第26回(H30年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前16~20】

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問題16 人体の発生について正しいのはどれか。

1.受精は子宮内で起こる。
2.透明帯は受精直後に消失する。
3.羊膜は胚盤の外胚葉と連続する。
4.母体と胎児の血液は胎盤で混ざり合う。

解答

解説

(※図引用:「基礎編―人体発生―」腹腔内内ヘルニア大全HPより)

1.× 受精は、「子宮内」ではなく卵管膨大部で起こる。受精とは、精子と卵子が合体融合して、受精卵が生じる現象を指す。男性から射精された精子と卵巣から排卵された卵子は卵管内で受精卵となり、分裂を繰り返しながら卵管を輸送され、子宮内膜に着床し、妊娠が成立する。

2.× 透明帯は、「受精直後に消失」ではなく受精6~7日目に子宮内膜に着床する際に破れる(ハッチング)。。透明帯は、受精後4~5日目に胚盤胞まで発育した胚が子宮に到着し、6~7日目に子宮内膜に着床する際に破れる(ハッチング)。ちなみに、透明帯とは、卵子の細胞膜を取り囲む糖タンパク質で、卵巣内では卵子の形成や成熟に働き、受精時には多精子受精や異物(異種の精子やウイルスなど)の侵入を防ぐ役割を担っている。

3.〇 正しい。羊膜は胚盤の外胚葉と連続する。羊膜は、発生過程で外胚葉から形成され、胚を包み込む膜である。羊膜は胚盤の外胚葉と連続しており、胎児を保護する役割を果たす。

4.× 母体と胎児の血液は、「胎盤で混ざり合わない」。胎盤の中には、ろ紙のような特別な膜があって、うまく酸素や栄養のようなものだけを通しながら、赤ちゃんとお母さんの血液自体は分けることができている。また、胎児循環とは、胎児における血液の流れ方のことで、肺のかわりを胎盤が果たす胎盤循環が主体である。胎児の下腹部で大動脈から出た左右の臍動脈は、胎盤で母体の血液とガス交換および栄養分・老廃物交換を行った後、1本の臍静脈として胎児体内に戻る。その後肝臓を通じ、あるいは静脈管を通って下大静脈から右心房に入る。この血液と上大静脈から右心房に入った血液の大部分は、心房中隔にあいている卵円孔を通じて直接左心房に移り、左心室から大動脈に出る。一部の右心房から右心室に入った血液は、肺動脈に出るが、肺がまだ活動していないので、その主体は動脈管を通じて大動脈に流入する。

各胚葉に由来する器官

外胚葉:神経(脳・脊髄)・表皮(毛・爪)・感覚器(視・聴覚)
中胚葉:骨格(軟骨)・筋・循環器系(心臓・血管・リンパ)・泌尿生殖器(腎臓・精巣・子宮・卵巣)
内胚葉:消化器(胃・腸)・呼吸器(気管・肺)・尿路系(膀胱・尿道)

 

 

 

 

 

問題17 脊柱について正しいのはどれか。

1.歯突起窩は軸椎にある。
2.胸椎の連結による弯曲は前弯である。
3.仙骨角は体表から触れる。
4.岬角は尾椎の前縁にある。

解答

解説

(※図引用:「イラスト素材:脊柱(側面)」illustAC様より)

1.× 歯突起窩は、「軸椎(第二頸椎)」ではなく環椎(第一頸椎)にある。軸椎の特徴として、歯突起がみられる。歯突起窩は、歯突起に対し、関節面を提供している。

2.× 胸椎の連結による弯曲は、「前弯」ではなく後弯(後ろに凸)である。なぜなら、臓器を収容・保護するため。

3.〇 正しい。仙骨角は体表から触れる。仙骨角とは、中間仙骨稜の下端で、緩やかな突出部である。仙骨の椎間孔は仙骨の内部にあって仙骨管から脊髄神経が出る開口部となっている。

4.× 岬角は、「尾椎」ではなく仙骨の前縁にある(※下図参照)。

(※図引用:「イラスト素材:骨盤」illustAC様HPより)

 

 

 

 

 

問題18 上肢の筋と神経の関係について正しいのはどれか。

1.回外筋は正中神経によって貫かれる。
2.烏口腕筋は筋皮神経によって貫かれる。
3.円回内筋の上腕頭と尺骨頭の間を尺骨神経が通る。
4.上腕三頭筋の長頭と外側頭の間を橈骨神経が通る。

解答

解説
1.× 回外筋は、「正中神経」ではなく橈骨神経深枝によって貫かれる(支配されている)。回外筋の【起始】上腕骨外側上顆、尺骨の回外筋稜、肘関節包後面、橈骨輪状靭帯、【停止】橈骨上部外側面、【作用】前腕回外、【支配神経】橈骨神経深枝:C5~C7である。

2.〇 正しい。烏口腕筋は、筋皮神経によって貫かれる(支配されている)。烏口腕筋の【起始】烏口突起、【停止】上腕骨の内側面の中部、【作用】肩関節屈曲、内転、【支配神経】筋皮神経:(C5)C6~C7である。

