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問題61 悪性リンパ腫について誤っているのはどれか。
1.有痛性のリンパ節腫脹がみられる。
2.化学療法が有効である。
3.発熱がみられる。
4.CRPが陽性となる。
解答1
解説
悪性リンパ腫とは、血液細胞(血液中に存在する細胞)の中のリンパ球ががん化する病気である。一般的に、首や腋(わき)の下、脚の付け根などにあるリンパ節にしこりが生じる。進行した場合の症状として、発熱、体重減少、寝汗をかきやすくなるなどである。悪性リンパ腫はがん細胞の形や性質などによって70以上もの種類に分類されており、それぞれ症状や進行の仕方などの特徴が異なる。そのため、治療方針もさまざまである。治療では、放射線治療や薬物療法、造血幹細胞移植などが行われる。
1.× 有痛性のリンパ節腫脹がみられない。
悪性リンパ腫は、初期には自覚症状に乏しく、無痛性腫れ・腫瘤であることが初発症状で多い。したがって、早期発見されにくい病気の一つである。
2.〇 正しい。化学療法が有効である。
化学療法とは、抗がん剤を用いて癌を治療することをいう。抗がん剤には、癌細胞の増殖を抑えたり、再発や転移を防いだりする効果がある。また、骨肉腫(悪性腫瘍)の場合、好中球やマクロファージによる貪食細胞機能やオプソニン効果の低下や液性・細胞性免疫、抗原提示能が障害されており、通常健常人には感染をおこさない病原性の弱い病原菌による感染(日和見感染)を生じやすいため。他にも、糖尿病・肝硬変・腎不全・低栄養・無ガンマグロブリン血症などの基礎疾患をもつ患者や、重症外傷・広範囲熱傷患者、ステロイド・抗癌剤・免疫抑制剤の投与、放射線治療を受けた患者などは注意が必要である。
3.〇 正しい。発熱がみられる。
進行した場合の症状として、発熱、体重減少、寝汗をかきやすくなるなどである。
4.〇 正しい。CRPが陽性となる。
血中CRPとは、体内に炎症が起きたり、組織の一部が壊れたりした場合、血液中に蛋白質の一種であるC-リアクディブ・プロテイン(CRP)をさす。 正常な血液のなかにはごく微量にしか見られないため、炎症の有無を診断するのにこの検査が行われる。
リンパ節腫脹とは、1つまたは複数のリンパ節が増大して触知できるようになった状態である。ウィルス、細菌、結核菌、梅毒、トキソプラズマなどによって起こる。体表から触知できるリンパ節は、①頭頸部、②腋窩、③肘関節上部、③腹部、④鼠径部(大腿部)、⑤膝窩部である。リンパ節は皮下に存在するため、皮膚を動かしても皮膚と一緒に動くことはないため、示指から環指の指腹を皮膚に軽く密着させ、皮膚を動かすことにより触診する。
問題62 前立腺肥大症について正しいのはどれか。
1.蛋白尿がみられる。
2.夜間頻尿がみられる。
3.直腸指診では石のように硬く触れる。
4.骨転移がみられる。
解答2
解説
前立腺肥大症とは、男性の膀胱の隣にある前立腺という臓器が大きくなっている状態で、排尿症状や蓄尿症状、排尿後症状などが現れる。原因ははっきりと断定できていないが、男性ホルモンの関与が指摘されている。また、肥満や高血圧、高血糖、脂質異常症なども関係があるといわれている。
1.× 蛋白尿がみられるのは、「糸球体腎炎」である。
糸球体腎炎とは、糸球体腎炎のうちで数週から数カ月の短い期間に急速に腎機能が低下する病気である。糸球体が侵される病気である。原因として、急性上気道炎などの感染後、10日ほど経ってから血尿、むくみ、高血圧などで発症する。症状として、血尿、蛋白尿、貧血を認め、倦怠感や発熱、体重減少などがあげられる。
2.〇 正しい。夜間頻尿がみられる。
