第24回(H28年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後96~100】

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96.病証と症状の組合せで正しいのはどれか。

1.肝血虚:目の充血
2.脾気虚:内臓下垂
3.心陽虚:盗汗
4.肺陰虚:壮熱

解答

解説
1.× 目の充血は、「肝血虚」ではなく肝火上炎で起こる。
・肝火上炎は、頭痛、眩暈、耳鳴、目赤、急躁、易怒、舌辺紅、脈弦数などである。
・肝血虚は、目乾、目花、転筋、しびれ、不眠、多夢、脈細、舌質淡白などである。

2.〇 正しい。内臓下垂は、脾気虚で起こる。脾気虚は、食欲不振、腹脹、大便溏薄、倦怠感、息切れ、自汗、面色萎黄などがみられる。

3.× 盗汗は、「心陽虚」ではなく陰虚(陰熱)で起こる。
・陰虚(陰熱)は、ほてり、のぼせ、五心煩熱、手足身熱、盗汗、頬部紅潮、消痩、潮熱、舌質(紅)、舌苔(少)、脈(細脈)などである。
・心陽虚は、心悸、征忡、胸痛、胸悶、倦怠感、自汗、寒がり、四肢の冷えなどがみられる。

4.× 壮熱は、「肺陰虚」ではなく裏実熱証や陽明病で起こる。
・陽明病は、裏実熱証、発汗、壮熱、口渇、潮熱、大便秘結、譫語、洪脈などがあてはまる。壮熱は、高熱(身熱)が続き、悪寒せず悪熱するものである。
・肺陰虚は、乾いた咳嗽、痰(粘稠で少量黄色)、盗汗、のぼせ、口乾、舌質紅などである。

 

 

 

 

 

97.次の文で示す経脈の病証はどれか。「48歳の女性。発汗、喉の腫れがあり、耳が聞こえにくく、耳鳴りが続く。」

1.足の陽明経
2.手の太陽経
3.足の少陰経
4.手の少陽経

解答

解説
1.× 足の陽明(胃)経は、顔面神経麻痺、喉や膝の皿が腫れたり痛んだりする。胃腸が張る。気衝~髀関、足の甲と流注上に痛みや熱感が出る。食べても食べてもお腹が空き、濃黄色の小便が出る。びっくりして不安な状態になる。独り塞ぎこんで窓を閉め家の中に閉じこもっている。高い所に登って歌を歌いだす。羞恥心を無くしたように裸になって走り出す。

2.× 手の太陽(小腸)経は、咽頭の痛み、顎の付け根の腫れ、後ろを振り返ることができない。肩が抜けるように痛み、上腕が折れるように痛む。耳が聞こえなくなり、目が黄ばんだり充血したり、類の辺りが腫れてくる。顎から顎の付け根、肩、上腕、肘など経脈の流注上が痛む。

3.× 足の少陰(腎)経は、空腹感があるが食べられない。顔面が黒くすすけて艶がない。咳をして唾を吐くと血が混じっている。咳をしてあえぐ。目がボーっとしてハッキリしない、不安感や煩悶感を覚え、よく恐れを抱き、恐れたり、驚いたり、不安を覚えたりする。口の中や喉の渇き上実下虚になり、咽頭が乾いたり痛んだりする。足底全体に熱感を感じて痛む。

4.〇 正しい。手の少陽(三焦)経がこの症例の経脈の病証である。手の少陽三焦経は、耳が聞こえにくく、耳が燃え上がるような感じがしたり、耳鳴りがする。咽頭が腫れ、喉を起こす。汗が出て、経絡の流注上に沿って病症が現れる。

 

 

 

 

 

98.陰虚にみられる舌苔はどれか。

1.厚苔
2.潤苔
3.膩苔
4.少苔

解答

解説
1.× 厚苔は、痰湿、食滞にみられる。

2.× 潤苔は、健康にみられる。

3.× 膩苔(腐苔)は、痰湿の停滞、食滞にみられる。

4.〇 正しい。少苔は、陰虚にみられる舌苔である。陰虚(陰熱)は、ほてり、のぼせ、五心煩熱、手足身熱、盗汗、頬部紅潮、消痩、潮熱、舌質(紅)、舌苔(少)、脈(細脈)など。

 

 

 

 

 

99.次の文で示す患者の腹診所見はどれか。「75歳の女性。半年前から膝に力が入らない。姿勢は前かがみで、1回の尿量が少なく、足がむくむ。」

1.胸脇苦満
2.虚里の動
3.少(小)腹急結
4.小腹不仁

解答

解説
1.× 胸脇苦満は、季肋下部に苦満感、圧痛などがあるものである。肝・胆の病変に多い。

2.× 虚里の動は、左乳下の動(心尖拍動)のことである。

3.× 少(小)腹急結は、下腹部(特に左)に抵抗感や硬結のあるものである。瘀血の腹証である。

4.〇 正しい。小腹不仁がこの患者の腹診所見である。小腹不仁は、下腹部(臍下)に力がなく、知覚純麻があるもの。の病変に多い。

 

 

 

 

 

100.次の文で示す症状に対し、難経六十九難に基づく適切な治療穴はどれか。「食欲がなく、腹部膨満感、下痢があり、手足に無力感がある。」

1.足関節後内側、内果尖とアキレス腱の間の陥凹部
2.手掌、第5中手指節関節の近位端と同じ高さ、第4・第5中手骨間
3.前腕、橈骨下端の橈側で外側に最も突出した部位と橈骨動脈の間、手関節掌側横紋の上方1寸
4.足内側、第1中足指節関節の近位陥凹部、赤白肉際

解答

解説
1.× 足関節後内側、内果尖とアキレス腱の間の陥凹部は、太渓である。

2.〇 正しい。「手掌、第5中手指節関節の近位端と同じ高さ、第4・第5中手骨間」は、少府である。本症例の「食欲がなく、腹部膨満感、下痢があり、手足に無力感」は、脾の虚証である。 脾の虚証(補法)を行うことが望ましく、対象は大都・少府・労宮となる。
・大都は、足の第1指、第1中足指節関節の遠位陥凹部、赤白肉際に位置する。
・労宮は、手掌、第2~3中手骨間、中手指節関節の近位陥凹部に位置する。別説として、手掌、第3~4中手骨間、中手指節関節の近位陥凹部に位置する。

3.× 前腕、橈骨下端の橈側で外側に最も突出した部位と橈骨動脈の間、手関節掌側横紋の上方1寸は、経渠である。

4.× 足内側、第1中足指節関節の近位陥凹部、赤白肉際は、太白である。

難経六十九難に基づく取穴

【部位】虚証(補法):実証(瀉法)
【肝】曲泉・陰谷:行間・少府・労宮
【肺】太淵・太白:尺沢・陰谷
【心】少衝・大敦:神門・太白
【腎】復溜・経渠:湧泉・大敦
【脾】大都・少府・労宮:商丘・経渠
【心包】中衝・大敦:大陵・太白
【胆】侠渓・足通谷:陽輔・陽谷・支溝
【大腸】曲池・足三里:二間・足通谷
【小腸】後渓・足臨泣:小海・足三里
【膀胱】至陰・商陽:束骨・足臨泣
【胃】解渓・陽谷・支溝:厲兌・商陽
【三焦】中渚・足臨泣:天井・足三里

 

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