第33回(R7年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後101~105】

 

問題101 次の文で示す経脈病証はどれか。
「胸苦しさ、胸の熱感、手掌のほてり、息切れがみられる。」

1.手の太陰経病証
2.手の少陽経病証
3.手の少陰経病証
4.手の太陽経病証

解答

解説
1.〇 正しい。手の太陰経病証は、本設問の経脈病証である。
・手の太陰経:あえぎ、咳、喉の痛み上腕、前腕の経所の流れる所が痛んだり、感覚異常が起こる。手の平が熱くなる。肩背が痛み、風寒の邪が襲ってくると汗が出る。小便が少しずつ出で回数が多い、もしくは小便がしばしば出てあくびをする。肩背が冷えて痛み、酸素不足の様な感じがする。尿の色が変わる。

2.× 手の少陽経病証
・手の少陽三焦経:耳が聞こえにくく、耳が燃え上がるような感じがしたり、耳鳴りがする。咽頭が腫れ、喉を起こす。汗が出て、経絡の流注上に沿って病症が現れる。

3.× 手の少陰経病証
・手の少陰心経:吸願の乾燥、上腹部から前胸部にかけてが痛み、口渇が起こり、水分を取ろうとする。目の黄疽や充血、脇痛、経脈の流注部分が痛み、厥してくる。手掌に熱がこもり痛む。

4.× 手の太陽経病証
・手の太陽小腸経:咽頭の痛み、顎の付け根の腫れ、後ろを振り返ることができない。肩が抜けるように痛み、上腕が折れるように痛む。耳が間こえなくなり、目が黄ばんだり充血したり、類の辺りが腫れてくる。顎から顎の付け根、肩、上腕、肘など経脈の流注上が痛む。

 

 

 

 

 

問題102 舌質の色でみられるのはどれか。

1.紫
2.黒
3.黄
4.白

解答

解説
1.〇 正しい。は、舌質の色でみられる。
【舌色】
淡紅:正常、表証(外感病の初期)
淡白:気血不足、寒証
紅・絳:実熱、陰虚による熱証
青:実寒、陽虚(寒凝血瘀の重症)
紫(暗):血瘀 ※淡暗は気虚血瘀、暗紅は熱証、青紫は寒証、瘀斑・瘀点は血

2~4.× 黒/黄/白は、で存在する色である。
【苔色】
白苔:健康、表証(薄白苔)、寒証(厚白苔)
黄苔:熱証
灰苔・黒苔:裏証の重症 ※黒苔のほうが病状が重い

 

 

 

 

 

問題103 弁証の進め方で最初に判断すべきなのはどれか。

1.気と血
2.虚と実
3.寒と熱
4.表と裏

解答

解説

弁証とは?

弁証とは、患者さんの様々な情報(症状、顔色、舌、脈など)を収集・分析し、総合的に判断することである。弁証で最も基本的で重要な分類法の一つに「八綱弁証」があります。八綱とは、①「表と裏」、②「寒と熱」、③「虚と実」、そしてこれらを総括する④「陰と陽」の四対八つの基準のことである。

1.× 気と血は、八綱弁証に含まれない。

2.× 虚と実は、八綱弁証3番目に判断する。

3.× 寒と熱は、八綱弁証2番目に判断する。

4.〇 正しい。表と裏は、弁証の進め方で最初に判断すべきである。

 

 

 

 

 

問題104 次の文で示す六経病証はどれか。
「悪寒と発熱を交互に繰り返し、目眩がある。脈は弦を認める。」

1.少陽病
2.陽明病
3.太陰病
4.少陰病

解答

解説
1.〇 正しい。少陽病は、本設問の経病証である。
・少陽病:半表半裹証。発汗、寒熱往来、胸脇苦満、口苦、眩暈脈弦など。

2.× 陽明病
・陽明病:裏実熱証。発汗、壮熱、口渇、潮熱、大便秘結、譫語、洪脈など。

3.× 太陰病
・太陰病:裏虚寒証(初期)。食欲不振、腹部膨満感、水様便など。

4.× 少陰病
・少陰病:外感病の極期~後期、虚寒/虚熱証。四肢厥冷、心煩、不眠など。

 

 

 

 

 

問題105 六部定位脈診で右関上の沈の部が虚している場合、難経六十九難に基づく治療穴はどれか。

1.陽白
2.労宮
3.少衝
4.経渠

解答

解説

MEMO

右関上の部:虚している
右関上の部:脾
→虚している場合:つまり、脾虚証に該当する。したがって、脾の虚証(補法)を行うことが望ましく、対象は大都・少府・労宮となる。

~六部定位脈診~
【部位】
①左:浮・沈
寸:小腸・心
関:胆・肝
尺:膀胱・腎

②右:浮・沈
寸:大腸・肺
関:胃・
尺:三焦・心包

1.× 陽白は、眼神経(三叉神経第1枝)である。陽白は、頭部、眉の上方1寸、瞳孔線上に位置する。

2.〇 正しい。労宮は、難経六十九難に基づく治療穴である。本症例は、脾虚証に該当する。したがって、脾の虚証(補法)を行うことが望ましく、対象は大都・少府・労宮となる。

3.× 少衝は、心の虚証(補法)を行う際に該当する。

4.× 経渠は、腎の虚証(補法)脾の実証(瀉法)を行う際に該当する。

難経六十九難に基づく取穴

【部位】虚証(補法):実証(瀉法)
【肝】曲泉・陰谷:行間・少府・労宮
【肺】太淵・太白:尺沢・陰谷
【心】少衝・大敦:神門・太白
【腎】復溜・経渠:湧泉・大敦
【脾】大都・少府・労宮:商丘・経渠
【心包】中衝・大敦:大陵・太白
【胆】侠渓・足通谷:陽輔・陽谷・支溝
【大腸】曲池・足三里:二間・足通谷
【小腸】後渓・足臨泣:小海・足三里
【膀胱】至陰・商陽:束骨・足臨泣
【胃】解渓・陽谷・支溝:厲兌・商陽
【三焦】中渚・足臨泣:天井・足三里

 

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