前立腺肥大症では、多くの場合頻尿がみられる。昼間頻尿とは、昼間(朝起きてから就寝まで)については概ね8回より多い場合を指す。夜間頻尿とは、夜間は就寝後1回以上排尿のために起こる場合を指す。
3.× 直腸指診では石のように硬く触れるのは、「前立腺がん」を疑う。
直腸内指診とは、肛門から直腸に指を入れ、前立腺に触れることで、前立腺の形や硬さ、痛みの有無を調べる。前立腺に炎症があると強い痛みがある。前立腺癌があると硬い腫瘤を触れることがある。
4.× 骨転移がみられるのは、「前立腺がん」である。
なぜなら、骨転移がみられるのは、悪性腫瘍の特徴であるため。
問題63 先端巨大症の原因とならないのはどれか。
1.膵頭部腫瘍
2.胃ポリープ
3.下垂体腺腫
4.気管支カルチノイド
解答2
解説
(※図引用:「肝臓周辺臓器 名称」illustAC様HPより)
先端巨大症とは、下垂体前葉ホルモンである成長ホルモンの過剰分泌で生じる。身長には影響が出ず、5~10年かけてゆっくり進行する。男女比は、差はなく、40歳代から50歳代の方に多い。アクロメガリーとも呼ばれ、額、鼻、唇や下あごが大きくなる特徴的な顔貌と、手足など体の先端が肥大する病気である。
1.〇 膵頭部腫瘍
成長ホルモンが過剰につくられるのは、ほとんどの場合、がんではない良性の下垂体腫瘍(腺腫)が原因である。膵臓や肺にまれに発生する特定の腫瘍がホルモンを産生し、それが下垂体を刺激して過剰に成長ホルモンがつくられた結果、同様の症状が起こることもある(※参考:「巨人症および先端巨大症」MSDマニュアル家庭版より)。
2.× 胃ポリープは、先端巨大症の原因とならない。
胃ポリープとは、正確には「胃に発生する上皮性、良性、隆起性病変」のことをいう。広義には腺腫、粘膜下腫瘍、癌など胃の中に隆起した病変の総称として使用されることもある。
3.〇 下垂体腺腫
下垂体腺腫は、下垂体前葉由来の良性腫瘍である。トルコ鞍近傍で好発する。下垂体腺腫では、視交叉が圧迫されると視神経の一部が障害され両耳側半盲となる。視力・視野障害の他にも、下垂体前葉機能障害(成長ホルモン低下症状や卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモンの低下症状など)や視床下部障害(尿崩症)が起こる。
4.〇 気管支カルチノイド
気管支カルチノイドは、気管支粘膜から生じる、まれな(成人の全ての肺癌の1~2%)、増殖速度の遅い神経内分泌腫瘍である。40代~60代で発症する。
問題64 続発性高尿酸血症の原因とならないのはどれか。
1.白血病
2.腎不全
3.狭心症
4.多発性骨髄腫
解答3
解説
高尿酸血症とは、血清尿酸値が7.0mg/dLを正常上限とし、これを超えるものと定義する。男性が圧倒的に多く男女比約20:1の割合である。高尿酸血症の原因は、一般的に生活習慣の乱れによるものが大半である。食事ではアルコールは重要であり、特にビールのとりすぎは高尿酸血症の原因としてよく知られている。
続発性高尿酸血症とは、別の病気や薬剤などによって二次的に高尿酸血症となるもの。原因として、白血病、腎不全、骨髄腫、先天性尿酸代謝異常、利尿菜やアスピリンの服用などである。高尿酸血症は、体内における産生亢進(産生過剰型)と腎からの排泄低下(排泄低下型)などに起因する。
1.〇 白血病
急性白血病とは、骨髄の中にある幼若な血液細胞が癌化して白血病細胞となり骨髄の中で急速に分裂して数を増やす疾患である。白血病細胞が骨髄の中で増えてくる結果、骨髄の本来の機能である造血能が著しく障害される。初期症状として、発熱・貧血・出血傾向・骨痛・倦怠感がみられる。
2.〇 腎不全
急性腎不全とは、何らかの原因によって腎臓の機能が急激に(1日以内から数週間のうちに)低下し、その結果、体液の量を一定に維持できなくなった状態である。症状としては、尿量の減少あるいは無尿、血尿、褐色調の尿、吐き気、食欲不振、全身倦怠感、意欲減退、痙攣などが起こる。
