第26回(H30年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前31~35】

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問題31 コレステロールについて正しいのはどれか。

1.単純脂質である。
2.細胞膜に含まれる。
3.膵臓で合成される。
4.皮下脂肪の主成分である。

解答

解説

MEMO

総コレステロールとは、脂質の一種でコレステロール骨格をもつ化合物である。血中脂質とは、血液中に含まれる脂肪分のことで、 LDL(悪玉)コレステロール、HDL(善玉)コレステロール、中性脂肪(トリグリセリド)などの総称となる。

1.× 単純脂質であるのは、中性脂肪である。単純脂質とは、脂肪酸とアルコールが結合した脂質で、エネルギー貯蔵や組織保護に寄与する。
・複合脂質とは、リン脂質や糖脂質のことで、細胞膜の構成や物質の透過調整に寄与する。
・誘導脂質とは、コレステロールや胆汁酸、性ホルモンなどのことで、細胞膜やホルモンなどの構成成分である。

2.〇 正しい。細胞膜に含まれる。コレステロールは、誘導脂質に分類され、細胞膜やホルモンなどの構成成分である。

3.× 「膵臓」ではなく肝臓で合成される。肝臓の働きは、①胆汁の生成とビリルビンの代謝、②血漿蛋白質と尿素の合成、③脂質代謝、④糖の貯蔵と放出、⑤ビタミンDの代謝、⑥ホルモンの代謝、⑦解毒・薬物の代謝である。

4.× 皮下脂肪の主成分は、「中性脂肪(トリグリセリド)」である。トリグリセリドとは、脂肪酸が3本、グリセロールと呼ばれる物質で束ねられた構造をしている。食事から摂取した栄養のうち、体内でエネルギーとして使われる脂肪のことである。運動により、エネルギー消費量が増加し、内臓脂肪と皮下脂肪がエネルギー源として利用される。

 

 

 

 

 

問題32 安静時の熱産生が最も多いのはどれか。

1.皮膚
2.腎臓
3.肝臓
4.内臓脂肪

解答

解説

MEMO

ヒトの体温は、熱産生と熱放散のバランスで一定に保たれている。
熱産生には、①代謝、②ふるえ、③非ふるえがある。

1.× 皮膚の機能は、体温の調節(鳥肌)や体の保護を担うことである。

2.× 腎臓の機能は、体液の恒常性を保つことである。つまり、①水分・電解質の調節、②酸塩基平衡の調節、③代謝産物の排泄、④ホルモン産生・調節などがあげられる。

3.〇 正しい。肝臓は、安静時の熱産生が最も多い。なぜなら、肝臓は、多くの代謝活動(栄養の処理、解毒、蛋白質の合成、脂肪の分解など)を行っており、全身の熱産生の約20〜30%を占めるため。ちなみに、肝臓の働きは、①胆汁の生成とビリルビンの代謝、②血漿蛋白質と尿素の合成、③脂質代謝、④糖の貯蔵と放出、⑤ビタミンDの代謝、⑥ホルモンの代謝、⑦解毒・薬物の代謝である。

4.× 内臓脂肪の機能は、エネルギーの貯蔵庫である。

 

 

 

 

 

問題33 糸球体ろ過量を増加させるのはどれか。

1.糸球体血圧の上昇
2.血漿膠質浸透圧の上昇
3.ボーマン嚢内圧の上昇
4.尿管内圧の上昇

解答

解説

糸球体濾過量とは?

糸球体濾過量とは、腎臓の機能を表す指標で「GFR(Glomerular Filtration Rate)」とも呼ばれる。腎臓のなかにある糸球体(毛細血管の集合体)が1分間にどれくらいの血液を濾過して尿を作れるかを示している。推算糸球体濾過量(eGFR)の正常値は、「60ml/分/1.73㎡以上」で、年齢、性別、血清クレアチニン値、シスタチンC値から計算する。①正常(G1:90以上)、②軽度低下(G2:60〜89)、③中等度低下(G3a:45〜59、G3b:30〜44)、④高度低下(G4:15〜29)、⑤末期腎不全(G5:15以下)に分類される。

1.〇 正しい。糸球体血圧の上昇は、糸球体ろ過量を増加させる。糸球体血圧とは、糸球体にかかる圧力のことである。糸球体とは、腎臓に血液を送る動脈が徐々に細くなった先にある毛細血管の球形の塊である。糸球体は、腎臓の機能単位であるネフロンの一部で、腎臓の外側部分である腎皮質に集まっている。腎髄質は腎臓の内側部分で、集合管などが存在する。腎臓には心臓から送りだされる血液の約4分の1が流れ込み、糸球体でろ過される。この濾過された液を原尿といい、1日に約150リットル作り出される。原尿には、不要な老廃物と、体に必要な物質(水分、糖分、ナトリウム、アミノ酸など)が含まれている。

