第26回(H30年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前46~50】

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問題46 膝関節の徒手検査法疾患の組合せで正しいのはどれか。

1.マクマレーテスト:膝半月板損傷
2.Nテスト:膝後十字靭帯損傷
3.グラインディングテスト:膝蓋靭帯炎
4.後方引き出しテスト:膝前十字靭帯損傷

解答

解説
1.〇 正しい。マクマレーテストは、「膝半月板損傷」を検査する。McMurrayテスト(マックマリーテスト)の陽性は、半月板損傷を疑う。①背臥位で膝を完全に屈曲させ片手で踵部を保持する。②下腿を外旋させながら膝を伸展させたときに痛みやクリックを感じれば内側半月の損傷、下腿を内旋させながら膝を伸展させたときに生じるならば外側半月の損傷を示唆する。

2.× Nテストは、「膝後十字靭帯損傷」ではなく膝前十字靭帯損傷を検査する。Nテストは、前十字靭帯断裂を検査する。足部と下腿近位を把持し、膝関節屈曲位から腓骨頭を押し出すように下腿を内旋させ、そのまま他動的に伸張させる。膝屈曲20°付近から脛骨が前方・内旋方向へ亜脱臼すると陽性となる。

3.× グラインディングテストは、「膝蓋靭帯炎」ではなく半月板損傷を検査する。膝蓋骨グラインディングテストは、半月板損傷を検査する。うつ伏せで、膝を90度屈曲し、踵を下に押しつけながら回す。痛みが生じたときは陽性となる。

4.× 後方引き出しテストは、「膝前十字靭帯損傷」ではなく膝後十字靭帯損傷を検査する。後方引き出しテストは、背臥位にて患側膝90°屈曲位で、検者は下腿を後ろ方に押す。陽性の場合、脛骨は止まることなく後方に押し込める。

 

 

 

 

 

問題47 気管支喘息の聴診所見はどれか。

1.捻髪音
2.水泡音
3.笛音
4.いびき音

解答3・4

解説
1.× 捻髪音とは、高くて細かい断続音のことであり、硬くなった気道が、吸気時に急に開くときの、「パチパチ」という音である。肺線維症・間質性肺炎・喘息・過敏性肺炎などで見られる。

2.× 水泡音とは、太い気管支に由来の粗い断続性ラ音である主に、慢性気管支肺水腫などで聴取される。粗い断続性副雑音とは、気道内に溜まった分泌物が呼吸にともなう空気の移動で震えて破裂することで生じる音である。聴取される代表的な疾患は肺水腫や細菌性肺炎である。

3.〇 正しい。笛音は、気管支喘息の聴診所見である。笛音:てきおんは、高調性連続性副雑音で、同じような音が連続して続く音(ヒューヒュー)である。聴取される代表的な疾患は、細い気管支の狭窄(喘息など)である。

4.〇 正しい。いびき音は、気管支喘息の聴診所見である。慢性閉塞性肺疾患で見られるのは、息をする時にヒューヒュー(笛音)やウーウー(いびき音)という連続性副雑音である。慢性閉塞性肺疾患のように、気管支、細気管支に炎症が起こると、咳や痰の症状がみられるようになり、気管支に痰が溜まって空気の通り道が狭くなるため。

慢性閉塞性肺疾患とは?

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の最大の原因は喫煙であり、喫煙者の約20%がCOPDを発症する。慢性閉塞性肺疾患とは、以前には慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称である。他の特徴として、肺の過膨張、両側肺野の透過性亢進、横隔膜低位、横隔膜の平低化、滴状心などの特徴が認められる。進行性・不可逆性の閉塞性換気障害による症状が現れる。

増加:残気量・残気率・肺コンプライアンス・全肺気量・PaCO2

減少:一秒率・一秒量・肺活量・肺拡散能・PaO2

 

 

 

 

 

問題48 放射線被曝を伴う検査はどれか。

1.筋電図検査
2.PET検査
3.MRI検査
4.サーモグラフィ

解答

解説
1.× 筋電図検査とは、筋肉や神経に異常がないかについて、筋肉が収縮する時や神経を電気で刺激するなどの筋肉や神経の信号の伝わり方を記録する検査である。①神経伝導速度検査、②針筋電図検査、③表面筋電図検査があげられる。この記録を評価することにより、神経や筋肉に疾患があるかを調べることができる(参考:「筋電図検査とは」りんくう総合医療センター様HPより)。
・神経原性変化があると高振幅、長持続、多相性の波形に。
・筋原性変化があると低振幅、短持続、多相性の波形に。

