問題111 経穴の部位で正しいのはどれか。
1.顴髎は、頬骨弓の下縁中点と下顎切痕の間の陥凹部にある。
2.巨髎は、鼻唇溝中、鼻翼外縁中点と同じ高さにある。
3.和髎は、耳珠上の切痕と下顎骨の関節突起の間、陥凹部にある。
4.禾髎は、人中溝中点と同じ高さ、鼻孔外縁の下方にある。
解答4
解説
1.× 頬骨弓の下縁中点と下顎切痕の間の陥凹部にあるのは、「顴髎」ではなく下関である。
・顴髎は、顔面部、外眼角の直下、頬骨下方の陥凹部に位置する。下関(胃経)の前方にあたる。
2.× 鼻唇溝中、鼻翼外縁中点と同じ高さにあるのは、「巨髎」ではなく迎香である。
・巨髎は、顔面部、瞳孔線上、鼻翼下縁と同じ高さに位置する。
3.× 耳珠上の切痕と下顎骨の関節突起の間、陥凹部にあるのは、「和髎」ではなく耳門である。
・和髎は、頭部、もみあげの後方、耳介の付け根の前方、浅側頭動脈の後方に位置する。
4.〇 正しい。禾髎は、人中溝中点と同じ高さ、鼻孔外縁の下方にある。
・禾髎は、顔面部、人中溝中点と同じ高さ、鼻孔外縁の下方に位置する。
※別説として、顔面部、人中溝の上から1/3と同じ高さ、鼻孔外縁の下方に位置する。
問題112 正中神経が支配する皮膚領域にあるのはどれか。
1.少商
2.少衝
3.関衝
4.商陽
解答4
解説
正中神経とは、腕神経叢を出たのち上腕骨に沿って走り、前腕では橈骨と尺骨の間を走り、手根管をくぐりぬけて、主に手の親指側に分布する。支配する感覚の領域は手のひら側の親指から薬指の半分とその下の手のひら、手背側では親指から薬指の半分の指先である。正中神経麻痺で、tear drop sign(ティア ドロップ サイン)または、perfect O(パーフェクト Oテスト)や、Phalen(ファレンテスト)が陽性となる。ファーレン徴候(Phalen徴候)とは、手首を曲げて症状の再現性をみる検査である。perfect O(パーフェクト Oテスト)とは、親指と人差し指の先端をくっつけて丸形を作る検査である。
1.× 少商は、橈骨神経支配領域である。
・少商は、母指、末節骨橈側、爪甲角の近位外方1分(指寸)、爪甲橈側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点に位置する。
2.× 少衝は、尺骨神経支配領域である。
・少衝は、小指、末節骨橈側、爪甲角の近位外方1分(指寸)、爪甲橈側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点に位置する。
3.× 関衝は、尺骨神経支配領域である。
・関衝は、薬指、末節骨尺側、爪甲尺側縁の垂直線と爪甲基底部の水平線との交点 に位置する。
4.〇 正しい。商陽は、正中神経が支配する皮膚領域にある。
・商陽は、示指、末筋骨橈側、爪甲角の近位外方1分(指寸)、爪甲橈側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点に位置する。
問題113 尺骨神経の支配する筋上にあるのはどれか。
1.合谷
2.偏歴
3.手三里
4.手五里
解答1
解説
尺骨神経とは、上腕の内側から前腕の内側を通る。小指側の感覚と手指・手首の運動を支配する。尺骨神経麻痺の症状として、Froment徴候陽性や鷲手がみられる。ちなみに、鷲手とは、尺骨神経麻痺により手内筋が萎縮し、とくに環指と小指の付け根の関節(MP関節、中手指骨関節)が過伸展する一方、指先の関節(DIP関節、遠位指節間関節)と中央の関節(PIP関節、近位指節間関節)が屈曲した状態である。
1.〇 正しい。合谷は、尺骨神経の支配する筋上にある。
・合谷は、手背、第2中手骨中点の橈側に位置する。
・母指内転筋の【起始】横頭:第3中手骨掌面の全長、斜頭:有頭骨を中心とした手根骨、第2~3中手骨底の掌側面、【停止】種子骨、母指基節骨底、一部は指背腱膜、【作用】母指内転、【支配神経】尺骨神経深枝:C8,(T1)である。
2.× 偏歴は、前腕後外側、陽渓と曲池を結ぶ線上、手関節背側横紋の上方3寸に位置する。
3.× 手三里は、前腕後外側、陽渓と曲池を結ぶ線上、肘窓横紋の下方2寸に位置する。
4.× 手五里は、上腕外側、曲池と肩隅を結ぶ線上、肘窩横紋の上方3寸に位置する。深部に橈骨神経幹が通る。
問題114 八会穴の腑会と同じ高さに並ぶのはどれか。
1.承満
2.梁門
3.太乙
4.滑肉門
解答2
解説
腑会-中脘【任】
中脘は、上腹部、前正中線上、臍中央の上方4寸に位置する。
・臍中央の上4寸は、中脘、陰都、梁門である。
1.× 承満は、上腹部、臍中央の上方5寸、前正中線の外方2寸に位置する。
・臍中央の上5寸は、上脘、腹通谷、承満である。
2.〇 正しい。梁門は、八会穴の腑会と同じ高さに並ぶ。
梁門は、上腹部、臍中央の上方4寸、前正中線の外方2寸に位置する。
3.× 太乙は、上腹部、臍中央の上方2寸、前正中線の外方2寸に位置する。
・臍中央の上2寸は、下脘、商曲、太乙である。
4.× 滑肉門は、上腹部、臍中央の上方1寸、前正中線の外方2寸に位置する。
・臍中央の上1寸は、水分、滑肉門である。
問題115 脛骨内側顆下縁と脛骨内縁が接する陥凹部の下方3寸にあるのはどれか。
1.足の太陰経の郄穴
2.足の太陰経の絡穴
3.足の厥陰経の郄穴
4.足の厥陰経の絡穴
解答1
解説
1.〇 正しい。足の太陰(脾)経の郄穴は、脛骨内側顆下縁と脛骨内縁が接する陥凹部の下方3寸にある。なぜなら、足の太陰脾経の郄穴は地機であるため。
・地機は、下腿内側(脛側)、脛骨内縁の後側、陰陵泉の下方3寸に位置する。
2.× 足の太陰(脾)経の絡穴は、公孫である。
・公孫は、足内側、第1中足骨底の前下方、赤白肉際に位置する。
3.× 足の厥陰(肝)経の郄穴は、中都である。
・中都は、下腿前内側、脛骨内側面の中央、内果尖の上方7寸に位置する。
4.× 足の厥陰(肝)経の絡穴は、蠡溝である。
・蠡溝は、下腿前内側、脛骨内側面の中央、内果尖の上方5寸に位置する。