第27回(H31年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前16~20】

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問題16 血液中の白血球で最も数が多いのはどれか。

1.好中球
2.好酸球
3.リンパ球
4.単球

解答

解説

健常人の自血球教やその内訳

健常人の末梢血には3,500~9,000/μl、すなわち1ml当り350万から900万個もの白血球が含まれている。
このうち、好中球が最も多く50~60%を占める。
ちなみに、リンパ球:20~40%、好酸球:2~7%、好塩基球:0~1%、単球:2~8%程度である。

1.〇 正しい。好中球は、血液中の白血球で最も数が多い。
好中球とは、白血球の中で一番多く、細菌免疫の主役である。マクロファージが好中球に指令し、好中球は活性化・増殖する。末梢血白血球の40~70%を占め、生体内に細菌・真菌が侵入すると、まず好中球が感染部位に遊走し、菌を貧食する。

2.× 好酸球
好酸球とは、主に寄生虫に対する免疫反応が役割である。ほかにも、アトピー性皮膚炎や薬剤アレルギー、気管支喘息などでも増加する。末梢血白血球の1~6%を占め、呼吸器や腸管などに存在する。

3.× リンパ球
人の血液の約1%を占める。リンパ球は血液中にある全白血球の20~40%を占めている。リンパ球とは、主に獲得免疫を担う細胞集団である。ウイルスに対する免疫反応に関与する。リンパ球とは、脊椎動物の免疫系における白血球のサブタイプの一つである。リンパ球には①ナチュラルキラー細胞、②T細胞、③B細胞がある。B細胞は体液性免疫を担当し、B細胞から活性化して形質細胞となり抗体を産生する。

4.× 単球
単球とは、白血球の一種で、最も大きなタイプの白血球である。マクロファージなどへ分化し、貧食・消化・殺菌などの機能を発揮する。単球は、末梢血白血球の2~9%を占める。ちなみに、マクロファージとは、単球から分化し、貧食能を有する。異物を貪食して抗原提示細胞になり、抗原情報がリンパ球に伝えられる。直径15~20μmの比較的大きな細胞で、全身の組織に広く分布しており、自然免疫(生まれつき持っている防御機構)において重要な役割を担っている。

 

 

 

 

 

問題17 後頭蓋窩にあるのはどれか。

1.下垂体窩
2.棘孔
3.斜台
4.正円孔

解答

解説

(※図引用:「頭蓋底手術」金沢大学脳神経外科HPより)

1.× 下垂体窩は、中頭蓋窩にある。
下垂体窩とは、トルコ鞍の中央にあるくぼみで、下垂体の入れ物になっている部位を指す。

2.× 棘孔は、中頭蓋窩にある。
棘孔とは、大翼基部にある3つの孔(正円孔、卵円孔、棘孔)のうち最も外側後方に位置するひときわ小さな孔のことをさす。中硬膜動脈の通路である。

3.〇 正しい。斜台は、後頭蓋窩にある。
斜台とは、鞍背から大後頭孔に至る骨の滑り台のような構造を持つ部位である

4.× 正円孔は、中頭蓋窩にある。
正円孔とは、大翼基部にある3つの孔(正円孔、卵円孔、棘孔)のうち最も前方に位置し、上顎神経(三叉神経第2枝)が通る部位である。

 

 

 

 

 

問題18 顔面神経が支配する筋はどれか。

1.顎舌骨筋
2.胸骨舌骨筋
3.茎突舌骨筋
4.甲状舌骨筋

解答

解説

咀嚼筋の分類

閉口筋:咬筋、側頭筋、外側翼突筋(上頭)、内側翼突筋
開口筋:顎舌骨筋、オトガイ舌骨筋、顎二腹筋、外側翼突筋(下頭)

1.× 顎舌骨筋は、三叉神経が支配する。
顎舌骨筋は、舌骨を引き上げ、舌骨を固定すれば下顎骨を引き下げる。【起始】下顎骨体内面の顎舌骨筋線と舌下腺窩の上、【停止】舌骨体と正中の縫線(オトガイ棘と舌骨体との間)である。

2.× 胸骨舌骨筋は、頚神経ワナの上根が支配する。
舌骨下筋群(胸骨舌骨筋、肩甲舌骨筋、胸骨甲状筋、甲状舌骨筋)の一つである。

3.〇 正しい。茎突舌骨筋は、顔面神経が支配する筋である。
茎突舌骨筋は、舌骨上筋群のひとつである。舌骨上筋群は、顎舌骨筋、顎二腹筋、茎突舌骨筋、オトガイ舌骨筋である。

