第29回(R3年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前71~75】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

問題71 介護保険制度による在宅ケアはどれか。

1.共同生活援助
2.就労移行支援
3.地域定着支援
4.通所リハビリテーション

解答

解説

介護保険制度とは?

介護保険制度とは、寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態(要介護状態)になった場合や、家事や身支度等の日常生活に支援が必要であり、特に介護予防サービスが効果的な状態(要支援状態)になった場合に、介護の必要度合いに応じた介護サービスを受けることができる。

【目標】
予防とリハビリテーションの重視、高齢者による選択、在宅ケアの推進、利用者本位のサービスの提供、社会連帯による支え合い、介護基盤の整備、重層的で効率的なシステム

【基本理念】
自己決定の尊重、生活の継続、自己支援(残存能力の活用)

1.× 共同生活援助
共同生活援助<グループホーム>とは、『障害者総合支援法』の訓練等給付のひとつであり、ひとりで生活できない障害者が共同生活を行う住居で、相談や日常生活上の援助を受けるものである。主に夜間や休日に精神障害者が共同生活を営む住居で、食事の世話・服薬指導など、相談や日常生活の援助を行う。

2.× 就労移行支援
就労移行支援とは、障害者総合支援法を根拠法に、一般就労などを希望する就業が可能と思われる65歳未満の障害者に対して、知識・能力の向上、実習、職場探しなどを通じ、適性に合った職場への就労が見込まれる障害者を対象としたサービスである。事業所内での作業などを通じた訓練、適性に合った職場探し、就労後の職場定着のための支援などを実施する。就労移行支援の期限は2年(特例で3年)である。

3.× 地域定着支援
地域定着支援とは、居宅において単身などで生活する障害者との常時連絡体制を確保し、緊急の事態等に相談等便宜を供与することである。地域相談支援とは、地域移行支援及び地域定着支援をいう。

4.〇 正しい。通所リハビリテーションは、介護保険制度による在宅ケアである。
通所リハビリテーション(デイケア)とは、利用者が老人保健施設・病院・診療所などに通い、日常生活上の支援や、生活機能訓練を受け、可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるようにするものである。自立のために理学療法士、作業療法士などによる機能訓練などを行う通所型の施設である。

(※画像引用:「保険給付」日本電子健康保険組合様HPより)

 

 

 

 

 

問題72 回復期リハビリテーションの内容として最も適切なのはどれか。

1.就労支援
2.歩行能力の向上
3.人工呼吸器の離脱
4.意識障害の覚醒促進

解答

解説
1.× 就労支援は、維持期(生活期)リハビリテーションの内容である。
生活期リハビリテーションとは、急性期と回復期を経て、症状や障害が安定した後、在宅で生活している時期に行うリハビリテーションである。目的は、その人の能力に応じて、社会的な活動を含めた自立した日常生活を送れるようにすることである。

2.〇 正しい。歩行能力の向上は、回復期リハビリテーションの内容である。
回復期リハビリテーションとは、急性期を脱したが、まだ自宅に戻れない段階でのリハビリテーションを担当することが多い。近年、急性期治療から早期のリハビリテーションを、複数の医療機関が連携と役割分担をしながら一連の流れで行う地域連携クリテイカルパスが促進されている。急性期病院で入院や手術をされた場合でも、回復期病院でその情報が共有され、加えて回復期リハビリテーション病棟では、【訓練→目標を随時達成→機能の回復→退院】を目指す。

3~4.× 人工呼吸器の離脱/意識障害の覚醒促進は、急性期リハビリテーションの内容である。
急性期とは、症状が急に現れる時期、病気になり始めの時期である。急性期は、全身の生体反応と機能低下が起こり、合併症が発現するおそれがある。このため、回復過程における経過を予測して系統的な観察を行い、正常範囲に経過しているのか、それとも逸脱して悪化していくおそれがあるのかを判断し、異常を察知すれば早期に対処する必要がある。

 

 

 

 

 

