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51.肩関節の診察法と疾患の組合せで正しいのはどれか。
1.ペインフルアークサイン:棘上筋腱損傷
2.スピードテスト:上腕三頭筋腱炎
3.アプリヘンションサイン:肩関節周囲炎
4.ドロップアームサイン:大円筋断裂
解答1
解説
1.〇 正しい。ペインフルアークサインは、棘上筋腱損傷である。Painful arc sign(ペインフルアークサイン)は、患者さんの力により外転方向に挙上してもらう。棘上筋が損傷していれば60°〜120°の間で疼痛を感じ、それ以外の角度では疼痛を感じない。
2.× スピードテストは、「上腕三頭筋腱炎」ではなく上腕二頭筋長頭腱である。結節間溝部に痛みがあれば陽性である。【方法】被検者:座位で、上肢を下垂・肩関節外旋位から、上肢を前方挙上(肩関節屈曲)してもらう。検者:肩部と前腕遠位部を把持し、上肢に抵抗をかける。
3.× アプリヘンションサインは、「肩関節周囲炎」ではなく膝蓋骨の不安定性、及び不安定感を観察する検査である。膝蓋骨を外側に偏位させることで検査する。繰り返しの脱臼や亜脱臼が続くと、合併症である膝蓋大腿関節の軟骨軟化症や変形性関節症に移行する。症状の繰り返しと受傷直後の膨隆、その後の膨隆消失は、膝蓋骨の一時的な脱臼とその後の自然還復を示している可能性がある。
4.× ドロップアームサインは、「大円筋断裂」ではなく腱板損傷の検査である。方法は、座位で被験者の肩関節を90°より大きく外転させ、検者は手を離すテストである。
52.成人のバイタルサインで異常所見はどれか。
1.体温 36.5℃
2.血圧 110/70mmHg
3.呼吸数 18回/分
4.脈拍 110回/分
解答4
解説
1.〇 体温 36.5℃は、正常範囲内である。成人の正常な体温は、36.0℃〜37.0℃である。
2.〇 血圧 110/70mmHgは、正常範囲内である。成人の正常な体温は、家庭血圧で 115/75mmHg以下、診察室血圧では 120/80mmHg以下とされている。高血圧の基準は家庭血圧で135/85mmHg以上、診察室血圧では140/90mmHg以上と定義されている。
3.〇 呼吸数 18回/分は、正常範囲内である。成人の正常な体温は、1分間に12~20回である。
4.× 脈拍 110回/分は、成人のバイタルサインで異常所見である。成人の正常な体温は、60〜100回/分である。頻脈とは、100回/分以上、徐脈とは50回/分以下を定義される。
53.顔貌と疾患の組合せで正しいのはどれか。
1.仮面様顔貌:肝硬変
2.満月様顔貌:クッシング症候群
3.無欲状顔貌:狭心症
4.ヒポクラテス顔:バセドウ病
解答2
解説
1.× 仮面様顔貌は、「肝硬変」ではなくパーキンソン病である。仮面様顔貌とは、表情が乏しく、仮面をつけているような顔のことである。
・肝硬変とは、B型・C型肝炎ウイルス感染、多量・長期の飲酒、過栄養、自己免疫などにより起こる慢性肝炎や肝障害が徐々に進行して肝臓が硬くなった状態をいう。慢性肝炎が起こると肝細胞が壊れ、壊れた部分を補うように線維質が蓄積して肝臓のなかに壁ができる。
・パーキンソン病とは、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。
2.〇 正しい。満月様顔貌は、クッシング症候群である。クッシング症候群とは、副腎皮質ホルモンであるコルチゾールの過剰分泌により起こる内分泌系疾患である。満月様顔貌や中心性肥満などの特徴的な症状を呈する。主に、副腎腺腫、副腎癌、副腎過形成、ACTH産生下垂体腺腫などによりコルチゾールの過剰分泌が起こる。
3.× 無欲状顔貌は、「狭心症」ではなくうつ病である。無欲状顔貌とは、表情に活気がなくなり、眼光は鈍く、周囲に対して関心を示さない状態である。うつ病のほか、敗血症、腸チフス、栗粒結核等の高熱をだす重篤な疾患でみられる。
4.× ヒポクラテス顔は、「バセドウ病」ではなく末期の悪液質(例:がんや重度の脱水、敗血症)である。ヒポクラテス顔とは、無表情、頬の陥没、眼球の陥没などがみられている表情のことである。ちなみに、バセドウ病とは、甲状腺刺激ホルモン受容体に対する自己抗体による甲状腺機能亢進症である。症状は、眼球突出、頻脈、びまん性甲状腺腫が特徴的である。ちなみに、眼球突出・甲状腺腫・頻脈をメルゼブルグの三徴候という。
