第26回(H30年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後91~95】

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問題91 次の文で示す経脈病証はどれか。
「心煩、心下痛、舌の強ばり、舌痛、鼠径部や膝の腫痛や冷え。」

1.手の少陰経
2.足の太陰経
3.手の陽明経
4.足の太陽経

解答

解説
1.× 手の少陰経は、吸願の乾燥、上腹部から前胸部にかけてが痛み、口渇が起こり、水分を取ろうとする。目の黄疽や充血、脇痛、経脈の流注部分が痛み、厥してくる。手掌に熱がこもり痛む。

2.〇 正しい。足の太陰経が経脈病証である。足の太陰脾は、舌が強ばりやすくなり、食べるとからえずきし、胃の辺りが痛み、腹部が張ってよくゲップが出る。大便や放屁すると今まであった不快感がなくなり楽になる。身体全体が重くなる。舌本が痛み、身体が動かしにくく、食べた物がつかえてなかなか下に降りていかない。横になっても不快感や胸苦しさで寝付きが悪くなり、無理に立とうとすると膝の内側が腫れて引きつってくる。足の親指が動かしにくい。

3.× 手の陽明経は、下の歯が痛み、頸が腫れる。目が黄ばみ、口が乾き、鼻血が出て、扁桃炎のような症状が出る。肩髃から臂臑あたりの経脈の流注上に痛みが出る。示指が痛んで使えない。冷えたままでなかなか温まりにくい。

4.× 足の太陽経は、腰が折れる様に痛む。膝裏の辺りが引きつって結ばれたようになる。下腿三頭筋辺りが裂けるような感じがする。痔、マラリアまたはマラリア様の熱病、精神疾患、癇癪、頭頂部から項にかけて痛む。目が黄ばんだり、充血したり、涙が出たり鼻閉が起こり鼻血が出る。項から背部、膝裏まで流れる経脈の流注上が痛む。

六経弁証

太陽病:外感病初期、表寒証。悪寒、発熱、頭痛、項強痛、脈浮など。
少陽病:半表半裹証。発汗、寒熱往来、胸脇苦満、口苦、眩暈、脈弦など。
陽明病:裏実熱証。発汗、壮熱、口渇、潮熱、大便秘結、譫語、洪脈など。
太陰病:裏虚寒証(初期)。食欲不振、腹部膨満感、水様便など。
少陰病:外感病の極期~後期、虚寒/虚熱証。四肢厥冷、心煩、不眠など。
厥陰病:外感病末期。寒熱錯雑。胸部不快感、口渇、四肢厥冷、嘔吐、下痢など。

 

 

 

 

 

問題92 下肢と体幹の両側の陰陽を調節し、下肢の陰経と陽経の協調に関与するのはどれか。

1.陽蹻脈
2.陽維脈
3.帯脈
4.督脈

解答

解説
1.〇 正しい。陽蹻脈は、下肢と体幹の両側の陰陽を調節し、下肢の陰経と陽経の協調に関与する。陰蹻脈(陽蹻脈)は、下肢・体幹の両側の陰陽を調節する。下肢の内・外側に分布する陰経と陽経を協調させる。

2.× 陽維脈(陰維脈)は、陰経と陽経を連絡する。陽維脈は全身の表と関係が深く、陰維脈は全身の裏と関係が深い。

3.× 帯脈は、季肋部から起こり腰部を回る。各経脈を束ねて調節する。

4.× 督脈は、陽経の気血を調節する。腎・脳・背髄・胞宮と関係が深い。

 

 

 

 

 

問題93 すべての絡脈に瘀血があるときに用いるのはどれか。

1.鳩尾
2.長強
3.大包
4.蠡溝

解答

解説

瘀血とは?

瘀血とは、血液が汚れたり、滞ったり、固まりやすくなった状態のことである。瘀血になると、血の流れが悪くなり、全身に栄養が行き渡らなくなるため、さまざまな症状が現れやすくなる。

1.× 鳩尾(※読み:きゅうび)は、任脈の絡穴である。鳩尾は、上腹部、前正中線上、胸骨体下端の下方1寸に位置する。

2.× 長強(※読み:ちょうきょう)は、督脈の絡穴である。長強は、会陰部、尾骨の下方、尾骨端と肛門の中央に位置する。

3.〇 正しい。大包は、すべての絡脈に瘀血があるときに用いる。大包は、脾の大絡である。大包(※読み:だいほう)は、側胸部、第6肋間、中腋窩線上に位置する。

4.× 蠡溝(※読み:れいこう)は、肝経の絡穴である。蠡溝は、下腿前内側、脛骨内側面の中央、内果尖の上方5寸に位置する。

十五絡脈

【十五絡脈とは?】
十二経の絡脈は表裏関係にある経と連絡する。
任脈の絡脈は各陰経と、督脈の絡脈は各陽経と連絡する。
※脾の大絡:大包(脾経)から胸中に向かって分かれる絡脈