2.〇 正しい。PET検査は、放射線被曝を伴う検査である。PET(Positron Emission Tomography:陽電子放射断層撮影検査)とは、放射能を含む薬剤を用いる、核医学検査の一種である。放射性薬剤を体内に投与し、その分析を特殊なカメラでとらえて画像化する。PET検査は、通常がんや炎症の病巣を調べたり、腫瘍の大きさや場所の特定、良性・悪性の区別、転移状況や治療効果の判定、再発の診断などに利用されている。アルツハイマー病やてんかん、心筋梗塞を調べるのにも使われている。

3.× MRI検査(核磁気共鳴画像法)とは、核磁気共鳴現象を利用して生体内の内部の情報を画像にする方法である。治療前にがんの有無や広がり、他の臓器への転移がないかを調べたり、治療の効果を判定したり、治療後の再発がないかを確認するなど、さまざまな目的で行われる精密検査である。

4.× サーモグラフィとは、物体から放射される赤外線を分析し、温度分布を表した画像や映像、またはその画像を取得するために利用する装置を指す。

 

 

 

 

 

問題49 腎機能の検査はどれか。

1.クレアチニン
2.クレアチンキナーゼ
3.アルカリホスファターゼ
4.γ-グルタミントランスペプチターゼ

解答

解説
1.〇 正しい。クレアチニンは、腎機能の検査である。クレアチニンとは、筋肉を動かすためのエネルギーを使った後に出てくる老廃物の一つで、体にとって不要なもので、尿として体の外に出す必要がある。したがって、尿の成分の一つである。腎不全の指標となる。本来は、尿素窒素と同様に腎臓の糸球体で濾過され尿中に排泄されるが、腎臓の機能が低下すると尿中に排泄される量が減少し、血液中にクレアチニンが溜まる。

2.× クレアチンキナーゼとは、骨格筋・心筋・脳などの損傷の程度を推測する指標である。筋肉細胞に含まれており、筋肉細胞の障害により高クレアチンキナーゼ血症となる。発症時の自覚症状としては、筋痛・しびれ・腫脹が生じ、筋壊死の結果として脱力・赤褐色尿(ミオグロビン尿)が生じ、腎不全症状が加わると無尿・乏尿・浮腫が生じる。

3.× アルカリホスファターゼとは、リン酸化合物を分解する働きを持つ酵素で、肝臓や小腸、腎臓、骨などの多くの臓器や器官に存在している。したがって、肝臓や骨の疾患の診断などに用いられる。これらの組織に異常があるとアルカリフォスファターゼが血液のなかに漏れ出てくる。基準値:38〜113U/L(成人男女)である。

4.× γ-グルタミントランスペプチターゼ(γ-GTP)は、肝胆道系の異常を推測する指標である。肝臓の解毒作用(タンパク質分解)に関係する酵素である。

 

 

 

 

 

問題50 チアノーゼについて正しいのはどれか。

1.皮膚が白くなる。
2.末梢循環不全で生じる。
3.貧血で現れやすい。
4.じんま疹のとき生じる。

解答

解説

チアノーゼとは?

チアノーゼとは、皮膚や粘膜が青紫色である状態をいう。 一般に、血液中の酸素が不足することをきっかけとし、 血液中の酸素濃度が低下した際に、爪床や口唇周囲に表れやすい。毛細血管血液中の還元ヘモグロビンが、5g/dL以上に増加すると出現する皮膚の青紫調変化である。

1.× 皮膚が「白く」ではなく青紫色くなる。なぜなら、血液中の酸素飽和度が低下し、還元ヘモグロビンが増加するため。

2.〇 正しい。末梢循環不全で生じる。末梢性チアノーゼは、末梢循環不全によって血液の酸素供給が不足し、皮膚の末端部分(手指、足先など)が青紫色に変色する状態である。

3.× 「貧血」ではなく末梢循環不全で現れやすい。貧血とは、「単位容積の血液中に含まれているヘモグロビン(Hb)量が基準値より減少した状態」と定義している。

4.× じんま疹のとき生じる「とはいえない」。なぜなら、チアノーゼとは関係はないため。ちなみに、じんま疹は、アレルギー反応などによる皮膚の浮腫や赤みを伴う状態である。じんま疹は、皮膚の血管の一時的な拡張によって赤くなることが多い。

 

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