第26回(H30年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前26~30】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

問題26 眼球について正しいのはどれか。

1.瞳孔括約筋の収縮で散瞳する。
2.毛様体小体は硝子体に付着する。
3.杆体細胞は黄斑に集中する。
4.眼房水は水晶体を栄養する。

解答

解説

(※図:「看護師イラスト集」看護roo!様HPより)

1.× 瞳孔括約筋の収縮で、「散瞳」ではなく縮瞳する。瞳孔散大筋は、交感神経の支配を受けており、ノルアドレナリンの作用で収縮する。逆の働きをする瞳孔括約筋が副交感神経支配筋であり、アセチルコリンで瞳孔は収縮(縮瞳)する。

2.× 毛様体小体は、「硝子体」ではなく水晶体に付着する。毛様体小体とは、チン小帯ともいい、毛様体と水晶体の間を結び水晶体を支えたり、水晶体が眼球内に落ちないようにする働きを持つ。近くのものを見るときは、毛様体筋が収縮し、毛様体小帯が弛緩し、水晶体が厚くなる。遠くのものを見るときはその逆である。一方、硝子体とは、眼球内の大部分を占める透明なゼリー状の組織で、眼球の形態を保ち、角膜や水晶体で屈折された光を網膜まで透過させる働きがある。

3.× 黄斑に集中するのは、「杆体細胞」ではなく錐体細胞である。錐体細胞とは、色覚に関与し、黄斑に集中している。一方、杆体細胞とは、明るさに関与し、網膜全体に分布している。

4.〇 正しい。眼房水は水晶体を栄養する。眼房水とは、角膜・水晶体・硝子体など血管のない組織に栄養を与える役割をもっており、目の中の毛様体で作られる。毛様体から、瞳孔および隅角にあるフィルター線維柱帯を通って、シュレム管に集まり、静脈へと流れ出す。

 

 

 

 

 

問題27 解糖について正しいのはどれか。

1.酸素を必要とする。
2.細胞質内で行われる。
3.クエン酸が生成される。
4.電子伝達系に比べATP産生能が高い。

解答

解説

嫌気的代謝(解糖系)とは?

解糖系とは、生体内に存在する生化学反応経路の名称であり、グルコースをピルビン酸などの有機酸に分解し、グルコースに含まれる高い結合エネルギー(ATP)を生物が使いやすい形に変換していくための代謝過程である。グルコースから生じたピルビン酸は、還元され最終産物として乳酸になる。このグルコースから乳酸への変換経路は、酸素の関与なしに起こりうるので、嫌気的代謝(解糖)と呼ばれる。

1.× 酸素を必要と「しない」。なぜなら、解糖系は嫌気的代謝といわれ、酸素の関与なしに起こりうるため。

2.〇 正しい。細胞質内で行われる。なぜなら、解糖系は、細胞質内で行われるため。細胞質基質でグルコースが分解され、ピルビン酸が生成される。

3.× クエン酸が生成されるのは、「クエン酸回路(別名:TCA回路、クレブス回路、トリカルボン酸回路)」である。
【クエン酸回路とは?】
クエン酸回路(TCA回路、クレブス回路、トリカルボン酸回路)とは、ミトコンドリアでアセチルCoAが二酸化炭素と水へと酸化されATPを生成する。グルコース→ピルビン酸→アセチルCoA→【クエン酸回路】(オキサロ酢酸)+クエン酸→イソクエン酸→α-ケトグルタル酸→サクシニルCoA→コハク酸→フマル酸→リンゴ酸→オキサロ酢酸となる。

4.× 電子伝達系に比べATP産生能が「低い」。なぜなら、解糖系のATP産生量は、1分子のグルコースから2分子のATPしか生成しないため。これに対し、電子伝達系では1分子のグルコースから約34分子のATPが生成される。ちなみに、酸化的リン酸化(電子伝達系)とは、 細胞内(ミトコンドリア)で起こる呼吸(電子伝達系の複合体を経て酸素に渡してH2Oにする)に関連した現象で一連のリン酸化(ATP合成)反応のことである。

 

 

 

 

 

問題28 血管拡張作用をもつのはどれか。

1.セロトニン
2.エンドセリン
3.二酸化炭素
4.アンジオテンシンII

解答

解説
1.× セロトニンとは、うつ病と関連が深い神経伝達物質である。脳内だけに分泌される神経伝達物質で、交感神経を刺激し、血圧を上昇させる作用がある。ノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑え、心のバランスを整える作用のある伝達物質でもある。

2.× エンドセリンとは、細動脈を収縮させるほか、陽性変時・変力作用、血管平滑筋増殖作用、心筋細胞肥大作用、線維芽細胞増殖作用などを有するとされる。

3.〇 正しい。二酸化炭素は、血管拡張作用をもつ。二酸化炭素とは、血中の濃度が上昇すると血管を拡張させる作用がある。特に脳血管において、二酸化炭素濃度の上昇は血管を拡張させ、脳の血流量を増加させることで酸素供給を高める。

