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きゅう理論試験問題(問題151~160)
問題151 灸法で施灸部の組織を破壊しないのはどれか。
1.打膿灸
2.焦灼灸
3.透熱灸
4.押灸
解答4
解説
1.〇 打膿灸は、有痕灸のひとつである。
打膿灸(弘法の灸)は、小指~母指頭大程度の艾炷を直接施灸して火傷を作り、膏薬を貼付して化膿を促す灸法である。小児や虚弱者には不適である。
2.〇 焦灼灸は、有痕灸のひとつである。
焦灼灸は、イボ、ウオノメ、タコなどに用いる灸法。施灸部の皮膚、組織を破壊する。タール成分(カテコール)の作用がある。
3.〇 透熱灸は、有痕灸のひとつである。
透熱灸は、良質艾を米粒大前後で円錐形に捻り、経穴や圧痛点など皮膚上の治療点に直接施灸する。糸状灸も含まれる。
4.× 押灸は、灸法で施灸部の組織を破壊しない。
なぜなら、無痕灸であるため。押灸は、隔物灸のひとつであり、艾炷と皮膚の間に物を置いて施灸する方法である。塩灸、韮灸、墨灸、ニンニク灸、味噌灸、生姜灸、ビワの葉灸、押灸などがあげられる。
問題152 艾の燃焼に関して正しいのはどれか。
1.軟らかくひねると燃焼時間が長い。
2.良質艾は燃焼温度が低い。
3.乾いた艾は燃焼時間が長い。
4.硬くひねると燃焼温度は低い。
解答2
解説
鍼:①使用する鍼②運鍼の速度③激時間④手技(※刺激強:長く太い鍼、刺入・抜去の速度が急、長時間の刺激、動謡の大きな手技)
灸:①艾炷の大小②ひねりの硬軟③数④施灸法(※刺激強:艾炷が大きい、ひねりが硬い、壮数が多い)
1.× 軟らかくひねると燃焼時間が「長い」のではなく短くなる。
2.〇 正しい。良質艾は燃焼温度が低い。
・良質艾:芳香、手触り良く柔らかい、線維が細かい、夾雑物が少ない、淡黄白色、煙と灰が少ない、熱感が緩和(燃焼温度が低い)、燃焼時間が短い、よく乾燥している、など
・粗悪艾:青臭い、手触りが悪く固い、線維が粗い、夾雑物が多い、黒褐色、煙と灰が多い、熱感が強い(燃焼温度が高い)、燃焼時間が長い、湿気を帯びている、など
3.× 乾いた艾は燃焼時間が「長い」のではなく短くなる。
4.× 硬くひねると燃焼温度は「低い」のではなく高い。
問題153 艾を使用しないのはどれか。
1.漆灸
2.塩灸
3.味噌灸
4.ニンニク灸
解答1
解説
熱には3つの熱伝導形態があり、①熱伝導、②対流熱、③熱放射である。
①熱伝導は、物質を介して熱が伝わることをいう。(簡単にいうと、直接触れることによる熱の移動)
②対流熱は、液体や気体の流れに乗って熱が移動することをいう。
③熱放射は、温度差がある物体の間で、熱が移動することをいう。
④エネルギー変換熱は、電磁波や超音波など体内で吸収されて熱エネルギーに変換することをいう。
1.× 漆灸は、艾を使用しない。
漆灸(※読み:うるしきゅう)は、薬物灸に該当する。薬物灸は、艾を使用せず、薬物を塗布して刺激を皮膚に加える方法ある。紅灸、うるし灸、水灸、油灸、硫黄灸など。
2~4.〇 塩灸/味噌灸/ニンニク灸は、隔物灸に該当する。
隔物灸は、艾炷と皮膚の間に物を置いて施灸する方法である。塩灸、韮灸、墨灸、ニンニク灸、味噌灸、生姜灸、ビワの葉灸、押灸など。
問題154 灸あたりの症状はどれか。
1.めまい
2.チアノーゼ
3.胸痛
4.しびれ
解答1
解説
症状:施灸直後または翌日から数時間~数十時間、全身倦怠感、脱力感、頭重、めまい、悪寒、発熱、嘔気などをみるが、その後、愁訴は急速に軽減・消失する。
原因:総刺激量の過剰などが要因と考えられている。
処置:安静臥床、予防では刺激量の調節や精神的安定を図る。
1.〇 正しい。めまいは、灸あたりの症状である。
灸あたり(瞑眩)は、施灸直後または翌日から数時間~数十時間、全身倦怠感、脱力感、頭重、めまい、悪寒、発熱、嘔気などの症状を指す。
2.× チアノーゼ
チアノーゼとは、皮膚や粘膜が青紫色である状態をいう。 一般に、血液中の酸素が不足することをきっかけとし、 血液中の酸素濃度が低下した際に、爪床や口唇周囲に表れやすい。
3.× 胸痛
胸痛の主な原因として、心筋梗塞や気胸などがあげあれる。
4.× しびれ
しびれの主な原因として、神経障害やストレスなどが考えられる。
問題155 関連痛に直接関与しないのはどれか。
1.侵害受容器
2.広作動域ニューロン
3.Ⅰb群求心性線維
4.外側脊髄視床路
解答3
解説
関連痛とは、神経線維の走行の関係で生じる痛みである。つまり、原因とは離れた部位に感じる痛みである。心筋梗塞では左肩・上腕部痛などとして自覚される。
1.〇 侵害受容器
侵害受容器とは、痛みを起こす刺激(侵害刺激)の受容器で、熱刺激・機械刺激・化学刺激の受容器がこれにあたる。
2.〇 広作動域ニューロン
広作動域ニューロンとは、非侵害刺激を含めた色々の種類の刺激を受け入れるC線維(ポリモーダル受容器)が受けた刺激を脳へ中継する神経細胞のことである。脊髄Ⅴ層に存在する。一次感覚細胞から広作動域ニューロンへの痛みの信号はサブスタンスPやグルタミン酸などの興奮性アミノ酸によって伝達される。
3.× Ⅰb群求心性線維は、関連痛に直接関与しない。
Ⅰb群求心性線維は、腱紡錘に存在するⅠb自己抑制に働く求心性線維である。
4.〇 外側脊髄視床路
外側脊髄視床路は、温痛覚・粗大触圧覚を伝える。伝導路は、感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野である。
内臓痛とは、内臓が何らかのダメージを受けることによって生じる痛みのことである。痛む部位がはっきりせず、鈍い痛みや押されるような痛みとして表現されることが特徴である。原因として、管腔臓器の腫瘍圧迫による閉塞、消化管内圧の上昇、固形臓器の被膜伸展により生じる。
一方、体性痛とは、体性疼痛ともいい、皮膚・骨格筋・関節・腹膜・胸膜などが物理的に刺激されて起こる痛みのことである。部位が不明瞭な持続する鋭い痛みが特徴である。持続的な鋭い痛みで圧痛点と患部が一致する。筋性防御などの腹膜刺激症状を伴うこともあり、身体を動かすことにより痛みが増強されることがある。