応で、移植された臓器を直接攻撃するのはどれか。
1.好中球
2.形質細胞
3.キラーT細胞
4.マクロファージ
解答3
解説
1.× 好中球とは、白血球の中で一番多く、細菌免疫の主役である。マクロファージが好中球に指令し、好中球は活性化・増殖する。末梢血白血球の40~70%を占め、生体内に細菌・真菌が侵入すると、まず好中球が感染部位に遊走し、菌を貧食する。細菌感染による急性炎症で最初に反応する。
2.× 形質細胞とは、B細胞が成熟したもので、抗体を作って自然免疫の働きを助ける。つまり、体に侵入したウイルスや細菌などの異物を排除する作用を持つ蛋白質(抗体)を産生する。ちなみに、メモリーB細胞とは、一度侵入した減病態の情報を記憶し、病気にかかりにくい状態を作る働きを持つ。
3.〇 正しい。キラーT細胞は、臓器移植の拒絶反応で、移植された臓器を直接攻撃する。臓器移植の拒絶反応は、移植された臓器が免疫反応により異物と認識され、排除されることで起こる。このとき、リンパ球が自分の細胞と他人の細胞を見分け、移植された他人の細胞を外からの異物と判断して攻撃する。ちなみに、T細胞とは、血液中を流れている白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞の一種である。胸腺(thymus)でつくられるため、頭文字を取ってT細胞と名付けられた。T細胞は膠原特異的な免疫応答である獲得免疫に関与する。免疫応答を促進するヘルパーT細胞、逆に免疫反応を抑制するサプレッサーT細胞、病原体に感染した細胞や癌細胞を直接殺すキラーT細胞などに分類される。
4.× マクロファージとは、単球から分化し、貧食能を有する。異物を貪食して抗原提示細胞になり、抗原情報がリンパ球に伝えられる。直径15~20μmの比較的大きな細胞で、全身の組織に広く分布しており、自然免疫(生まれつき持っている防御機構)において重要な役割を担っている。
38.乳癌の確定診断に最も重要なのはどれか。
1.触診
2.超音波検査
3.エックス線検査
4.生検
解答4
解説
乳がんとは、乳腺や乳管にできたがんであり、乳がんの発生や成長には女性ホルモンのエストロゲンが関与する。乳がん細胞にはエストロゲン受容体というものがあり、この受容体にエストロゲンが作用し乳がんが進行しやすくなる。乳がんの検査では、最初に、目で見て確認する視診と、触って確認する触診、マンモグラフィ、超音波(エコー)検査を行う。乳がんの可能性がある場合には、病変の細胞や組織を顕微鏡で調べて診断を確定する。したがって、確定診断には、細胞診や組織診(針生検)が用いられる。
1.× 触診とは、例えば腹部触診の場合、臓器の位置や大きさ、腹水貯留、ガスや便の貯留、腫瘤の有無を確認する診察方法である。
2.× 超音波検査とは、乳腺用の超音波診断装置で、超音波を乳腺に当て、はね返ってくる反射波をコンピュータが画像化し検査する。
3.× エックス線検査(マンモグラフィー)は、「しこり」や「石灰化」のように触れることの出来ない小さな病変を写し出すことが出来るため、早期乳がんや乳がん以外の病変を見つけ出すことに非常に有効である。
4.〇 正しい。生検は、乳癌の確定診断に最も重要である。針生検とは、症状の原因を調べるための組織診(生検)の一種である。針生検では、細胞診よりも太い針を病変部に刺し、その中に組織の一部を入れて、からだの外に取り出し検査する。
