この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
次の文で示す症例について、問題155、問題156の問いに答えよ。
「47歳の女性。主訴は左顔面の麻痺。2週間前に腹痛、下腿前面の痛みとともに発症。現在は下腿内側の重だるさ、軟便を伴う。」
問題156 発症から4か月後、口輪筋を収縮させると左の眼輪筋も収縮する病的共同運動が出現した。両筋に対して30mmのステンレス鍼で鍼通電療法を行う場合、最も適切なのはどれか。
1.20号鍼を用いる。
2.鍼体はすべて刺入する。
3.周波数は1Hzとする。
4.両筋が同期的リズムで収縮するように通電する。
解答1
解説
①皮内鍼:細く短い鍼を皮内へ水平に刺入し(筋層へは刺入しない)、長時間留置させて持続的に刺激を与える。赤羽幸兵衛発案。
②円皮鍼:画鋲状の短い鍼を垂直に刺入し、持続的な刺激を与える。スポーツ選手に多く用いられる。※中国では撳鍼(耳鍼ご応用)
③灸頭鍼:置鍼した鍼の鍼柄に艾を球状に付けて点火する方法。※鍼柄が金属でカシメ式のものを用いる。
④鍼通電:鍼に低周波通電する方法で、鍼麻酔が代表的。鍼の腐食を考慮し、3~5番鍼(20~24号銅)以上の鍼を用いる。通電(電気療法)は妊婦、ペースメーカー、知覚脱失、循環障害、重篤な動脈疾患、原因不明の発熱、強い皮膚病変などの患者には禁忌とされる。また、通電装置の出力に影響を及ぼすため、通電装置と超短波治療器あるいはマイクロ波治療器を近接して使用すべきではない。20号鍼(3番鍼)以上の太さが推奨される。病的共同運動には高Hz(100HZ)で行うとよい。
1.〇 正しい。20号鍼を用いる。
鍼の腐食を考慮し、3~5番鍼(20~24号銅)以上の鍼を用いる。
2.× あえて、鍼体はすべて刺入する必要はない。
むしろ1cm程度余らせておく。なぜなら、通電するため。
3.× 周波数は「1Hz」ではなく100Hzとする。
病的共同運動には高Hz(100HZ:低周波通電)で行うとよい。
4.× 両筋が、「同期的」ではなく別々のリズムで収縮するように通電する。
なぜなら、別々に通電することで、病的共同運動の改善につながるといわれているため。
次の文で示す症例について、問題157、問題158の問いに答えよ。
「18歳の女性。新体操の選手で毎日の激しい練習と無理なダイエットをしていたら月経が止まった。近医で、利用できるエネルギー不足が原因の運動性無月経と言われた。」
問題157 同じ原因で起こる合併症として最も考えられるのはどれか。
1.子宮筋腫
2.骨粗鬆症
3.円形脱毛症
4.過敏性腸症候群
解答2
解説
・18歳の女性(運動性無月経)。
・新体操の選手:毎日の激しい練習と無理なダイエット。
・月経が止まった(原因:利用できるエネルギー不足)。
→運動性無月経とは、スポーツによる初経の遅れや連続性の無月経などの月経異常のことである。女性アスリートの健康管理上重要な問題であり、主な原因としてエネルギー不足、精神的・身体的ストレス、体重・体脂肪の減少などがあげられる。
1.× 子宮筋腫
子宮筋腫とは、子宮を構成している平滑筋という筋肉組織由来の良性腫瘍で、比較的若い方から閉経後の方まで高頻度に見られる疾患である。子宮筋腫は切迫流産・早産、前期破水、胎盤の位置異常、妊娠高血圧症候群などのリスクとなる。分娩時または産後に、次回の妊娠を希望する場合や妊娠中の合併症を増加させないために、子宮筋腫核出術を行う場合もある。
2.〇 正しい。骨粗鬆症が、同じ原因で起こる合併症として最も考えられる。
骨粗鬆症とは、骨量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気である。原因として、閉経による女性ホルモンの低下や運動不足・喫煙・飲酒・栄養不足・加齢などである。骨粗鬆症の患者は、わずかな外力でも容易に圧迫骨折(特に胸腰椎)、大腿骨頚部骨折、橈骨遠位端骨折を起こしやすい。
3.× 円形脱毛症
円形脱毛症とは、髪の毛の一部が抜け落ちて、その部分に毛がなくなってしまう状態のことである。原因として、近年は自己免疫疾患が有力である。免疫機能の異常を発生させる要因としては、疲労や感染症などの肉体的・精神的なストレスや体質的な素因がある。
4.× 過敏性腸症候群
過敏性腸症候群とは、通常の検査では腸に炎症・潰瘍・内分泌異常などが認められないにも関わらず、慢性的に腹部の膨張感や腹痛を訴えたり、下痢や便秘などの便通の異常を感じる症候群である。腸の内臓神経が何らかの原因で過敏になっていることにより、引き起こされると考えられている。それぞれタイプが存在し、①下痢型(ストレスや緊張などのわずかなきっかけによって腹痛と激しい便意とともに下痢を生じる)、②便秘型(便秘に伴ってお腹の張りなどの症状が起こる)、③混合型(便秘と下痢が交互に繰り返すもの)がある。
次の文で示す症例について、問題157、問題158の問いに答えよ。