3.× 円回内筋の上腕頭と尺骨頭の間を「尺骨神経」ではなく正中神経が通る。尺骨神経は、上腕の内側から前腕の内側を走行する神経である。つまり、尺側(小指側)を走行する。一方、正中神経は、正中神経は、上腕から前腕の前面(真ん中)を通る。ちなみに、円回内筋の【起始】上腕頭:上腕骨内側上顆と内側上腕筋間中隔、尺骨頭:尺骨鈎状突起内側、【停止】橈骨外側面の中央部、【作用】肘関節回内、屈曲、【支配神経】正中神経:C6~7である。

4.× 上腕三頭筋の「長頭」ではなく内側頭と外側頭の間を橈骨神経が通る。上腕三頭筋の【起始】内側頭:上腕骨後面の橈骨神経溝の下方の大部分(広い)、両側の筋間中隔、外側頭:上腕骨橈骨神経溝の上方、長頭:肩甲骨の関節下結節、【停止】尺骨の肘頭、【作用】肘関節伸展、肩関節伸展、【神経】橈骨神経である。

 

 

 

 

 

問題19 心臓について正しいのはどれか。

1.心臓は後縦隔に位置する。
2.心外膜は漿膜の壁側板である。
3.房室結節は心房を収縮させる。
4.大心臓静脈は冠状溝を走行する。

解答

解説

(図引用:「看護師 イラスト集【フリー素材】」看護roo!様HPより)

1.× 心臓は、「後縦隔」ではなく中縦隔に位置する。
縦隔とは左右の肺の間に位置する部分のことを指す。心臓、大血管、気管、食道、胸腺などの臓器がある。縦隔の区分と、そこに発生しやすい代表的な腫瘍として、
・上縦隔:甲状腺腫
・前縦隔:胸腺腫瘍(胸腺腫・胸腺嚢胞(のうほう)・胸腺癌)、奇形腫、胚細胞性腫瘍
中縦隔:心膜嚢胞、気管支原性腫瘍、リンパ腫

2.× 心外膜は、漿膜の「壁側板」ではなく臓側板である。心外膜は、心臓を直接覆っている膜である。一方、漿膜の壁側板は、心膜腔の外側を覆う層である。

3.× 「房室結節」ではなく洞結節(洞房結節)は、心房を収縮させる。心臓の刺激伝導系は、「洞結節(洞房結節)→右房→左房→房室結節→His束(房室束)→左脚・右脚→プルキンエ線維(Purkinje線維)→心室」となる。房室結節は、心房から心室へ電気信号を伝える役割を担っているが、直接心房を収縮させない。つまり、房室結節は、信号を心室に伝える「中継点」として機能する。

4.〇 正しい。大心臓静脈は、冠状溝を走行する
・冠状溝:【動脈】右冠状動脈、回旋枝(左冠状動脈)。【静脈】冠状静脈洞、大心臓静脈、小心臓静脈
・前室間溝:【動脈】前室間枝(左冠状動脈)、【静脈】大心臓静脈
・後室間溝:【動脈】後室間枝(右冠状動脈)、【静脈】中心臓静脈が走行する。

 

 

 

 

 

問題20 静脈について正しいのはどれか。

1.奇静脈は腋窩静脈に注ぐ。
2.内胸静脈は上大静脈に注ぐ。
3.外陰部静脈は大腿静脈に注ぐ。
4.橈側皮静脈は上腕静脈に注ぐ。

解答

解説
1.× 奇静脈は、「腋窩静脈」ではなく上大静脈に注ぐ。奇静脈とは、脊柱の右側を走行し上大静脈に合流する静脈をいう。ほかに、脊柱の左側を走行する静脈に半奇静脈と副半奇静脈がある。これらは上大静脈と下大静脈の連絡を担い、閉塞した際には奇静脈が側副血行路として機能する。奇静脈は、脊柱の右側を走り、右の肋間静脈を集め上行し上大静脈に注ぐ。

2.× 内胸静脈は、「上大静脈」ではなく腕頭静脈に注ぐ。

3.〇 正しい。外陰部静脈は大腿静脈に注ぐ。大腿静脈は、浅腹壁静脈、浅腸骨回旋静脈、外陰部静脈、大伏在静脈、大腿深静脈が注ぐ。

4.× 橈側皮静脈は、「上腕静脈」ではなく腋窩静脈に注ぐ。橈側皮静脈は、外側を走行し、尺側皮静脈が直接つながる腋窩静脈に合流し、鎖骨下静脈および腕頭静脈として中枢方向に続いてから上大静脈に合流する。

下大静脈に直接流入するのは主に下半身(横隔膜以下の部)の静脈血

具体的には・・・
①肝静脈
②腎静脈
③右精巣(卵巣)静脈
④腰静脈
⑤総腸骨静脈
※左精巣(卵巣)静脈は、腎静脈を経て流入する。

 

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