54.自律神経反射はどれか。
1.バビンスキー反射
2.ホフマン反射
3.モロー反射
4.アシュネル反射
解答4
解説
病的反射とは、原始的な反応への退行であり、大脳皮質からの抑制が消失していることを意味する。例えば、バビンスキー反射の出現などである。中枢側にある上位運動ニューロンが傷害され、その下位運動ニューロンに対する抑制が消失し、正常では認められないような反射である。
1.× バビンスキー反射とは、下肢の病的反射で、皮膚への刺激によって母趾がゆっくりと背屈すれば陽性(母趾現象または伸展足底反射)ときには他の4指が開く(開扇現象)。正常では足底反射より母趾屈曲が起こる。
2.× ホフマン反射とは、上肢の病的反射で、最も弱い刺激によって惹起される指の屈曲反射のことであり、これによって指の屈曲が出現する場合は、反射は非常に増強しており、病的であると判断される。
3.× モロー反射とは、4~6か月前後に消失する原始反射の一つであり、頭を落下すると、手指を開き上肢を広げる。その後、上肢屈曲位に戻る反射のこと。
4.〇 正しい。アシュネル反射は、自律神経反射である。アシュネル反射とは、眼球心臓反射とも呼ばれ、両側の眼球を圧迫した時に起こる眼球心臓反射(徐脈)を診る試験のことである。機序として、眼球圧迫→眼神経より延髄の副交感神経中枢→同側の迷走神経が刺激される。
原始反射は知覚や姿勢に入力された刺激が大脳の指令を受けずに脊髄や脳幹レベルで処理されることで、無意識下で筋肉が動く現象である。随意運動が発達すると徐々に原始反射は消失する。これは、新生児期の反射中枢は脊髄レベルであり、月齢とともに、脳幹部、中脳、大脳皮質と反射中枢は高次に達するため。
55.まだら認知症がよくみられるのはどれか。
1.パーキンソン病
2.アルツハイマー型老年認知症
3.ピック病
4.脳血管性認知症
解答4
解説
1.× パーキンソン病とは、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。また、自律神経障害による便秘や起立性低血圧、排尿障害、レム睡眠行動障害などが起こる。レム睡眠行動障害とは、レム睡眠の時期に体が動き出してしまう睡眠障害の1つである。 睡眠時随伴症に分類される。
2.× アルツハイマー型老年認知症とは、認知症の中で最も多く、病理学的に大脳の全般的な萎縮、組織学的に老人斑(アミロイドβの蓄積)・神経原線維変化の出現を特徴とする神経変性疾患である。特徴は、①初期から病識が欠如、②著明な人格崩壊、③性格変化、④記銘力低下、⑤記憶障害、⑥見当識障害、⑦語間代、⑧多幸、⑨抑うつ、⑩徘徊、⑩保続などもみられる。Alzheimer型認知症の患者では、現在でもできる動作を続けられるように支援する。ちなみに、休息をとることや記銘力を試すような質問は意味がない。
3.× ピック病とは、前頭側頭型認知症ともいい、病理所見として、前頭葉と側頭葉が特異的に萎縮する特徴を持つ認知症である。脳血流量の低下や脳萎縮により人格変化、精神荒廃が生じ、植物状態におちいることがあり、2~8年で衰弱して死亡することが多い。発症年齢が50~60代と比較的若く、初発症状は人格障害・情緒障害などがみられるが、病期前半でも記憶障害・見当識障害はほとんどみられない。働き盛りの年代で発症することが多いことで、患者さんご本人が「自分は病気である」という自覚がないことが多い。その後、症状が進行するにつれ、性的逸脱行為(見知らぬ異性に道で抱きつくなどの抑制のきかない反社会的な行動)、滞続言語(何を聞いても自分の名前や生年月日など同じ語句を答える)、食行動の異常(毎日同じものを食べ続ける常同行動)などがみられる。治療は、症状を改善したり、進行を防いだりする有効な治療方法はなく、抗精神病薬を処方する対症療法が主に行われている(参考:「前頭側頭型認知症」健康長寿ネット様HPより)。
4.〇 正しい。脳血管性認知症は、まだら認知症がよくみられる。まだら認知症は、部分的に障害されるため機能低下と正常が混在する状態である。動揺性(まだら)で階段状に進行する経過をたどる。脳血管性認知症とは、脳血管が詰まったり破れたりすることで突然発症する。その後、脳血管が詰まったり破れたりするたびに、症状が悪化する特徴を持つ。その部位や範囲によって症状は様々である。他の症状として、巣症状(失語、失行、失認など脳の局所性病変によって起こる機能障害)や階段状に認知障害が進行することが特徴である。