 

 

 

 

 

問題94 体重節痛を起こした場合、治療部位として適切なのはどれか。

1.前脛骨筋腱内側の陥凹部、内果尖の前方
2.第4・第5中足骨間、第4中足指節関節近位の陥凹部
3.足内側、舟状骨粗面の下方、赤白肉際
4.第5中足指節関節の近位陥凹部、赤白肉際

解答

解説

五兪穴の主治と経

井穴:心下満、肝経
栄穴:身熱、心経
兪穴:体重節痛、脾経
経穴:喘咳寒熱、肺経
合穴:逆気而泄、腎経

体重節痛とは、体が重くて、節々が痛いという状態のことである。

1.× 前脛骨筋腱内側の陥凹部、内果尖の前方は、中封である。足の厥陰肝経である中封は、前脛骨筋の治療穴である。ちなみに、中封(※読み:ちゅうほう)は、足関節前内側、前脛骨筋腱内側の陥凹部、内果尖の前方にある。

2.× 第4・第5中足骨間、第4中足指節関節近位の陥凹部は、地五会である。足の少陽胆経である地五会(※読み:じごえ)は、足背、第4~5中足骨間、第4中足指節関節近位の陥凹部に位置する。

3.× 足内側、舟状骨粗面の下方、赤白肉際は、然谷である。足の少陰腎経である然谷は、後脛骨筋の治療穴である。ちなみに、然谷(※読み:ねんこく)は、足内側、舟状骨粗面の下方、赤白肉際に位置する。

4.〇 正しい。第5中足指節関節の近位陥凹部、赤白肉際(束骨)が体重節痛を起こした場合、治療部位である。足の太陽膀胱経である束骨は、五兪穴の兪穴の膀胱である。ちなみに、足の太陽膀胱経:腰が折れる様に痛む。膝裏の辺りが引きつって結ばれたようになる。下腿三頭筋辺りが裂けるような感じがする。痔、マラリアまたはマラリア様の熱病、精神疾患、癇癪、頭頂部から項にかけて痛む。目が黄ばんだり、充血したり、涙が出たり鼻閉が起こり鼻血が出る。項から背部、膝裏まで流れる経脈の流注上が痛む。

 

 

 

 

 

問題95 次の文で示す患者の症状を引き起こす六淫で最も適切なのはどれか。
「40歳の女性。昨日、外出後、頭痛、鼻づまり、咽喉部の痒み、眼瞼および顔面の浮腫が発生した。顔面麻痺様の症状もある。」

1.寒邪
2.風邪
3.湿邪
4.暑邪

解答

解説

本症例のポイント

・40歳の女性。
・昨日:外出後、頭痛鼻づまり咽喉部の痒み、眼瞼および顔面の浮腫。
・顔面麻痺様の症状もある。
→人体の表面上や体表、肺症状から絞っていこう。

1.× 寒邪は、陰性の邪気で寒冷性、凝滞性、収引性があり、陽気を損傷しやすい。

2.〇 正しい。風邪は、本症例の症状を引き起こす六淫である。風邪は、陽性の邪気で軽揚性、開泄性、遊走性があり、他の外邪の先導役となる(百病の長)。

3.× 湿邪は、陰性の邪気で重濁性、粘滞性、下注性がある。脾を損傷しやすい。気機を滞らせやすい。

4.× 暑邪(熱邪)は、陽性の邪気で夏季のみに出現し、炎熱性、昇散性がある。気・津液を損傷しやすく、湿邪を伴う。

六淫とは?

風邪:陽性の邪気で軽揚性、開泄性、遊走性があり、他の外邪の先導役となる(百病の長)。
寒邪:陰性の邪気で寒冷性、凝滞性、収引性があり、陽気を損傷しやすい。
暑邪(熱邪):陽性の邪気で夏季のみに出現し、炎熱性、昇散性がある。気・津液を損傷しやすく、湿邪を伴う。
湿邪:陰性の邪気で重濁性、粘滞性、下注性がある。脾を損傷しやすい。気機を滞らせやすい。
燥邪:陽性の邪気で乾燥性があり、肺を損傷しやすい。秋に現れることが多い。
火邪(熱邪):陽性の邪気で炎上性があり、気・津液を損傷する。また、生風、動血という特徴も持つ。

 

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