第24回(H28年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前6~10】

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6.2000年に策定された食生活指針で誤っているのはどれか。

1.食事のバランスをとる。
2.穀類は少ない方がよい。
3.日々の活動に見合った食事量をとる。
4.規則正しく食事する。

解答

解説

(※引用:食生活指針 – 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所様HPより)

1.〇 正しい。食事のバランスをとる。主食、主菜、祝祭を基本に食事のバランスをとることが推奨されている。

2.× 穀類は、「少ない方が」ではなくしっかりと摂取することが推奨されている。したがって、少なすぎず多すぎず「適量を摂取すること」が推奨されている。

3.〇 正しい。日々の活動に見合った食事量をとる。適正体重の維持に努めることを推奨されている。

4.〇 正しい。規則正しく食事する。1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを送ることが推奨されている。

 

 

 

 

 

7.適応障害でよくみられるのはどれか。

1.けいれん発作
2.見当識障害
3.夜間せん妄
4.不安

解答

解説
1.× けいれん発作とは、意識レベルの変化や、知覚異常、不随意運動、全身けいれんなどが起こることである。主にてんかん神経系の疾患で見られる。全身性けいれん発作とは、意識をなくし、手足をつっぱらせた後、ガクガクさせる全身けいれん発作である。口から泡をふき、眼は白目をむくが、つっぱり(強直)・ガクガク(間代)は通常、数分でおさまる。一時的に呼吸が止まり、顔色が悪くなることもあるが、けいれんがおさまれば回復する。対応として、衣服をゆるめて、気道を確保する。また、吐物による窒息を避けるために横向きに寝かせることも重要である。一方、口にタオルをかませたり、箸を入れたりすると、窒息してしまったり口の中を傷つける恐れがあるため絶対しない。

2.× 見当識障害とは、「今がいつか(時間)」「ここがどこか(場所)」がわからなくなる状態である。主に認知症せん妄でみられる。自分の周囲の状況や、 自分が置かれている状況(人や時間、 場所)が正しく理解できなくなる。

3.× 夜間せん妄とは、夜間にせん妄が出現する状態を指す。夜間せん妄では、夜間に大声を出したり暴れたりする症状が現れることもある。高齢者に多く、脳が混乱しやすい状況(入院で急に環境が変わるなど)や、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の投与でも生じやすくなる。

4.〇 正しい。不安は、適応障害でよくみられる。適応障害は、大きな生活の変化(進学、就職、転居など)やストレス性の出来事(離別、死別など)に対して、順応するまでに様々な症状(抑うつ気分、不安など)を呈するものをいう。例としては、職場の勤務異動により、新しい部署の仕事や人間関係に慣れることができずに、苦悩や情緒不安定な状態が特続することが挙げられる。

せん妄とは?

せん妄とは、疾患や全身疾患・外因性物質などによって出現する軽度~中等度の意識障害であり、睡眠障害や興奮・幻覚などが加わった状態をいう。高齢者は薬剤によってせん妄が引き起こされる場合も多い。
【原因】脳疾患、心疾患、脱水、感染症、手術などに伴って起こることが多い。他にも、心理的因子、薬物、環境にも起因する。

【症状】
①意識がぼんやりする。
②その場にそぐわない行動をする。
③夜間に起こることが多い。 (夜間せん妄)
④通常は数日から1週間でよくなる。

【主な予防方法】
①術前の十分な説明や家族との面会などで手術の不安を取り除く。
②昼間の働きかけを多くし、睡眠・覚醒リズムの調整をする。
③術後早期からの離床を促し、リハビリテーションを行う。

 

 

 

 

 

8.我が国における平成24年の乳児死亡の原因で最も多いのはどれか。

1.先天奇形
2.悪性新生物
3.不慮の事故
4.乳幼児突然死症候群

解答

解説

(※図引用:「⼦どもの不慮の事故の発⽣傾向」消費者庁HPより)

MEMO

乳児とは、生後1年ころまでの小児のことをさす。

乳児死亡の原因で最も多いのは、先天奇形,変形及び染⾊体異常によるものが多い。例えば、ダウン症候群やエドワーズ症候群などである。

1.〇 正しい。先天奇形は、我が国における平成24年の乳児死亡の原因で最も多い。

2.× 悪性新生物は、5歳以降の死因の原因で1位である。

3.× 不慮の事故は、乳児死亡の原因で3位である。

4.× 乳幼児突然死症候群は、乳児死亡の原因で4位である。ちなみに、乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)とは、それまで元気だった赤ちゃんが、事故や窒息ではなく、眠っている間に突然死亡してしまう病気である。何の予兆や既往歴もないまま乳幼児が死に至る原因のわからない病気で、窒息などの事故とは異なる。日本での発症頻度はおよそ出生6,000~7,000人に1人と推定され、生後2か月から6か月に多いとされている。予防のために厚生労働省は①1歳になるまでは仰臥位で寝かせる、②できるだけ母乳で育てる、③禁煙するという3つのポイントをあげている。(※参考:「乳幼児突然死症候群(SIDS)について」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

