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問題1 急性期病院からの退院支援において、患者および家族と相談する際に同席すべき院内の職種として最もふさわしいのはどれか。
1.保健師
2.臨床心理士
3.管理栄養士
4.医療ソーシャルワーカー
解答4
解説
1.× 保健師とは、地域に住む住民の保健指導や健康管理、乳幼児検診などをおこなうことが主な仕事の専門職である。
2.× 臨床心理士とは、臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間のこころの問題にアプローチする心の専門家である。認知行動療法は、医師やカウンセラー、臨床心理士のもとで受けることができる。
3.× 管理栄養士とは、労働大臣の免許を受けた国家資格で、病気を患っている人から健康な人まで一人ひとりに合わせて専門的な知識と技術をもって栄養指導や栄養管理を行う職種である。
4.〇 正しい。医療ソーシャルワーカーは、急性期病院からの退院支援において、患者および家族と相談する際に同席すべき院内の職種である。医療ソーシャルワーカーとは、社会福祉士や児童福祉司など社会福祉支援活動を行う人の総称で、病気になった患者や家族を社会福祉の立場からサポートする医療機関などにおける福祉の専門職である。社会福祉の立場から患者やその家族の抱える経済的・心理的・社会的問題の解決、調整を援助する役割がある。
問題2 医療保険について正しいのはどれか。
1.現金が支給されることはない。
2.協会けんぽは被用者保険である。
3.医師の同意を得た鍼施術は療養の対象となる。
4.組合管掌保険は自由に付加給付を行うことができる。
解答2
解説
(公的)医療保険とは、私たちやその家族が、病気やケガをしたときに医療費の一部を公的な機関が負担する制度のことである。日本では「国民皆保険」といって、すべての人が何らかの公的医療保険に加入している
1.× 現金が支給されること「もある」。なぜなら、医療保険における①傷病手当金、②出産手当金、③出産育児一時金などが該当するため。現金給付といい、お金で支給されるもののことをさす。一方、現物給付とは、診療や検査、投薬、入院などの医療行為を直接患者に提供することである。①療養の給付、②入院時食事療養費、③入院時生活療養費などが該当する
2.〇 正しい。協会けんぽは被用者保険である。全国健康保険協会管掌保険(協会けんぽ)とは、中小企業の労働者やその家族を対象とした保険制度で、被用者保険の範囲内に含まれる。協会けんぽは、加入者の医療費や年金を支払うために設立されている。
3.× 医師の同意を得た鍼施術は療養の「対象となる」と断言できない。つまり、鍼施術を対象とするためには、「医師の同意を得る」だけでなく、「特定の疾患(神経痛、リウマチ、頸腕症候群など)」が必要であるため(※参考:「柔道整復師等の施術にかかる療養費の取扱いについて」厚生労働省様HPより)。
4.× 組合管掌保険は、「自由」ではなく法定の範囲内に付加給付を行うことができる。厚生労働省が指導する限度額(1人1ヶ月の自己負担限度額で25,000円)がある。組合管掌健康保険とは、大企業の被用者等を対象とした健康保険制度のことをいう。常時700人以上の従業員がいるか、又は同じ業種の事業所が集まって、3,000人以上いる場合は、厚生労働大臣の認可を得て健康保険組合を設立し、企業の実態に応じた健康保険事業を運営することができる。
被用者保険とは、被用者を対象とする保険のことである。被用者とは、企業や個人事業主等に雇われた人々で、いわゆるサラリーマン等の会社員や公務員、さらには船員が含まれる。職域保険ともいう。被用者保険の場合、雇用に伴う給料支払等を通じて、被用者の所得等が把握されるため、雇用主からの拠出や被用者からの保険料徴収が相対的に容易に行えるというメリットがある。被用者保険は、①健康保険(一般被用者保険)、②特定被用者保険に分かれる。①健康保険は、組合管掌健康保険(組合健保)、全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)があり、②特定被用者保険は、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済制度、船員保険があげられる。
問題3 公費医療の対象とならないのはどれか。
1.生活保護法による医療扶助
2.労働基準法による業務上疾病の治療
3.精神保健及び精神障害者福祉に関する法律による措置入院
4.母子保健法による養育医療
解答2
解説
公費とは、国家または公共団体の費用のことをさす。公費負担医療とは、医療費の全額もしくは大部分を公的管理された基金が負担する医療制度のことである。医療保障制度には、社会保険における医療保険のほかに、公的扶助、社会福祉、公衆衛生等における公費負担医療制度がある。
1.〇 生活保護法による医療扶助は、公費医療の対象である。生活保護制度は、『日本国憲法』25条の理念に基づき、生活困窮者を対象に、国の責任において、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長することを目的としている。8つの扶助(生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助)があり、原則現金給付であるが、医療扶助と介護扶助は現物給付である。被保護人員は約216.4万人(平成27年度,1か月平均)で過去最高となっている。