4.× 甲状舌骨筋は、頚神経ワナの上根が支配する。
舌骨下筋群(胸骨舌骨筋、肩甲舌骨筋、胸骨甲状筋、甲状舌骨筋)の一つである。

(※図引用:「イラストでわかる歯科医学の基礎 第4版 」永未書店HPより)

 

 

 

 

 

問題19 咀嚼筋について正しいのはどれか。

1.咬筋の起始は蝶形骨である。
2.側頭筋の停止は下顎骨筋突起である。
3.外側翼突筋は上顎神経に支配される。
4.内側翼突筋は下顎骨を前方に移動させる。

解答

解説

咀嚼筋とは?

咀嚼筋とは、下顎骨の運動(主に咀嚼運動)に関わる筋肉の総称である。咀嚼筋は一般的に、咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋の4種類が挙げられる。咀嚼筋は、主にⅤ:三叉神経支配である。

1.× 咬筋の起始は、「蝶形骨」ではなく浅側:頬骨弓の前2/3の下縁と内面、深側:頬骨弓の後ろ2/3の下縁である。
咬筋の【起始】浅側:頬骨弓の前2/3の下縁と内面、深側:頬骨弓の後ろ2/3の下縁、【停止】下顎骨の外面。浅側は咬筋粗面の下部、深側はその上方、【作用】下顎骨を上げて、歯をかみ合わせる(閉口)である。

2.〇 正しい。側頭筋の停止は下顎骨筋突起である
側頭筋の【起始】側頭鱗外面と側頭筋膜の深葉の内面、【停止】下顎骨の筋突起、【作用】下顎を上げて、歯をかみ合させる(閉口)ほか、後部は下顎骨を後ろへ引く。【神経】下顎神経の深側頭神経である。

3.× 外側翼突筋は、「上顎神経」ではなく下顎神経に支配される。
外側翼突筋の【起始】上頭・蝶形骨(側頭下稜、蝶形骨大翼の側頭下面)。下頭・上顎骨(翼状突起外側板の外面)、上顎結節、【停止】下顎骨(関節突起)、顎関節の関節包、関節円板、【作用】下顎骨を前方に引く。両側が働けば下顎骨を前方に引き(開口)、片側が働けば、対側に動いてすりつぶし運動を行う、【神経】外側翼突筋神経(三叉神経第3枝、下顎神経)である。

4.× 下顎骨を前方に移動させるのは、「内側翼突筋」ではなく外側翼突筋である。
内側翼突筋の【起始】翼状突起後面の翼突窩。これに接する上顎骨の一部と翼状突起外側板の下端、【停止】下顎角内面の翼突起筋粗面、【作用】下顎骨を上げて歯をかみ合わせる(閉口)、【神経】下顎神経の内側翼突筋神経(内側面から筋に入る)である。

 

 

 

 

 

問題20 肺静脈について正しいのはどれか。

1.弁がある。
2.右肺門では2本みられる。
3.組織学的には弾性血管に分類される。
4.左心房に流入する前にすべてが合流する。

解答

解説

(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」より)

MEMO

・肺静脈とは、肺から心臓(左心房)に血液を送り出す血管である。
・肺動脈とは、脱酸素化された血液を運ぶ唯一の動脈である。

1.× 弁がある。
これは、肺動脈の特徴である。肺動脈弁は、右心室と肺動脈の間にあり、3枚の弁で構成されている。

2.〇 正しい。右肺門では2本みられる
肺門とは、肺の入り口の部分で、気管支や肺動脈、肺静脈、神経などが出入りしている。肺門には、上肺静脈と下肺静脈の2本の肺静脈がある。

3.× 組織学的には、「弾性血管」ではなく抵抗血管に分類される。
末梢組織まで血液を送る駆動圧、すなわち、血圧の発生には、心筋の力以外に、①弾性血管と②抵抗血管の機能が重要な役割を演ずる。①弾性血管とは、大動脈や動脈は壁内には弾性線維が豊富に存在し、この動脈の弾性が、断続的な心拍出を連続的な血流に変える。②抵抗血管とは、細動脈は平滑筋が豊富で、神経性あるいは液性因子により血管平滑筋の収縮が調節される。普段から血管平滑筋は持続的な緊張があり、血流抵抗を形成する。細動脈は抵抗血管と呼ばれる。

4.× 左心房に流入する「」ではなくにすべてが合流する。
肺静脈は左右に2本ずつあり、左心房に流入する。

 

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