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問題176 透熱灸による熱刺激の伝導路はどれか。
1.外側皮質脊髄路
2.外側脊髄視床路
3.腹側脊髄視床路
4.後索路
解答2
解説
有痕灸である透熱灸は、良質艾を米粒大前後で円錐形に捻り、経穴や圧痛点など皮膚上の治療点に直接施灸する。※糸状灸も含まれる。
1.× 外側皮質脊髄路
外側皮質脊髄路(錐体路)は、運動を伝える。大脳皮質→放線冠→内包後脚→中脳の大脳脚→橋縦束→延髄で錐体交叉→脊髄の側索となる。
2.〇 正しい。外側脊髄視床路は、透熱灸による熱刺激の伝導路である。
外側脊髄視床路(温痛覚・粗大触圧覚)は、感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄側索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野である。
3.× 腹側脊髄視床路(前脊髄視床路)
前脊髄視床路(粗大な触覚・圧覚)は、感覚神経→脊髄後角→(交叉)→脊髄前索→視床→後脚→大脳皮質体性知覚野である。
4.× 後索路
後索は、深部感覚(振動覚、位置覚)の伝導路である。後根 ⇒ 後索(下肢からの線維は薄束を通って薄束核に終わり、上肢からの線維は楔状束を通って楔状束核に終わる) ⇒ 延髄(後索核) ⇒ 毛帯交叉 ⇒ 内側毛帯 ⇒ 視床後外側腹側核 ⇒ 感覚野
問題177 有痕灸を避けるべき部位はどれか。
1.頭頂部
2.爪根部
3.頬部
4.胸骨部
解答3
解説
透熱灸:良質艾を米粒大前後で円錐形に捻り、経穴や圧痛点など皮膚上の治療点に直接施灸する。※糸状灸も含まれる。
焦灼灸:イボ、ウオノメ、タコなどに用いる灸法。施灸部の皮膚、組織を破壊する。タール成分(カテコール)の作用がある。
打膿灸(弘法の灸):小指~母指頭大程度の艾炷を直接施灸して火傷を作り、膏薬を貼付して化膿を促す灸法。小児や虚弱者には不適である。
1~2.4.× 頭頂部/爪根部/胸骨部
これらは、有痕灸を行える。
3.〇 正しい。頬部は、有痕灸を避けるべき部位である。
【鍼灸の禁忌部位】
鍼:新生児の大泉門、外生殖器、臍部、眼球、急性炎症の患部など
※肺、胸膜、心、腎、中枢神経系、大血管などへの刺鰄は注意が必要
灸:顔面、化膿を起こしやすい部位、浅層に大血管がある部位、皮膚病患部などへの直接灸など
臓器や重要組織を損傷するあるいはその危険性が極めて高い部位、または病状を悪化させる可能性がある部位への施術は行ってはならない。
①新生児の大泉門・小泉門、外生殖器、乳頭、臍部、眼球、化膿部、急性炎症の患部、大血管、体腔内臓器、中枢神経、悪性腫瘍部に対して、刺鍼をしてはならない。
②顔面部、外生殖器、乳頭、臍部、化膿部、悪性腫瘍部、急性炎症の患部、皮膚病の患部に対して、直接灸(有痕灸)をしてはならない。
③上記部位の近傍に施術する場合も、特段の注意を払うべきである。
(※引用:「鍼灸安全対策ガイドライン2020 年版」公益社団法人 全日本鍼灸学会より)
問題178 施灸局所のフレア現象について正しいのはどれか。
1.広作動域ニューロンが関与する。
2.単シナプス反射によって生じる。
3.CGRPの遊離によって生じる。
4.内因性オピオイドが関与する。
解答3
解説
フレア現象とは、お灸の熱刺激によって細胞レベルで微細な火傷が起こり、神経から脳に「ここにケガがあるから治すために血液を送ってください」と連絡が入ることで起こる軸索反射のこと。軸索反射とは、末梢神経の軸索上で起こる反射様現象である。神経末端に生じた興奮が神経の分枝に沿って逆行性に伝播する現象のことをさす。したがって、鋮刺激によりポリモーダル受容器が興奮すると、軸索反射によって受容器末端から神経伝達物質が放出され、コリン作動性神経の末梢血管に働いて(血管拡張(フレア)、膨疹(浮腫))が生じる。※神経伝達物質には(CGRP、サブスタンスP)が考えられている。
1.× 広作動域ニューロンは関与しない。