4.× アンジオテンシンIIは、血圧上昇作用を持つ。腎臓の輸入細動脈の壁にある傍糸球体細胞からレニンが分泌され、血液中のアンジオテンシノーゲンからアンジオテンシンⅠという物質をつくる。アンジオテンシンⅠとは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)によりアンジオテンシンⅡに変換される。アンジオテンシンⅡとは、全身の動脈を収縮させるとともに、副腎皮質からアルドステロンを分泌させる。アルドステロンは、Naを体内に溜める働きがあり、これにより循環血液量が増加して心拍出量と末梢血管抵抗が増加する。これをレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(Renin-Angiotensin-Aldosterone System:RAAS)といい、血圧上昇後にはレニンの分泌は抑制され、この系の働きが低下する。

血圧を上昇させるホルモン

・セロトニン
・カテコールアミン
・アンジオテンシンⅡ
・アルドステロン
・バソプレシン
・トロンボキサン
・エンドセリン

 

 

 

 

 

問題29 異常呼吸で、深い呼吸が規則正しく続くのはどれか。

1.起坐呼吸
2.ビオー呼吸
3.クスマウル呼吸
4.チェーン・ストークス呼吸

解答

解説

(※図引用:「異常呼吸」日本臨床検査医学会様HPより)

1.× 起坐呼吸とは、呼吸困難が臥位で増強し、起坐位(または半坐位)で軽減することをいう。起坐呼吸は、臥位をとると静脈還流が増え血液が肺にたまりやすくなり呼吸困難が増強するためみられる。

2.× ビオー呼吸とは、不規則に早く深い呼吸が突然中断され、無呼吸となり、また早く深い呼吸に戻る呼吸である。原因疾患は、①呼吸中枢の障害、②髄膜炎の末期に起こる。

3.〇 正しい。クスマウル呼吸は、異常呼吸で、深い呼吸が規則正しく続く。クスマウル呼吸とは、異常に深大な呼吸が連続し、規則正しく続く状態である。 運動時にも同様の呼吸がみられることがある。 糖尿病性ケトアシドーシス、腎不全に伴う尿毒症、昏睡時などに認められる。チェーンストークス呼吸とは、数十秒間程度の無呼吸が続いた後、外呼吸を再開すると1回換気量が次第に増加し、極大に達すると今度は1回換気量が減少して、再び数十秒間の無呼吸に至るというサイクルが続く、異常な外呼吸の仕方である。呼吸中枢の低酸素症(脳出血、脳梗塞)、動脈血循環の不良、低酸素血症のいずれかが原因となる。

4.× チェーン・ストークス呼吸とは、数十秒間程度の無呼吸が続いた後、外呼吸を再開すると1回換気量が次第に増加し、極大に達すると今度は1回換気量が減少して、再び数十秒間の無呼吸に至るというサイクルが続く、異常な外呼吸の仕方である。呼吸中枢の低酸素症(脳出血、脳梗塞)、動脈血循環の不良、低酸素血症のいずれかが原因となる。

 

 

 

 

 

問題30 摂食を抑制するのはどれか。

1.グレリン
2.オレキシン
3.ロイコトリエン
4.レプチン

解答

解説
1.× グレリンは、【産生場所】胃腸管(胃内分泌細胞)、【分泌場所】胃、【作用】下垂体に働きかけて成長ホルモンの分泌を促し、また視床下部に働き、摂食行動を亢進する。

2.× オレキシンは、【産生場所と分泌場所】視床下部、【作用】脳内で神経伝達物質として作用し、①覚醒状態の維持・安定化、②摂食行動の亢進(食欲を増進させる)など。

3.× ロイコトリエンは、摂食の抑制や促進に対しては特に影響を及ぼさない。ロイコトリエンは、生理活性物質(ケミカルメディエーター)の一つである。役割として、好中球の走化性を活性化し、気管支収縮作用、血管拡張作用、血管透過性の亢進などを担う。

4.〇 正しい。レプチンは、摂食を抑制する。レプチンとは、【産生場所と分泌場所】脂肪細胞、【作用】満腹中枢を刺激して食欲を抑制する作用と、エネルギー消費を増進させる作用がある。

MEMO

ケミカルメディエーターとは、化学伝達物質ともいい、細胞間の情報伝達に作用する化学物質のことである。肥満細胞が放出するケミカルメディエーターは、さまざまなアレルギー反応(血管透過性の亢進、血流の増加、炎症細胞の遊走など)を起こす。

【例】
・ヒスタミン
・ロイコトリエン
・トロンボキサン
・血症板活性化因子
・セロトニン
・ヘパリンなど。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)