2.× 血漿膠質浸透圧の上昇の「上昇」ではなく低下が、糸球体ろ過量を増加させる。膠質浸透圧とは、血漿中のタンパク質によって生じる浸透圧のことである。膠質浸透圧が高いと、ろ過された水分が血液に戻りやすくなるため、糸球体濾過量は低下する。

3.× ボーマン嚢内圧の上昇の「上昇」ではなく低下が、糸球体ろ過量を増加させる。ボーマン嚢とは、腎臓の糸球体を包む袋状の構造物で、原尿を集めて尿細管へ送る役割がある。ボーマン嚢内の圧力が高いと、ろ過された液体が糸球体からボーマン嚢に移行するのが困難になるため、糸球体濾過量は低下する。

4.× 尿管内圧の「上昇」ではなく低下が、糸球体ろ過量を増加させる。残尿があるために常に膀胱内圧が高い場合、腎盂内圧も上昇し、それによって腎機能が障害を受ける。たとえば、尿管が閉塞されると、腎盂や尿細管、さらにはボーマン嚢内圧も上がることで、糸球体濾過量が減少する。

浮腫とは?

浮腫とは、体液のうち間質液が異常に増加した状態を指す。主に皮下に水分が貯留するが、胸腔に溜まった場合は胸水・腹腔に溜まった場合は腹水と呼ばれる。軽度の浮腫であれば、寝不足や塩分の過剰摂取、長時間の起立などが要因で起きることがある。病的な浮腫の原因はさまざまだが、①血漿膠質浸透圧の低下(低アルブミン血症など)、②心臓のポンプ機能低下による血液のうっ滞(心不全など)、③リンパ管の閉塞によるリンパ液のうっ滞、④血管透過性の亢進(アナフィラキシーショックなど)に大別することができる。

 

 

 

 

 

問題34 グルカゴンにより促進されるのはどれか。

1.グルコースの細胞内への取り込み
2.グリコーゲンの分解
3.蛋白質の合成
4.脂肪の合成

解答

解説

グルカゴンとは?

膵臓のランゲルハンス島からは、①インスリン、②グルカゴン、③ソマトスタチンが分泌される。
①インスリンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖低下、②脂肪合成の作用がある。

②グルカゴンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるα細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖上昇、②脂肪分解の作用がある。

③ソマトスタチンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるγ細胞から分泌されるホルモンの一種で、成長ホルモン、インスリン、グルカゴン、ガストリン、セクレチンの分泌抑制の作用がある。

1.3~4.× グルコースの細胞内への取り込み/蛋白質の合成/脂肪の合成は、「インスリン」の作用である。相反する働きがグルカゴンである。

2.〇 正しい。グリコーゲンの分解は、グルカゴンにより促進される。グリコゲーンとは、多糖類の一種で、エネルギーを貯蔵し人間の活動に欠かせないものである。普段は、肝臓や骨格筋等に蓄えられており、急激な運動を行う際のエネルギー源として、あるいは空腹時の血糖維持に利用される。

 

 

 

 

 

問題35 単語の記憶に重要な部位を含むのはどれか。

1.視床下部
2.小脳核
3.大脳基底核
4.大脳辺縁系

解答

解説

(※図引用:「脳(矢状断)」illustAC様HPより)

1.× 視床下部とは、間脳に位置し、内分泌や自律機能の調節を行う総合中枢である。 ヒトの場合は脳重量のわずか0.3%、4g程度の小さな組織であるが、多くの神経核から構成されており、体温調節やストレス応答、摂食行動や睡眠覚醒など多様な生理機能を協調して管理している。つまり、視床下部は自律神経の最高中枢である。

2.× 小脳核とは、小脳内部で処理された情報(随意運動を円滑にする)を他の脳領域に出力する部位である。左右の脳に歯状核、中位核、室頂核と呼ばれる3対の神経核がある。

3.× 大脳基底核とは、①線条体(被殻 + 尾状核)、②淡蒼球、③黒質、④視床下核である。小脳とともにからだの運動をスムーズにする役割がある。

4.〇 正しい。大脳辺縁系は、単語の記憶に重要な部位を含む。大脳辺縁系とは、脳梁を取り囲むように大脳の内側部に存在し、本能・情動・記憶などを司る構造物の総称である。構成要素としては、辺縁葉(梁下野、帯状回、海馬傍回)、海馬、扁桃体、乳頭体、中隔核などがあげられる。

 

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