「18歳の女性。新体操の選手で毎日の激しい練習と無理なダイエットをしていたら月経が止まった。近医で、利用できるエネルギー不足が原因の運動性無月経と言われた。」
問題158 無月経に対し、胞宮から起こる経脈に治療する場合、最も適切な奇経はどれか。
1.衝脈
2.帯脈
3.陰維脈
4.陰蹻脈
解答1
解説
・無月経に対し、胞宮から起こる経脈に治療する。
→奇経八脈で胞宮から起こる経脈は、督脈、任脈、衝脈である。
①督脈(脳に入る、陽脈の海):胞中(小骨盤腔)
②任脈(陰脈の海):胞中(小骨盤腔)
③衝脈(十二正経の海、経脈の海、血海):胞中(小骨盤腔)
1.〇 正しい。衝脈は、無月経に対し、胞宮から起こる経脈に治療する場合、最も適切な奇経である。衝脈は、十二経脈の気血を調節し(十二経の海)、血を貯える(血海)。胞宮から起こり、月経に関与する。
2.× 帯脈
帯脈は、季肋部から起こり腰部を回る。各経脈を束ねて調節する。
3.× 陰維脈(陽維脈)
陰経と陽経を連絡する。陽維脈は全身の表と関係が深く、陰維脈は全身の裏と関係が深い。
4.× 陰蹻脈
下肢の内・外側に分布する陰経と陽経を協調させる。
次の文で示す症例について、問題159、問題160の問いに答えよ。
「40歳の女性。仕事でパソコン作業が多く、午後から締め付けられるような両側性の頭痛を発症する。頭痛は非拍動性で悪心・嘔吐はない。飲酒で増悪しない。」
問題159 考えられる疾患はどれか。
1.片頭痛
2.群発頭痛
3.緊張型頭痛
4.三叉神経・自律神経性頭痛
解答3
解説
・40歳の女性(午後から締め付けられるような両側性の頭痛)。
・仕事でパソコン作業が多い
・頭痛:非拍動性で悪心・嘔吐はない。
・飲酒で増悪しない。
→それぞれの頭痛の特徴をおさえておこう。本症例の頭痛は、非拍動性で悪心・嘔吐はなく、午後から締め付けられるような両側性であることから絞り込める。
1.× 片頭痛
片頭痛とは、中等度から重度の、脈打つような痛みやズキズキする痛みで、頭の片側または両側に生じる。しばしば身体活動、光、音、匂いなどによって悪化し、吐き気や嘔吐を伴ったり、音、光、匂いに過敏になったりする。片頭痛は、睡眠不足、天候の変化、空腹、感覚への過度の刺激、ストレス、その他の要因が引き金となって発生する。
2.× 群発頭痛
群発頭痛とは、数週間から数か月ほどの間、片方の目の周りや頭の前側や後ろ側の辺りが毎日のように強く痛くなることである。はっきりとした原因は分かっておらず、体内時計の乱れなどが関係しているのではないかと考えられている。
3.〇 正しい。緊張型頭痛が、考えられる疾患である。
緊張型頭痛とは、一般的に頭痛のなかでもっとも頻度が高く、頭の周囲が締め付けられるように痛くなるタイプの頭痛である。一般的な頭痛といえる。原因はストレス、首や肩の筋肉の血行の悪さ、姿勢の悪さ、睡眠不足などさまざまである。
4.× 三叉神経・自律神経性頭痛
三叉神経・自律神経性頭痛とは、頭の片側に激しい痛みが生じ、痛む方の目の充血や流涙、鼻づまり・鼻水など症状がみられる。頭痛の持続時間が長く、1日中続く痛みが3ヶ月を超えてある。
次の文で示す症例について、問題159、問題160の問いに答えよ。
「40歳の女性。仕事でパソコン作業が多く、午後から締め付けられるような両側性の頭痛を発症する。頭痛は非拍動性で悪心・嘔吐はない。飲酒で増悪しない。」
問題160 生活指導で最も適切なのはどれか。
1.入浴はシャワーのみで済ませる。
2.枕の高さは今よりも高くする。
3.後頸部をホットタオルで温める。
4.パソコン作業では同一姿勢を維持する。
解答3
解説
緊張型頭痛とは、一般的に頭痛のなかでもっとも頻度が高く、頭の周囲が締め付けられるように痛くなるタイプの頭痛である。一般的な頭痛といえる。原因はストレス、首や肩の筋肉の血行の悪さ、姿勢の悪さ、睡眠不足などさまざまである。したがって、生活指導は、血流の改善のため「温める」ことが有効である。具体的には、①お風呂に浸かって体を温める、②肩や首に蒸しタオルなどを当てて温める、③体を動かす、④ストレッチで首や肩を動かす、⑤適度な有酸素運動をする、⑥マッサージやツボ押しをするなどである。入浴、飲酒、運動やマッサージは血管を拡張させ、凝った部位の血流を改善すると共に精神的ストレスを解消して、この痛みの悪循環を断ち切る軽快因子となる。
1.× あえて、入浴はシャワーのみで済ませる必要はない。
むしろ、血流の改善のためお風呂に浸かって体を温める。
2.× 枕の高さは今よりも高くする必要はない。
枕は自分にあった高さのものを使用する。枕が合っていないと、首が圧迫され、交感神経が緊張し、脳への血流が悪くなる。
3.〇 正しい。後頸部をホットタオルで温める。
生活指導は、血流の改善のため「温める」ことが有効である。
4.× パソコン作業では同一姿勢を維持する必要はない。
むしろ、同一姿勢は血流の阻害する因子となるため、適宜運動を心がける必要がある。