9.細菌感染症はどれか。

1.デング熱
2.マラリア
3.ハンセン病
4.SARS

解答

解説
1.× デング熱は、ウイルス感染症である。蚊に刺されることによって感染する疾患で、症状として、急激な発熱で発症し、発疹、頭痛、骨関節痛、嘔気・嘔吐などがみられる。通常、発症後2~7日で解熱し、発疹は解熱時期に出現する。

2.× マラリアは、寄生虫感染症である。マラリア原虫という寄生虫で引き起こされる疾患で、マラリア原虫が感染した蚊に刺されることで伝搬される。地球温暖化により、蚊が生息できる地域が広がる可能性があり、それに伴いマラリアの感染リスクも増加する。刺されてから発症するのは1週間位後で、はじめは発熱や頭痛、そして寒気や吐き気といった風邪に似た症状が多い。したがって、マラリアだと気づきにくいのが特徴である。その後、脳症や、じん臓・肝臓の機能障害、重症貧血といった合併症で死に至る危険がある。

3.〇 正しい。ハンセン病は、細菌感染症である。ハンセン病とは、らい病とも呼ばれ、らい菌が体内に入り(感染)、引き起こされる(発症)病気である。痒みや痛みなどの自覚症状のない治りにくい皮疹で、白斑、紅斑、環状紅斑、結節など多彩である。成人の場合、日常生活の中で感染することはない。また感染したとしても発症は非常にまれである。

4.× SARS(重症急性呼吸器症候群)は、ウイルス感染症である。重症急性呼吸器症候群とは、急性の上気道炎(鼻炎、副鼻腔炎、中耳炎、咽頭炎、喉頭炎)あるいは下気道炎(気管支炎、細 気管支炎、肺炎)を指す多彩な病原体による症候群の総称である。潜伏期は2〜10日、平均5日であるが、より長い潜伏期の報告もまれにはある。

 

 

 

 

 

10.我が国の産業保健に関して誤っているのはどれか。

1.環境モニタリングは作業管理である。
2.最も多く認定される業務上疾病は腰痛症である。
3.50人以上働く事業所は産業医を置かなければならない。
4.有害業務の特殊健康診断は6か月に1回実施しなければならない。

解答

解説

用語の説明

・産業保健とは、産業医学を基礎とし、働く人々の生き甲斐と労働の生産性の向上に寄与することを目的とした活動である。 職場においては産業医、保健師、衛生管理者、衛生推進者等のスタッフが活動し、職場外から労働衛生コンサルタント、作業環境測定士、健康保持増進(THP)のスタッフ等の専門家が支援する。

・労働基準法とは、労働者の生存権の保障を目的として、①労働契約や賃金、②労働時間、③休日および年次有給休暇、④災害補償、⑤就業規則といった労働者の労働条件についての最低基準を定めた法律である。

1.× 環境モニタリングは、「作業管理」ではなく作業環境管理である。
【労働衛生の3管理】
①作業環境管理:作業環境中の有機溶剤や粉じんなど有害因子の状態を把握して、できる限り良好な状態で管理していくこと。
②作業管理:作業時間・作業量・作業方法・作業姿勢などを適正化したり、保護具を着用して作業者への負荷を少なくすること。
③健康管理:作業者の健康状態を健康診断で把握して、その結果に基づいて適切な措置や保健指導などを実施し、作業者の健康障害を未然に防ぐこと。(※参考「労働衛生の3管理」厚生労働省HPより)

2.〇 正しい。最も多く認定される業務上疾病は腰痛症である。業務上疾病(休業4日以上)発生数の内訳では、「負傷に起因する疾病(災害性腰痛を含む)」が最も多い。1位:負傷に起因する疾病(災害性腰痛を含む)が6533人と最も多く、2位:病原体による疾病(新型コロナウイルス感染症催患を含む)が6291人、3位:異常温度条件による疾病が1159人となっている。(※参考:「業務上疾病発生状況等調査結果」厚生労働省HPより)

3.〇 正しい。50人以上働く事業所は産業医を置かなければならない。産業医とは、労働安全衛生法に基づき、事業所や労働者に対して労働衛生について勧告・指導・助言を行う医師のことである。業種を問わず常時使用する労働者が50人以上の事業場で、事業所が産業医を選任することが義務付けられている。原則として、少なくとも毎月1回職場巡視をしなければならない。職場巡視は、職場の作業環境や作業方法を確認し、安全衛生上の課題を見出だし改善することを目的としている。

4.〇 正しい。有害業務の特殊健康診断は6か月に1回実施しなければならない。詳しくは、雇入時、配置転換時、就業後6か月以内ごと義務となっている。これは、電離放射線障害防止規則56条に「事業者は、放射線業務に常時従事する労働者で管理区域に立ち入るものに対し、雇入れ又は当該業務に配置替えの際及びその後六月以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない」と定められている(※引用:「電離放射線障害防止規則」e-GOV法令検索様HPより)。

特殊健康診断とは?

特殊健康診断とは、労働衛生対策上特に有害であるといわれている業務に従事する労働者等を対象として実施する健康診断である。

特殊健康診断実施を義務付けられている業種
①粉じん作業
②高圧室内業務と潜水業務
③電離放射線業務
④特定化学物質の製造・取り扱い業務
⑤鉛業務
⑥四アルキル鉛等業務
⑦有機溶剤業務
⑧石綿(アスベスト)取り扱い業務

 

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