乳がん検診(一次)は、国の指針によりますと、対象は40歳以上で、問診、乳房X線検査(マンモグラフィ)が基本になっています。視触診の推奨はされていませんが、実施する場合はマンモグラフィ検査と併用します。乳がん検診はマンモグラフィ検査が国際基準ですが、乳腺の密度が高い40代の検診精度が低くなるという課題があり、近年、マンモグラフィ検査に「超音波検査」を組み合わせたり、単独で用いたりする方法を採用しているところもあります。約7万6千人の40代の女性を、マンモグラフィ検査を受けたグループと、マンモグラフィ検査に超音波検査を加えたグループに無作為に分けて比較する大規模な臨床研究の結果、がんの発見率が、超音波検査を加えたグループの方が1.5倍高かったという報告があります。(※一部抜粋:「乳がんの検診について」日本対がん協会HPより)
39.死体現象のうち血液の分布の片寄りで生じるのはどれか。
1.死冷
2.死斑
3.死後硬直
4.自己融解
解答2
解説
死の三徴候とは、①自発呼吸の停止、②心臓の停止、③瞳孔散大(対光反射の消失)である。
1.× 死冷は、死後に体温が外部環境に近づく現象である。
2.〇 正しい。死斑は、死体現象のうち血液の分布の片寄りで生じる。死後に重力の影響で血液が体内の低い部分に集まることで皮膚が変色する現象である。主に体の低位部分に赤紫色の斑点が現れる。死後2~4時間以内に発生し、8~12時間後には固定する。
3.× 死後硬直は、筋肉内のATPが枯渇し、筋肉が硬直する現象である。死後硬直は顎関節から始まり、体幹→上肢→下肢へと下方に広がっていく。
4.× 自己融解は、死後に体内の酵素によって組織が分解される現象である。
脳死とは、脳幹を含む全脳の機能が停止した状態である。
①深い昏睡にあること
②瞳孔が固定し一定以上開いていること
③刺激に対する脳幹の反射がないこと
④脳波が平坦であること
⑤自分の力で呼吸ができないこと
の5項目を行い、6時間以上経過した後に同じ一連の検査(2回目)をすることで、状態が変化せず、不可逆的であることの確認できた場合。
40.肉芽組織の構成要素はどれか。
1.上皮細胞
2.内皮細胞
3.神経細胞
4.平滑筋細胞
解答2
解説
肉芽組織は、組織の損傷後に形成される再生・修復過程の一環として生じる新生組織である。この組織は、傷を埋め、治癒を促進するために重要な役割を果たす。肉芽組織の特徴は、豊富な毛細血管、新生の血管網、炎症細胞、線維芽細胞などで構成されている。
1.× 上皮細胞とは、傷口が塞がった後に再生する皮膚や粘膜の細胞である。
2.〇 正しい。内皮細胞は、肉芽組織の構成要素である。なぜなら、新生血管の形成に重要な役割を果たすため。ちなみに、肉芽とは、毛細血管に富んだ新生結合組織(幼若な結合組織)である。
【肉芽組織の主な構成要素】
・線維芽細胞:コラーゲンを産生し、傷の強度を増強する。
・内皮細胞:血管新生を行い、損傷部位に酸素や栄養を供給する。
・炎症性細胞(マクロファージ、リンパ球など):損傷部位の掃除や再生を促進する。
3.× 神経細胞とは、脳や脊髄などの神経系を構成する細胞で、電気信号を発して情報をやりとりする特殊な細胞である。
4.× 平滑筋細胞とは、血管壁や消化管などに存在し、血管や内臓の働きを維持する役割を担う細胞である。
①血液凝固期(術後~数時間後):出血による凝固塊が欠損をふさいで止血する時期である。
②炎症期(術直後~3日目ころ):炎症性細胞(好中球、単球、マクロファージなど)が傷に遊走して、壊死組織や挫滅組織などを攻める時期である。
③増殖期(3日目~2週間後):線維芽細胞が周辺から遊走して、細胞外マトリックスを再構築し、血管新生が起こり、肉芽組織が形成される時期である。
④成熟期(2週間~数か月後)(再構築期:リモデリング期):線維芽細胞が減り、線維細胞へと成熟し変化するじきである。コラーゲンの再構築が起き、創部の抗張力が高くなることで創傷が治癒していく。