2.× 労働基準法による業務上疾病の治療は、公費医療の対象とならない。なぜなら、労災保険は、原則として事業主の負担する保険料によってまかなわれているため。ちなみに、労働基準法とは、労働者の生存権の保障を目的として、①労働契約や賃金、②労働時間、③休日および年次有給休暇、④災害補償、⑤就業規則といった労働者の労働条件についての最低基準を定めた法律である。
3.〇 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律による措置入院は、公費医療の対象である。精神保健及び精神障害者福祉に関する法律とは、「精神保健福祉法」ともいう。精神保健及び精神障害者福祉に関する法律<精神保健福祉法>は、措置入院を規定する法律である。精神障害者の入院について5つの入院形態(任意入院・医療保護入院・応急入院・措置入院・緊急措置入院)を定めている。
4.〇 母子保健法による養育医療は、公費医療の対象である。母子保健法とは、母性、乳幼児の健康の保持および増進を目的とした法律である。母子保健に関する原理を明らかにするとともに、母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導、健康診査、医療その他の措置を講じ、もって国民保健の向上に寄与することを目的として制定された法律である。各種届出は市町村長または特別区、指定都市の区長に届け出る。
問題4 我が国の平成26年の業務上疾病で最も多いのはどれか。
1.災害性腰痛
2.物理的因子による疾病
3.じん肺および合併症
4.化学物質による疾病
解答1
解説
1.〇 正しい。災害性腰痛は、我が国の平成26年の業務上疾病で最も多い。4583件の報告がある。ちなみに、災害性腰痛とは、災害性の原因による腰痛のことを指し、腰に受けた外傷によって生じる腰痛のほか、外傷はないが、 次の具体例のように、 突発的で急激な強い力が原因となって筋肉等(筋、筋膜、靱帯など)が損傷して生じた腰痛を含む。
2.× 物理的因子による疾病は、2位(665件)の報告がある。
3.× じん肺および合併症は、3位(263件)の報告がある。
4.× 化学物質による疾病は、5位(201件)の報告がある。ちなみに、4位(202件)は、病原体による疾病である。
(※データ引用:「平成26年業務上疾病発生状況(業種別・疾病別)」厚生労働省様HPより)
問題5 精神障害について正しいのはどれか。
1.てんかん発作は一時的な意識消失を伴う。
2.認知症は知能が生来低下している状態である。
3.抑うつは意識レベルの程度を表している。
4.適応障害は脳の器質的障害が原因である。
解答1
解説
欠神発作は、①定型欠神と②非定型欠神に分類される。非定型欠神は、脳全体に全般性に現れる棘徐波に一致して意識消失を主体とする発作症状がみられるという点では定型欠神と同じだが、発作の始まりや終わりが定型欠神ほどはっきりしなくて、なんとなく始まり、なんとなく終わるということがほとんどである。脳波上も定型欠神のものより遅い1.5~2.5サイクルの棘徐波が認められる。定型欠神は、脳に障害がない患者さんに多くみられるが、非定型欠神はLennox-Gastaut症候群(レノックス・ガストー症候群)など脳に障害のある患者さんによくみられる発作である。
1.△ (※一部正しい)。てんかん発作は、一時的な意識消失を伴う「タイプもある」。てんかんとは、脳の神経の電気信号が過剰に発射され、意識障害やけいれん発作を繰り返す病気である。てんかん発作の中には、様々なタイプがあり、その中には一時的な意識消失を伴うものがある(意識消失を伴わないものもあるため△とした)。特に「欠神発作」や「複雑部分発作」にて、一時的な意識消失がみられる。
2.× 認知症は知能が、「生来(生まれつき)」ではなく後天的に徐々に低下した状態である。認知症とは、さまざまな原因で脳の神経細胞が破壊・減少し、日常生活が正常に送れない状態になることをいう。
3.× 抑うつは、「意識レベルの程度」ではなく気分が落ち込んだり、興味や喜びが減少する精神的な状態を表している。ちなみに、うつ病とは、抑うつ感、希望や元気を失ったり、興味を失ったり、生産性が低下したり、睡眠障害、食欲の低下、身体症状などが2週間以上続いている状態である。原因は多岐にわたり、生物学的、環境的、社会的要因が関係していることが知られている。
4.× 適応障害は、脳の「器質的」ではなく機能的障害が原因である。器質的とは、ある障害や病変の原因などについて、身体の器官のどこかが物質的・物理的に特定できる状態にあるということである。器質的な原因との矛盾点に直面させるのではなく、自分の気持ちや直面している困難を意識化し、言語的に表現できるよう促していく。
適応障害は、大きな生活の変化(進学、就職、転居など)やストレス性の出来事(離別、死別など)に対して、順応するまでに様々な症状(抑うつ気分、不安など)を呈するものをいう。例としては、職場の勤務異動により、新しい部署の仕事や人間関係に慣れることができずに、苦悩や情緒不安定な状態が特続することが挙げられる。