広作動域ニューロンとは、非侵害刺激を含めた色々の種類の刺激を受け入れるC線維(ポリモーダル受容器)が受けた刺激を脳へ中継する神経細胞のことである。脊髄Ⅴ層に存在する。一次感覚細胞から広作動域ニューロンへの痛みの信号はサブスタンスPやグルタミン酸などの興奮性アミノ酸によって伝達される。
2.× 単シナプス反射によって生じない。
なぜなら、軸索反射は、反射様現象であるため。通常、痛み刺激は、皮膚にある痛みセンサーから脊髄へ、そして脳へと伝わるが、信号が神経を逆行して末端に伝わる場合があり、これを軸索反射という。血管が広がって血行が促進したり、痛みが軽くなったりという反応が起こる。
3.〇 正しい。CGRPの遊離によって生じる。
軸索反射(フレア現象)の神経伝達物質には(CGRP、サブスタンスP)が考えられている。CGRPとは、カルシトニン遺伝子関連ペプチドのことで、片頭痛の痛みの直接の原因とされているタンパク質である。脊髄後根神経節で産生され、中枢および末梢の両側性に作用する。末梢血管を著しく拡張させ、血管透過性を亢進させる働きを持つ。
4.× 内因性オピオイドは関与しない。
内因性オピオイドは、体内で作られ、生理的な状況や危機が迫ったときに放出される物質され、脳や脊髄に存在するオピオイド受容体に作用し、鎮痛作用をもたらす。主に、エンドルフィン、エンケファリン、ダイノルフィン、エンドモルフィンなどあげられる。また、痛みによる不快な感覚の抑制、下降性抑制神経系の賦活化、恐怖という情動の抑制、脳内報酬系における重要な伝達物質でもある。
問題179 透熱灸によって血圧上昇をきたす反射の遠心路を構成する神経線維はどれか。
1.Aα線維
2.Aβ線維
3.Aδ線維
4.C線維
解答4
解説
1.× Aα線維は、筋・腱の感覚と運動を伝導する。
2.× Aβ線維は、触圧覚を伝導する。
3.× Aδ線維は、痛みを伴う熱刺激を伝導する。
4.〇 正しい。C線維は、透熱灸によって血圧上昇をきたす反射の遠心路を構成する神経線維である。
透熱灸によって血圧上昇をきたす反射は、求心路はAδ線維であり、遠心路はC線維である。C線維は、交感神経節後線維でもある。
問題180 1回の透熱灸による生体反応で正しいのはどれか。
1.血管透過性の抑制
2.補体の活性化
3.肥満細胞の脱顆粒抑制
4.血液凝固時間の延長
解答2
解説
局所炎症反応として、①血管拡張、②血流増加、③血管透過性の亢進に伴う血漿成分の血管外への漏出、④白血球(赤血球)の血管外へ遊走などが主に生じる。
1.× 血管透過性は、「抑制」ではなく亢進する。
血管透過性とは、血管とその周りの組織との間で起こる水分や栄養分などの移動のことである。
2.〇 正しい。補体の活性化は、1回の透熱灸による生体反応である。
補体とは、免疫反応を媒介する血中タンパク質の一群で、動物血液中に含まれる。補体は、体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原体を攻撃し、体内から排除する働きがある。
3.× 肥満細胞の脱顆粒は、「抑制」ではなく亢進する。
肥満細胞の脱顆粒とは、肥満細胞が細胞内顆粒を放出する現象である。肥満細胞の顆粒には、ヒスタミン、プロスタクランジン、ロイコトリエンなどの炎症メディエーターが含まれている。
4.× 血液凝固時間は、「延長」ではなく短縮する。
血液凝固時間とは、静脈血を採取し、採血時から血液の流動性が消失するまでの時間をいう。
興奮作用:知覚純麻・運動麻痺などの神経機能減弱、内臓機能の減退などに対して興奮させる。
鎮静作用(調整作用):異常な機能の興奮(疼痛、痙攣など)に対して鎮静させる。
誘導作用:血管に影響を及ぼして充血させ、患部の血量を調節する。※患部誘導法(局所血行障害)、健部誘導法(充血、炎症など)
鎮痛作用:内因性モルヒネ様物質、下行性抑制系などによる鎮痛。
防衛作用:白血球や大食細胞などを増加させ、生体の防衛力を高める。
免疫作用:免疫能を高める。
消炎作用:白血球増加、血流改善(病的滲出物の吸収促進)など。
転調作用:アレルギー体質や自律神経失調症を改善し、体質を強壮にする。
反射作用:反射機転を介して臓器や組織の機能を鼓舞または抑制する。
その他:灸施術には(増血、止血、強心)作用などがあるとされる。