問題73 原発性サルコペニアの発症要因はどれか。

1.廃用性萎縮
2.加齢
3.低栄養
4.悪性腫瘍

解答

解説

フレイルとサルコペニア

【フレイルとは?】

フレイルとは、健常な状態と要介護状態(日常生活でサポートが必要な状態)の中間の状態のことをいう。多くは、「健康状態」→「フレイル」→「要介護状態」と経過する。
定義:加齢とともに心身の活動(運動機能や認知機能など)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態である。
診断基準に含まれるのは【①体重減少、②主観的疲労度、③日常生活活動量の低下、④歩行速度の低下、⑤握力の減弱】である。

【サルコペニアとは?】
サルコペニアは、加齢に伴う骨格筋量と骨格筋力の低下によって身体的な障害やQOLの低下を招いている状態のことをいう。サルコペニアの診断には、四肢骨格筋量の低下があることに加えて身体機能(歩行速度)の低下または、筋力(握力)の低下、下腿周径、5回椅子立ち上がりテストがある。

1.3~4.× 廃用性萎縮/低栄養/悪性腫瘍は、二次性サルコペニアの発症要因である。
サルコペニアは、一次性サルコペニアと二次性サルコペニアに分類され、二次性とは、活動・栄養・疾患に関するもののことをいう。つまり、廃用症候群は、低活動が原因であるため二次性サルコペニアに分類される。

2.〇 正しい。加齢は、原発性サルコペニアの発症要因である。
サルコペニアは、一次性サルコペニアと二次性サルコペニアに分類され、一次性(原発性)は、加齢による筋肉量減少が原因とされるものである。

 

 

 

 

 

問題74 失語症の分類で、自分の考えていることを言語でうまく表現できず、発話が非流暢的で、復唱も障害されるのはどれか。

1.全失語
2.運動性失語
3.感覚性失語
4.伝導失語

解答

解説


1.× 全失語
全失語とは、①復唱困難、②言語理解不良、③非流暢を特徴とした言語障害である。

2.〇 正しい。運動性失語は、自分の考えていることを言語でうまく表現できず、発話が非流暢的で、復唱も障害される。
ブローカ失語とは、①復唱困難、②言語理解良好、③非流暢を特徴とした言語障害である。

3.× 感覚性失語
ウェルニッケ失語とは、①復唱困難、②言語理解不良、③非流暢を特徴とした言語障害である。感覚性失語ともいう。話し方は滑らかであるが、言い間違いが多かったり、言葉が支離滅裂になったりして、自分の言いたいことが思うように伝えられなくなってしまうという特徴がある。したがって、復唱・言語理解は不良、言葉の流暢性は良好である。

4.× 伝導失語
伝導失語とは、①復唱困難、②言語理解良好、③流暢を特徴とした言語障害である。伝導失語とは、言語の理解や発話の機能が保たれているものの、言葉を繰り返す能力が障害される失語症の一種である。

 

 

 

 

 

問題75 正常歩行時に若年者より高齢者で増加するのはどれか。

1.歩幅
2.速度
3.前傾姿勢
4.骨盤回旋

解答

解説
1.× 歩幅は、加齢により減少する。
なぜなら、加齢によりバランス能力が低下するため。歩幅とは、一側の踵が接地してから他側の踵が接地するまでの距離を示す。

2.× 速度は、加齢により減少する。
なぜなら、加齢により歩行速度に関連性が高い下腿三頭筋の筋力低下が起こるため。そのため、歩幅も加齢により減少する。

3.〇 正しい。前傾姿勢は、正常歩行時に若年者より高齢者で増加する。
なぜなら、加齢により脊柱起立筋の筋力低下が起こり、重力に抗することが難しくなるため。

4.× 骨盤回旋は、加齢により減少する。
骨盤回旋運動は、重心動揺を減少させ、歩幅を増大させ、歩隔を減少させる働きを持つ。歩幅は、加齢により減少するため、伴って骨盤回旋も減少する。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)