3.× 狭心症は、続発性高尿酸血症の原因とならない。
狭心症とは、心臓に血液を供給する血管の狭窄により、心筋が虚血(酸素不足)状態になることによって生じる病気である。治療は、血管を拡張させる薬(硝酸薬)や、狭窄の原因となる動脈硬化や血栓を予防する薬(抗血小板薬)を用いる。
4.〇 多発性骨髄腫
多発性骨髄腫とは、形質細胞がクローン性に増殖するリンパ系腫瘍である。増殖した形質細胞やそこから分泌される単クローン性免疫グロブリンが骨病変、腎機能障害、M蛋白血症などさまざまな病態や症状を引き起こす。多発性骨髄腫の発症年齢は65~70歳がピークで男性が女性より多く約60%を占める。腫瘍の増大、感染症の合併、腎不全、出血、急性白血病化などで死に至る。主な症状として、頭痛、眼症状の他に①骨組織融解による症状(腰痛・背部痛・圧迫骨折・病的骨折・脊髄圧迫症状・高カルシウム血症など)や②造血抑制、M蛋白増加による症状(貧血・息切れ・動悸・腎機能障害)、易感染性(免疫グロブリン減少)、発熱(白血球減少)、出血傾向(血小板減少)などである。
問題65 COPDで正しいのはどれか。
1.喫煙は関与しない。
2.安静時の呼吸困難が特徴である。
3.肺機能検査では閉塞性障害が特徴である。
4.発作時に気管支狭窄音を伴う。
解答3
解説
(※図引用:yakugaku lab様HP)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の最大の原因は喫煙であり、喫煙者の約20%がCOPDを発症する。慢性閉塞性肺疾患とは、以前には慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称である。他の特徴として、肺の過膨張、両側肺野の透過性亢進、横隔膜低位、横隔膜の平低化、滴状心などの特徴が認められる。進行性・不可逆性の閉塞性換気障害による症状が現れる。
増加:残気量・残気率・肺コンプライアンス・全肺気量・PaCO2
減少:一秒率・一秒量・肺活量・肺拡散能・PaO2
1.× 喫煙は、関与する。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の最大の原因は喫煙であり、喫煙者の約20%がCOPDを発症する。
2.× 「安静時」ではなく運動時(動作時)の呼吸困難が特徴である。
息こらえをしながら立ち上がる訓練は原則行わない。なぜなら、動作時の息こらえ(呼吸を止める)をすることは、呼吸の乱れにつながるため。したがって、立ち上がる訓練や日常生活動作など、息を吐きながら行う。安静時でも、呼吸によって使われるエネルギー量が、普通の人よりも15~25%も高くなるため、体重低下や栄養不足になるリスクが高くなる。また、食事中に息切れしたり、疲れを感じたりすることで、食べる量が少なくなるケースもみられる。
3.〇 正しい。肺機能検査では、閉塞性障害が特徴である。
進行性・不可逆性の閉塞性換気障害による症状が現れる。
4.× 発作時に気管支狭窄音を伴うのは、「気管支喘息」である。
気管支狭窄音とは、狭くなった気道を空気が通り抜ける時に生じる雑音である。ヒューヒュー、ゼーゼーという音が聞こえる。ちなみに、気管支喘息とは、主に気管支に炎症が起きている状態である。炎症により気管支が狭くなったり(狭窄)、刺激に対して過敏な反応を示したりする。喘息は乳幼児期に発症することが多く、全体の60~70%が2~3歳までに発症する。子どもの喘息の多くは思春期の頃には症状がよくなるが、そのうちの約30%は大人になっても続くといわれている。
(図引用:「息切れを増強させる4つの動作のイラスト(慢性呼吸器疾患)」看護roo!看護師イラスト集)