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問題76 脳卒中片麻痺患者の生活期に最も多く使用されている装具はどれか。
1.長下肢装具
2.短下肢装具
3.膝関節装具
4.体幹装具
解答2
解説
生活期とは、維持期ともいい、急性期と回復期を経て、症状や障害の状態が安定した後、在宅で生活している時期のことである。生活期では、心身の機能や日常生活動作(ADL)の維持・向上を図りながら、生活機能の維持やQOLの改善が目的とされる。
1.× 長下肢装具
長下肢装具とは、立位訓練開始から装具をつけ、介助下での平行棒な歩行訓練が必要なレベルの重度の麻痺に適応となる。臨床では、重度弛緩性麻痺時には長下肢装具で立位練習を行い、股関節の収縮が得られてきた際に、短下肢装具へ移行しながら練習することが多い。
2.〇 正しい。短下肢装具は、脳卒中片麻痺患者の生活期に最も多く使用されている装具である。
短下肢装具とは、足首の関節の動きを制限し、固定・動揺・拘縮などの治療を目的とした装具である。脳卒中患者の歩行の際に足首の固定や安定性の向上のために使用される。
3.× 膝関節装具
膝装具とは、大腿部から下腿部までの構造で、膝の動きをコントロールし、膝関節の固定・動揺・不安定性・拘縮などの治療を目的とした装具である。変形性膝関節症や側副靭帯、十字靭帯などの損傷に用いられる。
4.× 体幹装具
体幹装具とは、首から腰に装着する装具で、体重を支えて痛みを軽減させたり、姿勢を維持したりするために使用される。体幹装具には、頸椎装具、胸椎装具、腰椎装具、仙腸装具、側弯矯正装具の5つの分類される。腰痛症、椎間板ヘルニア、腰椎圧迫骨折、変形性脊椎症、根性坐骨神経痛、骨粗鬆症など脊椎疾患全般に適応される。
問題77 脊髄損傷患者に生じる自律神経過反射について正しいのはどれか。
1.腰髄損傷患者にみられる。
2.頻脈を生じる。
3.便秘が原因となる。
4.血圧上昇にはまず降圧薬を投与する。
解答3
解説
自律神経過反射は、T5~6以上の脊髄損傷患者において、損傷部以下の臓器からの刺激によって起こる自律神経の異常反射である。内臓神経の抑制が解除されるため、主に骨盤内臓器が緊張する促通刺激が原因となり誘発される。原因は①膀胱刺激、②直腸刺激、③内臓刺激、④皮膚刺激などが挙げられる。生命の危険を伴い合併症を伴う。自律神経過反射の症状は、高血圧、ガンガンする頭痛、顔面紅潮、損傷レベルより上部での発汗、鼻詰まり、吐き気、脈拍60以下の徐脈、損傷レベルより下部の鳥肌である。
1.× 「腰髄」ではなく上位胸髄(T5~6以上)損傷患者にみられる。
自律神経過反射は、T5~6以上の脊髄損傷患者において、損傷部以下の臓器からの刺激によって起こる自律神経の異常反射である。
2.× 「頻脈」ではなく脈拍60以下の徐脈を生じる。
血圧が上昇する結果、脈拍60以下の徐脈になることが多い。
3.〇 正しい。便秘が原因となる。
原因は①膀胱刺激、②直腸刺激、③内臓刺激、④皮膚刺激などが挙げられる。
4.× 血圧上昇には、まず「降圧薬の投与」より体位変換を優先する。
反射が出現した際の緊急時の対応としては、血圧を低下させるため、体位を座位とし、必要に応じて降圧薬を投与する。
問題78 下腿義足のうち膝蓋靱帯で体重を支持し、懸垂をカフベルトで行うのはどれか。
1.在来式
2.KBM式
3.PTB式
4.ライナー式
解答3
解説
1.× 在来式
在来式は、差し込み式で円錐状のソケット上部と大腿コルセットで体重を支持する。
2.× KBM式
KBM式(Kondylen Bettung Munster式)は、下腿切断のソケットで、大腿骨顆の上方を両側からソケットで包むようにして義足を懸垂している。
3.〇 正しい。PTB式は、下腿義足のうち膝蓋靱帯で体重を支持し、懸垂をカフベルトで行う。
PTB式免荷装具とは、膝蓋腱部で荷重を受けるソケットであり、下腿義足に対する標準的なソケットである。下腿骨骨折の手術後、部分荷重より開始とならないような重度のケースや、早期より免荷での歩行導入が必要な症例で用いられる。
4.× ライナー式
ライナー式のソケットの特徴は、シリコーン、コポリマー、ポリウレタンの3種類があり、硬いソケット内で断端(切断部)を保護する役割を果たす。素材や懸垂システムとの組み合わせによって選択される。
問題79 脳性麻痺について正しいのはどれか。
1.脳の病変は進行性である。
2.成長に応じた療育が重要である。
3.病型ではアテトーゼ型が最も多い。
4.出生時の一過性の運動障害も含まれる。
解答2
解説
脳性麻痺とは、お腹の中にいる間から、生後4週間までの間に発生した脳への損傷によって引き起こされる運動機能の障害を指す。失調型やアテトーゼ型などのタイプがある。
1.× 脳の病変は、「進行性」ではなく非進行性である。
脳性麻痺は、非進行性の症候群であり、出生前の発育異常または周産期もしくは出生後の中枢神経系損傷に起因する、随意運動または姿勢制御の障害を特徴としている。
2.〇 正しい。成長に応じた療育が重要である。
特に、6歳までの療育が重要である。脳性麻痺の療育には、理学療法、作業療法、言語療法、薬物療法、手術などがあげられる。
3.× 病型では、「アテトーゼ型」ではなく痙直型(約70%)が最も多い。
ちなみに、アテトーゼ型脳性麻痺は、脳性麻痺の小児の約20%である。
4.× 出生時の一過性の運動障害は含まれない。
なぜなら、脳性麻痺とは、お腹の中にいる間から、生後4週間までの間に発生した脳への損傷によって引き起こされる運動機能の障害を指すため。進行性疾患、一過性の運動障害や、将来正常化すると予測されるような状態では、脳性麻痺には該当しない。
アテトーゼ型は、麻痺の程度に関係なく四肢麻痺であるが上肢に麻痺が強い特徴を持つ。錐体外路障害により動揺性の筋緊張を示す。筋緊張は低緊張と過緊張のどちらにも変化する。他にも、特徴として不随意運動が主体であることや、原始反射・姿勢反射が残存しやすいことがあげられる。
問題80 ヒュー・ジョーンズの分類で「息切れのために外出ができない」のはどれか。
1.Ⅰ度
2.Ⅱ度
3.Ⅳ度
4.Ⅴ度
解答4
解説
Ⅰ:同年齢の健康者と同様の労作ができ、歩行、階段昇降も健康者並みにできる。
Ⅱ:同年齢の健康者と同様に歩行できるが、坂道・階段は健康者並みにはできない。
Ⅲ:平地でも健康者並みに歩けないが、自分のペースなら1マイル(1.6km)以上歩ける。
Ⅳ:休み休みでなければ50m以上歩けない。
Ⅴ:会話・着替えにも息切れがする。息切れのため外出できない。
1.× Ⅰ度:同年齢の健康者と同様の労作ができ、歩行、階段昇降も健康者並みにできる。
2.× Ⅱ度:同年齢の健康者と同様に歩行できるが、坂道・階段は健康者並みにはできない。
3.× Ⅳ度:休み休みでなければ50m以上歩けない。
4.〇 正しい。Ⅴ度は、設問の「息切れのために外出ができない」に該当する。